Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

3回の生前演奏会で徐々に痩身した D929(No.2449)

2016-01-31 23:15:37 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

3回の生前演奏会で徐々に痩身した D929


 わずか92日の期間に3回も生前上演された器楽曲は D929 だけである。どうもピアニスト=ボクレット の肩越しに4段スコア自筆譜をシュパンツィヒとリンケが覗き込む形で演奏された様子。パート譜が残っていないのだ。初回は第4楽章が印刷譜より99小節長い第1稿で演奏され、2回目は短く詰め、3回目は印刷譜と同じになった。楽譜が1種類しか残さなかったので、プロープストへ手紙で細かに説明したのだ。「鱒」D550を5稿も書いた時とは忙しさが違うのだ!
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フランツ・シューベルト・ソサエティ2016年シューベルト誕生日コンサート批評(No.2448)

2016-01-30 23:44:31 | 批評

最盛期の『ピアノが無い部屋でのシューベルティアーデ』を想起させた 益田正洋(g)×清水麻依(Sop)


  私高本は、「好きな作曲家の筆頭」はいつもシューベルトである。Piano Music Japan 創設前の時期も含めて、「シューベルトの音楽全貌」を解き明かそうと考えているのだが、実現までには相当な関門がある><

  フランツ・シューベルト・ソサエティ 主宰の演奏会で(多分初めてであろう)「ソプラノ歌手 + ギター伴奏」が実現したことには感謝するばかりである。「シューベルト歌曲」が「「シューベルトオリジナル楽譜=ピアノ伴奏譜」とほぼ同時に「ギター伴奏楽譜」が販売され、販売実績はギター伴奏譜の方が多かった! 事実は本日知った。ベーレンライター新シューベルト全集読んでも記載無いからなあ(泣


1812-1828(除く1813) の17年にも亘る毎年の作品を演奏した 益田正洋(g)×清水麻依(Sop)。私高本は、

  1. シューベルトがギターを演奏していた


  2. アルペジオーネの発明者とはそれで縁があり、作曲依頼をされた、と推測されている


  3. シューベルト生前他人の編曲に拠るギター伴奏歌曲を許していた



は知っていたが、

「魔王」作品1 D328 から「ピアノ伴奏オリジナル譜」と「ディアベリ編曲ギター伴奏譜」が同時発売で、ギター伴奏譜の方が数倍売れた! は全く知らなかった!


である。
 「シューベルティアーデ」について、シューベルト死後に友人たちが語ったのは「1825年以降大作曲家になった後」のことが多く、そこに「ピアノが存在しない」状況はあり得ないだろう(爆
 だが、初期のシューベルト、特に1817年頃までは、「五線紙が足りなくなって、昔の作品の裏側やら余白に作曲した」とか、「モーツァルトフリューゲルを指定されて作曲したヴァイオリンソナタ」などが実在している。1821年に「魔王」が出版される前は、ピアノが必ずある、とは言い切れない、いや、無い時もあった、と推測される。

 ギター=益田正洋 と 進行を務めた 河村逸平(ピアニスト&指揮者)の「シューベルト生前ギター伴奏出版譜」についての把握は深い! 深過ぎる!! 「フォーグル版 美しき水車小屋の娘」全曲演奏 を今年5月16日 に演奏するとのこと。う~ん、楽しみだ!!

 本日の演奏も、「ベーレンライター新シューベルト全集」と比較すると、差異はあった。清水麻依 の解釈なのか? ディアベリを始めとする初版譜出版社の問題なのか? 演奏家の問題なのか? は、(あまり言いたく無いが)よくわからない。

益田正洋 のギターは、「シューベルトオリジナルピアノ伴奏リートのイメージ」に忠実。特にアルペジオ処理が快速で機動的!


