Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

NHK交響楽団第2016回定期公演2024.09.14ルイージ指揮ブルックナー交響曲第8番批評(No.2945)

2024-09-14 23:30:06 | 批評

ブルックナー交響曲を知り尽くしたN響首席指揮者=ルイージ


  ブルックナー交響曲第8番は「完成した最後の交響曲」であり、最長時間&最大楽器編成の曲であるが、実は(稿や版に拘わらず)名演が出難い曲である。第4番・第5番・第7番に比べて、名演頻度が低い。何故か?

テナーチューバ&バスチューバとホルンの持ち替えが指示されており、テナーチューバ&バスチューバ&コントラバスチューバと5本で合わせるフレーズがスムースに聴こえないから


である。別の視点で見ると

コントラバスチューバは「3本のトロンボーンと4重奏」フレーズと「4本のワーグナーチューバ(テナーチューバ&バスチューバの総称)と5重奏」フレーズがあるが、通常配置だと「5重奏がまとまって聴こえて来ない」


からである。

ベートーヴェンからトロンボーン3本が交響曲に加わった。(ハイドン&モーツァルトは使用しなかった。宗教曲のみに使用)トランペットの右に配置するのが普通。ホルンはトランペットの左である。

ブラームスが交響曲第2番でコントラバスチューバを使用した。通常配置は3番トロンボーン(=バストロンボーン)の右。

ブルックナー交響曲第7番で第2楽章&第4楽章にワーグナーチューバ4本使用。コントラバスチューバの傍に配置が通常。前でも右でも大差無し。

・・・で、ブルックナー交響曲第8番である。第7番と異なる点は「ホルン5~8番奏者がワーグナーチューバ持ち替え」である。第7番は持ち替えは無い。

「奏者を移動させる」が一案だろうが、見たことは無い。打楽器奏者はしょっちゅう移動しているので、やってやれないことはないのだが。

ルイージ構想は左から4番→1番ホルン、後列に8番→5番ホルン(=ワーグナーチューバ)、その右にコントラバスチューバ、その右に3番→1番トロンボーン、その右に1番→3番トランペット


この配置は初めて見た。納得の配置である。「音のまとまり最高」である。

第4楽章第1主題で「いきなり木管楽器が3管編成に増強」は、「第1稿の魅力」だが、十全


  3番奏者に「1番奏者パートを重ねて吹かせる指揮者が圧倒的に多い」中、ルイージは増加させない。第2楽章で、5番→8番ホルン奏者に1番→4番ホルン奏者パートを移しただけだった。

ブルックナー交響曲を知り尽くした指揮者=ルイージ


である。

 テンポの緩急自由自在、ダイナミクスも自由自在。終演後の「ブラヴォーの嵐」は3階だけでなく、1~2階からも圧倒的。これほど素晴らしいブルックナー第8番が聴けるとは思ってもみなかった。明日も聴けるのが楽しみでならない。
「ルイージ指揮ブルックナー」は日本では初めて、と記憶している。マーラーやヴェルディだとNHKホールが2杯全席完売になるが、ブルックナーは初めてなので、結構空き席がある。E席でも充分響く。是非是非聴いて欲しい。
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新国立劇場オペラ ディアツ演出「トスカ」今回も大成功(No.2912)

2024-07-20 22:29:06 | 批評
2000年初演のディアツ演出「トスカ」。今回も素晴らしかった。スカルピアが、アンダー=青山貴 になったが、充分な声量。トスカ=ジョイス・エル=コーリー、カヴァラドッシ=テオドール・イリンカイ に呼応する。
  ディアツ演出は「舞台=大道具」構成が素晴らしい。上下の動きも活発で、更に最後の「トスカの飛び込みシーン」以外は全て「反響板」がある! 声楽家の声が艶やかに響く。


  ディアツ演出「トスカ」は、新国立劇場オペラとしてはゼツフィレッリ演出『アイーダ』に次いで古い演出。「アイーダ」は毎回赤字になるので、「トスカ」の方が遥かに多い公演数。やはり素晴らしい。

