本日は、ミサ曲&宗教曲【全曲】です。
ミサ曲&宗教作品集 サヴァリッシュ&バイエルン放送響&合唱団(7CD)
![ミサ曲&宗教作品集 サヴァリッシュ&バイエルン放送響&合唱団(7CD)](http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/18/2/4/973.jpg)
マルチバイ特価(税込) : ¥3,773
- 資料価値:☆☆☆☆☆
- 演奏 :☆☆☆☆☆
- 音質 :☆☆☆☆☆
これは「ミサ曲」だけでなく「宗教曲全曲」録音である。
- ミサ曲(全6曲)
- ドイツミサ D872
- ラザロ D689
- その他 大小さまざまの宗教曲
が網羅されている。有名曲もあれば、このCD以外では聴くことのできない曲もある。
演奏は、とても端正であり、『ロマン派のシューベルト』よりは『古典派のシューベルト』像を見事で描いている。EMI録音とは信じられないほど鮮明。ミサ曲などのソリスト陣がこれまた極めて豪華で
ミサ曲第1番D105 のソリスト陣は
ポップ
ドナート
ファスベンダー
ダラポッツァ
シュライヤー
フィッシャー=ディスカウ
である。「録音史上最も力の入った録音の1つ」であり、「古典派教会音楽の伝承者」を目指したシューベルトの宗教音楽の世界にどっぷり浸かれるCDである。
本日は歌曲【全曲】です。
歌曲全集 60名の歌手たち G.ジョンソン(p)(40CD、448ページ解説書付き)
![歌曲全集 60名の歌手たち G.ジョンソン(p)(40CD、448ページ解説書付き)](http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/14/5/4/572.jpg)
マルチバイ特価(税込) : ¥29,603
- 資料価値:☆☆☆☆☆
- 演奏 :☆☆☆☆☆
- 音質 :☆☆☆☆☆
LP発売の最初が1955年。53年経過して「ドイツリート最高の作曲家 = シューベルトの歌曲全曲録音」が
- フィッシャー=ディスカウ盤
- ジョンソン盤
の2種類のみ。
・・・と言うのは正直寂しい。シューベルト「3大歌曲集録音歌手」は大勢いるのだが。
- フィッシャー=ディスカウ盤 → 21枚組
- ジョンソン盤 → シューベルトは実質37枚組(3枚は他の作曲家)
と言うのは、何も知らないと「信じられない!」圧倒的な差! この差は何か?!
- フィッシャー=ディスカウ盤 → 女声曲を完全に抜いたので「糸を紡ぐグレートヒェン」も無ければ「アヴェマリア」も無い(← 本当)
- ジョンソン盤 → 「シューベルトが作曲 & 出版 した通り」の史上初の【完全全曲録音】
- 演奏の質も「ピアノは全曲でジョンソン盤が圧倒的に上」、「声も大体半分でジョンソン盤が上」である
「ドイツリートの始祖 & 最高作曲家」のシューベルトの全曲が「作曲意図通り」に聴ける唯一の録音。例えば「冬の旅」も、作曲&出版経緯通り、第1部と第2部は完全に切り離されている。
「シューベルトファン」は是非是非(やや出費が多くなるだろうが)聴いてほしい録音である。ジョンソンの解説も極めて秀逸(だと思う。英語なので断言はできません) スタインウェイ使用。
本日は弦楽四重奏曲【全曲】です。
弦楽四重奏曲全集、弦楽五重奏曲、他 ライプツィヒ弦楽四重奏団、M.ザンデルリング(vc)(9CD)
![弦楽四重奏曲全集、弦楽五重奏曲、他 ライプツィヒ弦楽四重奏団、M.ザンデルリング(vc)(9CD)](http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/00/1/8/112.jpg)
マルチバイ特価(税込) : ¥6,844
- 資料価値:☆☆☆☆☆
- 演奏 :☆☆☆☆☆
- 音質 :☆☆☆☆☆
(以下4月26日追加記事)
世界初の弦楽四重奏曲【完全全曲】録音盤 = ライプツィヒ弦楽四重奏団
ベーレンライター新シューベルト全集の中で、最初に「全巻刊行」されたのは「室内楽」部門であった。
1994年に「弦楽四重奏曲第2巻」が刊行され終結
これは、本日 = 2008年4月26日現在で「唯一完成しているのが室内楽」と言うことを考えると、気が遠くなるようである。
この「ベーレンライター新シューベルト全集室内楽刊行」直後に録音開始されたのが、ライプツィヒ弦楽四重奏団盤である。1997年の「シューベルト生誕200周年」に完成され発売された。
特徴は
- 未完成楽章は「補筆完成」させず、「未完成」のママ録音
- 楽章順は「ベーレンライター新シューベルト全集」通り
- 「弦楽四重奏曲かどうか大きな疑惑がある曲 = D2C」 を除き、ベーレンライター新シューベルト全集『弦楽四重奏曲』収録曲全曲録音
- 弦楽五重奏曲D956 と 弦楽三重奏曲D471 も収録(弦楽三重奏曲D581 は未収録)
- 舞曲集D89 や 断片D3 & D470 や 第6番D68の「異稿」は、このCDでしか聴けない
- 『D703 の第2楽章』と『D103』が両方収録されているのも、このCDだけ!
