Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルトピアノソナタ ハ長調D613の補筆を巡って その2(No.2186)

2012-12-30 18:26:13 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 2012年も何とか大過無く生き延びた上に、数々の素晴らしい名演に出会えたことには感謝するばかり。年末に(無計画に大阪に行った疲れが出たためか?)その後体調を崩し、外出できない日が多かったが、まあしゃーない。同級生で「ヨイヨイ」になってる人もいる年齢だからなあ。私高本も「明日死んでも医者が不審に思わない糖尿病患者」なので、今年1年基本的に健康に、佐伯周子 を中心とした名演の数々に出会えたことを励みに、来年2013年も元気に「クラシック音楽三昧」の生活を続けたい。「ネコエサ」と称される粗食も苦にならなくなっている。「素晴らしい演奏を聴きたい」だけ。


 さて、標題の件である。演奏会まで後1ヶ月と1日。仕上げるタイムリミットは明日だろう > 譜読みの早い 佐伯が弾く とは言え(爆

 いろいろと迷いはあった。第1回の「D840 の補筆」については、25年以上の蓄積があった。だが、同じハ長調の「D613」については、演奏会承認頂いた1年前からなので、迷いが結構多かった、ことをここに記す。これから、D571 など、まだまだいくつも「補筆完成版」が必要な曲があるのだが、最後まで完成できるのだろうか???


シューベルト ピアノソナタ ハ長調D613 の補筆完成版は『基本はバドゥラ=スコダ補筆版』を使用するが、接続&終結部は 私高本が新補筆完成版を新たに作る


 私高本が「腹に入れていること」の1つが

補筆完成版は(シューベルトソナタに限らず)「最初の版が最高」のことが多い


である。
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スダーン指揮東響「ブルックナー交響曲第6番+マーラー子供の不思議な角笛」2012.12.01批評(No.2186)

2012-12-25 21:47:52 | 批評

ブルックナー第6番を「後期作品」として捉え、演奏し、成功した スダーン。アンサンブル力で支えた東響


  極めて、主張の強い演奏だった スダーン指揮東響定期「ブルックナー交響曲第6番」。通常、第4番~第6番で「中期」作品として扱われる。

作曲順で、第5番 → 第4番第2稿 → 第6番 が「中期」。第4番第1稿までが「チューバを使用せず」なのに対し、第5番(& 第4番第2稿)以降は「チューバ使用」となり低音が充実


 だが、スダーン の解釈は全く異なっていた。

ブルックナー第6番 は、「後期の前兆」作品であり、ホルンを7台(スコアは4台!)に増強して、「第7番以降」に近い「響き」を実現! がスダーン解釈


 普通に考えると「4台 → 8台」の「倍管」にする方が普通だと私高本は考えるが、東響には東響の事情があるのだ。「ホルン奏者 = 7名」なので、外部にトラ費用を出さずに済む最大限のホルン人員 = 7名 なのだ。推測だが、スダーンは「倍管」を希望し、事務局とのやりとりの結果、7名 になったのだろう。「3番ホルンのみ1名、他の3パートは2名」だった。「上吹き」と「下吹き」の人数の関係で決まったことかも知れない。詳しく知りたい方は、東響に問い合わせして直接訊いて頂くと良いだろう。

 交響曲第7番や第8番でも「ワーグナーチューバ」に持ち替えずに「ホルン8本」の箇所は極めて多い。

「響きの重心がはっきり下がった」交響曲第6番となり、スダーン の狙いは見事に実現した!


となった。「スダーンの狙い」がそのまま実現したのは、「東響 の 支えが万全」だったことを明記しておきたい。
 スダーンの解釈は、その他には「アクセント は目立たせない」が前面に押し出されており、『丸い響き』である。これは賛否両論ある、と感じるが、終演後は圧倒的な「ブラヴォーの嵐」となり、賞賛のみであった。「カラヤン の ブルックナー」に近い、と言えば、当日公演を聴かなかった方にはイメージし易いだろうか?


