Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

新国立劇場モーツァルト「魔笛」2018.10.09批評

2018-10-11 15:41:42 | 批評

モーツァルトの意図を曲解した ケントリッジ演出。舞台だけでなく、音色もモノトーンの暗い暗い「魔笛」


  ヨーロッパで人気がある(と宣伝していた)「ケントリッジ演出 魔笛」。ケントリッジの「魔笛観 = 暗いモノトーン」は演出のみならず、音楽をも配下に従え、十全に表現された。それは、「魔笛」を弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421 や弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516 のような「統一感」を意味する。指揮者 = ローラント・ベーア は、ケントリッジ意図通りに水墨画のような音の世界を紡ぐ。ヨーロッパから連れて来た3名の男声ソリストは揃いも揃って響きの乏しい声であり、ザラストロ役 = ヴェミッチ だけは声量があったが、後の2人は パミーナとのデュオ、パパゲーナとのデュオ で完全に声量が負けていた。新国立劇場創設以来の全ての「魔笛」公演を聴いたが、はっきりこの日が最低であった。
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東京オペラプロデュース シャルパンティエ「ルイーズ」2018.09.22初日批評

2018-09-22 23:34:17 | 批評

あまりにも「安全運転」に走ってしまった 飯坂純指揮 シャルパンティエ「ルイーズ」再演


 飯坂純指揮 は、東京オペラプロデュースオペラデビュー シャブリエ「エトワール」から、東京オペラプロデュース公演は全ての演目を聴いて来た。他の団体のオペラ公演も出来る限り聴いて来た。シャルパンティエ「ルイーズ」日本初演公演も聴いた。その全ての中で、これほどまでに「オペラの魅力」を引き出せなかった公演は未だかつて無かった。飯坂純は私高本58才よりも相当に若いハズだが、老化したのだろうか? それともどこか体が悪いのだろうか? 今まで、飯坂純指揮 を追い掛けて来たが、本日で休止するかも知れない。


 これまで、日本人オペラ指揮者としては 飯守泰次郎に次ぐ 名指揮者 と感じていた 飯坂純 だが、信じられない「安全運転」に走り、ソリストの魅力を大巾に減じてしまった演奏に終始してしまった。主要4役  ルイーズ:菊地 美奈、ジュリアン:高田 正人、 父:米谷 毅彦、母:河野めぐみ 全てが声量豊富であった上、ワンフレーズしか歌わないような端役メンバーまで、きちんと歌えていたのに、

ソリストが歌う時は全て弦楽器を p 以下に抑えて、『ソリストに被せないように音量を下げた』ために、『オケが全く鳴っていない』状況が3時間半に亘って続いたから


である。 弦楽器奏者はソリストが歌っている時は、弓を半分以下しか使っていない。合唱の時はフルに動かしていたので、オケメンバーの問題は皆無。指揮者=飯坂純 の指示である。


馬場 紀雄演出は良かった。音楽しか頭に残らない 猫頭ヒョーロンカ=私高本 は、東京オペラプロデュース日本初演時と、どこが同じでどこが違うか? を明言出来ない><

 主役だけでなく脇役まで、「登場から幕切れまで同じ衣裳を着せる」手法は、脇役数が多いので、とてもわかり易かった。大道具を回転舞台で時計廻りにだけ動かす、という 東京オペラプロデュース流 の演出技法は今回も守られ、一貫性を保っていた。衣裳だけでなく、大道具も小道具も良い。
 菊池美奈 の2幕2場 のアリアは、歌は最高、なのだがオーケストラ伴奏がスカなので全く映えない。これではソリストはツラ過ぎだろう。3幕エンドの 父親のシーンも全く盛り上がらなかった。こんなことは過去1度も 飯坂純指揮 では無かったのだが。

 
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岡原慎也指揮シリーズ vol.7 2018.09.05 批評