  「トスカ」次回公演もディアツ演出でお願いします。(2024.07.06初日初見)
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2024.06.22 内幸町ホール 大隅智佳子監督&主演「ジャンニ・スキッキ」他批評(No.2893)

2024-06-22 23:51:41 | 批評

1年半でスケールアップした 原純演出プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」


  2023年1月足利公演時よりもスケールアップした原純演出「ジャンニ・スキッキ」。大きく変更したのは以下の2点。

  1. 冒頭に「天の声」で『プッチーニ ト書き』と「ジャンニ・スキッキの娘の婚約者でありブオーゾの甥=リヌッチョの説明」

  2.   リヌッチョが「ジャンニ・スキッキ、ラウレッタ に次いで重要な役」を印象付ける為。実は、私高本はこの日の演奏を聴くまで、知らなかった(涙
     リヌッチョ役=大川信之 のソロが新国立劇場「ジャンニ・スキッキ」よりも心打つ歌唱だったことをここに明記したい。

  3. ヴェッキオ橋を字幕で「日本橋」表記

  4.   渡良瀬大橋は内幸町ホール集結聴衆にはわからないからなあwww

  「天の声」は 小田知希。オペレッタの元祖=オッフェンバック代表作「天国と地獄」の「世論」を模して 原純が創出した。「世論」と異なり、冒頭序曲前だけに話すので、「ジャンニ・スキッキ」音楽は全く阻害しない。考えたモノだ。

ジャンニ・スキッキ役=小林大佑 の知恵&機転に突き動かされるドラマ


であり、小林の圧倒的に豊かな声量が要になっている。
  ラウレッタ役=大隅智佳子 がセーラー服で(w)、「私のお父さん」を歌うと、態度をコロッと変えて、遺族に協力する振りをするのも、ジャンニ・スキッキ=小林が表情豊かに描き切る。


  これだけ笑えた「ジャンニ・スキッキ」は、1年半前の足利公演を含めて初めてである。足利公演は「管楽器は楽譜通り」を実現した公演。今回は「ピアノスコア」通りの公演。バックは勿論足利公演の方が断然良い。
  内幸町ホール公演だと、「管楽器指示通りのオケ」は無理。「ピアノスコア」通りの演奏は期待通りであり、良心的。プッチーニが生前に承認していた楽譜である。

 信じられないことだが、「センターブロックは埋まっている」のだが、Lブロック & R ブロック は余裕。明日公演も当日券あり、の様相。是非是非ご覧頂きたい。

 演奏会形式「カヴァレリア・ルスティカーナ」も歌唱が圧巻。大隅智佳子、内山信吾、小林大祐 は凄い!
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NHK交響楽団短時間C定期最終回最終日2024.06.15批評(No.2889)

2024-06-18 13:23:19 | 批評

演奏順が効果を削いだ 沖澤のどか指揮 N響短時間C定期最終回



  1. イベール/寄港地
  2. ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
  3. ドビュッシー/夜想曲

のプログラムビルディングであったが、ドビュッシー/夜想曲 が静かに終曲するため、1曲目&2曲目終曲に比べて、拍手も盛り上がらない上、ブラヴォー無しとなった。プログラム記載演奏時間=55分 に +ピアノ出し入れ +合唱団椅子配置 +合唱団入り +ピアニストアンコール=シューマン「トロイメライ」 で75分。「N響の狙い通り」だと思う。去年も今年も 「N響ウェルカム・コンサート」の標題=「75分でN響定期をいいとこどり」まさにそのものであるから。
 ・・・が、編成大きい曲=ドビュッシー/夜想曲 でコンサート終了は「落ち着く」よりも「ここで休憩、後半に期待」感になる。イベール「寄港地」で終演の方が盛り上がり、と思う。
ルイージ指揮「メンデルスゾーン」プログラムでも感じたが、短時間C定期は曲順が上手く行かない月が多かった。
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新国立劇場バレエ「アラジン」2024.06.16批評(No.2887)

