Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

作曲家論 : スクリャービン第5回 (No.1356)

2006-08-31 19:22:15 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 本日号は「注意報」を書く。

スクリャービン Michael Ponti 盤全集にだけはご注意を!



 私高本は、CDランクを付ける時に

  1. 是非聴いた方が良いCD
  2. 聴いた方が良いCD
  3. 聴いても聴かなくても益も害も無いCD
  4. 聴かない方が良いと思われるCD
  5. 絶対に聴かない方が良いCD

の5段階に分けて考えている。できる限り「トップランクだけ」を薦めることにしているが、「次のランク」を書くこともあるだろう。 しかし、スクリャービンを書いていて、これだけは書き留めなくてはならないことを思い出した。

カタログ上唯一の全集盤 = Michael Ponti 盤 は質が極めて劣悪!



ということを。 まずは先日、Best3 で紹介したピアノソナタ全集から。

ポンティ ソナタ全集 (Vox Box CDX 5184)



1,420円(税込)



  • 演奏   :☆
  • 資料価値:☆☆☆(← 曲数は多いが)
  • 音質   :☆☆


1973-1974年録音。
 私が薦めた「Best3」のどの演奏と比べてもらっても良い。「同じスクリャービンのソナタ???」と疑問を感じる「スカ」な演奏が全12曲延々と続く。
  • 楽譜面をさっさと表面だけ舐めて
  • 難しいパッセージはさらさらと音を抜いて演奏

であるから。 スクリャービンの魅力である「官能の世界」はどこにも存在しない!

ポンティ ピアノ音楽全集 (Vox Box CD5X 3606)



1,924円(税込)



  • 演奏   :☆
  • 資料価値:☆☆☆(← 曲数は最大であるのだが)
  • 音質   :☆☆


1973-1974年録音。
 5枚組で 1,924円だが、はっきり言って「高い」と感じる。弾けないパッセージを丸ごとカットしたり(Allegro op.4)など、無名な曲になるとやりたい放題! ソナタよりもさらに悪い。

 「スクリャービンの全てのピアノ曲を聴きたい」と思った人(← あっ、私高本もそれで手を出したのだった、、、)が、手を出し易いCDだが

「聴かない方が悪い先入観を持たずに済むので良い」レベルの演奏

である。 悪いことは言わない。 衝動買いだけは止めておこう! しかし「音質」も、Vox録音の中でも「最低」に近い。 キンキンとうるせえ!!!
コメント (2)
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作曲家論 : スクリャービン第4回 (No.1355)

2006-08-30 22:37:39 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 昨日号は、私高本が熱くなったかも知れない。本日からは「普通に冷静な高本」に戻っているのでご安心下さい。 今日は「作曲家論:スクリャービン」の続きです。
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スクリャービン「ポエム」集CDが存在しない!


 スクリャービンが「ピアノソナタ」と並んで、生涯に亘って、力を入れて作曲した分野は「ピアノ独奏用ポエム(詩曲)」である。 作品32の「2つのポエム」から始まって、生涯続く。 極めて短い時間空間に「リスト発明の交響詩の世界を盛り込む」意欲からスクリャービンが創り上げた世界であり、相当に成功しているのだが、
  • ピアノ「ポエム」CDは
  • 『全集が無い』だけでなく
  • 「スクリャービン ポエム集(選集)」さえも存在しない

が実情。 スクリャービンが悪いのか? ピアニストが悪いのか? CD会社が悪いのか? CD購入者が悪いのか?