2018-09-12 23:43:23 | 批評

14年ぶりに出会った衝撃のピアニスト&指揮者=坂口航大、法貴彩子、岡原慎也


  私高本の58年の音楽人生で、心の底から全身を揺さぶられた演奏家が4名いる。出会った順に 岡原慎也+ディートリヒ・ヘンシェルのシューベルト「冬の旅」、川上敦子のリスト「ダンテソナタ」、佐伯周子のシューベルトピアノソナタ第15番「レリーク」D840 である。4名の演奏家の内、ドイツ人のヘンシェルを除き、日本人の3名は「初めて聞いた演奏家ではない」のが共通点。最も遅い 佐伯周子シューベルト が2004年8月22日 だったので、14年前となる。1997年の 岡原慎也;ヘンシェル が初めてであり、7年の間に次々に出会った。その後で合わないのは、私高本の感性が老化しているのだろう、と思っていたが、どうも違う。演奏会を聴く回数が大巾に少なくなっているために、出会い頻度が下がっていたようだ。
 坂口航大の指揮はこの日が初めて聴いたが、坂口航大のピアノ、法貴彩子のピアノ、岡原慎也の指揮 は既に聴いたことがある。皆素晴らしい演奏であったのだが、「心の底から揺さぶられる演奏」とはならなかった。演奏の質が高くなった可能性が大きいが、もしかすると、私高本の感性が「特定の作曲家」にしか反応しない可能性も高い。現在、完全全曲演奏会を佐伯周子で実行しているシューベルトが最も好きな作曲家を不動としているが、2番目に好きな作曲家は直前に名演を聴いた作曲家である。リスト、モーツァルト、グリーグ は大好きである。他には、伊福部昭、シャブリエ、チャイコフスキー、プロコフィエフ、ハイドン、シューマン などが挙げられる。この日、ブラヴォーが最も多かった 松井萌 の ラフマニノフピアノ協奏曲第2番には感動したが、坂口航大、法貴彩子 ほど心を動かされなかったのは、おそらく私高本の感性が「ラフマニノフには不向き」だった可能性が高い、ことをここに明記しておきたい。


 「岡原慎也指揮シリーズ」は記憶を辿ると第2回を聴いた。ベートーヴェンピアノ協奏曲第2番が最後で、その前にモーツァルトピアノ協奏曲が2曲。トランペットとティンパニの無い曲を選曲していた。その時の岡原慎也指揮を見ていると「音量を絞ってピアノを消さない」棒を振っているように感じたのだが、棒が悪いのか?、リハーサルが悪いのか?、集めた奏者の技量が悪いのか? は全くわからないが、音が膨らんでいて、「ピアニストの余芸」と感じたので、その後、聴きに足を運んでいなかった。
 坂口航大のピアノと、法貴彩子のピアノも既に聴いている。どちらも素晴らしい技巧で、作曲家の意図する深部をえぐり取る素晴らしいピアニストである。だが、この日の演奏は全く予想だに出来なかった。


 
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佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集ピアノ完全全曲演奏会第24回2018.08.08

2018-08-05 09:18:43 | ピアニスト・佐伯周子
佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集ピアノ完全全曲演奏会第24回2018.08.08プログラムノート

プログラム
1. アレグレット ハ短調 D915
Allegretto 6/8 30+26小節 3部形式
2. メヌエット 嬰ハ短調 D600
3/4 30小節
3. フーガ ニ短調 D24C
Maestoso 3/4 118小節
4. 6のレントラー D365+D366 Brown,Ms.30
全て3/4
第1番 変イ長調 16小節 D365/3
第2番 変イ長調 16小節 D365/2「悲しみのワルツ」
第3番 変イ長調 16小節 D365/1
第4番 変ニ長調 16小節 D365/15
第5番 変イ長調 16小節 D365/4
第6番 変イ長調 16小節 D366/16(2段組か3段組でお願いします)
5. 2の変ホ長調ドイツ舞曲 D366+D783 Brown,Ms.55
全て3/4
第1番 16小節   第2番 16小節
6. 30のトリオ付きメヌエット D41 Brown,Ms.3 から
全て3/4
第11番 ヘ長調 20+32小節
第12番 変ロ長調 22+18小節
第13番 ニ長調 20+16小節
第14番 ニ長調 20+16小節
第15番 ニ長調 17+16小節
第16番 ニ長調 16+16小節
7. アンダンティーノ ハ長調 D348
Andantino 2/4 35+21小節 3部形式
8. 2のドイツ舞曲 D841 Brown,Ms.58
全て3/4
第1番 ヘ長調 16小節   第2番 ト長調 16小節
9. ワルツ ト長調 D844 Brown,Ms.57
3/4 16小節
10.行進曲 ホ長調 D606
Allegro con brio 2/2 52+32小節 3部形式
11. ピアノソナタ第21番変ロ長調 D960「遺作」
第1楽章 Molto moderato 変ロ長調 4/4 357小節 ソナタ形式
第2楽章 Andante sostenuto 嬰ハ短調 3/4 138小節 3部形式
第3楽章 Allegro vivace con dellicatezza 変ロ長調 3/4 90+28小節(コーダ4小節) 3部形式
第4楽章 Allegro ma non troppo 変ロ長調 2/4 540小節 ロンドソナタ形式