2024-06-16 20:13:45 | 批評

鮮やかに魅せた 福田圭吾=アラジン、池田理沙子=プリンセス、渡邊峻郁=ジーン


  ビントレー振付「アラジン」、今回4キャストで唯一主役2名=ファーストソリストの 福田・池田組、売れ行き悪いかと思えば、この06.16公演は全席完売であった。この「アラジン」で引退の福田は、年齢を感じさせない若々しい踊りで「ひょうきんなアラジン」を演じ、「高貴なお姫様=池田」を下に置かない扱い。渡邊峻郁=ジーン は、煙から出現するシーンが鮮やか。何度見ても飽きない。第1幕の「宝石シーン」は豪華絢爛。
  左右だけでなく、上下も巧みに使い廻す(1例を挙げれば、ジーンをロープで釣り上げる)ビントレー振付が十全に展開された。マーフィー指揮東京フィルハーモニー交響楽団も12型を鳴らし、ブラヴォーを受けていた。

カーテンコールでの1階最前列スタンディングオベーションは「くるみ割り人形」池田組と並び圧巻であった。
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NHK交響楽団第2013回A定期6月初日2024.06.08全「スクリャービン」批評(No.2880)

2024-06-09 09:17:01 | 批評

アルゲリッチ&アブデーエワに並ぶ圧倒的感動をくれた 反田恭平 スクリャービン協奏曲演奏


  1996年「デュトワ常任指揮者就任記念定期公演」から開始した「Piano Music Japan」前身「Daily Classical Music Critique in Tokyo」である。27年以上、NHK交響楽団&読売日本交響楽団中心にオーケストラ聴き捲りの 私高本が聴いた「協奏曲」でベスト演奏であり、アルゲリッチ&アブデーエワに並ぶ。反田恭平が「ショパン国際コンクール2位」は「運が良かった」のでは無く、「更に上のショパン弾きが居た不運」であった、と実感。スクリャービンピアノ協奏曲は是非是非録音して欲しい。勿論、原田慶太楼指揮NHK交響楽団で。カプリングは グリーグ ピアノ協奏曲で。
 2日目6月9日の演奏が楽しみでならない。初日以上を期待してまっせ!


  1978年11月以来、「最も好きな作曲家=シューベルト」は45年以上不変の 私高本。2番目に好きな作曲家はコロコロ変わる。「スクリャービンが2番目」は1992年頃から数年だった。私高本が30台前半、若かった。作品番号付いた曲は全部CDで聴いた。スクリャービンは作風がコロコロ変わる作曲家。作品54~作品56間の「中期~後期」の変わり目は誰もが一致するのだが、「初期~中期」は研究者に拠って意見が分かれる。私高本は 作品29交響曲第2番~作品30ピアノソナタ第4番 と考えていた、当時。
  その考え方だと、「初期スクリャービン」オーケストラ曲披露、が今回コンセプト。
  実は、現在の妻=佐伯周子 との出会いもスクリャービン。2001年5月の洗足学園音楽大学の学内オーディションの曲の相談を受けた。多分同年4月末日頃。スクリャービンピアノソナタ第2番作品19 を推薦した。佐伯周子は受け入れ、オーディション合格した。2004年「佐伯周子デビューコンサート=彩の国さいたま芸術劇場公演」でも演奏した。「出会いの曲」であり、大好きである。今の妻です。22才の年下です><

 スクリャービン ピアノ協奏曲は、名演皆無。
・・・が1992年頃の私高本認識。実際聴いたCDはスカだった。「ピアノが映えない」のである。反田恭平のピアノは、14型のオケを原田慶太楼が「鳴らす」N響を突き抜ける。特に左手の打鍵は圧巻!
N響6月定期を振る3名日本人指揮者のトーク。
[SPOTLIGHT] 2024年6月定期公演に登場する日本人指揮者達が語らう 原田慶太楼、鈴木優人、沖澤のどか | NHK交響楽団

[SPOTLIGHT] 2024年6月定期公演に登場する日本人指揮者達が語らう 原田慶太楼、鈴木優人、沖澤のどか | NHK交響楽団

6月の定期公演では、原田慶太楼(Aプログラム)、鈴木優人(Bプログラム)、沖澤のどか(Cプログラム)と、将来を期待される日本人指揮者たちが指揮台に立ちます。 世界を股...