 ・・・で、「スクリャービン : ポエム」が多く収録されていて、演奏の良いCDを紹介するために、CDを聴きまくった。 数枚新規に購入もした、やはり「この1枚」かも? と思えるCDに出会えれば幸せなのだが、「スクリャービン : ポエム」では出会えなかった。 う~ん。
--------
 ちなみに、
  • 「ポエム」だけでなく
  • 「練習曲」集でも
  • 「前奏曲」集でも
  • 同じように「CDが存在しない」のが
  • 『スクリャービンの世界』

なのであるが!
 スクリャービンでは、「ピアノソナタ偏重のCD録音界」が『現世の日本』である。何故かはわからない。
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朝日新聞2006.08.29「新国立劇場オペラ苦戦」を批評する (No.1354)

2006-08-29 23:33:02 | 批評の批評
 朝日新聞は「クラシック音楽批評の老舗」である。時折「おっ!」と言う鋭い批評が掲載される。 しかし、本日2006年8月29日東京12版P26「文化総合」に掲載されたモノは頂けない。 PMJは、ここに「批評の批評」を掲載する。 この記事は、東京版朝刊の記事。23:00 まで待ったのだが、朝日新聞インターネット には掲載されなかった。何でだろう?
 反論&ご意見のある方は、コメントまたはトラックバックへどうぞ。
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朝日新聞2006.08.29「新国立劇場オペラ苦戦」 批評の批評



 酷税をツッ込んで運営されている「新国立劇場」について、クラシック音楽批評の老舗 = 朝日新聞 が監視の目を光らせてくれていると思うと頼もしい。
 だが、「内容がナイヨウ」な記事だと寂しい。 本日号が「内容がナイヨウ」である。まずは 朝日新聞の記事の「小見出し」を全部列挙する。

  1. 最新設備でも振るわぬ集客
  2. 来日公演・地味な演目響く?
  3. 大物ラッシュ
  4. 遅れる効率化
  5. 「公演増やせ」

となっている。論点は以下の通りだと思う。

  1. 2002年度までは安定して伸びていた、新国立劇場の「有料入場者率(対総座席数)」が2003年度以降、13%以上も下降した。
  2. 岸田生郎新国立劇場制作部長は「相次ぐ海外からの来日公演の影響」を挙げた
  3. 「相次ぐ海外からの来日公演の影響」は2003年度以降の特殊な状況で無いことを無記名で断定
  4. 音楽評論家堀内修の「華やかなイタリアものより、やや地味な印象のあるドイツものにレパートリーが集中していることも影響しているのでは」発言を紹介
  5. アメリカ・メットは「230公演/年」に対し、新国立劇場は「57公演/年」で効率悪いことを指摘
  6. 「日本国からの予算が削減されているので、現状維持が精一杯」のノボラツスキ芸術監督発言
  7. 広渡勲昭和音楽大学教授の「改善の余地はある」発言について、具体的に ドイツ・ベルリン国立歌劇場の人数と比較して『運営部門が天下りを含めて多過ぎる』ことを指摘
  8. 「ますは公演数を増やすこと」の音楽評論家堀内修の持論を明記
  9. ノボラツスキ新国立劇場芸術監督の「なぜ『敵』に塩を送らないといけないのか」発言の後に、来期で退任することを以て終了

    である。 う~ん。
    --------
     この記事は「上坂樹、吉田純子」の責任が明記されているが、ヤバいんとちゅうやろか? まともな記事ならば 「asahi.com」 に掲載されているからなあ。
     まずい点をズバリ列挙する!

    1. ノボラツスキ新国立劇場オペラ部門芸術監督が実行した「シングルキャスト強行」が集客を悪くした

    2. ノボラツスキ新国立劇場オペラ部門芸術監督は、ベルク「ルル」にて、3幕版 → 2幕版 の醜態を晒して、完全に聴衆から見放された

    3. 五十嵐前芸術監督時代の「Aキャスト」に比べて、ノボラツスキ芸術監督時代の「シングルキャスト」が『完全に聴き劣りした』

    4. 五十嵐前芸術監督時代に「定位置座席確保」していた最上客を、ノボラツスキ芸術監督は「座席は抛り出し」作戦に出て、大半の客に見捨てられた


    の視点が全く存在しない。 朝日新聞は「お上」だから、わからないのか? 実際に身銭切って聴いているワケではないからなあぁ!!!
    --------
     単純に総括すれば