- 繰り返しは完全実行
などなど、盛りだくさん。それでいて、後期名曲も名演揃い!
このCDを聴くといろいろなことが思い描くことができる。室内楽ファンは是非是非聴いてほしい。楽譜は上記の通り、ベーレンライター新シューベルト全集使用。
【附論】
シューベルト弦楽四重奏曲の「楽章組み合わせ」と「楽章順序」の異論について
シューベルトは「ピアノソナタ」「交響曲」「弦楽四重奏曲」の3分野で「ソナタ楽曲」を大量に残した。『完全に最後まで仕上げない楽章』も多量にある。結果「組み合わせ」と「楽章順序」について、未だにはっきり断定できない点が多い。私高本が「ピアノソナタ」について書き始めると止まらないので、「弦楽四重奏曲」だけについて、ここで疑問のある曲について書き留める。作曲順に追って見よう。
- D32 と D3 についての「組み合わせ」と「楽章順」ははっきりしない上、1曲の弦楽四重奏曲なのか2曲の弦楽四重奏曲なのかも不明
- D32 と D36 はどちらが先の作曲か?
- D87 の中間楽章順
う~ん、ピアノソナタほどでは無いが、結構厄介。
D32 & D3 は1曲? 2曲?
自筆譜を追っていくと、以下の順になっていたと推測される。表記は、ベーレンライター新シューベルト全集に拠っている。
- D31「キリエ」ニ短調(完成:230小節)『1812年9月25日』表記
- D32/1 : プレスト『1812年9月30日完成』表記
- D4「水力技師になった悪魔」序曲
- D3(未完成 29小節) : アンダンテ(ピアノ曲 D29 の開始部と同一。D29は『1812年9月9日』表記)
- D32/2 : アンダンテ『No.2 Andante. ad Quartetto』表記
- D32/4 : アレグロ・コン・スピリット『No.4』表記
- D32/3 : スケルツォとトリオ(アレグロ)
「キリエ」の次に「グロリア」が来ないで、弦楽四重奏曲が来るので「曲が変わった」ことは誰にも理解できる。だが多くの謎がある。
上記の表を単純に見てほしい。1812年9月で『25日 → 30日 → 9日』と順序が乱れているのだ! また『No.3』表記が見当たらないのも変。
ベーレンライター新シューベルト全集出版後は、他の曲順で弾く演奏団体はいないが、楽譜の伝承に拠ると
- D32/1
と言う曲が「ひとまとまりの楽譜」
- D3
- D32/2(「弦楽四重奏曲の第2楽章」指示通りだが、これは変!)
- D32/4
- D32/3
と言う曲が「ひとまとまりの楽譜」
未完成楽章 D3 を除き、第2楽章をシューベルトの指示通りに並べ替えすると
- D32/4
- D32/2(「弦楽四重奏曲の第2楽章」指示通り!)
- D32/3
となる。
旧シューベルト全集時代は「D94」が後の作品だと思われていたのでわからなかったが『No.4』表記については
- D18
- D94
- D32/1
- D32/4
だと「弦楽四重奏曲第4番」になる。(D8Aは「序曲」とシューベルトが明示しているので弦楽四重奏曲扱いはしなかったであろう。)
さらに厄介な問題が残っている。この D3 は、D36 でも緩徐楽章に利用しようと試みた痕跡が残っている。シューベルトの初期の曲は「楽章組み合わせ」を特定するのは難しい。
現在は『D32/4 = 第4楽章』説が主流である。しかし
『D32/4 = 第4弦楽四重奏曲』説を採ることも可能
であり、上に1例を示した。さらに下記の内容の可能性も大きいことをここに記す。
D32 と D36 はどちらが先の作曲か?
