Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

2012.03.30日本モーツァルト協会例会 批評 本編(No.2025)

2012-03-31 22:48:13 | 批評
 モーツァルトは、「弦楽三重奏曲」は確か K.563 1曲のみしか作曲していなかった、と記憶している。(編曲モノはあるのだが、、、)ベートーヴェン は5曲、シューベルト は2曲。ハイドンは 0 だったと記憶している。この

ウィーン古典派4名全員中、『弦楽三重奏の最高傑作 = モーツァルトK.563』は誰も異論無い!


 ハイ、「シューベルト狂 = 私高本」も認めますし、「ベートーヴェン狂」も認めると思います。弦楽四重奏曲だと掴み合いの喧嘩になると思うが(爆


 ・・・で、「モーツァルトK.563」をメインに「演奏会」を組もう、とすると極めて大きな困難にブチ当たる。プログラミング があまりにも難しいからだ! ベートーヴェン や シューベルト の3重奏と組み合わせるか? モーツァルト の2重奏と組み合わせるか? モーツァルト の編曲モノと組み合わせるか? モーツァルトの弦楽四重奏曲と組み合わせるか?

 どれもが一長一短あり、難しい。私高本もこれまで K.563 の演奏会を聴いて来たが、満足したことは1度も無かった。CDでは「アマデウス弦楽四重奏団盤」「ビルスマ盤」の2種類は満足しているので、『実演名演の少ない曲』の烙印を(これまで)捺して来た。だが、

藤原浜雄 + 鈴木康博 + 毛利伯郎 のモーツァルトK.563 を聴いて、「実演」でも名演が聴ける名曲! を産まれて初めて実感した!


 何が良かったのか?

  1. アーティキュレーション の切れ(直前の「3大交響曲」の余韻がジンジン伝わってくる!


  2. 「声部バランス」の良さ!


  3. 内面から湧き出して来るリズム感の躍動


  4. 囁きかけるピアニッシモ



 以上が全てである。何時間掛けて舞台に掛けてくれたのだろうか? 信じられない高みに達していた。

 本プログラム終演後、(前半の2曲とは全く違う)盛大な拍手の歓迎 + ブラヴォー。最も若い ヴィオラ鈴木康博 の興奮した様は印象的。


 前半の 弦楽四重奏曲 K.173 + K.590 について。完全に「プログラムビルディング上の時間調整のためのプログラム」だった。確かに 弦楽三重奏の編曲モノや弦楽二重奏よりは名曲である。藤原浜雄 は「弦楽四重奏曲の名曲中の名曲 = K.387 と K.421」は避けて、選曲した(爆
 「知り尽くしているな!」が実感。特に悪い点は無いのだが、『感動に至る』水準では無かった > 前半の弦楽四重奏曲。

 第2ヴァイオリン = 鈴木理恵子 も納得しての演奏会だった、と思う。なぜなら

2012.03.31 が「藤原浜雄 読響ソロ・コンサートマスター退任」の日であり、直前の記念すべき演奏会!


を充分に知っていた、と推定できるからだ。モーツァルト は不思議な作曲家であり、『楽器』によってピークが来る瞬間が違う。「ピアノは K.511」だが、「交響曲は K.551」だし、「弦楽四重奏曲は K.387」であり、「クラリネット曲は K.581」である。弦楽三重奏 は1曲しか無いので K.563 がピークだ!(爆

 後継者のベートーヴェン も シューベルト も越せなかった「弦楽三重奏の規範」が K.563 である。この曲の名演を聴かせてくれて本当にありがとう。「藤原浜雄 の大傑作」を読響ソロ・コンサートマスター時代の最後の最後で置いて行ってくれたことに感謝するばかりである。
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2012.03.30日本モーツァルト協会例会 批評(No.2024)

2012-03-30 23:51:48 | 批評

圧倒された 藤原浜雄 + 鈴木康博 + 毛利伯郎 の モーツァルト弦楽三重奏曲ディヴェルティメント K563


 聴いた通りに書く。前半は「付け足し」だった。日本モーツァルト協会主催公演なので、「本プログラムは全てモーツァルトでお願いします」みたいな要請があったのだろう、と思う > アンコール はベートーヴェンだったし。
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本日はご来場ありがとうございました(No.2023)

2012-03-29 23:54:46 | ピアニスト・佐伯周子
 本日ご来場頂きました皆様には、心より感謝申し上げます。演奏は楽しんで頂けましたでしょうか?