    1. 東京の「オペラ人口」が限界があっても、「五十嵐芸術監督時代」は集客していた
    2. 米メットに比べて、土日に公演していないことは「何となくわかる」が、具体的な数字が無い
    3. 「何で減ったのか?」について具体的記載が無い

    の3点で、マズい記事でしょ、吉田純子記者? 佐藤千晴記者以降、この手の「アホか?」記事が増えている朝日新聞だが、何とかならないのか? あっ、吉田純子記者も「有料入場者」じゃないから、全く理解できないのかも?!
    ---------
     実際に「オペラ文化」を支えているのは「聴衆」である。 この朝日新聞の記事が「虚構の上」にしか論を打てないのは、

    「実際にゼニを払っている聴衆の意見」を1言も掲載していないから


    である。 佐藤千晴記者以来の悪習に1日も早く、ピリオドを打って「真っ当な世界」に戻ってほしいと、心の底から思い、この1文を記した。 再度明記するが、ご意見反論があれば「コメント or トラックバック」にどうぞ。
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作曲家論 : スクリャービン第3回 (No.1353)

2006-08-28 10:05:32 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 本日は「スクリャービンピアノソナタ全集」CD批評を掲載する。 スクリャービンピアノ作品中、最も規模が大きいので、ピアニストの意欲をそそるらしく、数多く発売されて来たし、今後もされて行くことだろう。
 尚、人気ある「中期ソナタ」だけ力が入って、「後期ソナタ」は聴くに耐えないCDが多い中、初期~後期 がムラ無く良いモノだけを選んだので、安心してほしい。
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スクリャービン ピアノソナタ 全集 Best3 一挙掲載!



第1位 アムラン (Hyperion CDA 67131/2)





4,024円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆☆


1995年録音。
 とても「爽やかなスクリャービン」である。技巧的な難しさは全く感じさせない。 スクリャービン自身が「技巧的に悩ましく感じてほしいと思ったパッセージ」さえも、きちんと弾く。 単一楽章ソナタとして作曲された「幻想曲ロ短調 作品28」や、若き日の生前未出版の「ソナタ 嬰ト短調(1886)」も収録されているので、1種類だけ購入するならば、これがお薦め!
 録音は信じられないほど、鮮やか。オーディオファンの方は是非是非この盤を聴いてほしい。

第2位 シドン (DG B00002477)





2,596円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆


1968~1971録音。
 アムラン盤とは対照的に、1音1音を押し込むような演奏である。「アムランと対極のスクリャービン像」を聴くならば、コレが最適。重くくらいシドンのタッチが、深く沈み込んでいく「スクリャービンの思索」を暗示する。後期ソナタでの色合いは、他のCDでは聴けない。 技巧は全く不足が無く、「弾けている」。

 資料的価値は最高! 変ホ短調ソナタ(1889) は、過去2枚しかCDが発売されていないと思うが、世界初録音がこれであった。シドンは

変ホ短調ソナタ(1889)世界初出版楽譜 の 共同補筆者 & 校訂者!



であり、世界で最も スクリャービン変ホ短調ソナタ(1889) を熟知しているピアニスト!
 アムランに含まれている単一楽章ソナタとして作曲された「幻想曲ロ短調 作品28」や、若き日の生前未出版の「ソナタ 嬰ト短調(1886)」も収録されていて、史上最大曲数収録盤でもある。
 使用ピアノは、おそらくベーゼンドルファー。

第3位 オーストビュ (BRILLIANT 99963)





792円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆


1990録音。
 「廉価盤しか買わない人」には絶対のお薦めがコレ! 全曲で 800円未満!