 ・・・で、私高本期待の マーラー「子供の不思議な角笛」抜粋は、

スダーン がマーラー「角笛交響曲」を振る下準備かのように、ソリストと1回も視線を合わせることなく、スダーンの意思で曲の開始 & テンポ & 音量バランス を決めての演奏に終始


だった。平気で「声にかぶせる」も実行していた。この「マーラーの歌曲」を立案した スダーン でさえ、「角笛交響曲の練習台」にしてしまうのか、、、

 唖然、、、

 バーンスタイン と バレンボイム 以外の指揮者は、「伴奏」しない。

大半の指揮者は(スダーンを含め)『マーラーのオーケストレーションの魅力に拠る魔力』に幻覚を感じ、「オケを鳴らす」ことに専念してしまう><


 スダーン ほどの大指揮者でさえ、この罠にはまってしまったことに、愕然とした演奏会でもあった。
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老田裕子 が「平成24年第67回文化庁芸術祭新人賞」受賞(No.2185)

2012-12-22 01:30:35 | 歌曲作曲家・マーラー(1860-1911

老田裕子 「平成24年第67回文化庁芸術祭新人賞」受賞


  1回目のエントリーでノミネートされ、即受賞。うれしい限りである。聴衆の皆様 と 審査員の皆様 に深く感謝するばかりである。「音楽部門関西」を見ると、「大賞 該当無し、優秀賞は邦楽」 なので

関西唯一の洋楽部門受賞 = 老田裕子


であった。 公式発表は ここ
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カンブルラン指揮読響「第9」2012.12.18初日批評(No.2184)

2012-12-20 21:52:14 | 批評

カンブルラン が「読響 + 新国立劇場合唱団」を用いた壮大な実験、初日は大失敗に終わる!


  私高本が聴いた限りの「読響の定期演奏会に準じるシリーズ公演」(この日は「サントリー名曲シリーズ」)で、これほどまでに「失敗に終わった」演奏会を聴いたのは久しぶり。読響は弦楽器はトップ奏者を全員並べる16型(昨年私高本が聴いた公演は14型だった)、ホルン1番は「山岸 + 松坂」だし、ティンパニは岡田だし、例年の第9通り「最強布陣」。新国立劇場合唱団は女声=42名 + 男声=38名 で、最後列にトップクラスを並べる布陣。用意万端のハズだったのだが、

出て来た「響き」の脆弱なこと! ベートーヴェンならば「こんな響きでは無い!(怒」と言ったことだろう


  カンブルラン が「何を目指していたか?」は朧気ながら、糖尿病で目やにが朝起きがけにヒドい状態の「起床時の風景」のように見えては来る。

カンブルラン は、ベートーヴェン「第9」を「オペラ」のように仕立て上げたかった!


  その為、声楽が入ると、弦楽器は「2段階音量を落とす」を実行し、4名のソリストだけでなく、合唱までも明晰に聴こえるように徹底した。だが、仕上がった状態は

ヴェルディ や プッチーニ のオペラではなく、ドニゼッティのオペラ = 「大きなギター」とワーグナーにバカにされたオーケストレーション!


に聴こえてしまったのである(涙

 読響メンバー もメンバーを揃えただけでなく、全力の演奏。新国立劇場合唱団 もメンバーを揃えただけでなく、全力の演奏。だが、「入りが揃った」以外には、良い点がほとんど無かった演奏だった。勿論、4名のソリストも万全であったことをここに記す。

 「カンブルラン の 第9」がこのまま突っ走って、楽日を迎えるのか? 何らかの解決策を見出すのか? 全く予知できない><

  しかし、佐伯周子 と楽日26日公演を連席でチケット購入してしまった私高本としては「軌道修正して!!!」と叫びたい。こんな方向の演奏で2012年演奏会を終えるワケには、絶対に出来ないぞ(爆涙

 後1言だけ付け加えると、「トライアングルの音程」は昨年までと同様の「同じ位置で叩いて、同じ音程」を復活させて欲しい。それが「読響の第9の売り」の1つなのだから。お願いします><
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佐伯周子シューベルト誕生日コンサート(No.2183)