  ギターと言う楽器は私高本のように「ピアノを聴き慣れた耳」からの視点だと、『アルペジオ速度が遅い奏者』が大半である。アランフェス協奏曲「アルハンブラの思い出」 を聴くことがナマでは半数を越しているが、なぜかアルペジオ速度不足が半数以上。益田 の「趣味の良さ」&「技巧の高さ」は心地良いので、ソル のソロ演奏会を聴きに行こう、と考えている。詳細は ここ

ソル(1778年 - 1839)は、シューベルトより年長だがシューベルト没後も11年生きた同時代作曲家。シューベルトと同じく「古典派」か?「ロマン派」か? が意見が分かれる点が極似の作曲家


で作風が好き。だが、ほとんどナマで聴いたことが無いので批評は無理です><
 楽しんで来ます。
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シューベルト:「魔王」作品1 と比肩する重みの ピアノ3重奏曲作品100(No.2447)

2016-01-29 23:02:12 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

「魔王」作品1 と比肩する重みの ピアノ3重奏曲作品100。
シュパンツィヒ にも ボクレット にも カロリーネ・エステルハージ伯爵令嬢(1806-1851) にも出版譜では捧げられなかった


 ピアノ連弾幻想曲作品103 D940 が カロリーネ に捧げられて出版されたことは超有名。だが、『ピアノ3重奏曲変ホ長調作品100の自筆譜』には「カロリーネ・エステルハージ伯爵令嬢に捧げる」と明記されているのだ! 出版楽譜には印刷されなかったので、ほとんど知られていない。新シューベルト全集も楽譜には書いて無い。主題カタログ新版(1978)に掲載されているだけであるから。最晩年の2作品をカロリーネに捧げたシューベルト。だが初演してもらうシュパンツィヒとボクレットの顔も立てなくてはならず、印刷譜には献呈者無しになったのだろう。カロリーネに献呈したらボクレットが弾かない、の可能性さえあった。知り合って9年になるカロリーネは上記4名よりも長いつきあいになるのだ。自筆譜はライプチヒの出版社プロープストからシューベルトに返却された後、無事にカロリーネに届けられたことだろう。

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シューベルト:友人のために作曲された3曲の室内楽(No.2446)

2016-01-28 23:06:45 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルト:友人のために作曲された3曲の室内楽