 以前は、ノルウェイの Simax レーベルで録音発売され、今も現役盤のようである。丁寧に弾き込まれた演奏で、「おだやかに流れて行くスクリャービン」。BRILLIANTレーベル 中でも最も質の高い演奏の1つ。
 生前に出版された10曲のソナタだけの収録。現在も、楽譜は全ての版で「ソナタ全集」楽譜が、この盤の10曲だけを掲載している。嬰ト短調ソナタ(1886)も、変ホ短調ソナタ(1889)も、幻想曲ロ短調作品28 も「別の楽譜」で売られている。
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作曲家論 : スクリャービン第2回 (No.1352)

2006-08-27 22:27:18 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 読者の方より「ガーシュインが一区切りしたら、スクリャービンを書いてほしい」との言葉があったので、昨日号にてガーシュインは一段落したので、本日号はスクリャービン を書く。
--------

音楽史上の奇跡 = スクリャービン


 スクリャービンは、音楽史上でも希有な存在である。

  1. ショパン + リスト から開始され、ピアノ音楽だけを発展させた

  2. ロシア生まれ&育ちであるのに、ロシア音楽と一切無関係な曲ばかり作曲し、「世界的作曲家」の地位を築いた

  3. 「法悦の詩 作品54」を唯一の例外として、ピアノ音楽以外には全く傑作を遺さなかった(← 問題発言かも?)



 オケ曲もピアノ協奏曲も室内楽も歌曲も、はっきり言って「スカ」である。

全ての語法が ピアノ! が原因


と感じる。唯一の例外である「法悦の詩」も、ピアノソナタ第5番作品53 を下敷きにした作品の上、ピアノソナタの域にまでは達していない。

 だが、魅力的だ、ピアノソロ曲は! ソナタに限らず、詩曲や幻想曲やワルツなどが何と色彩豊かなことか!!
 多くのピアニストが魅せられ、嵌り、一生を費やしてしまう作曲家の1人である。生前も女性に大いにモテて、「2人の妻が避暑地に一挙に訪れて混乱に陥った」との記述があるが、これだけの曲を作曲すれば、「あり得る!」と思う。

 作品番号にて、「作品60以降」の後期作品についての評価は、未だ定まらない作曲家に思えるが、「作品54以前」だけを捉えても、「世界最高の作曲家」の1人である。

 明日号もスクリャービンの予定。
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作曲家論 : ガーシュイン第6回 (No.1351)

2006-08-26 17:41:59 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 本日号では、ガーシュインの自作自演以外の「ピアノソロCD」を紹介する予定だったが、『演奏の良いのに限って廃盤』になっている様子。 う~ん、「ラプソディー・イン・ブルー」以外は売れないのか?
--------

「ラプソディー・イン・ブルー」Best3 CD 一挙同時批評!



 ガーシュインのピアノソロ曲は、ガーシュイン本人の遺した演奏も音も良いので、それで良し、としたい。
 ・・・で、問題は「ラプソディー・イン・ブルー」である。 問題が2つある。

  1.  信じられないほど大きなカットがある!
  2. ソロ曲に比べて、音質があまり良くない

 2番目は、音質に目くじら立てない人には、問題ないことだ。 問題は「カット」である。
  •  18:05 ← 手元の最も長い演奏時間のCD
  •  09:10 ← ガーシュイン自作自演

 う~ん、テンポの問題もあるので、「半分」では無いのだが、信じられない大幅カットがある。 アメリカの ワーナー・ブラザーズ社 の「通常オーケストラ版スコア」には「カットして良い」指示が 4ヶ所あるのだが、そんなレベルでは無いことをここに明言しておく。
 これまで評判を取ってきたCDの中から、「ガーシュインほどのカットの無い」CDの ベスト3 を取り上げる。ガーシュイン並みのカットがある盤ならば、自作自演盤の方が良いぞ!(プレヴィン盤とかの信じられない「大カット」を薦めるオンガクヒョーロンカを私高本は信じない!)