 3/16の「本番会場リハーサル」からは想像も付かないほど、本番は盛り上がった。猫頭=私高本 の想像力欠如が原因だろうか? その後の13日の「佐伯周子 + 草冬香 の精進」の成果だろうか? わからない。
 「事前リハーサルを聴かせてもらった身内」なので、『批評』は書けない。(あぁ、書いている「ゲンダイオンガクヒョーロンカ」はいっぱいいるじゃんw)
 特に印象に残った2曲についてだけ簡単に記す。

2つの性格的行進曲ハ長調D968B


 この曲集を「1つのまとまり」と感じての録音は過去皆無だと思う。実演はわからんよなあ。「草冬香(プリモ) + 佐伯周子(セコンド)」のペアは、第1番 → 第2番 を「アタッカ(休み無し)」で続け、第2番にのみ存在する「コーダ」の説得力を増した演奏。おそらく「世界中で録音皆無」の演奏だったと思われる。特にエンディングへの盛り上がりが素晴らしかった!

イタリア風序曲ニ長調D592


 この後「魔法の竪琴」序曲D644 → 何も手を入れずに転用「ロザムンデ」序曲 → 交響曲「グレート」へ転用 の道筋を辿った名曲(よいうよりも迷曲?)がこれ。これまで「一切ピアノ連弾版は録音無し」の曲(と私高本の調査では思っている)だが、「オーケストラ版に匹敵する、 または 超越した名演」だった。シューベルト自身が「手を入れた箇所」も確かに効果有ったし。


 ご来場の皆様、ありがとうございました!
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佐伯周子 これからの演奏会予定(No.2022)

2012-03-28 21:35:37 | ピアニスト・佐伯周子
 佐伯周子 は明日3/29のシューベルト連弾ジョイントコンサートに出演する。その後、「来年2013年1月31日 = シューベルト誕生日コンサート」の 告知 をした。
 加藤さんから以下のご指摘を受けた(汗


佐伯さんのシューベルト全曲は次回はVol.10だと思うのですが (加藤)



2012-02-04 23:29:07
いつも佐伯周子さんのシューベルトを楽しみにしています。
確か前回がVol.9だったので、次はVol.10になるはずですが、私の勘違いでしょうか?


 加藤さんのご指摘の通りです。

佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会近過去未来



  1. 2011.03.28 第9回 東京文化会館小


  2. 2012.08.16 第10回 東京文化会館小


  3. 2013.01.31 第11回 東京文化会館小



となります。既に「第10回は告知済」と思っていたのが、私高本の猫頭であり、いくら探しても見付からなかった。「下書き原稿」さえ無かったので、これは「脳内のみの掲載」だった(爆涙


佐伯周子 今後の演奏会予定



  1. 2012.07.11 佐藤雄太(T) + 佐伯周子(p) デュオリサイタル シューベルト「美しき水車小屋の娘」全曲 桶川市民ホール響の森(JR高崎線桶川駅西口スグ)


  2. 2012.08.16 シューベルトソロ曲完全全曲演奏会第10回 東京文化会館小


  3. 2012.10.18 老田裕子(S) + 佐伯周子(p) デュオリサイタル マーラー「子供の不思議な角笛から1899年版」全曲 音楽の友ホール


  4. 2012.11.04 老田裕子(S) + 佐伯周子(p) デュオリサイタル マーラー「子供の不思議な角笛から1899年版」全曲 兵庫県立芸術文化センター神戸女学院小ホール


  5. 2013.01.31 シューベルトソロ曲完全全曲演奏会第11回 東京文化会館小



以上でございます。
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2012.03.06小倉貴久子「モーツァルトのある部屋」第1回昼公演批評 後編(No.2022)

2012-03-24 19:24:44 | 批評
(私高本の「体力の無さ」には泣けてくる。地元なので同級生とときどき顔を合わせるのだが、実年齢以上に体力が無い。「中編」の続きを2日も落としてしまった。3/29の「佐伯周子シューベルト連弾演奏会」を無事に迎えられるのだろうか?)


 「第1回」への 小倉貴久子 の力の入れ方は信じられないほどだった。

ソロ曲最高傑作=「幻想曲ハ短調D475 + ソナタハ短調D457」 + ピアノ3重奏曲唯一の大傑作 変ロ長調D502」を並べる最強布陣!


だったからだ。モーツァルトファンにも知られていないが「ピアノ3重奏曲D502」は、ベートーヴェンが終生越せなかった(と私高本が感じている)大傑作。摩訶不思議なことに、次作以降は全くスカだし、前作はさらに不出来なのだが(泣

小倉貴久子 は「ピンポイントで D502 だけ」演奏!


である! これは凄い!! 凄過ぎる!!!