D32/1 は「1812年9月30日」、D36 は「1812年11月19日 ~ 1813年2月21日」の日付を持つ。しかし
D32/2,4,3 は日付を全く持たない
ことに留意してほしい。先行する D4 も D3 も日付を持たない。新シューベルト全集では
- D3 (D32/2,4,3が続く)
- D29
- D36
と思っているようだが、
- D29
- D36
- D3 (D32/2,4,3が続く)
の可能性も高い。もし D29 → D36 → D32/2 の順だとすると
名ピアノ曲を作曲 → 弦楽四重奏曲に2回転用しようと試みるが断念
と言う筋書きになる。
D32 と D36 は「どちらが先にされたか断定できない兄弟作」である。D29 を弦楽四重奏曲に持ち込もうとした作品だからだ。もし D36 が少し先に完成したとすれば
- D18
- D94
- D36
- D32
となり「D32 = 第4番」となる。その時は
- D32/4
- D32/2
- D32/3
- D32/1
の楽章順が「第4番」と楽章アタマに書いたからには正しいだろう。すると
D32 = ハ短調弦楽四重奏曲
となる。
D87 の中間楽章順
D87 の第2楽章と第3楽章は、残された楽譜からは「スケルツォが先」としか思えないが、弦楽四重奏曲には他に1曲も類似楽章順が無い。全シューベルトソナタ楽曲でも、ヴァイオリンソナタ第4番イ長調D574 だけである。
D87 の楽章順に疑問を持った最初の人はシューベルト全曲世界初録音のメロス弦楽四重奏団
である。アダージオ楽章が第2楽章になっている。これだけ聴けば、完全に納得できる楽章順である。
私高本は「ピアノ曲」ほどは「弦楽四重奏曲」を詳しく調べることはできない。演奏家に演奏してもらえるアテが無いからである。(ピアノ曲に関しては、佐伯周子に感謝するばかりである。)もし、他にご存知の方がいらっしゃったら、高本宛に連絡頂くか、コメント欄に書き留めて頂ければ幸いである。
本日は交響曲【全曲】です。シューベルトファンならば、この1組は是非是非聴いて下さい。
交響曲全集(全10曲&断章) マリナー&ASMF(6CD)
![交響曲全集(全10曲&断章) マリナー&ASMF(6CD)](http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/08/6/4/903.jpg)
マルチバイ特価(税込) : ¥4,639
- 資料価値:☆☆☆☆☆
- 演奏 :☆☆☆☆
- 音質 :☆☆☆☆
このCDは初出当時絶大な反響を呼んだ。理由は
- 通常演奏される D82 - D944 の8曲以外の4曲も含め、12曲全部収録した。さらに D759「未完成」第3楽章も収録!
- D605(2楽章), D708A(4楽章), D729(4楽章), D759(1楽章), D936A(3楽章)が『新規に聴けた楽章』で膨大
- ニューボールトが補筆完成した楽章が D708A/3, D729/1&2&3&4, D759/3 と「6楽章」にも及び、しかも出来が良い!
の3点。空前絶後の大事業であり、大成功を収めた、と言って良い。
録音当時(1981-1984)は、ベーレンライター新シューベルト全集は 第1番~第3番しか出版されておらず、補筆作業は「シューベルト自筆譜からの採譜」であった様子。
・・・と言うか、2008年現在でも8曲以外の D615,D708A, D729, D936A は「ベーレンライター新シューベルト全集」では出版されていないから、25年以上「先を読んだ補筆&録音」と呼んで良いだろう。
マリナー指揮の演奏は、「古典派巨匠を目指したシューベルト」像がはっきり打ち出された演奏で、恣意的なところが1点も無い。
- ニューボールト補筆版は
- 「ソナタ形式」や「スケルツォ楽章」の決まった箇所の『再現を移調するだけ』が基本
となっている。私高本が「補筆完成版」を作る上で、最も手本にしたのは、ラッツとニューボールトであることを附記しておきたい。
本日は「連弾」全曲です。
4手ピアノ作品全集 タール&グロートホイゼン(7CD)
![4手ピアノ作品全集 タール&グロートホイゼン(7CD)](http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/01/3/4/703.jpg)
マルチバイ特価(税込) : ¥3,379
- 資料価値:☆☆☆☆☆
- 演奏 :☆☆☆☆☆
- 音質 :☆☆☆☆☆
シューベルトは音楽史上最大にして最高の「連弾」作曲家!