 シューベルトは、「友人のための曲」と「内面の要求だけの曲」双方を作曲した。友人の詩に作曲したマイアーホーファー詩「双子座の星に寄せる舟人の歌」D360 やショーバー詩「音楽に寄す」D547 やコリーン詩「夜と夢」D827 などの名曲が生まれているのは有名。だが器楽曲にも「友人のための曲」がいくつかある。
 マイアーホーファー詩「湖にて」D124(1814.12.07作曲)から「シューベルティアーデ」の活動の痕跡が遺されている。1825年1月に「ウィーン中の音楽出版社から思いのままに出版できる」ようになり、3月に交響曲「グレート」に着手すると、シューベルト自身は「シューベルティアーデの小集会」には顔を出すのがめっきり減った。この1814-1825の期間で「友人のため」作曲が確定しているのが、ヴァイオリンソナタ第3番ト短調D408 である。
 1816年3月にヴァイオリンソナタが2曲作曲された(第1番ニ長調D384、第2番イ短調D385)。シューベルト自身がピアノを弾き、友人がピアノの後ろから楽譜を覗き込む形でヴァイオリンを弾いた、と考えられる。好評を博し、「第3番ト短調」D408が「ソナタIII」として翌月作曲された。第3番は特定の友人宅で演奏されることをはっきり指定されたことが明解に判る。なぜなら「モーツァルト時代の61鍵盤のピアノ」のために作曲されているからだ。ヴァイオリン奏者の要望は「ハイポジションが苦しい」だった様子で、前2曲より4度低い「3点C」止まり。しかし、冒頭から力感溢れる楽想が次々と現れ親しみ易い。「魔王」D328と同じト短調も友人の注文かも知れない。このヴァイオリン奏者の友人は次の2曲の著名なヴァイオリン奏者と違い名前が明らかになっていない。
 1825年以降は、1814-24年のような「注文の通り仕様の曲」は出現しない。友人の詩に作曲する頻度は桁違いに落ちた。だが、「友人のための曲」が室内楽に現れるのだ。シューベルティアーデ常連の仲間ではない。演奏家キーパーソンは4名、ピアノの カルル・マリア・フォン・ボクレット(1801-1881)、ヴァイオリンの イグナーツ・シュパンツィヒ(1776-1830) と ヨゼフ・スラヴィーク(1806-1833)、チェロの ヨゼフ・リンケ(1783-1837) である。
 4名の中で最も古いつきあいは、シュパンツィヒ と リンケ である。ベートーヴェンが中期の傑作3曲の「ラズモフスキー弦楽四重奏曲」作品59 を捧げた ロシア帝国ウィーン大使=アンドレイ・ラズモフスキー が1808年に結成した「ラズモススキー弦楽四重奏団」の第1ヴァイオリン奏者=シュパンツィヒ でチェロ奏者=リンケ であった。「ラズモフスキー弦楽四重奏団」は『世界最古のプロ弦楽四重奏団』であり、シューベルトは1824年3月14日に弦楽四重奏曲第13番イ短調「ロザムンデ」作品29/D804(1824.02-03作曲)を初演してもらっていた。この演奏が「歌曲と舞曲だけの作曲家で無い本格的器楽曲作曲家」としてのお披露目になったのだ! 1827年11月には生涯ただ1回の1828年3月28日『シューベルト作だけの大音楽会』でラズモフスキー弦楽四重奏団が、最新の弦楽四重奏曲第15番ト長調D887を弾いてくれることも決まっていたことだろう。シューベルトはシュパンツィヒ(とリンケ)のために弦楽四重奏曲を書くのではなく、ピアノ3重奏曲を作曲したのだった。シュパンツィヒとリンケは感動したのだろう、1827.12.26, 1828.01.28, 1828.03.28 と立て続けに演奏会で披露したのだった!
 次につきあいが古いのは、ボクレット である。1825.08 ガスタインにて作曲と書かれた ピアノソナタ第17番ニ長調作品53 D850を献呈されたピアニストである。1825年以降作曲のシューベルト「ピアノ入り室内楽曲」が全て技巧的な訳は、『ピアニスト=ボクレット』を想定していたからである。シューベルト生前に演奏会が間に合った3曲(D895, D929, D934)の世界初演は全てボクレットが弾いたのだ!
 最も新しいつきあいは、ヴァイオリン奏者=スラヴィーク である。ボクレット の紹介でシューベルトと知り合い、「華麗なるロンド」ロ短調作品70 D895,「わが挨拶を送らん幻想曲」ハ長調 D934 の2曲の世界初演者であり、作品70 D895 はスラヴィークに捧げられている。シューベルトの死があと少し先だったら D934 もスラヴィークに捧げられた、と推測できる。
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2016.01.26新国立劇場「魔笛」2日目批評(No.2445)

2016-01-26 23:45:27 | 批評

深い説得力を有した ロベルト・パーテルノストロ 指揮のオリジナル楽器奏法にて表現された「モーツァルトの軽やかさ」


  1998年5月プレミエの ハンペ演出モーツァルト「魔笛」。初回から観ているが、今回が圧倒的に説得力を有した。初演時は、勿論ハンペが来日したし、大野和士指揮で力の入った公演だったが、パッとしなかった。(大野和士指揮「トリスタンとイゾルデ」のような説得力は無かったのである。)初回上演時から「火の試練水の試練」が重たいやぼったい演出に感じていて、最後の盛り上がり直前の箇所なので、何とか改善出来ないモノか? と常々感じていた。その後前回公演まで印象は変わらなかった。だが、今回は軽やかに感じられた。再演演出は 澤田康子 で同じなので、『ロベルト・パーテルノストロ 指揮のオリジナル楽器奏法』が演出までも軽やかに感じさせる「モーツァルトらしさ」を産んだことが判る。この日公演を ハンペに聴いてもらいたかった!