 

ご覧の通り、反田恭平 提案スクリャービンピアノ協奏曲が発端の演奏会だが、指揮者=原田慶太楼 は「全スクリャービンプログラム」に仕立てた。
  原田の考えでは、「ピアノ協奏曲が最初のスクリャービン管弦楽作品なので、2番目(夢想 作品24)と4番目(交響曲第2番)で初期スクリャービン管弦楽曲」のプログラムビルディング。3番目=交響曲第1番が外されたのは、合唱入りだから、の気がする。

  協奏曲後がブラヴォーの嵐になっただけでなく、交響曲第2番終曲後もブラヴォーの嵐。スクリャービン指揮者=原田慶太楼 の誕生の瞬間に立ち会えたことを幸せに感じる。

  反田恭平アンコール=グリーグ作曲:小人の行進(妖精トロルの行進)。2025~26年シーズンにNHKホールでグリーグピアノ協奏曲を披露して下さい。
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新国立劇場オペラ「コジ・ファン・トゥッテ」2024.05.30 & 06.04批評(No.2877)

2024-06-06 04:20:27 | 批評

1階聴衆は「損をした」と感じさせる ミキエレット演出「コジ・ファン・トゥッテ」


  11年ぶりに再演されたミキエレット演出「コジ・ファン・トゥッテ」。初日5月30日も楽日6月4日も上階からはブラヴォーの嵐となったが、1階聴衆は静かな拍手だけ。初日に至っては、拍手もせずに場内灯りが点いた途端に退出者が大量発生であった。理由は初演初日(2011.05.29)には判明している。

第2幕冒頭のフィオルディリージ、ドラベッラ、フェルランド、グリエルモ が「山あいの湖に入るシーンでの水を蹴る」が音だけ聞こえ、全く見えないから


初日はS券1階最前方、楽日はC券3階だったが、「3階は大満足」なのである。「水を張った演出」は上階には鮮やかに映る。「ブラヴォー」は初演初日から出たし、今回も初日も楽日も盛大に出た。だがスタンディングオベーションは1人も1階最前列には出ない。見えないからである。

う~ん、ミキエレット演出「コジ・ファン・トゥッテ」再演するならば、1階定期会員には払い戻しして下さい。
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ヴァルチュハ指揮読売日本交響楽団2024.05.26 チャイコフスキー「悲愴」批評(No.2869)

2024-05-29 09:23:31 | 批評
後半のチャイコフスキー「悲愴」のみの批評である。ハチャトリアン ヴァイオリン協奏曲 は初めて聴いた曲なので批評出来ません><

第3楽章=スケルツォ楽章 を貫いた ヴァルチュハ


  チャイコフスキー「悲愴」は、チェロ+コントラバスのピアニッシモに始まり、チェロ+コントラバスのピアニッシモに終わる曲である。先頭と末尾は全ての指揮者が留意する。中間楽章の扱いが焦点となる。

  冒頭記載通り、ヴァルチュハ は「第3楽章=スケルツォ」を徹底する。2拍子だが、行進曲では無い。2拍子には、行進曲だけでなく、エコセーズもあれば、ポルカもあれば、スケルツォもある。ベートーヴェン:ピアノソナタ第18番op.31/3 第2楽章=2拍子スケルツォ である。「面白可笑しく」進行するスケルツォ。

  第4楽章はまさに「悲愴」。対極の表情の違いが濃い。説得力のある ヴァルチュハ指揮であった。

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新国立劇場芸術監督 吉田都「くるみ割り人形」 vs. 五十嵐喜芳「椿姫」(No.2863)

2024-05-23 15:10:24 | 批評
昨日号で新国立劇場オペラ芸術監督について述べた。

五十嵐喜芳芸術監督時代は「ソリスト ブラヴォーの嵐 & 指揮者ブーイングの嵐」が同一日に吹いた


演出も「メトロポリタンオペラの縮小再生産」と揶揄されたが、良かった。だが、「新演出初日しか登壇出来ない」ので印象が薄い。指揮者ブーイングは毎日なので耳に付く。
だが、「オペラを楽しませる視点」では、