である。しかも「未完成曲」が極めて少なく、他分野(ピアノソロや交響曲など)に比較して、「楽章組み合わせ問題」や「異稿問題」もほとんど無い。もっともっと演奏&録音されても不思議は無い!
・・・が、有名曲ばかり演奏され、「全曲演奏」や「全曲録音」は極めて少ない。今回の「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」で全曲演奏されるのは貴重な機会である。
このCDは、「シューベルト連弾全曲」。
ヘンレ版全3巻に拠る 全曲
になっており、有名曲だけでなく非有名曲までも きちんと演奏されている。解説が一切ないのが唯一の欠点かも。シューベルトの連弾は「解説なしで理解できるほどは知られていない」のだから。
この演奏は、極めて「造形美」が前面に出てくるすっきりした演奏でありながら、旋律美も堪能させてくれる質の高い演奏である。全7枚でこの値段なのはうれしい限り。
ファツィオーリ使用
が珍しい
今日は、ピアノ舞曲です。「ピアノ舞曲CDの推薦」は私は見たことがありません。
舞曲集 ミヒャエル・エンドレス(ピアノ)(5CD)
![舞曲集 ミヒャエル・エンドレス(ピアノ)(5CD)](http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/08/0/6/527.jpg)
マルチバイ特価(税込) : ¥3,143
- 資料価値:☆☆☆☆☆
- 演奏 :☆☆☆☆
- 音質 :☆☆☆☆
「ピアノ舞曲」である。これはつい最近「全曲世界初録音」の偉業を成し遂げた エンドレス盤 を推薦する。未だに2種類目は出ていない。
- ヘンレ版の通りに録音
- 繰り返しは忠実に実行
であり、「シューベルトの楽譜に忠実であろう」とする態度が聴き手に伝わって来る。ヘンレ版全2巻の舞曲が全て録音されている。(ベーレンライター新シューベルト全集とは、曲の組み合わせが違っている。)
他の「1枚モノのシューベルト舞曲CD」に比べると、遙かに質の高い演奏が揃っている! スタインウェイ使用。
<追記>
推薦したCDを他のCDオンラインショップで価格を比較したが、HMVジャパンの安さは国内店では圧倒的だった。是非比べてほしい。
私高本は多くの方よりもシューベルトの曲を多く聴いている、と思う。今日から「ラ・フォル・ジュルネ シューベルト」までの期間、「読者の皆様が、シューベルト通になれるCD」をご紹介したい。紹介するCDの基準は以下の通りである。
- シューベルト全体像が見渡せる収録曲
- 演奏の質が高い
- HMVジャパンで容易に入手できる
の3点である。「HMVジャパン」は、
- 価格が安い
- 万が一『誤発注』しても、即訂正すればやり直しが利く
の2点で『最も安心して発注できるネットオンラインCDショップ』であるので推薦しておく。合計価格が2500円以上だと送料無料となる。また、「2枚以上で ●●%引き」などのキャンペーンも多いので、各自「自分の都合の良い時」を狙ってほしい。
尚、推薦CDは全種決めてあるので、本日から毎日更新して行く予定。ピアノから開始して、交響曲,室内楽,歌曲,ミサなどなど全種類を網羅する予定。
ピアノ・ソナタ全集 ケンプ(p)(7CD)
![ピアノ・ソナタ全集 ケンプ(p)(7CD)](http://img.hmv.co.jp/image/jacket/190/07/6/4/903.jpg)
マルチバイ特価(税込) : ¥5,348
- 資料価値:☆☆☆☆☆
- 演奏 :☆☆☆☆☆
- 音質 :☆☆☆☆
まずは「ピアノソナタの巻」である。名曲&名演目白押しなんだが、
全21曲の全貌を見渡し、演奏の質の高い現役盤は極めて少ない!
が現状。
後期作品だけならば、ブレンデルの質は極めて高いが、D537,D575,D664 の演奏の質は不足。「名作品と思っていないで演奏している」のがはっきり伝わってしまっている。「完全全曲録音」は5名の録音を持っている。録音順に
- Gregor WEICHERT (ACCORD 7枚組)
- Gilbert SCHUCHTER (TUDER 12枚組)
- Michel DALBERTO (DENON 14枚組)
- Paul BADURA-SKODA (ARCANA 8枚組)
- Matino TIRIMO (EMI 8枚組)
この内、ダルベルト盤が「ブリリアント」から再発売になって現行盤なのだが演奏の質が低い上、「1枚当たり 30分少々のCDあり」が実態なので、到底推薦できない。「良心の呵責」はないのだろうか???