2012-12-19 17:28:17 | ピアニスト・佐伯周子

佐伯周子シューベルト誕生日コンサート 2013.01.31(木) 東京文化会館小ホール


  2004年に

ベーレンライター新シューベルトに拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会 ピアニスト=佐伯周子


を開始して、9年目にして初めて「誕生日コンサート」を東京文化会館にて開催できることとなった。これもひとえに、ご来場頂いた聴衆の皆様や、調律師の方々、ホールスタッフの皆様のおかげ様である。「シューベルトファン」の人は是非是非聴きに来て下さい。
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これから聴きに行く演奏会予定(No.2182)

2012-12-16 20:37:03 | 演奏会案内
 私高本にとって「第9」の季節がやって来た!

 ・・・と同時に今年は久しぶりに J.シュトラウス2世「こうもり」を年末に聴く。さらに プロコフィエフ「シンデレラ」。まさに『年末の音楽』全部聴く!


  1. 2012.12.18 & 26 カンブルラン指揮読響「第9」 サントリーホール


      今年のオーケストラの第9は、カンブルラン指揮読響の最初と最後の公演を聴くことにした。大いに期待している!

  2. 2012.12.21 岡原慎也 X 岡田将デュオリサイタル 宝塚ベガホール


      前週12/12の東京公演のフランス物があまりにも素晴らしかった「岡原慎也 X 岡田将」を聴きに兵庫県宝塚まで出掛けることにした。1曲目が ミヨー → シャブリエ「3つのロマンティックなワルツ」 に差し替えた以外は同じ。岡原慎也 も 岡田将 も関西を根拠としているピアニストなので「勝手知ったるホール」であり、東京公演を上回る演奏、と期待している。

  3. 2012.12.22 堺シティオペラ J.シュトラウス2世「こうもり」 ウェスティホール(堺市JR鳳駅徒歩7分)


      秋口の「ちゃんちき」公演があまりに素晴らしかった 堺シティオペラ。「クリスマスにこうもり」と聞いては、「こうもりファン」の私高本は是が非でも聴きに行く。ピアノ伴奏版で、若手メンバーとのこと。

    若手テノール歌手 = 演出の清原邦仁 の新訳詞による公演


    とのこと。これは楽しみ!

  4. 2012.12.23 榊原涼子ピアノリサイタル 神戸芸術センター(山陽新幹線新神戸駅前


      演奏会場は急遽(狭いホールから)広いホールに変更されたピアニスト = 榊原涼子。人気高い証なので急遽聴きに行くことにした。

  5. 2012.12.24 新国立劇場プロコフィエフ「シンデレラ」エマニュエル・プラッソン指揮 シンデレラ=小野絢子


     初日に聴いて(=観て)、音楽の圧倒的な素晴らしさに感動した公演。佐伯周子 へのクリスマスプレゼントとして、もう1回聴きに行く。予算の関係で、佐伯周子は舞台に近い席、私高本は舞台から遠い席、、、

 私高本は、計画性に欠ける性格だと、薄々感じていたのだが、新国立劇場「シンデレラ」さえ、隣合わせの席取れないんかよ(涙
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新国立劇場プロコフィエフ「シンデレラ」2012.12.15公演批評(No.2181)

2012-12-15 23:55:04 | 批評

『プロコフィエフの軽やかさ』を音でダンサーに伝え、「軽やかなバレエ」を実現した エマニュエル・プラッソン の棒!


  新国立劇場で(子供のためのテープ公演を除き)おそらく7回目の プロコフィエフ「シンデレラ」公演であり、私高本は5回目になる。実は、佐伯周子が「シューベルトのワルツを転用したバレエ = プロコフィエフ:シンデレラ」を聴きたい! と言うので、クリスマス・イブに2人で聴きに行くことにした。キャストも最も良いし。主役2名(小野絢子 + 福岡雄大)が同じ公演は3日あり、初日&中日&楽日。その下見に気軽な気持ちで行ったのだが、

エマニュエル・プラッソン の指揮が「プロコフィエフバレエ特有の軽やかさ」を東フィルから引き出し、『しなやかなリズム感』が音楽に満ち満ちて、ダンサー全員に敷衍した 類稀な名演!