  ロベルト・パーテルノストロ 指揮は、オーケストラ=東京交響楽団 と 合唱団=新国立劇場合唱団 には徹底する。

  1. ティンパニは、オリジナル楽器(← 東京交響楽団所有、と推定される)


  2. 管弦楽器は、モダン楽器だが「ビブラート無し」


  3. 新国立劇場合唱団も「ビブラート無し」



だが、ソリスト陣には強制はしない。だが、バックがビブラート無しなので、ソリスト陣のビブラートも少なかったことをここに記す。

オリジナル楽器奏法は「言うは易し、行うは難し」であり、『ノリントン指揮N響のベートーヴェン&シューベルト』は完全に失敗><


が実績。う~ん、N響は「ビブラート有りの通常演奏法」では日本有数のオケなんだが、、、


 現在、日本のオケで「オリジナル楽器奏法」に最も「慣れている」のは、東京交響楽団と山形交響楽団であろう。スダーン & 飯森範親 が「オリジナル楽器奏法」を古典派以前には用いるからである。すると、「パーテルノストロ X 東京交響楽団 で モーツァルト」を見出した「慧眼の持ち主」が新国立劇場に居たことが判る!

飯守泰次郎芸術監督 の慧眼 = パーテルノストロ指揮のモーツァルトオペラが素晴らしい! の認識


  
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2016.02.04シューベルト室内楽特別コンサート(No.2444)

2016-01-25 23:36:15 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

チェリスト渡部玄一 がプレトークを18:35から開催


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WINDS CAFE 229【日本の団体歌を集めて】批評(No.2443)

2016-01-24 23:58:02 | 批評

「伊福部昭とその門下を中心に」の視点で的確に『作曲意図』を表現した根岸一郎(Br)X河内春香(p)の超マラソンコンサート


  私高本は「伊福部昭ファン」である。どのくらいのファンか? と問われれば、『伊福部昭の最後から2番目の作品を委嘱したピアニストの当時マネジャーであり、委嘱に際しても助言をしたほど』と答えるのが、(主観的でなく)客観的な視点だろう。『日本狂詩曲ピアノソロ版(1935/2004)』が当該作品である。

  伊福部昭作品として、脚光を浴びているのは、「ゴジラ」作品をメインとする「映画音楽」が中心である。だが、書物にも記載されることが少ない「団体歌」が(結構大きな割合で)伊福部昭作品中に占めていることは、『音更町歌』の作曲が伊福部昭作品であることから知っていた。『音更町歌』はなぜか「短調で作曲」されていたのが印象的><
  (伊福部昭弟子の弟子である)青山さんのオーケストレーションで、高関健指揮札幌交響楽団で「伴奏部分を録音」した時の録音技師 = 私高本 であり、12年ぶりに『音更町歌』を(ラスト前に)聴き、感慨深かったことをここに記す。


  「団体歌」の概念は、わかり難いかも知れない。「校歌」「市歌」「町歌」「企業の歌」などの総称である。つまり、新入生や新入社員や市民などに、「この団体の理念はこんなだよ~ん」と伝える歌である。私企業のコマーシャル、いや、それ以上に「宣伝色」が強い歌が多いことに改めて認識させて頂いた次第である。


作曲家の意図通りに演奏した 根岸一郎(Br)X河内春香(p)。主催者 = 川村龍俊氏発表 5時間45分 のマラソンコンサート!


  ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」とか「神々の黄昏」とかは5時間を越す(涙

 腰が痛くなった経験が蘇る(爆涙

 今回も「腰に負担が・・・」と思っていたのだが、実際は全く腰に来なかった。ワーグナーの両作品は「新国立劇場の新制作時」に聴いている。今回の 根岸一郎(Br)X河内春香(p) は、それよりも『魅力的な演奏』であったことを初めに述べておきたい。


根岸一郎(Br)X河内春香(p) は、『作曲家の意図通り』に演奏する。言葉を換えれば「作詞家の意図」は考慮していない。この一貫性は私高本に強い感銘を与えた!


 一例を挙げよう。「明るい」の歌詞がある。伊福部昭は『短調で、しかも Andante』で作曲した。どう工夫しても「暗い」色調になる。

根岸一郎は「暗い」色調で歌う


 これは、「伊福部節」と呼ばれる。伊福部昭作品が全部で20曲。これだけの「伊福部昭作曲団体歌」が聴ける機会は今回しかない。「トリスタンとイゾルデ」も「神々の黄昏」も、1人が歌い切る作品では無いし、1人が弾き切る作品では無い。途中途中に 西耕一 のしゃべりが入ったとは言うモノの「マラソンコンサート」として史上最長ではないか???