他の4種は全部廃盤だ!!!
・・・と言うことで悩みに悩んで、
シューベルトピアノソナタ全曲「世界初録音」の名誉を託され、世界へ普及したケンプ盤を推す
ことにした。
- 旧シューベルト全集で「完成曲」と見なした曲は、基本的に全曲全楽章録音
- その後の研究で発見されたり、再評価された曲は ヘンレ版やユニヴァーサル版に従い録音
- 初期作品も極めて丁寧に演奏
- 第1番D157 以下、通常「未完成」とされている曲も積極的に採択
- ヘ短調ソナタD625 を ラッツ補筆完成版で録音
が特徴。多くの「シューベルトピアノソナタ全集録音の規範となった」ことは覚えておいてほしい。「後期ソナタ」しか聴いたことの無い人にも超お薦めである。スタインウェイ使用。
少し言い足りない点があるので、前号の続き。
終楽章中庸テンポの曲は意外に多い。作曲順に並べると
相当量である。他にピアノソナタで2曲ほど候補がある。
交響曲、弦楽四重奏曲、弦楽五重奏曲、弦楽三重奏曲、ピアノ三重奏曲、ヴァイオリンソナタ、アルペジオーネソナタ、連弾ソナタ、ピアノソナタ。
「八重奏曲」と「ピアノ五重奏曲」を除く『全てのソナタ楽曲』にて作曲しているのだ!
いくつか気付いた点を挙げよう
このリストに挙げた曲を聴き並べれば、
を実感して頂けることだろう。無理にテンポを上げると「シューベルトの良さ」は台無しになることが、他の作曲家以上に多い。
読者の皆様も実感して頂ければ幸いである。
シューベルトの「ソナタ楽曲」の終楽章テンポについての論考
終楽章中庸テンポの曲は意外に多い。作曲順に並べると
- 弦楽四重奏曲第4番 変ロ長調 D36(1812)
- ピアノソナタ第2番 ホ長調 D279(1815)
- ヴァイオリンソナタ第3番 ト短調 D408(1816)
- ピアノソナタ第6番 ホ短調 D566(1817)
- ピアノソナタ第7番 変ニ長調 D567(後に D568 に改作される)(1817)
- 弦楽三重奏曲第2番 変ロ長調 D581(1817)
- 交響曲第6番 ハ長調 D589(1817-1818)
- ピアノソナタ第12番 ハ長調 D613(1818)
- 交響曲 ニ長調 D615(1818)
- 交響曲 ニ長調 D708A(1820)
- 連弾ピアノソナタ第1番 変ロ長調 D617(1823?)
- 弦楽四重奏曲第13番 イ短調「ロザムンデ」 D804(1824)
- アルペジオーネソナタ イ短調 D821(1824)
- ピアノソナタ第15番 ハ長調「レリーク」 D840(1825)
- ピアノソナタ第17番 ニ長調「ガシュタイン」 D850(1825)
- 連弾ピアノソナタ第3番 ホ短調 D823(1826?)
- ピアノソナタ第18番 ト長調「幻想ソナタ」 D894(1826)
- ピアノ三重奏曲第1番 変ホ長調 D929(1827)
- 弦楽五重奏曲 ハ長調 D956(1828)
- ピアノソナタ第20番 イ長調 D959(1828)
相当量である。他にピアノソナタで2曲ほど候補がある。
交響曲、弦楽四重奏曲、弦楽五重奏曲、弦楽三重奏曲、ピアノ三重奏曲、ヴァイオリンソナタ、アルペジオーネソナタ、連弾ソナタ、ピアノソナタ。
「八重奏曲」と「ピアノ五重奏曲」を除く『全てのソナタ楽曲』にて作曲しているのだ!