となった。私高本はプロコフィエフ「シンデレラ」は大好きなバレエ演目で、もしかしたら最も好きなバレエかも知れない。新国立劇場の過去4回は、きちんとした公演であった。最新の批評は これ
 他のバレエ団体公演も聴いているし、曲の魅力は堪能して来たのだったが、今回は全く違っていた。

ピアノ協奏曲やいくつかの交響曲で出現する「鋼鉄のフォルティシモ」は全く現れず、「ロメオとジュリエット」とだけに聴こえる「軽やかさ」が漲った音楽!!!


 これが、東フィル だけでなく、ソリストに、コール・ド・バレエに、全てに伝わった舞台となったのである!
 私高本は バレエ評論家では無いので、断言はできないが、主役2名(小野絢子 + 福岡雄大) のバレエ水準が「過去に新国立劇場:シンデレラ」で観た組を遥かに凌ぐ名演だったことが、非常に大きな一因だ、と感じている。表現の巾があまりにも、特に 小野絢子 は大きい!

プロコフィエフ音楽ファン は、12/21 と 12/24 が同じ 小野絢子 + 福岡雄大 組なので、是非是非聴いて、ご自分の耳で眼で確かめて欲しい

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岡原慎也X岡田将デュオリサイタル 2012.12.12 批評(No.2180)

2012-12-13 21:26:18 | 批評

フランス派ピアニストに変わってしまったか?! 岡原慎也 と 岡田将?!?


 今年6月のデュオリサイタルが素晴らしかった 岡原慎也 X 岡田将。東京文化会館小ホール でデュオリサイタルを開く! と言うので勿論聴きに行った。1回目よりもさらに素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれたことに感謝!
 ・・・で、何が良くなったか? と言われると「フランス物での圧倒的な説得力」だった。意外! 再演となった唯一の曲目 = ミヨー「スカラムーシュ」は、切れが半年で研ぎ澄まされていた!! サン=サーンス「動物の謝肉祭」は『編曲モノ』(デュラン版楽譜を使用していた)だが、原曲が「2台ピアノに頼った作品」であり、違和感は全く無い。冒頭の「ライオンの行進」について、岡原慎也 が面白おかしく「山田一雄指揮との共演の逸話」を語っていたが、「ライオンの行進」らしい堂々としたモノ。いろいろな動物が戯画化されて登場して来て、「ワザと下手に演奏するように」とサン=サーンスが指示した「ピアニスト」の何と下手クソなこと!! あれなら、私高本の方がまだマシに弾けるぞ!(← これが大いなる錯覚!)と思わせる抱腹絶倒な演奏。微妙にずらしているんだよね(爆
 う~ん、この「技」は凄い!!


 「ピアノ・デュオチーム」と言うのは

  1. 夫婦
  2. 兄弟姉妹
  3. 同門
  4. 師弟

が圧倒的に多いが、これが(大きな声では言えないが)「聴くに値しないデュオチーム」が圧倒的に多い。特に、「夫婦チーム」が最も危ない><
 男女としての相性が良くても、音楽的は別、と言うことだろう。今年、聴いた「夫婦デュオのシューベルト連弾」は地獄のような苦痛な時間だった > 指さえはまっていなかったし。


「岡原慎也 X 岡田将 デュオ」は「同郷福岡県出身&現:関西在住デュオ」。これ以外は何も繋がり無し!


とのこと。強いて言えば「体型」と岡原慎也が笑いを誘っていたが、冗句だろう。

岡原慎也 X 岡田将 デュオの最大の魅力は「フランス物」での、「弾むリズム感」と「限りないかに感じられるデュナーミクの巾広さ」!