 尚、終曲まで「声涸れ」も「ピアノ指痙攣」も無く、終演を迎えたのは 私高本の視点では 「奇跡」としか言えない。どんな裏技があったのだろうか???


「団体歌」として最も魅力的だったのは、芥川也寸志 と 山田耕筰


  う~ん、伊福部昭 では無かった。

伊福部昭作品全20作が 「短調作品だけ」 だった


ことをここに明記する。「明るい」の詩に短調に何で作曲するんだろうか???

 「団体歌」としての評価は 芥川也寸志 と 山田耕筰 にリードを許した 伊福部昭 だが、「コンサート全体の印象」は『伊福部昭作品が全体を覆っている』ように感じた。これは、根岸 X 河内 の解釈だと感じる。この素晴らしい演奏家を起用した 西耕一 に感謝する。
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シューベルト ピアノ3重奏曲変ホ長調op.100 D929 詳述4(No.2442)

2016-01-22 22:50:01 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

D929第4楽章大巾カットの理由


  ピアノ3重奏曲変ホ長調op.100 D929 は第4楽章で大巾カットがある。1975年の新シューベルト全集楽譜刊行以来、第1稿演奏の録音も増えて来たので、比較して聴くことは容易になって来た。第1稿が好きな方、第2稿が好きな方、それぞれの感性次第である。

 ・・・で、出版交渉に当たっていた当時のシューベルト自身の感性では、『必ずカットして出版して下さい』と頼んでいる。何故か???


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スクロヴァチェフスキ指揮読響:ブルックナー交響曲第8番特別演奏会批評(No.2441)

2016-01-21 23:58:38 | 批評

第3楽章の「静けさ」「吼えない盛り上がり」が圧倒的な説得力を有した 91才のスクロヴァチェフスキ指揮ブルックナー第8番


  速い楽章については、ところどころテンポ設定(なのか? 筋肉運動能力なのか?)が6年前(多分85才の時)に比べて、「ギアチェンジ」が滑らかで無い箇所もあったのだが、第3楽章 の「腰を落とした朴訥な語り口」は、過去2回の同曲の読響演奏と比較しても説得力が増大していた。第3楽章でハープが登場する盛り上がりの場面や、シンバル + トライアングル + ハープ のクライマックスへ、pp から持って行く棒の力は偉大だった。


  ブルックナー交響曲は(第8番に限らず)『主題のブロック構造』が魅力。主題毎のテンポ設定が聴衆の印象に強く残る。「速い3楽章」では、テンポ設定がやや小さかったことは個人的にはやや残念。だが、第3楽章の設計図は過去2回を凌ぐ名演だった、と感じる次第である。


 「ブルックナー信者の参賀」は今回もあり、終演後10分まであった。コンサートマスター = 長原幸太 が『手を引いて』であった。思い返すに、登場の時から、左足引きずっていたからなあ。その状態で、「椅子無し」「背後設置の逆U字バー」には、第1ヴァイオリンへの指示の時以外は手を付かない強固な意志の徹底があった。


本日公演は、(読響オーケストラアワー ではなく)NHKで後日放送される、とのこと。私高本が書いたことが「合ってる?」「合ってない?」は読者の皆様が放送を聴いて判断して欲しい。

「ブルックナーファン」は『当日券求む』を出しても聴いて欲しい = スクロヴァチェフスキ指揮読響 ブルックナー交響曲第8番


である。第3楽章いいぞ!!! 
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シューベルト ピアノ3重奏曲変ホ長調op.100 D929 詳述3(No.2440)

2016-01-19 21:52:39 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

第4楽章が2稿ある D929。シューベルト自身はっきり「第2稿にて出版」を指示している


 1975年にベーレンライター新シューベルト全集が出版されて初めて「第1稿」が演奏できる状況になった。その為、一時期は第1稿演奏&録音が流行っていた。だが、実際に音として聴いて比較して見ると、シューベルト自身の言通り、第2稿 の方が説得力がある。今回の演奏では、第2稿を演奏する。
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シューベルト ピアノ3重奏曲変ホ長調op.100 D929 詳述2(No.2439)

2016-01-18 23:28:43 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

ブライトコプフ旧シューベルト全集の大きな過ち = ピアノ3重奏曲変ホ長調 op.100 D929 の第3楽章="Scherzo" と断定した!