第1位 レヴァイン(ピアノ & 指揮)シカゴ交響楽団 (DG 431625)





1,924円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆☆


 「普通のオーケストラ版を、とにかく最高の演奏&音質で聴きたい」人には、コレ1枚あれば良い! 細かい箇所では、「グローフェのオーケストレーション」に満足しないで、隠し味で打楽器を追加したりしているが、

基本的に世界中の ラプソディー・イン・ブルー オケ版の模範演奏を狙い成功した演奏


である。
 まず、レヴァインのピアノが何とうまいことか!!! ガーシュイン本人よりもうまいかも!? そして「弾き振り」とは思えない 「精密にして 踏み込みの良いオーケストラ演奏」が魅力。 シカゴ響 だから当然?! 管の鳴りも素晴らしいが、弦の力感も 全ての同曲演奏中最高だ!
 尚、「カットが全く無い」演奏は貴重なことをここに記す。 ピアノが難し過ぎるんだよね。

第2位 トリット(ピアノ)クンツェル(指揮)シンシナティジャズオーケストラ (TELARC CD-80166)






  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆☆


1,290円(税込)



 「ガーシュインのオリジナルを完全に復元した演奏」はコレ! ブラスバンド + ヴァイオリン8本である。 指揮者クンツェル は同曲2度目の録音であり、「通常版」との違いも完全に掌握している。 ピアニスト トリット がわずかレヴァイン に及ばないかも。(速いパッセージ)
 「ガーシュインの頭に浮かんだオリジナルを聴きたい人」は絶対にこのCDを購入のこと! 「通常オーケストラスコア」よりも(おそらく)48小節長いから。「楽譜のママ」でも難しい曲を さらに難しくした演奏なので、ほんの少々 レヴァインのピアノに叶わない。あぁ。

第3位 ロルティ(ピアノ)デュファッロ(指揮)オランダ管楽アンサンブル (CHANDOS CHAN-9210)



  • 演奏   :☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆(← トリット&クンツェル盤の後の録音だが、後退した解釈なので)
  • 音質   :☆☆☆☆☆


3,617円(税込)



 「ガーシュインのオリジナル編成を、通常のスコアと同じ小節進行」で聴きたい人にはコレ。 ロルティは「3回目の録音」になり「手の内に入っている」のだが、それがちょっと裏目に出ている。 う~ん、難しいものだ。

  1. デュトワ指揮 モントリオール交響楽団盤(Decca)
  2. ピアノソロ盤(CHANDOS盤)
  3. デュファッロ指揮 オランダ管楽アンサンブル(CHANDOS盤)


の順番で録音しており、前2回に比べものにならないほど「手の内に入った表現」が魅力。反面、「オリジナル通り」に戻すのに、抵抗があるのだろう。
  • バックは「オリジナル ブラスバンド版」 であるのに
  • ピアノは「グローフェ編曲 オーケストラ版」 になっている

 ロルティ は、腕利きのピアニストだが、前々から「以前に習得したクセが抜けない」傾向があり、「ピアノソロ版」でも 楽譜に無い 2小節(おそらくグローフェがガーシュイン死後に無断で加えた)を 勝手に(オケ版に合わせて)補筆して録音している。 思い入れのあるピアニストほど、こんなことがおこるのかも。「腕利き」なだけに、私高本としては少々残念。
 尚、ここだけの話だが、「ロルティ(ピアノ)1回目の録音 = デュトワ指揮 モントリオール響盤」は、音をいじりまわし過ぎて「ブッ壊れている」ので、ハズした方が無難。ナマの演奏会では「絶対に聞こえない」ヘンテコなミキシングが気持ち悪い。 Decca盤エンジニアは耳があるのか? 信じられない思いである。
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作曲家論 : ガーシュイン第5回 (No.1350)

2006-08-25 23:48:59 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 昨日号で「ブログ」にしてから、50回だったのか! わずか2ヶ月足らずだが、開始した当初が随分と昔のことのようだ。今日も元気に「ガーシュインCD」を取り上げる。新譜紹介と言えば言えるし、CD批評と言えば言える不思議なCDをどうぞ。
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George Gershwin Box (Membran 223491)CD新譜紹介




2006年9月5日発売予定

10枚組 1,924円(税込)



 もちろん、来月発売新譜なので、全貌はわからない。但し、10枚組中 4枚は「全く同じ内容」のCDがある!