 あまりに素晴らしかったので、来週金曜日 = 12/21 の関西公演 = 宝塚ベガホール公演 も聴きに行くことにした。これほどの「ピアノデュオ」は聴き逃がせ無いからなあ。


 これで、モーツァルト と ジョプリン が「フランス物並みの水準」だったら、申し分無かったのだが、少々気になる点あり。まず、モーツァルト。「自筆譜通りの演奏」なのだが、モーツァルトのピアノ曲で「自筆譜通り」で細部が磨き上げられている曲は何曲あるのだろうか? ベートーヴェン以降と違い、「p」とか「f」とかだけの指示の時でも、「細やかなニュアンスを付ける」が出来ると思えた演奏だった。
 次に、ジョプリン。「ラベック姉妹演奏」とは異なる、穏やかな編曲。「原曲を尊重した編曲」である > ラベック姉妹演奏 と比較して。コンサート終結の「イージー・ウィナーズ」は素晴らしかったのだが、「ジ・エンターテイナー」が「テンポの移り変わり」に気を置き過ぎた演奏となってしまい、柔軟性が「イージー・ウィナーズ」に及ばなかった。もっと「インテンポ系」で『弾けて欲しかった』次第である。


 来週金曜の 宝塚ベガ公演 は、冒頭1曲目が「シャブリエ:3つのロマンティックなワルツ」に差し替えられて、残りは同じ。デュオチームは公演を重ねる度に深化する、と言われる。
 大いに期待して宝塚に向かう!
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デュトワ指揮N響「レスピーギ:ローマ3部作 他 前編(No.2179)

2012-12-10 20:30:09 | 批評

名演だった、にも関わらず、終演後に大トラブルが発生した デュトワ + N響。奥底には何が横たわっているのだろうか?


 私高本は「猫頭評論家」なので、「舞台裏」は全く判らない。聴いた通り & 見た通り の批評である。猫は「エサの収穫が気候に左右された」とか、言ってもワケわからんよな(爆


レスピーギ「ローマ3部作」に限定して言えば、「東京で聴いた全ての公演」で最高!


だった。
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デュトワ指揮N響「ラヴェル:オペラ:子供と魔法」他 批評(No.2178)

2012-12-07 15:02:23 | 批評

ストラヴィンスキー と ラヴェル の「世界観の違い」を鮮やかに聴かせた デュトワ!


  去年の マーラー「千人の交響曲」に続く「デュトワ + N響:大プロジェクトシリーズ第2弾」がこれ。ストラヴィンスキー と ラヴェル のほとんど上演されないオペラを2本纏めて「演奏会形式」で世界超一流の主役陣で上演する、と言うプログラムビルディング。

ストラヴィンスキー「夜鳴きうぐいす」では、主役=うぐいす役= アンナ・クリスティ の『コロラトゥーラ・ソプラノの鮮やかな技巧ひけらかし』が見事!


 ストラヴィンスキーが「3大バレエ」の直前に第1幕、直後に第2~3幕を作曲したオペラ。特に第2~3幕は「初期ストラヴィンスキーの魅力満載」である。登場人物がやたら多いオペラだが

「プリマドンナオペラ」であり、20世紀作品にもかかわらず「コロラトゥーラ・ソプラノの技巧ひけらかし」作品 = 「夜鳴きうぐいす」


である。初期ストラヴィンスキーらしい、豪胆なオーケストレーションも満喫できたことには、脇役陣や合唱団も含めて感謝する次第である。


ラヴェル「子供と魔法」は、「アンサンブルオペラ」として緻密なソリスト同士の組み合わせの「色」が次々と現れてくる、が贅沢なフランスフルコース料理のように次々と繰り広げられる


 不条理な世界が次々の七転八倒の笑いを誘うのだが、デュトワ の処理の見事なこと! HP動画に拠ると、デュトワ自身もまだ5~6回しか振ったことがない、とのことだが、「手の内に入っている!」作品だ。
 ラヴェル の鮮やかな、それでいてドきつく無いオーケストレーションは、ストラヴィンスキー と正反対に感じる。


 デュトワ + N響 は昨年から「新たな1歩」を踏み出したようだ。レスピーギ「ローマ3部作」も聴きに行くことにした。
 名演が期待できるからなあ。
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これから聴きに行く演奏会予定(No.2177)

2012-12-06 20:59:41 | 演奏会案内
 明日から1週間に聴きに行く演奏会は多彩。読者の方で気に入ったのがあれば聴きに行って下さい。


  1. 若林顕“たった一人の第九”2012.12.07(金)川口リリアホール音楽ホール


      私高本は「第9好き」「リスト好き」である。最も好きな作曲家は、間違いなく シューベルト だが、次は「マーラー」「リスト」「伊福部昭」のどれかはその時の気分次第かも。さらに言えば、

