Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

佐伯周子「シューベルト完全全曲演奏会 Vol.11」ご来場ありがとうございました(No.2207)

2013-01-31 23:26:24 | ピアニスト・佐伯周子

アンコールは、シューベルト : アレグロ・アッサイ 変ホ短調D946/1 第2稿


でした。
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1/31シューベルト誕生日コンサート=佐伯周子リサイタル 当日券あり(No.2206)

2013-01-30 22:09:40 | ピアニスト・佐伯周子

1/31シューベルト誕生日コンサート=佐伯周子リサイタル 当日券あり


 「売切心配ご無用!」です(泣

 18:59ご来場で大丈夫です(太鼓判!)


プレトーク(18:35開始)は、前半が『佐伯周子:シューベルティアーデとワルツ』、後半が『高本:シューベルティアーデが作り、育てた ピアノソナタ』の予定


です。『佐伯周子のプレトーク』が聞きたい方は早めにお越し下さい。


佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会を2004年に開始して9年


 「第1回が ピアノソナタ第15番ハ長調D840新補筆完成版世界初演」で開始! と言う「全曲演奏会」は未だかつて無かった、と思う。あれから9年。「多楽章ソナタの新補筆完成版」を「私高本の補筆完成版」で演奏するのは第1回以来。これまでの10回の経験の積み重ねが「プラス」に生きた演奏会になる、ことだけはリハーサルで判明した。

バドゥラ=スコダ 補筆完成版以来、35年越えられなかった『シューベルト和声進行の秘密』を 佐伯周子 が解き明かした新補筆完成版になっている!


が大きな魅力だが、もう1つ忘れてはならないことがある。

「シューベルト変奏曲の手法」を佐伯周子が『身に付けた!』


である。これは、「感傷的なワルツ」で皆様が、ご自分の耳で判断頂きたい。

 私高本は「ソナタ」についてだけ語る(爆

 ご来場を心よりお待ち申し上げます。「アンコール」あり! です!!
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1/31シューベルト誕生日コンサート=佐伯周子 の全3曲の魅力(No.2205)

2013-01-29 23:57:12 | ピアニスト・佐伯周子

1/31シューベルト誕生日コンサート=佐伯周子 の全3曲の魅力


 演奏曲順も決定した。ご来場頂く皆様に発表する!


  1. ピアノソナタ ハ長調 D613+D612+D780/6 4楽章版新補筆完成版世界初演


  2. 34の感傷的なワルツ 作品50D779


  3. 即興曲集第2集 D935



 本日「通し」を聴かせてもらった。ストレートな感想を述べる。

「4楽章大ソナタ」が1曲新たに誕生したかのような「舞踏ピアノソナタ = D613」


 両端楽章(= 第1 & 第4 楽章)の「転調部分の改良」ばかり、これまで述べてきた 猫頭=私高本 だが、もっと大切なことは

曲全体のスケールが 1段 どころか、2段 も 3段 もパワーアップ!


の事実である。

3/4 → 6/8 → 3/4 → 3/8 と「3拍子系が続く!」


が、これは、交響曲ロ短調D759「未完成交響曲」でも指摘されている事実。「シューベルティアーデのワルツ」に浸ったためか? シューベルトは「3拍子系」にこだわりを持った作曲家であったことを、改めてここに記す。
 「4楽章版」を「佐伯周子の演奏」で聴いて頂ければ、「シューベルトの意図」が納得頂ける、と確信した次第である。


「繰り返し時の装飾音満載 = 佐伯周子 の 感傷的なワルツ」


 「これまでのシューベルト演奏経験」を反映させ、佐伯周子 が全力で「装飾掛けた」のが、今回演奏になる。面白い! 為になる!! ・・・と感じるのは、私高本1人だけだろうか? 「シューベルトの装飾技法」を熟知した 佐伯周子 の手腕を聴いて頂きたい。


「スケールの大きさ」と「歯切れの良さ」を両立させた 佐伯周子 の シューベルト「即興曲集第2集」


 「表情濃い!」が印象深い。特に

「切れ」を要求するフレーズでの ペダリングの少なさ は(シューベルトの指示記号に忠実なのだが)唖然とするほど!


 ここまで、できるのか!?