 演奏が開始された。「ロンドン音楽帳」から「アレグロ ヘ長調K.1c」。快活な曲! 続いてコジェルフ ソナタ ハ長調作品15-2。正直に書く。どうってことのない曲である。感動も無いが、怒ることも全く無い曲。「定形通りに進んで行く」が素直な感想。(印象批評である><)
 その後の モーツァルト「幻想曲K.475 + ソナタK.457 ハ短調」の緊張感あふれる名演は(前プログラム2曲からは)予兆が無かった。いきなり「モーツァルトの最高傑作」が呈示された、が偽らざる感触。

 ここで「近江楽堂の音響」について明細を語りたい。『小倉貴久子が フォルテピアノ奏者としての本領を聴いて欲しい!』と願っただけの素晴らしい音響空間である。

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2012.03.06小倉貴久子「モーツァルトのある部屋」第1回昼公演批評 中編(No.2021)

2012-03-21 17:24:28 | 批評
ここで

小倉貴久子の「モーツァルトのある部屋」に話題を飛ばす


 プログラムビルディングを見て、驚き、感動し、涙した。なぜか?

『モーツァルトのピアノ曲のピーク = K.511のロンド』であり、その直前の「大作」が第1回~第3回に並べられている!!!


 正確に言えば、第2回は「唯一のパリ・ソナタ=K.310」を用いている。この曲は「例外的な大傑作」なので、納得するよなあ。

 このシリーズについて、小倉貴久子 は コジェルフ とか ハイドン とか J.C.バッハ について「ばかり」語っているが、「私高本の眼」には

「モーツァルトの最盛期の最高傑作」を並べたラインナップで、『モーツァルトがメインディッシュ』!


にしか見えない。(糖尿病ではあるが、まだ網膜症にはなっていないことをここに明記して置く。)
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2012.03.06小倉貴久子「モーツァルトのある部屋」第1回昼公演批評 前編(No.2020)

2012-03-20 17:53:39 | 批評
 小倉貴久子の新シリーズ「モーツァルトのある部屋」を聴いた。

「大演奏家=小倉貴久子が天へ向けて羽ばたく瞬間」を聴いた!


と感じた。私高本は「猫頭評論家」なので、これから書くことが正しいか? 正しくないか? は、読者の皆様が(今後の 小倉貴久子 の活躍をも含めて)決めることである。外していたら「お笑い」、まさに「風車に突進するドン・キホーテ」である。笑ってやって下さい(爆
 まず最初に決然と述べる。

  1. モーツァルトは「詳細批評」
  2. コジェルフは完全な「印象批評」

である。「コジェルフをナマで聴いた」のは、この日が初めてだからなあ(爆


 私高本が「小倉貴久子」を批評で取り上げるのは、約10年ぶりである。ヨーロッパ留学で、ブルージュ国際古楽コンクール の「アンサンブル部門」と「フォルテピアノ部門」でそれぞれ「第1位優勝」の栄冠に輝き、帰国して「デビューCD」発売前後にいろいろと聴かせて頂き、その活躍を紹介していたのだが、その後『私高本側の都合 = モダンピアノの「川上敦子のモーツァルトピアノソナタ全曲演奏会」実施』に伴い、「古楽器演奏によるモーツァルト」への興味が大いに減じたことが原因である。「川上敦子のモーツァルトソナタ全曲」は完遂したのだが、直後に「家業の社長業引継ぎ」のために演奏活動から川上敦子が手を引いてしまったことは、私高本の心の痛手となり「モーツァルトのピアノ曲演奏会」は、つい先日まで敬遠していた。(← 本当)

偉大なラフマニノフ弾きピアニスト = 上野優子 が、「日本モーツァルト協会2012年4月例会」でソナタを4曲弾く! と言うので、日本モーツァルト協会入会したのが2011年夏


であった。「上野優子のモーツァルト」は私高本の感性とは違うのだが、「上野優子のピアニズム」の魅力は大きい。大枚4万円をツッコんで入会した。「全10回のラインナップ」も魅力あったし。
 ・・・で、「小倉貴久子のモーツァルト」が年度(2011-2012シーズン)にあったのだ。「ピアノソロ」でなく「室内楽」でもなく「協奏曲」なのだが「ピアノ協奏曲の室内楽版」であった。演奏会を聴いた。2011年10月20日のことだった。

2011.10.20に聴いた小倉貴久子は「約10年前に聴いた小倉貴久子とは別人かのように説得力があった」が違和感が残った


が実感。大晦日まで悶絶して「批評が書けるかな?」と思ったが、結局書けなかった。全ては「私高本の猫頭」が原因である(泣
 「演奏は素晴らしかった」のだが、『喉に小魚の小骨が刺さった』ような感触だった。「モーツァルトのある部屋 : 第1回」を聴いた後ならば、その「違和感」を詳細批評できる。


 「音楽」は正直なモノである。耳を澄ませば聴こえて来る。この約10年の間、「全く 小倉貴久子 を聴かなかった」ワケでは無い。『メンデルスゾーンのヴァイオリンソナタのCD』『ショパンの協奏曲やソロ』も購入して聴いて素晴らしい演奏と感じた。だが、「帰国後のCDデビュー当時の勢い」を越える演奏には聴こえなかったし、最も重要なこととして

小倉貴久子が「最も演奏したい演奏家 ≠ メンデルスゾーン & ショパン」だと感じた


 勿論、相当に高い水準で演奏しているのだが。この辺りは「佐伯周子のシューベルト」なども気配を感じてほしい。(私高本の文章力が無いから無理かも知れない。何せ「猫頭ヒョーロンカ」だからなあ)


 2011年10月に感じた違和感は以下の通り。

  1. 「音」が会場(東京文化会館小ホール)に「飛んで来ない」。遠い!