(p3~p4)
「神学校のサリエリ課題曲」「糸を紡ぐグレートヒェン」「悲しみのワルツ」「第1回ツェリス滞在」「第2回ツェリス滞在」「交響曲グレート」「シェイクスピア歌曲」「冬の旅」「ピアノ連作小品集」「遺作3大ピアノソナタ」を巡る
◎アレグレット ハ短調 D915
「冬の旅」第1部(1827年2月作曲開始)作曲中の4月友人フェルディナント・ヴァルターの旅立ちの別れを惜しんで捧げるために書いた曲。ヴァルターのピアノ技巧でも映えるように作曲された。この件が出版社ハスリンガーに伝わり、即興曲集第1集D899が作曲されたことはドイチュ番号が逆転しているために見逃されている。即興曲集第1集の初稿は D899/1+D916B+D916C であり、1827年夏に開始されたことが判明している。


◎メヌエット 嬰ハ短調 D600
1814.5.29日付が入ったミサ曲第1番D105ベネディクトゥス草稿の余白に書かれている曲。「糸を紡ぐグレートヒェン」D118の半年前に当たる。当時のシューベルトは五線紙に困ることはなく、「糸を紡ぐグレートヒェン」などの楽譜も綺麗に仕上がっているし、曲の最後まで仕上がっていないで途中放棄した曲は翌1815年2月11日作曲開始のピアノソナタ第1番第1稿D154まで存在していない。
ドイチュはトリオ ホ長調D610の主部と考え、その少し前の番号を当てた。トリオは1818年2月の日付が入っているので、五線紙に困窮していた1817年7月頃の作品と考えると照合する。
◎フーガ ニ短調 D24C
1808.10.08に神学校に入学してから音楽を学び始めた。成績が優秀だったために1812.06.12からは宮廷音楽監督サリエリ自ら作曲法を教えるようになる。その課題曲が対位法のフーガである。4曲の完成曲と7曲の未完成曲が遺っており、完成曲の1曲がD24Cである。
◎6のレントラー D365+D366 Brown,Ms.30
この曲集は筆写譜のみが伝わる。有名な「悲しみのワルツ」を含み器楽曲初出版の「36のオリジナル舞曲集」作品9(1821.11.29出版)の冒頭の4曲とD366/16 共通している1817.01開始部のみの自筆譜Brown,M3.20 と同一時期か?
◎2の変ホ長調ドイツ舞曲 D366+D783 Brown,Ms.55
1824.11にツェリスからウィーンに戻った後の作品。アルペジォーネソナタD821と同じ月の作品。第1番は同年7月作曲の連弾曲D814/1をピアノソロ曲に編曲しており、第2番はすぐ後の1825.01.08に「ドイツ舞曲とエコセーズ集」作品18としてカッピ社から出版されているので、両曲ともにシューベルトお気に入りである。
◎30のトリオ付きメヌエット D41 Brown,Ms.3 から
シューベルトが作曲した初のメヌエット集で元は30曲あった。フーガと異なりサリエリの指導が入った痕跡は皆無。また、シューベルティアーデで仲間と踊ったわけでもない。そのためか清書楽譜であるにも関わらず、五線紙に困った時期(1817夏など)余白に別の曲を挿入された。幸運に遺った曲より11番~16番を。
◎アンダンティーノ ハ長調 D348
ピアノソナタ第9番ホ長調 D459A+D506 の第2楽章の第2稿。第1稿はアダージオ ハ長調D349 でこれは3部形式で作曲されたが中間部の最後まで作曲されていない。上記の
30のトリオ付きメヌエットD41 の第22番と23番の余白にD459A/3 → D349 → D348 の順に作曲されている。
この曲は3部形式で中間部が最後まで作曲されており、主部に回帰しているので、演奏可能である。尚、メヌエットの第24番以降は全て廃棄されているので、この曲が遺されたことは幸運!
◎2のドイツ舞曲 D841 Brown,Ms.58