五十嵐喜芳芸術監督が歴代芸術監督中で最高


であった。ロンコーニ演出「椿姫」も楽しめました。是非復活させて下さい。


五十嵐喜芳 の オペラ団運営上の功績は、

  1. 新国立劇場に ヨーロッパ一流オペラ歌手招聘
  2. 藤原歌劇団にてヴェルディ「椿姫」公演を毎年1月に開催

の2点と感じる。

公演アーカイブ | JOF 公益財団法人日本オペラ振興会

藤原歌劇団、日本オペラ協会発足時からの公演実績を紹介いたします。

JOF 公益財団法人日本オペラ振興会

 

1990 - 1997年1月オーチャードホールで8年連続「椿姫」、新国立劇場1997年10月10日新国立劇場オープン直後の1998年2月に新国立劇場にて「椿姫」、1999年1月オーチャードホール「椿姫」、2000年3月東京文化会館「椿姫」、2001年無し、2002 - 2007年1月オーチャードホール「椿姫」、2008年8 - 9月テアトロ・ジーリオ・ショウワ/東京文化会館「椿姫」である。 

五十嵐喜芳 が 新国立劇場芸術監督就任期間 = 1999年7月~2003年9月。2000年3月東京文化会館「椿姫」が 新国立劇場 にて「椿姫」毎年恒例化出来なかった結果である。
 私高本 は、是非是非「新国立劇場オペラ新年の椿姫」化が実現して欲しかった。


舞台写真・公演記録(主催公演)

新国立劇場開場~現在までの舞台写真・公演記録を検索できます。新国立劇場では、オペラ、バレエ、ダンス、演劇など最高水準の現代舞台芸術を発信し続けます。

新国立劇場

 

吉田都芸術監督就任2000年9月。

新国立劇場オープニングの年末=1997年12月チャイコフスキー「くるみ割り人形」を最初として、年末「くるみ割り人形」とプロコフィエフ「シンデレラ」を交替で踊っていた。(1回だけお休みあり)「くるみ割り人形」が2年連続もあり、「シンデレラ」が2年連続もあり。だが、3年連続はどちらも無かった。


新国立劇場オープニング最初の演目=チャイコフスキー「眠れる森の美女」主役に招聘されたのが、英国ロイヤルバレエプリンシパル「吉田都 & 熊川哲也」でこの組だけ2日踊った。
次の演目=「くるみ割り人形」で、外国招聘者登場無し であった。翌年末は「くるみ割り人形」で、1999年末アシュトン振付「シンデレラ」で外国から唯一招聘された女性ダンサー=吉田都。アシュトン振付は英国ロイヤルバレエの大道具&衣裳であり、新国立劇場前回「シンデレラ」まで一貫している。
私高本記憶に拠れば、吉田都 は新国立劇場では3種の振付の「くるみ割り人形」は踊っていないように思う。

普通に考えればアシュトン振付英国ロイヤルバレエ版の方が愛着あるように思える。「吉田都ラストダンス」引退公演でも、冒頭で披露していたほど!!!


吉田都は、新国立劇場オープニング以来初の「3年連続年末=くるみ割り人形」


を就任年=2020年末に実施した。翌2021年からは、英国ロイヤルバレエに習って「年末 → 年始 くるみ割り人形」にしている。私高本は 2023 - 2024 は「第9」よりも「くるみ割り人形」聴いた方が多かったので、吉田都戦略に「ハマっている」www
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新国立劇場芸術監督は誰が適任か?(No.2862)

2024-05-22 14:07:50 | 批評
「椿姫」もうすぐ初日 MDR-Diary
昨日批評掲載した新国立劇場ヴェルディ「椿姫」合唱指揮者=三澤洋史 の5月13日ブログである。
読んで頂ければお判りの通り、

  1. 指揮=フランチェスコ・ランツィロッタ は5月12日のオケ稽古から全力疾走
  2. 【ヴィオレッタ】中村恵理、
  3. 【アルフレード】リッカルド・デッラ・シュッカ
  4. 【ジェルモン】グスターボ・カスティーリョ