  2. 「エルデーディ弦楽四重奏曲」の構成を壊してまでも、桐山建志をヴァイオリンに起用したのか?(エルデーディ弦楽四重奏団ではヴィオラを弾いている!)


  3. 「フォルテピアノの細やかなニュアンス」は伝わって来ない



である。特に「エルデーディ弦楽四重奏団の構成」を破壊してまでのパート指示には「小倉貴久子の強い意欲」を感じた次第である。
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2012.03.13アンサンブル de ヨコハマ定期演奏会II 批評(No.2019)

2012-03-19 16:53:26 | 批評

「ヴィヴァルディ協奏曲」を満喫できた アンサンブル de ヨコハマ


 パッヘルベル → ヴィヴァルディ協奏曲5曲 → バッハ協奏曲 → バッハ「アリア」(アンコール)で構成された演奏会だったが、『メイン・ディッシュ = ヴィヴァルディ協奏曲5曲連続演奏』が ヴィヴァルディの魅力をたっぷり堪能させてくれた名演であった。

  1. ファゴット = 吉田将


  2. ヴァイオリン = 小森谷巧



の「ソロ協奏曲」3曲では「技巧を聴衆にたっぷり楽しんで頂く ヴィヴァルディ のサービス精神あふれる名演」であり、「弦楽オーケストラのための協奏曲」2曲では、バッハ「ブランデンブルク協奏曲第3番&第6番の先駆者」たる弦楽器同士の旋律の「受け渡しの妙」を聴かせてくれた。年に4回という少ない公演数の団体だが、息が合っていたことは特筆しておきたい。
 また、プログラムノートがとても面白く、聴衆の興味を引き出すように書かれている。在京オケのプログラムノートでも、ここまで面白いモノは少ない。
 最後の バッハ「ブランデンブルク協奏曲第3番」で「第1ヴァイオリン=3本、第2ヴァイオリン=2本、第3ヴァイオリン=2本」でぶ厚く響かせた演奏は私高本は初めて聴いた。バッハ指示通り、各1本の方が「協奏曲」らしい演奏になると思われる。
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シューベルト演奏に於いて大切なモノとは?「小森谷巧のシューベルト」を聴いて(No.2018)

2012-03-18 19:31:20 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 数多くの「演奏会批評」を書き残していることは重々承知している。「佐伯周子のシューベルト」の宣伝もしなければいけないことも重々承知している。しかし、体内から噴出してくる衝動はもう抑え切ることが出来ない。「音楽ヒョーロン界のドン・キホーテ=私高本」が風車小屋に向けて暴走します(爆
 衝動が止まらなくなった原因は

「小森谷巧の感動のシューベルト」を2回聴いた上、3/16に「佐伯周子+草冬香の連弾最終合わせ」を聴いたが轢鉄


 小森谷巧、佐伯周子、草冬香 に感謝するばかりである。(小森谷さん、ヴィヴァルディの批評はもう少し待って下さい><)


シューベルト演奏に於いて大切なモノとは?



「小森谷巧のシューベルト」はそれはそれは「ピアノ~ピアニッシモの音の美しさが際立っている!


 ここで1つ明記しておく。

同じ「シューベルト弾きヴァイオリン奏者=クレーメル」に比べても「シューベルトのピアノからピアニッシモ」に関しては、小森谷巧 の方が美しい


 では、

「なぜ、クレーメルは世界的なソロ・ヴァイオリン奏者として名声を博し、小森谷巧は読響のコンサートマスターに留まっているのか?」と言う素朴な疑問が湧き上がる


 ズバリ書く。

フォルテ音量がクレーメルが圧倒的に大きく、「協奏曲演奏家適性」がクレーメルが上


だからである。小森谷巧 は「ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲では充分な音量で豊に音楽を語れるが、ブラームス や パガニーニ のヴァイオリン協奏曲でクレーメルに比肩する音量が鳴らせる、とは想定し難い」のである。(あっ、「小森谷巧のヴィヴァルディ」を聴かせて頂いたおかげでこの1文が書けています。小森谷さんありがとうございます。) 

