Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

『第3グランドソナタはどれ?』 その5(No.1685)

2009-09-29 20:23:17 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 連弾ソナタ ホ短調D823 は、長い間「フランス風ディヴェルティメント」と表記されて来た。『第1楽章初版出版の時の題名』が原因である。誤表記では無い。「第1楽章」が「第2&第3楽章」と切り離されて出版されてしまった曲なのである!!!



『フランス風動機に拠る華やかな行進曲風でしっかりした形式を持つディヴェルティメント』(角野裕・角野玲子訳)


 これが『初出版時の第1楽章の標題』である。

しっかりした形式 = ソナタ形式


は内容から明白である。他の形式は全く考えられない!


 1826.06.17に第1楽章が出版された時に、第2&第3楽章の作曲が完了されていたのかどうかについては、現在も学者の統一見解は無く、新シューベルト全集を読んでもはっきりした見解は掲載されていない。新シューベルト全集の D823 の出版は30年以上も前だから無理ないか???


 「第1グランドソナタ」「第2グランドソナタ」が共に「ピアノソロソナタ」だったので、盲点になっている。しかし、この D823 は「第3グランドソナタ」の有力候補の一角を担っているのだ!
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批評「松岡万希」ソプラノリサイタル(No.1684)

2009-09-25 23:25:45 | 批評
 本日、東京文化会館「モーニングコンサート」を聴いた。私高本は「午前中から演奏会場に行って演奏会を聴く」習慣が全く無かったので、演奏会当日まで「前売券」を買えなかった(爆
 運良く早起きできたので、当日券を買い求めて聴くことが出来た次第である(爆



●朝っぱらから「ソプラノリサイタル」って大丈夫?

と言うのが、初めに演奏会情報を入手した時の偽らざる感想。ソプラノ&テノールは「起床してから時間が経たないと高音が伸びない」は、誰もが知っている事実。正直これはビビった原因です > 前売り券買えなかった


 ・・・で、

2004年 「第2回東京音楽コンクール」声楽部門第1位優勝 = 松岡万希


である。2006年度から「イタリア公費留学」していて、日本に帰国して間もない演奏会! これを逃してはならないだろう!!



  1. シューベルト:「ます」
  2. ヘンデル:「ラルゴ」
  3. ヘンデル:「涙の流れるままに」
  4. 佐々木すぐる:「月の沙漠」
  5. 多但亮:「宵待草」
  6. アーン:「わたしがとりこになったとき」
  7. アーン:「クロリスへ」
  8. コットラウ:「サンタルチア」
  9. デンツァ:「フニクリ・フニクラ」
  10. ロッシーニ:「ナポリのタランテッラ」
  11. プッチーニ:「私の大好きなお父さん」

と言うプログラム。ピアノは野山真希。


 結果から言おう。松岡の冴えたトークと歌が交互に聴けた演奏会であった。400名は遙かに越す聴衆(おそらく500名超)が 11:00 に来ていたのにも驚愕! 東京文化会館の集客力には(コンクール開催などの努力も含め)脱帽するばかりである。



息の合った歌唱がジャンルの垣根を越えて次々に現れる快感!


 松岡の美点はここに尽きる。プログラムだけ見ると「何でも屋?」とさえ感じる巾広いプログラムだ。言語だけでも「ドイツ語、イタリア語、日本語、フランス語」と4ヶ国語にもなる。最も流暢だったのは(日本語ではなく)イタリア語だったように聞こえた。特に「滑舌」が必須のロッシーニの素晴らしかったこと!!!


 コンクール優勝時と同じピアニスト = 野山真希 とは名前が全く同じ「まき」である。字は違うが。この2人の息の合い方は「同じ空気を吸う」がまさに目の前で繰り広げられた。ロッシーニの入り組んだ作品ばかりでなく、日本歌曲でもこれほどの「間が取れるコンビ」は珍しい。ちなみに 野山真希 の演奏にも深く感動した。特にシューベルトとロッシーニ。
 この2人で来年には(同じ東京文化会館で)フルタイムのリサイタルが開催されるとのこと! これは逃さずに聴きに行くしかないだろう > 午前のリサイタルでは無いだろうから
 
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ショパンの"f" ショパンの"p"(No.1683)

2009-09-13 21:15:51 | 作曲家・ショパン(1810-1849)
第16回国際ショパンコンクールが来年開催される。私高本が初めてFMラジオで聴いたのが、1975年 = 第9回。聴く前が8回、聴き始めた後が今回で8回目、私高本も年を食ったモノだ(爆
1927年が第1回。う~ん、私高本が聴き始める前の方がさすがに間隔が空いているか! 良かった(爆


ショパンの音楽を久しぶりに集中的に聴いて感じたことがある。本日号の標題の『フォルテとピアノ』の件である。

ショパンは「シューベルトよりも後に産まれ、後に死んだ作曲家」であるが、デュナーミク表示はシューベルトよりも大まか


である。マジでだ。

  1. シューベルト : ppp~fff、「mfあり」の7段階

  2. ショパン : ppp~fff、「mfなし」の6段階


だからである。マジ?!
 「ピアノという楽器」はショパンやシューベルトの生きていた時代は「日進月歩」であった。ショパンもシューベルトも「最新のピアノの性能」を最大限に生かす曲を作曲している。シューベルトだと、「さすらい人」幻想曲 作品15 D760 とか ピアノソナタ第17番ニ長調「第2グランドソナタ」作品53 D850。ショパンだと、練習曲作品10 とか 幻想ポロネーズ作品61とか。


 少なからぬ『日本人ピアニストの卵』が、『ショパンのデュナーミクの秘密』を誤解して消えて行く。小林さん、樋口さん、森さん、、、
 皆素晴らしいピアニストであったのに、今はどうしているのだろうか? その後の世代でも素晴らしいピアニストはたくさんいる。今回各自「本人が納得できる成果」を獲得してほしい。


 「ショパンのフォルテ」のすぐ下のデュナーミクは、「ショパンのピアノ」である。これは、シューベルトどころかベートーヴェンをも前の時代に逆戻りである。う~ん。

 シューベルトは「mf」をピアノ曲にきちんと残した作曲家である。ショパンが本格的に活躍する6年くらい前に死んでいる。ショパンも「シューベルト並みのデュナーミク」に記譜することは可能だった。だがショパンの記譜は(外見上は)やや甘い。これはなぜか?
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久しぶりにショパンを集中的に聴く(No.1682)

2009-09-12 17:40:21 | 作曲家・ショパン(1810-1849)
 昨日から蝉の鳴き声を聞かなくなった。夜に相当冷え込んだようだ。その少し前から、本当に久しぶりにショパンを集中的に聴いている。何年ぶりだろうか?


 「ショパンのごく初期作品」は「シューベルト最晩年」よりもほんの少し前で、両者の作曲時期はごくわずかだが重なっている。しかし、耳にすると随分と違う。

  1. ショパンは「旋律1つ + 伴奏音型」が主、シューベルトは多声的

  2. ショパンは「ピアノで閉じた世界」、シューベルトは「交響曲的または室内楽的」


が最も大きな差かな?
 ショパンは「ピアノ音楽」を極限まで発達させた大恩人の1人であり、「ショパンの練習曲」なしに今日のピアノ音楽の発展は無かった、と断言しても良い。「ショパンの練習曲」が無かったら、「リストの練習曲」「シューマンの練習曲」は産まれなかったし、その結果は「スクリャービンの練習曲」も「ラフマニノフの練習曲」も「ドビュッシーの練習曲」は産まれなかっただろう。シューベルトは練習曲は作曲しなかっただけに、大きな差を感じる次第である。
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