1825.01シューベルトは、ウィーン中の出版社と自由に契約する力を得て、第一弾として「ドイツ舞曲とエコセーズ集」をカッピ社から出版した。続き交響曲第8番「グレート」は1825.03に作曲開始された。この後の4年のシューベルトの作曲スピードと出版スピードは尋常ならざる速さである。作品番号で「33~108」をわずか3年10カ月で出版したのだから。
シューベルティアーデの仲間のための最後のワルツがこの曲集と次の曲である。1825.04作曲。
◎ワルツ ト長調 D844 Brown,Ms.57
シェイクスピア作詞「酒の歌」D888(戯曲『アントニアとクレオパトラ』より)のドイツ語訳詩をしたフェルディナント・マイヤーホーファー・フォン・グリュンビュヘルのために1825.04.16作曲した。D888-D891 は7月に続けて作曲されているが、「聞け聞けひばり」D889,「シルヴィアに」D891 はシェイクスピア作詩で3曲別の訳詩家である。マイヤーホーファー・フォン・グリュンビュヘルの訳詩に出会わなかったら、他の2曲も創作意欲が湧かなかった可能性もある。シェイクスピアにシューベルトが作曲したのはこの3曲だけだからである。4月にシェイクスピアの訳詩を頼んだ時の「お願い」の曲だった可能性が高い。
◎行進曲 ホ長調 D606
シューベルトが「長期地方滞在」を初めて行ったのが1818年7~11月のツェリスである。エステルハージ家でもてなされ、幼い姉妹(15才と12才)のために作曲したのがこの行進曲である。明るく愉快な曲想が一貫している。この滞在が端緒となり、シューベルトは毎年「長期地方滞在」を死の前年1827年まで10年続けたのである。
◎ピアノソナタ第21番変ロ長調 D960「遺作」
ベートーヴェン研究家として、交響曲第5番「運命」から弦楽四重奏曲第13番の新しい終楽章までの研究成果としての集大成。第1楽章冒頭の第1主題がいかに千変万化して行くことか!
夢見る第1楽章第1主題が呈示部最後には低音トリルが ffz で轟き亘る。弦楽四重奏のような第2楽章。軽やかな第3楽章。いきなり鐘の音が響く第4楽章冒頭、長調音階が歌うように降りてくる第2主題、短調の和音が意表を突いて轟く第3主題。プレストにテンポを上げて疾走するコーダ。
解説:高本秀行
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佐伯周子シューベルト全曲演奏会(No.2511)

2018-06-28 14:28:25 | ピアニスト・佐伯周子


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佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集ピアノ完全全曲演奏会第22回2018.01.31

2018-01-30 22:50:36 | ピアニスト・佐伯周子

明日1月31日東京文化会館小ホール『佐伯周子シューベルト全曲演奏会第23回』当日券あります


  プレトークは、18:35 開始です。テーマは『シューベルトの循環ソナタの秘密』です。



史上初、ピアノソナタ第9番ホ長調 D459A + D506 が正しい楽章順で演奏される!


  この演奏会、最高の名曲=ピアノソナタ第20番イ長調D959「遺作」なことは誰の目にも誰の耳にも明らか。だが、『この機会を逃したら、生涯で2度と聴けない』のは、ピアノソナタ第9番ホ長調D459A+D506 であることは、私高本が断言する。「佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会第23回にして、辿り着いた。
  実は、連続演奏会開始当初から、「最も聴きたい曲」の1つがこの曲であり、できれば第1回の ピアノソナタ第15番ハ長調D840「レリーク」に続いて第2回にも演奏して欲しかった曲である。それが、連続演奏会中ピアノソナタでは最後の会の登板となってしまった。なぜか?