2004年8月20日発売

4枚組 1,192円(税込)




  • 演奏   :☆☆☆~☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆(← 新譜10枚組の方が圧倒的に高いから)
  • 音質   :☆☆☆


 う~ん、これでも思いっきり安いが、10日待てば、「728円追加で6枚分多いCDが購入できる」時に、買う人はいないような気がする。1枚当たり200円しないからなあ、、、
 しかし、情報は多い方が良いと思うので「4枚組CD」批評を簡単に。

 1枚目は「ガーシュイン自作自演集」だが、ピアノ演奏は「ラプソディーインブルー」と「前奏曲集」で これはNaxos盤と重複。音はNaxos盤の方がはっきり良い。他に、「パリのアメリカ人」のガーシュイン指揮のSP録音が入っており、貴重!
 2~4枚目は 1922~1947年 の録音。当時の「ジャズ界のガーシュイン受容」の貴重な資料。 但し、ジャズに余り関心が無い人(例えば私高本)だと、興味を惹かない演奏にも出くわす。

 上記10枚組の
  •  2枚目 (← 1枚目)
  •  6枚目 (← 2枚目)
  •  4枚目 (← 3枚目)
  •  8枚目 (← 4枚目)

に、そっくりそのまま流用されている。(だから4枚組はお薦めしない)

 新譜10枚組については、全部聴き通してから「新譜批評」を掲載する。 (おそらく、新規の6枚 +α 聴いて書く見込み)
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作曲家論 : ガーシュイン第4回 (No.1349)

2006-08-24 23:10:25 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 「何で高本さんが、ガーシュイン音楽を連載しているのですか? リストとかモーツァルトとかならば理解できるのですが?」とのご質問を、旧知の方から電話で頂いた。 自分でも良くわからない。 もしかしたら「壊れた」のかも知れない。私高本としては「発展しているつもり」なのだが。
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GERSHWIN plays GERSHWIN (Naxos 8.120510)CD評




832円(税込み)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆~☆☆☆☆


 ジョージ・ガーシュインの「ピアノ演奏SP録音」が(断定はできないモノの)おそらく全部収録されているCD。 演奏は信じられないほど、素晴らしい! 録音も(オーケストラ付きの曲は、やや物足りないモノの)特にピアノソロ曲は「模範演奏の典型!」と言って良いほど!!
 資料価値は 最高。 このCD購入に当たっての問題点は、「どこのショップで購入しても1枚だけだと送料がベラボウに掛かるほど安いこと」だけだと思う。 持っていない人は(他のCDと併せて購入して送料が掛からないようにして)購入の上、確かめてほしい。
 明日もガーシュインの予定。 大いに期待してほしい。
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作曲家論 : ガーシュイン第3回 (No.1348)

2006-08-23 23:15:01 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 ジョージ・ガーシュインの「自作自演ピアノのCD」は過去数多くリリースされているが、残念ながら私高本が知る限り「全てが重複した音源」である。 私自身が好きなので、いろいろな レーベルのCDを所有しているが、SP録音のものは下記1種で全て含まれている。

GERSHWIN plays GERSHWIN (Naxos 8.120510)



が、下記の通り


  1. 音質が良い
  2. 価格が安い
  3. 収録曲数が多い


の3点セットでお薦め。900円未満! 1枚だけ発注すると「送料有料」になるのが唯一の難点。 何か他のCDと一緒に購入してほしい(← 800円台のCDで送料を 400円台取られたらアホ!)
 このCDの批評と、他のCD紹介は明日号の予定。
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作曲家論 : ガーシュイン第2回 (No.1347)

2006-08-22 23:33:45 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 8月15日以降、「佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠る完全全曲演奏会 Vol.2」 の録音以外は、

  1. バルトーク
  2. ガーシュイン
  3. グルダ
  4. ラフマニノフ
  5. スクリャービン

の5名のCDだけを聴いている。 悟ったような気もするし、錯覚かも知れない。 但し「以前聞こえていなかった細部」が聞こえるようになったのは、8月13日「佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠る完全全曲演奏会 Vol.2」のおかげかも知れない。 佐伯周子 の(特にシューベルトは)細部まで神経の行き届いた上に、踏み込みの鋭い演奏だったからなあ!
--------

ガーシュインは「アメリカ・ニューヨーク・ブロードウェイのスター」



 ピアノ音楽だけを聴いていると「錯覚し易いポイント」の1つに、『ガーシュインの音楽史上の評価』がある。

ラプソディー・イン・ブルー が最高にして唯一の傑作!?