いくつか気付いた点を挙げよう
- ごく若い15才の時(1812)に弦楽四重奏曲で試したが、弦楽四重奏曲では12年後に1曲だけしか採用されなかった
- たった1曲の「弦楽五重奏曲」とたった1曲しか完成されなかった「弦楽三重奏曲」でどちらも採用されている。
- 連弾ソナタは3曲中、『3楽章構成の2曲に採用』が目立つ。
- ピアノソナタでは「長調終楽章」のみ採用になっている
このリストに挙げた曲を聴き並べれば、
シューベルトの中庸テンポ終楽章は「シューベルトらしい感触」
を実感して頂けることだろう。無理にテンポを上げると「シューベルトの良さ」は台無しになることが、他の作曲家以上に多い。
読者の皆様も実感して頂ければ幸いである。
これは前々回の続編である。
シューベルトを研究すると、「シューベルト自身の形式観」は大抵の人が掴めるようだ。バドゥラ=スコダ補筆とティリモ補筆をみれば理解して頂けるだろう。(補筆方法と長さは万別だが)形式自体に対する「見方」はあまり変わらない。シューベルトピアノソナタ第15番ハ長調 D840 第4楽章は、補筆完成版を作った順に
である。
のである。
大作曲家は全ての人が【独自の解釈と作風】を有している。「シューベルト」「シューマン」「伊福部昭」などなど。みなそれぞれの「一家言」を持っているが、他の作曲家に対しての洞察が深いかどうかは大きな疑問である。
『伊福部昭先生のシューベルト観』については、生前にじきじき教えを乞う機会があったが、正直納得できなかった。『詩の選択基準』についての見解の相違なのだが、私高本は 「伊福部昭先生独自のシューベルト観」に思えた。
『違う目』だからこそ名曲が作曲される。
ことになる。『伊福部昭先生のシューベルト観』は変だ!
だからこそ「アイアイゴムテーラ」のような名歌曲を伊福部昭先生は作曲されたのだと思う。シューベルト歌曲には「似ても似つかない」曲である。
この真実はいくら強調しても強調し過ぎることは無いだろう。
D840 第4楽章冒頭に「Rondo」と表記されて出版されたが、自筆譜は(悪く言えば)シューマンによって捨てられたし、1/2拍 ほど「拍ズレ」があるとは言うものの
ことはここに明記したい。
私高本が「テンポについても シューマンの詐称」の可能性が99%と思った理由は、シューマンが「ソナタ形式楽章をロンドと詐称」していたからである。
(後記)
シューマンが「グレート」初演に尽力した功績は私高本も高く評価している。あくまで 『D840の楽譜問題』について限定して述べているので誤解なきように。
「ソナタ形式の楽章」にシューベルトは「ロンド」と表記するか?!
シューマンの無理解と楽譜散逸の大罪について
シューベルトを研究すると、「シューベルト自身の形式観」は大抵の人が掴めるようだ。バドゥラ=スコダ補筆とティリモ補筆をみれば理解して頂けるだろう。(補筆方法と長さは万別だが)形式自体に対する「見方」はあまり変わらない。シューベルトピアノソナタ第15番ハ長調 D840 第4楽章は、補筆完成版を作った順に
- バドゥラ=スコダ補筆 も「ソナタ形式」
- ティリモ補筆 も「ソナタ形式」
- 私高本補筆 も「ソナタ形式」
である。
誰が見ても(読んでも)「ロンド」ではあり得ない
のである。
大作曲家は全ての人が【独自の解釈と作風】を有している。「シューベルト」「シューマン」「伊福部昭」などなど。みなそれぞれの「一家言」を持っているが、他の作曲家に対しての洞察が深いかどうかは大きな疑問である。
『伊福部昭先生のシューベルト観』については、生前にじきじき教えを乞う機会があったが、正直納得できなかった。『詩の選択基準』についての見解の相違なのだが、私高本は 「伊福部昭先生独自のシューベルト観」に思えた。
『違う目』だからこそ名曲が作曲される。
『シューベルトの通りを信奉』したら、作曲家としては「ミニシューベルト」しか、絶対に誕生しない
ことになる。『伊福部昭先生のシューベルト観』は変だ!