は全員、私高本が記載通り、一流なのである。尚、「椿姫」公演は5月12日オケ合わせ、13日衣裳付きオケ合わせ=実質GPである。16日が初日。
指揮者=フランチェスコ・ランツィロッタ の新国立劇場合唱団評価はこちら。フランチェスコの指揮する「椿姫」 MDR-Diary


新国立劇場歴代芸術監督である。

芸術監督

新国立劇場では、オペラ、バレエ、ダンス、演劇など最高水準の現代舞台芸術を発信し続けます。

新国立劇場

 

バレエ → バレエ出身
演劇 → 演出家
オペラだけ オペラ歌手 → 前ウィーン国立歌劇場制作部長 → 指揮者 と定まっていない。

五十嵐喜芳 → トーマス・ノヴォラツスキー が転機だった。太郎さんブログ。

ルル事件の背景・2(新国立劇場とは?) - TARO'S CAFE
ルル事件の背景・3(ノヴォ氏って誰?) - TARO'S CAFE

記事にある通り、

ノヴォラツスキー は前任者=五十嵐喜芳 並みの歌手起用が出来なかった


ルル第3幕を歌えなかった 佐藤しのぶ が原因で、前売りチケット払い戻し希望者に全額払い戻しは前代未聞で1997-2024で唯一


も加えておきたい。私高本 もS券払い戻して、廉い4階席購入して聴いた。高い席だけでなく、廉い券派も バンバン払い戻したからである。第3幕歌えない ルル が第2幕まで、まともに歌えるとは思えないからなあw
4階席まで 佐藤しのぶ の声は微かにしか届かない上、「ベルクは微分音では作曲してないよな」という程の音程の無さ。
  この機をきっかけに、ノヴォラツスキー は全てのオペラ関係者&オペラファンから愛想を尽かされた。


太郎さん と 私高本 が意見が違うのは、

五十嵐喜芳芸術監督時代は演出も良い。「メトロポリタンオペラの縮小再生産」は成功した。ワーグナー「指輪4部作」も五十嵐喜芳芸術監督2年目開始の壮大なプロジェクト


五十嵐喜芳時代は、歌手も演出も良かったのである。

五十嵐喜芳芸術監督時代は「余った予算で指揮者を呼ぶ」と揶揄された。ソリストアンサンブル、オケ、合唱が悪かっただけ


新星日本交響楽団が東京フィルハーモニー交響楽団に吸収合評されたのが、五十嵐喜芳芸術監督時代である。

指揮者ブーイングが多発したのが 五十嵐喜芳芸術監督時代の特徴


ソリストはブラヴォーが降り注ぐ公演で、指揮者ブーイングが荒れたのである。


次は誰? と思っていたら、指揮者=若杉弘 になった。オケがコケるほど、指揮者は悪かったので、止むを得ない。これ以降、オペラ芸術監督は指揮者が継続し現在に至る。

指揮者は「歌い易さ」に興味薄いので、(尾高忠明芸術監督を除き)「歌い難い演出」続出中


が最大の課題。

・歌手芸術監督 → 「歌手優先」「歌い易い演出優先」 → アンサンブルが悪い
・指揮者芸術監督 → 「指揮者優先」「歌手優先」 → 演出が歌い難い

バランスの問題。現在「指揮者芸術監督」が延々と続いているので、次期芸術監督は「歌手芸術監督」を期待する。
藤原歌劇団 折江忠道総監督も、二期会 黒田博幹事長も歌手出身である。
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新国立劇場ヴェルディ「椿姫」2024.05.16初日批評(No.2861)

2024-05-21 06:36:07 | 批評

2015年5月10日初演以来、全く「受けていない」ブサール演出ヴェルディ「椿姫」をいつまでも未来永劫再演するつもりか! 新国立劇場


主役3名 : 【ヴィオレッタ】中村恵理、【アルフレード】リッカルド・デッラ・シュッカ、【ジェルモン】グスターボ・カスティーリョ は充分に歌っているのに、終演後今回も1人もスタンディングオベーション無しで盛り上がり皆無となった新国立劇場ヴェルディ「椿姫」。脇役も責任を果たしている。指揮=フランチェスコ・ランツィロッタ、東フィル、新国立劇場合唱団もきちんと演奏している。何故か?