ピアノソナタ第9番ホ長調D459A+D506 は「緩い循環ソナタ」であり、演奏が困難!


が直接の原因。

  1. 「濃い循環ソナタ」D760,D810,D959,D960


  2. 「緩い循環ソナタ」D87,D459A+D506,D667,D929,D934



  「濃い」曲は、聴き手の皆様に直截的に響く。「緩い」曲は相当な演奏技巧が無いと、聴き手の皆様に伝わり難い。弦楽四重奏曲変ホ長調D87 が「緩い循環ソナタ」と書いてある解説は見たことが無い。私高本の語学力の問題では無い、と思う。演奏でも「ライプツィヒ弦楽四重奏団」の演奏のみが「循環ソナタ」として解釈して演奏している、と推察される。(解説には掲載されていなかった)
  「緩い循環ソナタ」は、ピアノのペダル踏みっぱなし、とか、弦楽器にビブラートかけっぱなしにすると、全く「何が何だかわからない」になる。佐伯周子 と ライプツィヒ弦楽四重奏団 のように、『切れ抜群』の演奏でないと聴き手に伝わらない。


  「緩い循環ソナタ」の内、D929とD934を演奏経験した 佐伯周子 は、この曲を演奏出来る! と感じた。小森谷巧 & 渡部玄一 のお二人のお蔭様である! 「緩い循環ソナタ」は、主題間の相互関係が「丁寧の上にも丁寧」に作り上げないと、「さすらい人幻想曲」D760 のようには、聴き手に伝わらない。アーティキュレーションの統一などなど、細やかなポイントを明確に演奏できるようになった。  
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読響第201回土曜マチネーシリーズ批評(No.2643)

2017-12-02 23:21:52 | 批評

ジャズ指向の偉大なクラシック音楽作品を提示した読売日本交響楽団


 趣味の良い選曲だった今回の演奏会。だが、指揮者=ディエゴ・マテウス は「他人と違う指揮」にこだわり過ぎて、説得力が皆無だった。ラヴェル「ボレロ」で、チェロの「リズム刻み」が客席に聴こえないのは、「アホか?」と言うレベル。
 こんな指揮者を招聘した読響の脳味噌を疑う。


 コンサートマスター=長原幸太 は万全だった。第2ヴァイオリンとかヴィオラとかチェロも万全だった、と思う、だが、ラヴェル「ボレロ」の冒頭から、チェロのリズム刻みが聞こえて来ないのは、違和感大。

マテウスは「他の指揮者と違う演奏」を求め過ぎ


であり、低音を鳴らし過ぎ。これでは説得力は無い。アンコールも無かったが、この指揮で聴くのはツラい。もう少し短いプログラムにして欲しかった。
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新国立劇場ヴェルディ「椿姫」2017.11.16 初日批評

2017-11-16 23:57:33 | 批評

圧倒的成果を収めた ルング=ヴィオレッタ の「椿姫」

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東京オペラプロデュース ドニゼッティ「ビバ!ラ・マンマ」初日2017.11.11批評(No.2641)

2017-11-11 20:36:52 | 批評

ドニゼッティ オペラ・ブッファの代表作「ビバ!ラ・マンマ」捧腹絶倒ぶりを見事に描き出した東京オペラプロデュース


  2008年2月ワーグナー「妖精」公演以来、10年弱『日本初演のみ』(オッフェンバック「青ひげ」のみ「原語日本初演」だった)を続けて来た東京オペラプロデュースが前回の100回記念公演オッフェンバック「ラインの妖精」を1つの機に、101回から103回はこれまで繰り返し上演して来た「手駒」を再演してくれることとなった。本日の「ビバ!ラ・マンマ」は20年ぶりの公演。私高本は初めて聴く演目である。

 ドニゼッティは、オペラ・ブッファ と オペラ・セリア を両方作曲した作曲家。「愛の妙薬」もブッファだが、それ以上に笑いを畳み掛けて来るのが「ビバ!ラ・マンマ」である。R.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」がおそらく手本にしたであろう作品であり、モーツァルト「劇場支配人」を手本にしただろう、「オペラ内面暴露ブッファ」である。
 ブッファの難しさは、「歌える喜劇役者」を必要数揃えられるか否か、が大きい。この日の 