と言うのは(思うのは自由だが)音楽史上としては全くの誤り。 この辺りは、「クラシック音楽だけ」を扱っている オンガクヒョウロンカ の責任が多いのかも知れないが。

 私高本の手元の資料は「クラシック音楽」中心なので、もしかしたら「純クラシック音楽作曲家」に比べて、多少不正確な記載になってしまっているかもしれない。気が付いた読者の方がいらっしゃれば、コメントかトラックバックにコメント頂ければ幸いである。
--------

  1. ジョージ・ホワイトのスキャンダルス 1922年版
  2. レイディー・ビー・グッド! (1924)
  3. ティップ・トゥズ (1925)
  4. オー、ケイ (1926)
  5. ファニー・フェイス (1927)
  6. ロザリー (1928)
  7. バンドを打ち鳴らせ (1930)
  8. ガール・クレージー (1930)
  9. 我、君を歌う (1931)
  10. ポーギーとベス (1935)

辺りが ミュージカルの代表作(らしい)。 「ポーギーとベス」が ミュージカルなのか? オペラなのか? 辺りの論争に加わる気は「ピアノ専門のブログ」主宰者として、私高本は加わる気はさらさらないので、どこか適したところで、ご意見のある方は述べて下さい。

 明日号は「ガーシュインのピアノ曲」について必ず掲載致します。「ガーシュインの自作自演CD」についても触れられる意気込みです。
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作曲家論 : スクリャービン第1回 (No.1346)

2006-08-21 16:14:34 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 今日、佐伯周子 と 帝国ホテル の インペリアル・バイキング に行って来た。 日比谷公園すぐそばの風景=絶景な立地の最上階17階にて、落ち着いた室内 & 温かい出来立てのおいしい料理 & 目配せの行き届いた サービス。「超一流とはこういうもの!」をおいしい料理と共に教えて頂いた。
 8月13日 佐伯周子新シューベルト全集に拠る完全全曲演奏会Vol.2 を食事をしながら振り返ったのだが、素晴らしい環境で振り返ると素晴らしい案が出てくるモノだ。やはり「環境が大切」は真理!
--------
 予告した5名の「総合評価」のアンカーは、ABC順で「S」のスクリャービン。

スクリャービン(1872-1915)総合評価



ピアノソロ曲:☆☆☆☆☆
ピアノ協奏曲:☆☆☆
ピアノ室内楽:☆
連弾&2台 :☆☆
歌曲伴奏  :☆
ピアノ教育 :☆☆☆☆

音楽史評価 :☆☆☆☆☆

コメント 等は明日号以降にて。
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作曲家論 : ラフマニノフ第1回 (No.1345)

2006-08-20 21:21:24 | その他
 「総合評価」号、本日はABC順で「R」のラフマニノフ。

ラフマニノフ(1873-1943)総合評価



ピアノソロ曲:☆☆☆☆☆
ピアノ協奏曲:☆☆☆☆☆
ピアノ室内楽:☆☆☆
連弾&2台 :☆☆☆☆☆
歌曲伴奏  :☆☆☆
ピアノ教育 :☆☆☆☆

音楽史評価 :☆☆☆☆☆

コメント 等は明後日号以降にて。明日は、スクリャービンです。
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作曲家論 : グルダ第1回 (No.1344)

2006-08-19 23:22:07 | 作曲家兼ピアニスト・グルダ(1930-2000)
 「総合評価」号を早めに書きたい衝動が止まらない。「ABC順」で次の「Gu」のグルダです。