ブサール演出が極めて不味く、反響板皆無で少し後ろで歌うだけで(合唱以外は)響きが貧弱に客席に届き、特に第3幕は、最後の最後にヴィオレッタが前に出て死ぬシーン以外全部が全部奥歌いで響かなかったから


  第3幕は、反響板が無いだけでなく、ヴィオレッタの病床代わり=ピアノ を奥に配し、その手前に「これだけは」木製で、ピアノ「だけ」を見せる穴が開いた板を全面に置く。中村恵理 は横たわっている上、声が遮られる。アルフレート や ジェルモン は、厚い遮幕の向こうで歌うので、更に聴こえない。
 これは惨い><

演出で最も悪いのは「主役の歌を邪魔する」演出である


  まさに、ブサール演出「椿姫」そのものである。


ブサール演出「椿姫」一式は即焼却廃棄して欲しい。2002年9月5日初日ヴィオレッタ=アンドレア・ロスト の ロンコーニ演出が残っているなら、戻して欲しい。1階客席総立ちのスタンディングオベーションであった演出。
もし、ロンコーニ演出が廃棄済ならば、粟国淳演出(2019.01藤原歌劇団)、原純演出(2022.01足利オペラ・リリカ)のどちらかを起用して新演出して欲しい。歌を邪魔しない演出である。




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ヴァルチュハ指揮読売日本交響楽団マーラー交響曲第3番2024.05.19批評(No.2860)

2024-05-20 10:22:20 | 批評

マーラー交響曲の「壮大さ」を十全に表したヴァルチュハ指揮読響



  2022年8月に初共演した ヴァルチュハ と 読響。マーラー3番とメンデルスゾーン3番の交響曲を振ったのだが、最も強く印象に残ったのは ピアノ=河村尚子 ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 作品15 のピタリと合わせ、オーケストラを充分に鳴らしながら、ピアノを映えさせる 伴奏技術であった。ブラームスの後に、メンデルスゾーンはブラームスが記憶に残り易い。マーラー交響曲は終曲第4楽章は良かったのだが、そこまでが今一つだった。

マーラー交響曲第3番は、第4番までの「角笛交響曲」中、飛び抜けて演奏頻度が低い。第2番「復活」と比べて合唱や独唱が多いワケでも無いのに、圧倒的に演奏頻度が落ちる。何故か?

マーラー交響曲第3番は、長大 かつ 焦点が絞り難い曲。過去名演は インバル指揮都響「第2回マーラーツィクルス」しか聴いたことが無い



ライブ録音CDになる出来だった。Amazon.co.jp: マーラー:交響曲第3番: ミュージック
何度か聴いてはいるのだが、生涯で1回だけか? と思っていたら、ヴァルチュハ+読響にて聴けたのは幸運。

第1楽章の咆哮から開始されて、第4楽章の静寂さを経て、静寂開始の第6楽章の超巨大なダイナミクスを表現は圧倒的



これで、バンダ=ポストホルンが複数回コケていなかったら、ライブ録音クラスであった。21日サントリーホール公演では、ポストホルン 交替して欲しい。
16型オケ、東京少年少女合唱隊=30名、女声合唱=国立音楽大学=42名。ホルン1番だけトラ付。
週末のチャイコフスキー「悲愴」が楽しみでならない。
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NHK交響楽団第2011回C定期2024.05.17 & 18批評(No.2859)

2024-05-19 10:38:05 | 批評

曲順が逆が良かったメンデルスゾーンプログラム


  休憩無しのN響C定期。メンデルスゾーン「夏の夜の夢」から抜粋で「序曲」「夜想曲」「スケルツォ」「結婚行進曲」、交響曲第5番「宗教改革」のプログラム。「宗教改革」終曲が穏やかな為、終演後の盛り上がりが欠けた。
 前半が「夏の夜の夢」の「結婚行進曲」で派手に終曲したので、前半を「宗教改革」に、後半を「夏の夜の夢」抜粋に配置した方が良かった、と感じる次第である。