 「シューベルトの室内楽」を紀尾井ホールや東京文化会館小ホールで奏でる限りは、小森谷巧 の音量は充分な説得力を持つ。これが「NHKホールでブラームス協奏曲」になると、どうなるのだろうか? 他のヴァイオリン奏者で聴いたことがあるが、なかなか説得力を持たないモノである。近いところでは 昨年12月のN響定期の批評 を掲載しているので、興味ある方はご覧下さい。尚、「クレーメルのシューベルト最新盤」 は、リンク先の4枚組で聴けるので、興味ある方は聴いて下さい。私高本は、協奏作品は初回録音から購入して聴いていますが、「クレーメルのシューベルト」は『シューベルト理解の妨げ』と強く感じている次第です><

「クレーメルのシューベルト」は『やたらと鳴らしているだけ』


です。「小森谷巧のシューベルト」を聴くと、どうしても1人でも多くの人に「伝えなければならない」使命感に駆られました。「クレーメルのシューベルト」はスカだからなあ(爆
 ちなみに「小森谷巧のシューベルトCD」は私高本は聴いていないので、何とも言えないのだが、「ジャケット写真 + 十勝の音楽事情」を熟知している私高本としては、「ピアノサイズが、もしかしたら寸詰まりピアノでの録音?」の可能性も高い、ことを附記しておく。もし、購入に際して懸念があれば、直接小森谷巧さんにお尋ね下さい。
 「室内楽」は、「ピアニストの表現の巾」次第でヴァイオリン奏者も(チェロ奏者も)表現の最大幅が決まってしまうからなあ。この辺りは聴いていないモノについては何ともワカラン(泣


 佐伯周子 + 草冬香 の(演奏会当日ゲネプロを除く)最終練習を 草冬香さんのご好意で聴かせて頂いた。本番会場の「カワイ表参道パウゼ」。「サロン」であり、狭い会場。ご近所の NHKホール とは全く音響が異なる。チラシに掲載されている「シューベルティアーデ」の雰囲気になるのか? 「NHKホールで春の祭典」の雰囲気になるのか?


 「シューベルトの連弾曲」は「タール&グロートホイゼンの全曲録音」以外には良い録音が全く無いのが欠点。さらに言えば

大きくしたくなる「クレッシェンド記号」が多過ぎ


多くのピアニストが「ヴァイオリンのクレーメル」と同じ方向で音楽を作ってCDにしている。「行き着く先」が「fff」に毎回なるならば問題無いんだが(爆

 考えてみれば、連弾に限らず、ピアノソロでもデュナーミクの問題は大きい。

田崎悦子のシューベルト「遺作変ロ長調ソナタ+即興曲作品90」

 田崎悦子は「シューベルト弾き」として1990年代前半に大いに売り出しており、私高本も聴きに行ったが、

「田崎悦子のシューベルト」は音がやたらとデカイだけで汚い


のである。会場のピアノの状態が悪いのか? と思い、CDを会場で購入して聴いた(上でリンク貼ったCD)が、同じ方向の音作りであり、ご丁寧にも『<汚い音の混じったシューベルト>」と書いてあった(涙
 田崎悦子 は、「バルトーク協奏曲」で売りだしたピアニストだった。バルトークのピアノ協奏作品は、ちょっとでも音量が足りないと、オーケストラが被さり、ピアノソロが聴こえなくなってしまう。(特に第1番と第2番)
 田崎悦子 がバルトーク協奏曲演奏会で重宝されたのは「音が大きい」ためである。但し、「バルトークピアノ協奏曲録音」は無かったようで、未だかつてCDを目にしたことは無い。レコーディング では、ゲーザ・アンダ とか ポリーニ とか コチシュ のように「音が綺麗で大きいピアニスト」の盤が人気あるからなあ。
 他に「田崎悦子のシューベルト」で耳につく点は

シューベルトが要求する「リズム感」が全くと言って良いほど、田崎悦子 には欠けていること


音量で「f」と「ff」が(汚いだけでなく)区別が無い


2拍子なのか? 4拍子なのか? 楽譜を見ながら聴いても判別が難しいほど。「躍動感が全く感じられない」


のだ。

 実は「クレーメルのシューベルト」も全く同じである。先にリンク張った「4枚組CD」を聴くと、誰の耳にも明らかだろう。

シューベルトが要求する「リズム感」が全くと言って良いほど、クレーメル には欠けていること


音量で「f」と「ff」が(汚いだけでなく)区別が無い


2拍子なのか? 4拍子なのか? 楽譜を見ながら聴いても判別が難しいほど。「躍動感が全く感じられない」


 結論を述べる。

  1. 指が廻っているだけでは、シューベルト音楽は映えない


  2. 音が汚くては、シューベルト音楽は映えない


  3. 「リズム感」が優れていて初めて、シューベルト音楽は息づく


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2012.03.10 アトリエ まなゐ「松山由紀ソロ・オイリュトミー公演」批評(No.2017)

2012-03-15 23:54:38 | 批評

素晴らしかった 松山由紀の「ソロ・オイリュトミー」!