    毎年「必ず演奏会を聴く曲 = ベートーヴェン第9」だけ


    である。シューベルト の曲は毎年聴くのだが、「この曲は必ず聴く!」って曲は無い、、、
     「リスト編曲:第9」は大好きで 演奏会主催したこともあるほど><

     若林顕 は技巧派ピアニストとして名高い。久しぶりにソロリサイタルを聴きに行くことにした。リリアホールは(猫頭の記憶に拠れば)Piano Music Japan 前身の Daily Classical Music Critique in Tokyo 発足以来、足を運んだ記憶が無いので、15年ぶり以上の間隔が空いての再会となる。JR京浜東北線川口駅からデッキだけで行ける便利なホール。

  2. デュトワ指揮N響「レスピーギ:ローマ3部作全曲」他 2012.12.08 NHKホール


      ラヴェル + ストラヴィンスキー が圧倒的に素晴らしかったので、レスピーギ + リスト + ベルリオーズ も聴きに行くことにした。期待大。

  3. 岡原慎也 X 岡田将 デュオリサイタル 2012.12.12 東京文化会館小


      6月29日の宝塚ベガホールでの初共演が素晴らしかった 岡原慎也 X 岡田将 が早くも東京公演! 「岡原慎也得意のモーツァルト:2台ピアノのためのソナタ ニ長調K448」が中心で、サン=サーンス「動物の謝肉祭」とジョプリンは 編曲モノ、ミヨー「スカラムーシュ」はオリジナル2台版。「動物の謝肉祭」は元々が「2台ピアノを中心とした室内楽」作品なので、これは楽しみ。ジョプリンは「ラベック姉妹」が録音していた版だろう、いいぞ!!!

  4. 尾高忠明指揮読響「マーラー:交響曲第9番」2012.12.14 サントリーホール


      12月から「4ヶ月連続でマーラー&ブルックナーの長大交響曲だけを定期演奏会で続ける読響」の第1弾。これは聴くしかないわな。
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シューベルトピアノソナタ ハ長調D613の補筆を巡って その1(No.2176)

2012-12-05 19:22:41 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 本日から、標題の件について、数回に分けて(時期は分散すると思うが)徹底的に検証する。創刊当時からの読者で「あっ、また高本がシューベルトピアノソナタ補筆完成版について、長々と語り始めた!」と思った方は正しい。気性に合わない方は読み飛ばして下さい。
(今日が「クリスマスコンサート打ち上げ」だった。何でタイムラグがあるんだ?!)

2013年1月31日の「佐伯周子 シューベルト誕生日コンサート」で「新補筆完成版」世界初演!


の曲だからだ。ここだけの話だが、佐伯周子は現在のところ、「即興曲集第2集D935」の方に興味の大半が行っている。曲の出来は圧倒的に D935 の方がいいからなあ(涙
 次回演奏会の聴衆の皆様の興味も「ソナタ集第2集D935」に集中していることは理解している。だが「クラシック音楽界のドン・キホーテ = 私高本」は風車小屋に向かって全力で突進する(藁


 D613 の「補筆完成版」は今まで3種類が流通している。ここにまとめておこう。

  1. 1978年出版 バドゥラ=スコダ補筆完成版 = ヘンレ版シューベルトピアノソナタ第3巻


  2. 1979年出版 ティリモ補筆完成版 = ロンドン王立音楽院版シューベルトピアノソナタ第2巻


  3. 20001年録音 バール補筆完成版(出版無し → CDリリース前にバール死去が原因!)



 バドゥラ=スコダ、ティリモ、バール の3名には深く深く感謝している。
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佐伯周子クリスマスコンサートご来場ありがとうございました(No.2175)

2012-12-02 20:24:49 | ピアニスト・佐伯周子

アンコールは ショパン「革命」エチュード


でした。
 次回は 1/31「シューベルト誕生日コンサート」です。
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