 演奏自体は前後半共に良かった。ただ、「宗教改革」が盛り上がらない曲なので、終演後はサラサラ。初日は拍手が直ぐに鳴り止み、解散となった。首席指揮者=ルイージ としては極めて稀な終演となった。
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NHK交響楽団第2010回定期初日2024.05.11批評(No.2851)

2024-05-11 23:09:12 | 批評

色彩豊かな「イタリア」を見事に出現させた ルイージ指揮


  レスピーギは、ヴェルディ → プッチーニ → レスピーギ と続く「イタリア人作曲家」である。レスピーギ はオペラ作品が無いので、無視されがちだが、その色彩豊かなオーケストレーションを受け継いでおり、十全にルイージ指揮は発揮した。「ローマ3部作」は休憩無しに作曲順に「噴水 → 松 → 祭」で一気に演奏されることが普通だが、これだと「最も盛り上がる 松」終曲後が盛り上がらない。ルイージは冒頭に、世界初演がルイージ指揮&改訂版世界初演もルイージ指揮 の パンフィリ「戦いに生きて(日本初演)」を置き、「松(休憩) → 噴水 → 祭」と演奏した。「松」で万上の拍手&ブラヴォーの嵐となり、後半の「噴水 → 祭」も名演を生み、ブラヴォーの嵐となり、一般参賀となった。
  今日は、全席完売に近い。明日も「本日が良かったから再度聴く」人中心に当日券売れる予感。私高本も明日も聴く。
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新国立劇場「ラ・バヤデール」2024.04.28-05.03 全4キャスト批評(No.2843)

2024-05-03 20:07:07 | 批評
第3幕「影の王国」32名女性群舞を「売り」にした新国立劇場バレエ「ラ・バヤデール」。群舞は32名の内、数名が交替するだけで、トップを「3名のヴァリエーション」が基本2組が踊るので、ツートップばかり売れ切れた、両日共に。
4キャスト全て観た。4/27, 4/28夜, 4/29, 5/3 。脇役含め全キャストである。

第1幕〆の「ニキヤ と ガムザッティ の恋敵対決」描写が、客席反応の全てを支配した ラ・バヤデール。米沢ニキヤ+木村ガムザッティ が圧倒的に支持された



新国立劇場営業は勘違いしている。「影の王国」は「0 → 1」にするだけ。第1幕ラストの長い「ニキヤ と ガムザッティ の恋敵対決」が最重要。会員向け雑誌「ジ・アトレ」1月号冒頭で4頁カラー写真9枚使った「木村唯 X 渡邊峻郁 X 木村優里 鼎談」で語り合ったこの組が「最も良い出来かな?」と事前に感じていたが、圧倒的な差が付いた。4/28夜の観客の盛り上がりは半端無い。第1幕終了が盛り上がっただけでなく、第2幕の黄金の神像&壺の踊りもブラヴォーだらけ、第3幕指揮者登場までブラヴォーが飛ぶ。黄金の神像は、初日4/27奥村 の方がきちんと踊れていたのだが。
  これから観る人には、米沢組がお薦め。前売り全席完売だが、明日10:00「戻り券&Z席」が出る。


柴山・速水・木村組は、米沢・渡邊・木村組に次いで良かった。「意地悪な木村ガムザッティに殺意を抱く」が米沢より少し薄かった。客席反応も、米沢組の次に盛り上がり。

・小野組
・廣川組

は冷静な反応。廣川組は「4階からブラヴォーが上演中&終演後一切飛ばない」静けさ。客入りの差かも知れない。


黄金の神像について。
4名中、奥村プリンシパルだけが崩れなかった。他3名は同じ箇所=左手支えに足を横向き左脚下にする で崩れた。金色の塗り? に滑っているかのようだ。危険なので、明日から振付変更して欲しい。怪我人出てからでは遅い。

第2ヴァリエーション3名 = 池田理沙子・金城帆香・山本涼杏 は「中央ポジション」を映えさせていた。見応え3名共ありました。
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