  前号の「fffz → fff」問題は、出版社プロープスト の問題。だが、こちらは、(私高本は初出版楽譜は見たことないが)プロープスト出版の(現代法照準だと著作権法違反の海賊版楽譜を読む限り)初出版時は正しく表記していた、としか推定出来ない。

D929 第3楽章は、「Allegro moderato」だけで、2小節目に「Scherzando」が記載されているだけ


 これが正しい。シューベルトは大半の「舞踏楽章」に メヌエット か スケルツォ を記載した。だが、D929 には、どちらも記載しなかった。そして、プロープスト も記載しなかった。

 ・・・が、どこかの海賊版出版社が「Scherzo」と記載した。ブライトコプフ旧シューベルト全集の前に少なくとも1例が実在している><


 ブライトコプフ旧シューベルト全集 は、何を基準に編集したのだろうか???

 自筆譜を知らなかったとしても、プロープストの初出版楽譜を参照するのが「当たり前」と思うのだが、事実は全く異なる。ブライトコプフ旧シューベルト全集 はこのようなパターンが多く実在することをここに報告したい。

  1. D929 ブライトコプフ旧シューベルト全集


  2. D929 ペータース版



などは、この点で全く信用できない楽譜である。「fffz」だけでなく(爆

 今回の2/4の 小森谷巧 X 佐伯周子 X 渡部玄一 の演奏会は ヘンレ版(1973年)を使い、きちんとしたテンポで演奏されるので、是非是非お聴き頂きたい。
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シューベルト ピアノ3重奏曲変ホ長調op.100 D929 詳述1(No.2438)

2016-01-17 22:19:59 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルト ピアノ3重奏曲変ホ長調op.100 は、リート「魔王」op.1 D328 と並ぶ『シューベルトの自信作』だった!


  シューベルト自身の「自信作」は、(出版社との価格交渉などの影響もあり)次の作品と考えられる。

  1. 「エルラフ湖」


  2. 「ます」D550(最終的に op.32)


  3. 「魔王」op.1 D328


  4. 「わが挨拶を送らん」op.20/1 D741


  5. 3つのワルツ D971


  6. 16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ op.33 D783


  7. ピアノ3重奏曲変ホ長調 op.100 D929



 「美しき水車屋の娘」op.25 も 「冬の旅」 op.91 D911 も 「白鳥の歌」D957 も入っていない。前半はリート、後半は器楽曲になっているのは、「当時の音楽需要」の賜物でもあり、シューベルトの対応力の素晴らしさの証でもある。


 上記7曲の中で、後世の我々の目から見ると、特に重要な作品は

  1. 「魔王」op.1 D328


  2. ピアノ3重奏曲変ホ長調 op.100 D929



だろう。「魔王」に匹敵する作品=ピアノ3重奏曲変ホ長調 op.100 D929 について、掘り下げて詳述して行きたい。


fff←→ppp から fffz←→ppp に拡大した最初の作品=ピアノ3重奏曲変ホ長調 op.100 D929!


 シューベルトのダイナミクスが fff←→ppp に到達した最初の作品は 序曲D8 であり、14才の時である。それから 16年間、それで特に不自由は感じなかった様子。30才の時の傑作「冬の旅」op.91 D911 でもその範囲内だ!
 だが、ピアノ3重奏曲変ホ長調 op.100 D929 でその壁を突破する。その原因は、『シューベルト初のオーストリア国外の正規出版』だった、と推定する。ちなみに 1825年には、「鱒」D550 はベルリンで(現代法に照らし合わせると)海賊版で出版されていることが確認されている。超人気作曲家だったのだ! (シューベルト自身の収入には1銭にもならなかったが)



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佐伯周子シューベルト演奏会第18回(No.2437)

2016-01-05 23:56:31 | ピアニスト・佐伯周子

当日券あります 佐伯周子 1/6 シューベルト


  当日券発売は 18:20 から。尚、2/4 との連続券も当日ご購入頂けます。

演奏曲順決定!