  私高本は「音楽バカ」なので、「実際に音を出していない方々」については、詳述することは不可能である。これから述べることも「印象批評」の域であるが、「言わずににはいられない強い衝動」に突き動かされたので書く。このようなことは過去に1回しか経験していない。

新国立劇場バレエ芸術監督=ビントレー 就任記念の「ペンギン・カフェ」を含む「トリプル・ビル」を観た時以来!




 「松山由紀のオイリュトミー」かれこれ8年観せて頂いているが、今回ほど

松山由紀が聴衆に直接訴え掛ける情熱がひしひしと伝わって来た公演は初めてだった!


 前半は、サン=テグジュペリ「星の王子さま」より「きつねと王子さま」を『坪井美香:語り、佐伯周子:ピアノ、小関英勇:照明』で、後半はリスト「ロ短調ソナタ」を『佐伯周子:ピアノ、小関英勇:照明』にて、松山由紀 の ソロ・オイリュトミー で演じた。

 「星の王子さま」は絵本も多種多様に出版されているほど、日本だけでなく世界中で愛されている「空」を1つのテーマにした サン=テグジュペリ の文章。日本でも極めて高い人気があり、箱根に「星の王子さま記念館」があり、佐伯周子に連れられて私高本も詣でたことがある。とても夢想的で「夢の膨らむストーリー」が魅力である。松山由紀 を盛りたてる3名の中で、「きつねと王子さま」は語りと照明が主として時間を支配し、ピアノは「クライマックスでのアクセント」に用いられる。主として、フランス系作曲家作品であり、サン=テグジュペリ のストーリーにマッチしている。
 「構成=松山由紀」なので、サン=テグジュペリの原作に最適な構成を考えぬいての選曲。素晴らしい感性! グリーグ「ペールギュント」(名作劇音楽で台本が残っている珍しい例)に触れたような新鮮な感触だった。


 後半の リスト「ロ短調ソナタ」は語りが無く「絶対音楽の権化」と言われる曲を選択。「振り」を付けるのは難しい曲、と思われるが、とても「曲想にマッチした表現」だったのには驚き。


坪井美香:語り、佐伯周子:ピアノ、小関英勇:照明 のサポート も過去公演に比べて圧倒的な説得力を有していた


ことを記しておきたい。
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今後1ヶ月に聴きに行く演奏会予定(No.2016)

2012-03-12 16:01:52 | 演奏会案内
 少々、普段とは違う演奏会が多い(ような気がする)。

  1. 2012.03.13(火)小森谷巧 ヴィヴァルディ&バッハ&テレマン「協奏曲」(横浜みなとみらい 小)


      シューベルト で立て続けに名演を聴かせてくれている 小森谷巧 の「バロック音楽」の協奏曲。ヴィヴァルディ「四季」の「春」全曲が楽しみ!

  2. 2012.03.29(木)佐伯周子 + 草冬香 他「シューベルト連弾」(カワイ表参道「パウゼ」)


      演奏順に

    1. 「ロシア皇帝アレキサンダース1世の逝去を弔う大葬送行進曲」ハ短調D859作品55


    2. 3つの軍隊行進曲より第1番D733/1作品51-1


    3. 2つの性格的行進曲D968B作品121


    4. イタリア風序曲ニ長調D592



     作曲順などについては、このブログを読んで行ってほしい。当日の演奏会曲目解説がどのくらい正確な情報なのかは私高本は全く知らない。「大葬送行進曲」はベートーヴェン交響曲第3番「英雄」第2楽章「葬送行進曲 ハ短調」を手本にした大規模な曲。「2つの性格的行進曲」の演奏が、過去録音では誰もが行なって来なかった新機軸あり。「イタリア風序曲」はオーケストラ版を改良した点が効果あり、の名曲でおそらく日本初演。佐伯周子 はD859 & D592をプリモ(上)、D733 & D968B をセコンド(下)を弾く。

  3. 2012.03.30(金)読響弦楽首席奏者による弦楽四重奏曲+弦楽三重奏曲(東京文化会館 小)


      藤原浜雄 + 鈴木理恵子 + 鈴木康浩 + 毛利伯郎 の豪華メンバー。「素晴らしいアンサンブル」になるのか? 「オーケストラメンバーの余技」になるのか? は全く不明。前者になることを祈る。K173 & K590 & K563

  4. 2012.04.06(金)飯森範親指揮山形交響楽団「モーツァルト:レクイエム」(横浜みなとみらい 大)


      先月大阪で感動的なラヴェル(両手協奏曲と「ダフニスとクロエ」第2組曲)を聴かせてくれた飯森範親が手兵山形交響楽団を率いて、横浜みなとみらいにやってくる! と言うので、早速聴きに行くことにした。しかも「飯森範親 + 山形交響楽団 が最も力を入れている作曲家 = モーツァルト」のレクイエム! 合唱団は 横浜~川崎~大田区 を根拠地に活動している『混声合唱団コーロ・フォレスタ』。飯森の「森」の字から名付けたほどの力の入れよう!!!