だからこそ「アイアイゴムテーラ」のような名歌曲を伊福部昭先生は作曲されたのだと思う。シューベルト歌曲には「似ても似つかない」曲である。
『シューマンのシューベルト観』も極めて偏っている
この真実はいくら強調しても強調し過ぎることは無いだろう。
D840 第4楽章冒頭に「Rondo」と表記されて出版されたが、自筆譜は(悪く言えば)シューマンによって捨てられたし、1/2拍 ほど「拍ズレ」があるとは言うものの
ソナタ呈示部の再現を示唆する複縦線がある楽章 → 「ロンド」とはシューベルトは決して書かない
ことはここに明記したい。
私高本が「テンポについても シューマンの詐称」の可能性が99%と思った理由は、シューマンが「ソナタ形式楽章をロンドと詐称」していたからである。
(後記)
シューマンが「グレート」初演に尽力した功績は私高本も高く評価している。あくまで 『D840の楽譜問題』について限定して述べているので誤解なきように。
シューベルトと同時代のオペラ作曲家ウェーバーの最大の傑作「魔弾の射手」が本日=4/10(木)に新国立劇場で上演された。その批評である。
に拠る「魔弾の射手」。新国立劇場オペラ初登場演目である。
なことが最大に生かされ、
で、このオペラの魅力を充分に引き出した。「ドイツオペラファン」「ウィンナオペレッタファン」は逃さず是非是非聴いてほしい。
『ウェーバーは「ドイツ語オペラ」をモーツァルトを手本に多数作曲し、生涯最高の成功作がこの「魔弾の射手」であり、ワーグナーが手本にした』と音楽史では書かれている。しかし「モーツァルトの魔笛とドンジョバンニを手本」は誰が聴いても理解できるのだが、「ワーグナーの手本」の方は「演奏が良くないと実感できない」オペラでもある。指揮が難しいオペラの1つだからだ。
主要4役を全て欧州オペラハウスで活躍する外国人を配し、エッツィンガーが指揮したが、合唱団とオーケストラから「ロマンティックで厚い響き」を引き出すことに成功し、ソリスト陣がソロに重唱に存分に力を発揮した。
シュテークマン演出は「オランダ人」よりも遙かに上。「原台本に忠実」なところがとても好感が持てる。予算が足りなかったのか(?)、「ドイツの森」は『柵』のように見えたが「森の暗さ」は十全に表現し、「狼谷」の場面での「見せ方」も堪能できた。タネはバラさないので、是非是非、読者の皆様が自分で鑑賞して頂きたい。
「指揮良し、演出良し、ソリスト陣良し、オケ良し、合唱団良し」なので、『作品の本質』が直裁的に突き刺さって来る。ウェーバー「魔弾の射手」は
もはっきり伝わって来る。これも演奏の良さのおかげである。
さらに「シューベルトファン」にお伝えしたいのは、シューベルトの「完成した最後の3オペラ」は、ウェーバー「魔弾の射手」に大きく影響を受けていることである。
「シューベルトオペラに深い興味のある方」は、是非是非この公演を聴いてほしい次第である。
ワーグナー,オッフェンバック,J.シュトラウス2世 に多大な影響を与えた ウェーバー「魔弾の射手」
- シュテークマン演出
- エッツィンガー指揮東京フィルハーモニー交響楽団
に拠る「魔弾の射手」。新国立劇場オペラ初登場演目である。
シュテークマン演出が「音楽尊重」で、原台本に忠実で自然
なことが最大に生かされ、
エッツィンガー指揮が「大きなダイナミクスと大きなうねり」を描き切った演奏
で、このオペラの魅力を充分に引き出した。「ドイツオペラファン」「ウィンナオペレッタファン」は逃さず是非是非聴いてほしい。
『ウェーバーは「ドイツ語オペラ」をモーツァルトを手本に多数作曲し、生涯最高の成功作がこの「魔弾の射手」であり、ワーグナーが手本にした』と音楽史では書かれている。しかし「モーツァルトの魔笛とドンジョバンニを手本」は誰が聴いても理解できるのだが、「ワーグナーの手本」の方は「演奏が良くないと実感できない」オペラでもある。指揮が難しいオペラの1つだからだ。
主要4役を全て欧州オペラハウスで活躍する外国人を配し、エッツィンガーが指揮したが、合唱団とオーケストラから「ロマンティックで厚い響き」を引き出すことに成功し、ソリスト陣がソロに重唱に存分に力を発揮した。
シュテークマン演出は「オランダ人」よりも遙かに上。「原台本に忠実」なところがとても好感が持てる。予算が足りなかったのか(?)、「ドイツの森」は『柵』のように見えたが「森の暗さ」は十全に表現し、「狼谷」の場面での「見せ方」も堪能できた。タネはバラさないので、是非是非、読者の皆様が自分で鑑賞して頂きたい。
「指揮良し、演出良し、ソリスト陣良し、オケ良し、合唱団良し」なので、『作品の本質』が直裁的に突き刺さって来る。ウェーバー「魔弾の射手」は
- ワーグナーの「オランダ人」「タンホイザー」「ローエングリン」に多大な影響を与えている
- パリで大活躍した『オペレッタの創始者 = オッフェンバック』にも多大な影響を与え「パリの生活」で引用されている節がある!