翠千賀、羽山晃生、上原正敏 は、アリアに重唱に大活躍


 さらに笑い取りに重点が置かれるが歌唱も重要な役に

羽山弘子、米谷毅彦、白井和之、岡戸淳、佐藤泰弘 はアンサンブルで外向的な歌唱を披露


と「歌える喜劇役者」を揃えることが出来たのである。


  次に、馬場紀雄演出について。「オペラ舞台の舞台上」と言う設定通り。シャンデリアを序曲&間奏曲中に釣り上げる以外は、大道具は全く動かさない。動くのは「役者」である。チョコマカとユーモラスに動く動く。合唱団もユーモラス。女声合唱が4名、と信じられない最少構成(各パート2名以上いないと「合唱」と呼ばない)だったが、きちんと混声合唱で最上声をリードしていながら、ソリストを引き立たせるために大袈裟な所作の連続。
 衣裳は、1幕と2幕 で交換するだけで、2枚。但し、ユーモラス優先だが、優美に見える衣裳を揃えていた。見応え充分。


  最後に、飯坂純指揮について。8型オケ(8-6-5-4-3)と言う小型編成だったが、きびきびした演奏で歌手陣を盛り上げていた。ピッコロパートを1番奏者に吹かせていたが、ドニゼッティの指示なのか? 飯坂純の指示なのか? は不明。確かに、上声を吹くのだから1番奏者の方が安定している!

  東京オペラプロデュースは「プロンプター無し」でここ20年(もしかするとそれ以上!)公演を続けているので、ドニゼッティが「プロンプターを皮肉った」箇所の応対は、何と「指揮者=飯坂純」が全て対応した。ドニゼッティも想定していないほど、恵まれた環境 = 東京オペラプロデュース

 ベルリオーズが「ドニゼッティのオーケストレーションは、大型のギター」と揶揄したことは有名。ベルリオーズほど多彩では無い(イングリッシュホルンを使わない など)が、「ビバ!ラ・マンマ」を聴くと、木管楽器の音色の多彩さを浮かび上がらせている。充分に楽しめる!


 プログラムノートを読むと、「ビバ!ラ・マンマ」の呼称が使えるのは今回公演まで、とのこと。権利関係、しかも外国、のことは全くわからないが、原題の「劇場的都合・不都合」の名称では、集客出来ない、と思われる。
 東京オペラプロデュース「ビバ!ラ・マンマ」を鑑賞したい人は、明日11/12公演を絶対に聴いて欲しい。


 私高本が「ダブルキャスト(以上)」の公演で、「差」があることを教えてくれたのは、東京オペラプロデュースである。猫頭評論家の私高本を両日とも招待して頂いて観せて頂いたおかげ様である。新国立劇場イーグリング新振付チャイコフスキーバレエ「くるみ割り人形」の『立体批評』の元も、東京オペラプロデュースのお蔭様である。感謝感謝。


 明日の楽日公演が本日公演と同じ水準で演奏されることを祈ります。

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新国立劇場「くるみ割り人形」イーグリング新振付2017.10.28, 11.03, 11.04批評(No.2640)

2017-11-06 20:43:57 | 批評

チャイコフスキー音楽の「優美さ」「華麗さ」を最大限に生かしたイーグリング新振付新国立劇場版「くるみ割り人形」


 新国立劇場バレエのシーズンオープニングの季節到来。昨年は新規の振付作品が1つも無いシーズンだったが、今年は「くるみ割り人形」をイーグリングが新振付する、とのことなので、足を運んだ。
 大原永子芸術監督になって最初の演目が、イーグリング改訂振付の「眠れる森の美女」で、音楽重視の振付で好感が持て、初演時も再演時も観た。今回は「改訂振付」でなく、「新振付」なので制約無しにイーグリングの思うように制作される、と思われるので期待大。


 「くるみ割り人形」は主役女性が3名、男性4名(公開公演日)と言う多彩なメンバーが踊る。営業は、会員発売日の前に「高校生団体」を埋め、その残りを売る、が「新国立劇場オペラ」との違い。オペラは、会員発売 → 一般発売 で売れ残っていた券を学生団体に売り込むが、バレエは「学生団体の残り」が会員と一般の発売である><