  5. 2012.04.16(月)カンブルラン指揮読響定期演奏会「ドビュッシー + ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ」(サントリーホール)


      過去、ラヴェル や ストラヴィンスキー「春の祭典」で名演揃いの カンブルラン + 読響! 佐伯周子も楽しみにしている!!

  6. 2012.04.19(木)八木寿子 モーニングコンサート(東京文化会館 小)


      八木寿子「東京音楽コンクール優勝」のご褒美コンサート。午前11時からなのが私高本にはキツい(爆
    シューマン「リーダークライス作品39」のみが告知されており、私高本も購入したのだが、他の曲は何なのだろう??? 八木寿子 にメールでインタビューして、Piano Music Japan 掲載の予定。(・・・って、協奏曲演奏前にも書いたような気がするんだが、、、)

  7. 2012.04.19(木)日本演奏連盟「Piano × Piano」(東京文化会館 大)


      上記演奏会の同日同一敷地の演奏会。2台8手からソロまで多種多様の曲が並べられ、ピアノ連弾や2台は「常設ペア」から「この日のための組み合わせ」まであり、どんな演奏会になるのか皆目見当が付かない。「当たり!」がいくつか出そうな予感がする。佐伯周子 も聴きに行く。


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突然ですが、「小森谷巧 : バロック音楽の真髄を求めて」を聴きに行く!(No.2015)

2012-03-10 22:21:23 | 演奏会案内
 突然ですが

3/13(火)小森谷巧 ヴィヴァルディ&バッハ&テレマン「協奏曲」


を聴きに行くことにした。「モダン楽器でバロック音楽アンサンブル」は久しぶり。
小森谷巧 の最近の充実ぶりに大いに期待している!
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新国立劇場「さまよえるオランダ人」批評(No.2014)

2012-03-09 18:26:08 | 批評

尾高忠明芸術監督の「目利きの良さ」が主要3役全てが「ワーグナーのフルボリューム」で歌い上げられた「さまよえるオランダ人」


 「オランダ人」「ゼンタ」「エリック」の主要3役全てが圧倒的な声量と正しい音程の持ち主で、5年前の新演出時よりも遥かに質の高い上演となった新国立劇場「さまよえるオランダ人」再演。前回と比較すると

  1. オランダ人 = エフゲニー・ニキティン


  2. ゼンタ = ジェニファー・ウィルソン


  3. エリック = トミスラフ・ムツェック


  4. 指揮 = トマーシュ・ネトピル


  5. ダーラント = ディオゲネス・ランデス


  6. 舵手 = 望月哲也



と「同一キャストの竹本節子」以外の全てが初演出時を上回っていた「驚異の再演演目」となった。

 ・・・のだが、

マティアス・フォン・シュテークマン 演出が「合唱に録音を使用」の上、ハウリングを起こすほどの大音響再生するので、感銘は薄い!


も事実。この大バカタレ演出家 = マティアス・フォン・シュテークマン に来シーズンの「ローエングリン」演出を任せることが既に決定だが、またまた「録音を大音響でハウリング起こしながらの再生」を聴かされるのだろうか? 「ローエングリン」も合唱が非常に重要なオペラなので、大いに懸念される次第である。これだけは避けてくれよな > 新国立劇場

 他に気になった点は、ネトピル の指揮。「完全な歌伴指揮者」でソリスト陣に「付けて行く」のはうまいのだが、器楽部分での「テンポの切り替え」が定まらない。さらに「打点が不明瞭」なので、テンポの変わり目で「ズレ」が度々生じていた。前回指揮者よりも良いのだが、新国立劇場「さまよえるオランダ人」は指揮者には恵まれない演目である。
 いろいろと課題は抱えているものの

尾高忠明芸術監督を信じる次第である。

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2012.03.02 小森谷巧+小森谷泉+古川展生 シューベルトの夕べ 批評 後編(No.2013)

2012-03-08 23:03:30 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 2曲目は、古川展生(チェロ) + 小森谷泉(ピアノ) でアルペジオーネ・ソナタD821。演奏スタイルがガラッと変わり、古川のチェロは「ピアニストが右ペダルを踏んだ」ようにチェロを歌わせる。例えば第1楽章第13小節の3拍目の8分休符を休まずに歌わせる。その結果、ピアノが第4小節で呈示した主題が「より歌い上げられる形でのチェロの確保」になる。古川の魅力は「美しい音色」を駆使してロマンティックな曲調を滑らかに綴って行くことだ。テンポは大きく揺らす。デュナーミクはフォルテも「美しい音色の範囲」に抑え目。ピアノ方向も「充分に響きを保てるところまで」で絞り方は少なめ。テンポの揺れが大きいので、「3楽章のソナタ」と言うよりも(後半は序奏付きの)「2つの性格的中品」の感触。小森谷泉のピアノも古川に合わせての音量なので、曲のスケールがヴァイオリンソナタ第3番の方が大きく聴こえたが、これは私高本には意外だった。