- J.シュトラウス2世「こうもりのアデーレ役 = 魔弾の射手のエンヒェン役が手本そのもの」
もはっきり伝わって来る。これも演奏の良さのおかげである。
さらに「シューベルトファン」にお伝えしたいのは、シューベルトの「完成した最後の3オペラ」は、ウェーバー「魔弾の射手」に大きく影響を受けていることである。
- アルフォンゾとエレストレッラ D732
- 陰謀者たち D787
- フィエラブラス D796
「シューベルトオペラに深い興味のある方」は、是非是非この公演を聴いてほしい次第である。
今日、佐伯周子が D840 を弾いて聴かせてくれた。5/4 のコンサートのためである。ナマで聴くのは、実に3年8ヶ月ぶり!
いくつか気付いたことがあるが、他の演奏家の演奏と抜本的に違う点が1点ある。
私の補筆がうんぬん、よりも『テンポ設定』が最も演奏の『質』の向上をもたらしている。
あまり知られていないことだが、
である。
「なぜ?」ですか? R.シューマン がバラバラにして、散逸させてしまったからである。 シューマンは
として、第4楽章を後世に伝えたが、証拠となる自筆譜は残さなかった。故意か過失かは不明だが、1葉も残っていない。
今日はテンポのことだけを書く。
第4楽章を「アレグロ」で弾くと、落ち着かない。速過ぎるのである。シューベルトの終楽章テンポは2パターンある。「アレグロ」と「中庸テンポ」の2種類だ!
も大きな特徴の1つ。長調のソナタは完成した曲を見ると以下の通り。
中庸テンポの方が多いのである!
D840第4楽章 の「表記テンポ」について、「正しい」と思い込むと嵌ってしまう。そもそも、この第4楽章は『完全に間違っている箇所が1つある』楽譜だ。
これは、シューベルト自身の表記なのか? シューマンの転写ミスか? は断定できない。
D840第4楽章を「アレグロ・モデラート」で弾くと、少し後に作曲された「D850 と D894」の終楽章にとても似た雰囲気の楽章となる。楽譜を持っていらっしゃる人は是非是非弾いてほしい。
この楽章のテンポは「アレグロ・モデラート」または「アレグレット」である。
いくつか気付いたことがあるが、他の演奏家の演奏と抜本的に違う点が1点ある。
第4楽章のテンポが「アレグロ」でなく、「アレグロ・モデラート」である。
私の補筆がうんぬん、よりも『テンポ設定』が最も演奏の『質』の向上をもたらしている。
あまり知られていないことだが、
D840第4楽章は、自筆譜が全く現存していない楽章
である。
「なぜ?」ですか? R.シューマン がバラバラにして、散逸させてしまったからである。 シューマンは
- アレグロ
- ロンド
として、第4楽章を後世に伝えたが、証拠となる自筆譜は残さなかった。故意か過失かは不明だが、1葉も残っていない。
今日はテンポのことだけを書く。
第4楽章を「アレグロ」で弾くと、落ち着かない。速過ぎるのである。シューベルトの終楽章テンポは2パターンある。「アレグロ」と「中庸テンポ」の2種類だ!
シューベルトは短調の終楽章は全て「アレグロ」で統一
も大きな特徴の1つ。長調のソナタは完成した曲を見ると以下の通り。
- 「アレグロ」 → D575, D664, D960
- 「中庸テンポ」 → D568, D850, D894, D959
中庸テンポの方が多いのである!
D840第4楽章 の「表記テンポ」について、「正しい」と思い込むと嵌ってしまう。そもそも、この第4楽章は『完全に間違っている箇所が1つある』楽譜だ。
繰り返し複縦線が小節末に存在するのに、冒頭に8分音符がアウフタクトで存在している!
これは、シューベルト自身の表記なのか? シューマンの転写ミスか? は断定できない。
D840第4楽章を「アレグロ・モデラート」で弾くと、少し後に作曲された「D850 と D894」の終楽章にとても似た雰囲気の楽章となる。楽譜を持っていらっしゃる人は是非是非弾いてほしい。
この楽章のテンポは「アレグロ・モデラート」または「アレグレット」である。