  1. 3日の 米沢唯+ムンタギロフ 組が2日の公演、2日共団体無し


  2. 28日の 小野絢子+福岡雄大 組が2日の公演、当日3階に男子高校生団体が中央ブロックにのみ


  3. 4日の 木村優里+渡辺峻都 組が1日の公演、2階から4階にチラシには「1部」と記載されていたが、女子高校生団体(複数校)が『大半』を占領



 これが営業の見た「人気度」であり、おそらく正確。序曲開始前に会場を見渡した時の私高本の期待度もこの通りで 3日昼 > 28日 > 4日 であったことをここに記す。
 私高本は、バレエも「音響優先」で席を選び、オペラほどカネを掛けない。28日 3-R1-3, 3日昼 4-4-30, 4日 4-L1-3 であった。28日は右奥が見えない、4日は左奥が見えない、拠って右手前端の「クララの寝室」が見えない日で始まり、左手奥の「ドロッセルマイヤー邸」が見えない日で終えた。4日は3日に既に真正面から舞台を見た後だったので、情景が思い浮かんだが、28日は何が起こっているのか、過去の振付から想像するしか無かった。初日に正面席で観ておく方が良かった気もする。(初めから2日以上観る気でチケット購入しているのだから)


 まず、振付から。冒頭に記載通り、「優美さ」「華麗さ」を最大限に生かしている。別の見方をすれば、「速さ」「ダイナミックスさ」はそれほどは求めていない。 チャイコフスキー音楽は、「優美さ」「華麗さ」を求めている曲に感じるので、イーグリングの振付はとても説得力が高い。
 バレリーナ登場前の序曲で、チェロとコントラバスが「完全にお休み」の曲である。「軽やかに」「浮き浮きとするように」「雲に乗ったように」が全曲のテーマ、とイーグリングは捉えている。私高本は感服した! 同じチャイコフスキーバレエでも、ドロドロした「白鳥の湖」とは違う曲想なのである。
 速さをそれほど求めていない、と言っても、「ドロッセルマイヤーの手品シーン」などは素早く魅せるし、後述するが「アラビアの踊り」ではスピードの要求が高い水準で求められている。比率の問題である。
(後日に連載致します。しばらくお待ちください。)
 コールドバレエ(群衆役)の衣装も重厚で、ドロッセルマイヤー家のクリスマスパーティーが「貴族の集い」の雰囲気を醸し出す。舞台の切り替えも素早く、好印象。第1幕幕切れから第2幕冒頭で、気球を使って移動する、と言うのも、高低差を巧みに生かした舞台作りである。勿論、コールドバレエよりも主役陣、脇役陣の方が豪華な衣装である。
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佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集ピアノ完全全曲演奏会第22回2017.08.01(No.2533)

2017-07-31 17:04:42 | ピアニスト・佐伯周子

明日8月1日東京文化会館小ホール『佐伯周子シューベルト全曲演奏会第22回』当日券あります



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新境地を開いた鈴木秀美のベートーヴェン交響曲第7番(No.2638)

2017-07-12 23:56:12 | 批評

新境地を開いた鈴木秀美のベートーヴェン交響曲第7番


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(No.2637)

2017-06-22 23:32:03 | 批評

プログラム最後の D947+D951 に力を注ぎ込み大成功を収めた 佐藤卓史 + 川島基

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2017-06-19 23:52:20 | ピアニスト・佐伯周子
昨日は雨天の中、ご来場いただき誠にありがとうございました。

アンコールは、シューベルト:ピアノソナタ第19番ハ短調「遺作」第3楽章メヌエット


でした。次回公演は8月1日東京文化会館小ホールです。
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1812.06.23 と 2017.06.18 のシューベルト(205周年)