「後期シューベルトの名作」を堪能した ピアノ3重奏曲変ホ長調作品100 D929


 休憩を挟んで、プログラム後半は ピアノ3重奏曲D929。ヴァイオリン+チェロ+ピアノ のトゥッティで開始される シューベルトの大規模な「ソナタ楽曲」の中でも最も雄大な構想で作曲された中の1曲として有名だが、「シューベルトの大きな構想力」を見事に聴かせてくれた演奏だった。

小森谷巧 + 小森谷泉 兄弟が骨格を作って行き、古川展生 が呼応して行く演奏


であり、テンポは「基本テンポ」が推進力を保って、「ベートーヴェンのピアノ3重奏曲やヴァイオリンソナタの規模を大巾に上廻る大作」を構築して行く。(ベートーヴェンに限らず、後世のメンデルスゾーンやブラームスやチャイコフスキーなども含めて「ピアノ3重奏曲」分野でシューベルトよりも大規模な曲を作曲した人は皆無!)

 演奏する「稿」が問題になることが多い曲の1つだが、「初版楽譜 = 改訂版」で演奏され、「引き締まった終楽章」を実感。できることならば、変ロ長調の方のピアノ3重奏曲(D898作品99)も是非是非 小森谷巧 + 小森谷泉 の組で聴いて見たいモノだ。


 小森谷巧 の演奏活動は極めて活発。

3/10(土)に サンサーンス「動物の謝肉祭」オリジナル版など、3/13(火)に ヴィヴァルディ&バッハ&テレマン「協奏曲」


 ここだけの話だが、3/10は先にこの演奏会を知っていたら、(佐伯周子のリストを外して)聴きに行ったかも知れない。多摩川向岸で晴れていれば自転車で行けるホールじゃないか!(泣
 サンサーンス「動物の謝肉祭」オリジナル版は演奏頻度が意外に少ない曲。(大型オーケストラ版の方が多い、印象) 名手 小森谷巧 で聴けるのがわずか数キロ先で・・・

 ヴィヴァルディ & バッハ & テレマン「協奏曲」は、小森谷巧 と 読響ファゴット首席の 吉田将 が独奏を務める。『アンサンブル de ヨコハマ』の定期演奏会。小森谷巧 が「弾き振り」というよりも「リーダー」を務める、と言った方が良いのかも知れない。
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2012.03.02 小森谷巧+小森谷泉+古川展生 シューベルトの夕べ 批評 前編(No.2012)

2012-03-06 20:30:02 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

圧倒的な感銘を受けた 小森谷巧 + 小森谷泉 シューベルト:ヴァイオリンソナタ第3番ト短調D408


 今年1月にヴァイオリンは同じ 小森谷巧 で、ピアノが 今川映美子 で、名演を聴いたばかりの シューベルト : ヴァイオリンソナタ第3番ト短調D408 で「さらなる上を飛翔する演奏」にわずか2ヶ月で出会えるとは思ってもいなかった。
 冒頭のトゥッティのフォルテ直後の第4小節の ピアノ=小森谷泉 の「ピアノ」の美しいこと! 第18小節からのヴィオリンのトレモロの中でピアノが奏でる第2主題の「(強弱の)ピアノの足取り」楽しげなこと! 呈示部終結ではこのソナタ唯一の「pp(ピアニッシモ)」が(勿論ヴァイオリンには弱音器も付けずに)はっきりと誰の耳にもわかるように「囁く」。第1楽章に限らず全4楽章が「繰り返し指示」に従ったが、唯一

シューベルトヴァイオリンソナタ第3番ト短調D408第3楽章メヌエット主部終結の第37-38小節を「トリオへの進行」の際だけ省略して、トリオ後再現時のみ演奏、は初めて聴く解釈!


 ベーレンライター新シューベルト全集の校訂報告にも掲載されていないので、私高本には「それ以降の最新情報」は全くわからない。効果抜群だったことはここに記す。終楽章は「シューベルトがソナタで初めて完成したソナタ形式終楽章」だが、『力感みなぎるシューベルト像』が見事に描かれた。小森谷巧 は先日の 今川映美子 との共演時を凌ぐ名演を聴かせてくれた。これは、経験を積んだ蓄積なのか? 兄との共演は遺伝子が共通していて感受性がより近いからなのか? はわからない。過去に何度も聴いた曲で「ソナチネ」とも呼ばれる曲が(後期作品の長さこそまだ持っていないが)集中力の高い名作の名演であることを聴けた喜びは何にも代えがたい。(以下、後編に書きます)
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