グルダ(1930-2000)総合評価



ピアノソロ曲:☆☆☆☆
ピアノ協奏曲:☆
ピアノ室内楽:☆
連弾&2台 :☆
歌曲伴奏  :☆☆
ピアノ教育 :☆☆☆☆

音楽史評価 :☆☆☆☆
コメント 等は明日号以降にて。
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作曲家論 : ガーシュイン第1回 (No.1343)

2006-08-18 11:05:13 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 8月15日号で書いた5名の作曲家について、全員「総合評価」号を早めに発行することにした。「ABC順」に「Ge」のガーシュインです。

ガーシュイン(1898-1937)総合評価



ピアノソロ曲:☆☆☆
ピアノ協奏曲:☆☆☆☆☆
ピアノ室内楽:
連弾&2台 :
歌曲伴奏  :☆☆☆☆☆
ピアノ教育 :

音楽史評価 :☆☆☆☆☆

コメント 等は明日号以降にて。
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作曲家論 : バルトーク 第2回 (No.1342)

2006-08-17 13:57:16 | 作曲家・バルトーク(1881-1945)
 真っ先に述べる必要なことがある。

バルトーク は、全体像を掴み難い作曲家



の1人! 演奏会でも頻度高く演奏されるし、ピアノ教育の途上でも多く出会う。また「音楽史」では、重要な作曲家と習う。その割には、何となく印象が定まらない。
 まずは魅力から列挙して見たい。
  • 力感が素晴らしい!
  • 集中力が卓越しており、完成度が高い(未完成の2作品を除く)
  • ハンガリーやルーマニアの「民族音楽」を生かしている
  • 教育的な作品の、完成度が高い

などなど。1曲づつだと、魅力あるのだが、なぜか、「部分評価 = 全体評価」には繋がっていないように思う。私高本なりに理由を考えてみた。
  • 管弦楽曲は 最後の3作品以外は「演奏会のトリ」を務める作品が無い。
  • ピアノ作品は多いが、時間的にまた質感的に短く、「全バルトーク演奏会」以外だと、「トリ」を務める作品が無い(かも知れない)。
  • 「心休まる」感触が皆無に近い

 好きな作曲家の1人なので、CDは少なからず所有しているのだが、バルトークCDを延々と聴くと疲れる 事実は否定できない。う~ん。

 バルトーク音楽の中心は「ピアノ音楽」である。管弦楽曲も多いし、オペラもあるし、バレエもあるし、声楽曲も、ヴァイオリンソロ曲もあるが、中心は「ピアノ音楽」である。ソロでCD8枚分。協奏曲と室内楽曲がこれに加えられる。

 量としては充分である上に、完成度も高いのだが、なぜか「ピアノ音楽」の水準から見た時に「妙な感じ」がする。

  • 「ミクロコスモス」は 全6巻 153曲 で CD2枚分もの大作!
  • しかし バッハ「平均律」や ドビュッシー「前奏曲集」 ラフマニノフ「前奏曲集」 に比べて「全曲演奏会」はほどんどない

ことである。 題名自体が 【小宇宙】 の意味だが、どうも全曲演奏は、弾く方も聴く方も敬遠気味だ。
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バルトークの「名作」は 1936年以降



に集中している。

  1. 弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽(1936)
  2. 2台のピアノと打楽器のためのソナタ(1937)
  3. ヴァイオリン協奏曲第2番(1937-1938)
  4. コントラスト(1938)
  5. 弦楽器のためのディヴェルティメント(1939)
  6. 管弦楽のための協奏曲(1943)
  7. 無伴奏ヴァイオリンソナタ(1944)

 この期間にバルトークはなぜか、ピアノソロ曲は ミクロコスモスの後半しか作曲していない。
 ピアノ作品が 「構想としての規模の不足」が否めないのは、成熟する前の作品の可能性が高い。個々の曲の魅力が高いだけに残念。もしかすると

卓越した「バルトーク弾き」がまだ出現していないだけの可能性



も少なからずある。 川上敦子 出現以前は、「伊福部昭ピアノ音楽」の評価が低かったので、この可能性は高い。

 主要作品 については、近日掲載予定。「バルトーク自作自演CD」から開始の予定。
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