2017-06-13 23:23:52 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

1812.06.23 と 2017.06.18 のシューベルト


 今度の日曜 2017.06.18 に佐伯周子がシューベルト全曲第21回を弾く。これは、シューベルトが「サリエリに師事したことが明らかに判明している 1812.06.18 から『205周年』に当たる。D25 Kontrapunktubungen 1812.06.18 と言う『未出版』作品に日付が入れられている。シューベルトは「記念の日」には(月まででなく)日付を入れる習慣があるので、サリエリに初めて課題を与えられた日と創造できる。尚、この曲は本日現在未出版の上、主題さえ記載が無いのでどのような曲かは一切不明である。


「糸を紡ぐグレートヒェン」D118 以前のシューベルトの作曲の足どりはあまりわかっていない。今回、佐伯周子が弾く曲の内、D29,D24B,D13,D41/1-8,D128 が該当する。作曲順序も正直判明していない。D29以外は、日付どころか作曲年さえ記入されていないからである。
 D25 の日付の後に、大量の対位法作品が作曲され、そのいくつかは サリエリに提出された。新シューベルト全集編纂の学者はその中で D24B が最初に完成した曲と推定しているようで、D13,D24A よりも前に掲載されている。
 D29 は、風変りな曲で、1812.09.09 の日付が入っているがサリエリに提出されていないだけでなく、同一の曲が29小節まで弦楽四重奏曲D3 として存在しているのである。D29 は62小節。現在はピアノ曲D29 が先で、D3 は 弦楽四重奏曲変ロ長調D36(1812.11.19 - 1813.02.21)の第2楽章の初稿として作曲された、と考えられている。D29に日付を入れたのは「大弦楽四重奏曲ができる!」の思いがよぎったからだろうか?
 12のドイツ舞曲D128 は、舞曲の最初の曲、と考えられている。序奏が11小節あって、その後12のドイツ舞曲が続く。この曲集 "Wiener=Deutsch" と曲数は明記されずに、後に残した "Deutsch" と異なる曲名となっている唯一の曲集。「ウィーン風ドイツ舞曲」とわざわざ書き込んでいるのは、後に「ワルツ王」が手本にするほど爆発的に売れた「シューベルトのワルツ」の原型。次の曲集からは「ウィーン風」を「シューベルティアーデの友人たち」には改めて書き込む必要が無かったからであろう。
 30のメヌエットD41 は、シューベルトが1817年に五線紙が不足した折、余白にスケッチを書き込んだ曲。ピアノソナタ ホ長調D459A の第1楽章、D349,D348 が書き残されているが、9-10, 19, 24-30 は紛失してしまった。


 10の変奏曲へ長調D156,メヌエット イ短調D334,アダージオ ト長調D178 は、おそらくピアノソナタ第1番ホ長調D157 の異稿である。サリエリ は「モーツァルトを手本」に指導した様子で、対位法の基本を短期間に詰め込んだ後は、オペラや重唱曲を教えている。そんな中で、シューベルトは1815.02.11に ピアノソナタ第1番ホ長調D157の初稿D154を作曲する。これはスケッチであり、続く楽章があったハズである。4日後に 10の変奏曲D156 がサリエリへの献辞の言葉と共に清書譜が仕上がる。サリエリが絶賛して清書させた、と推測できる。この時の第3楽章が メヌエット イ短調D334 と推測される。日付が無いのが単独曲ではない証拠。そして1815.02.18 からソナタの第2稿D157 の第1~3楽章が清書譜となった。第4楽章は第2楽章清書の後に作曲されたのだろう、清書されていたと推測。後に「楽章不足問題」が発生した ピアノソナタ第6番ホ短調D566 の時に、転用された。
 アダージオD178 は 1815.04.08 の日付を持つ。単独曲の可能性もあるが、ピアノソナタ第1番D157 の第2楽章差し替え、が大いに考えられる曲である。完成した曲の1部を完全に差し替える、はシューベルトの1つの習性で、ミサ曲第1番D105初演後、翌年再演の際にも差し替え曲を作曲している。まさにこの年! シューベルトは、」ホ長調D157の第3稿 = D157/1 + D178 + D157/3 + D566/2 を想定していた可能性が極めて大である。


 アレグレット ハ短調D900 は1822-23年頃に作曲されたと推定されている。47小節で作曲が破棄されたのだが、第41小節までで完結しているので、そこまで演奏するピアニストは多い。佐伯周子も第41小節まで弾く。


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