  佐伯周子が吟味を重ねた結果、以下の通りに決まりました。

(1)作品番号無しで生前出版されたピアノ曲全15群


(1-1)「ディアベリ変奏曲」ハ短調 D718(1821.03作曲,1823.06.09出版)
(1-2)「吟遊詩人の嘆き」変イ長調 D780/6(1824.12.09出版)
(1-3)ワルツ 変イ長調 D978 3/4 26小節(1825.12.29出版)
(1-4)「ロシア風の歌」ヘ短調 D780/3 Allegretto moderate 2/4 54小節(1823.12.19出版)
(1-5)2つのレントラー D366/6 + D146/2 3/4(1824.02.21出版)
第1番 ハ長調 24小節 第2番 イ長調 16小節
(1-6)ドイツ舞曲 ニ長調 D769/2 3/4 16小節(1823.12.19出版)
(1-7)トリオ付きドイツ舞曲ニ長調 D779/8 + D779/9 3/4 16+16小節(1825.02.07出版)
(1-8)2つのワルツ D980 3/4(1826.12.23出版)
第1番 ト長調 24小節 第2番 ニ長調 16小節
(1-9)ワルツ ト長調 D979 3/4 16小節(1826.12.23出版)
(1-10)3つのエコセーズ D781/4 + D782 + D781/7 2/4(1824.02.21出版)
第1番 ト長調 16小節 第2番 ニ長調 16小節 第3番 ト長調 16小節
(1-11)ワルツ ハ長調 D980D 3/4 16小節(1828.01.26出版)
(1-12)3つのドイツ舞曲 D971 3/4(1823.01.10出版)
第1番 イ短調 16小節  第2番 イ長調 24小節 第3番 ホ長調 24小節
(1-13)ワルツ 変ホ長調 D366/17 3/4 16小節(1824.12.22出版)
(1-14)コティヨン 変ホ長調 D976 3/4 24小節(1825.12.29出版)
(1-15)「グラーツのギャロップ」ハ長調 D925 2/4 24小節(1828.01.05出版)


(2)ピアノソナタ第10番 嬰ヘ短調 D571 + D570 バドゥラ=スコダに拠る補筆完成版使用(1817.07作曲)


第1楽章 Allegro moderato 嬰ヘ短調 2/2 ソナタ形式 141(+101)小節
第2楽章 Scherzo : Allegro vivace ニ長調 3/4 3部形式 41+30小節
第3楽章 Allegro 嬰ヘ短調 2/4 ソナタ形式 173(+128)小節

(3)ピアノソナタ第20番 イ長調 D959(1828.09作曲)


第1楽章 Allegro イ長調 4/4 ソナタ形式 357小節
第2楽章 Andantino 嬰ヘ長調 3/8 3部形式 202小節
第3楽章 Scherzo : Allegro vivace イ長調 3/4 3部形式 79+34小節
第4楽章 Rondo : Allegretto イ長調 4/4 ロンドソナタ形式 382小節

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佐伯周子シューベルト演奏会(No.2436)

2016-01-04 23:58:36 | ピアニスト・佐伯周子

練習を聴いている限りだと、D959 が名演になる! と思われ


  イ長調ソナタって、こんなに素晴らしい曲だったの? と思われる演奏。嬰ヘ短調ソナタとか、15群の「作品番号無しで出版されたピアノソロ曲」の演奏は「どないなっているんや?」って感じ。
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佐伯周子シューベルト演奏会第18回(No.2435)

2016-01-04 23:14:18 | ピアニスト・佐伯周子

済むか? リンク先??


 多分、リンク先無理w

 演奏はいいぞw
 
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