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シューベルトピアノソナタ ハ長調D613「4楽章版」世界初演(No.2204)

2013-01-28 23:35:54 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルトピアノソナタ ハ長調D613「4楽章版」世界初演


 シューベルトのピアノソナタは楽章数がはっきりしない曲が多い。だが、

シューベルトは「4楽章のピアノソナタ」が基本であり、出版社からの作曲依頼があった3曲(D617,D784,D823)と「大量生産年=1817年」作品以外には3楽章作品は「連弾ソナタ」を含めて存在しない可能性が高い


である。


 シューベルトの「確定」4楽章ピアノソナタは、後の方から次のように数えられている。

  1. B dur D960(1828)


  2. A dur D959(1828)


  3. c moll D958(1828)


  4. G dur D894(1826)


  5. Es dur D568(1825? 1826?)


  6. D dur D850(1825)


  7. a moll D845(1825)


  8. C dur D840


  9. C dur D812


  10. H dur D575



 ソロソナタだけで21曲、と数えられることが多い + 連弾ソナタ3曲 合わせて24曲中10曲なので、これは少ない><


 バドゥラ=スコダ補筆完成版ヘンレ版第3巻を読むと、「4楽章ソナタの可能性」の曲が、他に4曲掲載されている。

  1. f moll D625


  2. fis moll D571


  3. e moll D566


  4. C dur D279



 ウィーン原典版校訂学者 兼 ピアニスト = ティリモ は、「完全に バドゥラ=スコダ説を踏襲」なので、このパターンの楽譜しか発売されていない。本当なのか???


 佐伯周子 は、D537-D958 の「完成したとみなされている全ソロソナタ + 最後の連弾ソナタD823 + ハ長調ソナタD840」をこれまで全て弾いた。これ以前に「完成したとみなされているソナタ」は無い。後に2曲の大ソナタが控えているが。ドイチュ番号で記すと、D537,D567,D575,D760,D784,D840,D845,D850,D568,D823,D894,D958。今回の「D613 両端楽章補筆」に於いても、「素晴らしいシューベルト理解」を示している。これらの曲を卓越した音楽解釈で聴かせてもらったおかげで、猫頭=私高本 といえども、相当に「シューベルト理解」が深まった。

シューベルトは「ピアニスト1人で演奏できる交響曲 = ピアノソナタ」と感じている、が基本


 この感性は、「ロマン派作曲家」にはすぐに伝承する。シューマン以降の「ロマン派作曲家のピアノソナタ」は基本は4楽章になる、が歴史。最後は ラフマニノフ にまで至る。


ハ長調ソナタD613 が「3楽章ソナタ」とか、まして「2楽章ソナタ」はあり得ない > 交響曲第6番ハ長調D589 の余韻で作曲されたソナタなのだから!


 シューベルトは D589 以降、交響曲が一定範囲で成就した時は、「ハ長調ピアノソナタ(または準じた幻想曲)」を遺した。

ハ長調ソナタD613 が、ハ長調交響曲D589 の余韻を匂わせる名作ソナタ! を感じさせる 佐伯周子 の「4楽章版世界初演」は 1月31日(木)


 他にも、「感傷的なワルツ」作品50D779 の「繰り返し時の装飾」やら、即興曲集第2集の充実した演奏やら、「シューベルトファン」だったら、聴き逃したら、次はいつだかわからないモノだらけ。
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シューベルト即興曲集第2集(No.2203)

2013-01-27 23:48:11 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

ロマン派大作曲家を鼓舞した シューベルト「即興曲集」第2集


 シューベルト「即興曲集第2集」は、多くの作曲家に影響を与えた。最も有名なのは、シューマン。「第3番を除外した3曲でピアノソナタを構築する」と明言した。これ、ってフライングだったんだよね(爆

 この曲集は、「即興曲集第1集」の初稿(D899/1,D916B,D916C)や、最終稿(D899 普通皆さんが知ってる稿)が出版とは違って、

「展開部の繰り返し」が出版されたのが、1973年の「ウィーン原典版」バドゥラ=スコダ校訂版」


である。


「ソナタ形式を自由自在に駆使する」は、ロマン派作曲家の「大テーマ」の1つ



 シューベルトは、「さすらい人」幻想曲作品15D760 と 即興曲集第1集D899 で試して来たが、即興曲集第1集は「第1稿(D899/1,D916B,D916C)」は出版を拒絶されてしまった。
即興曲集第2集では、両端の曲に「ソナタ楽曲とは見抜かれないような自由なソナタ形式」を配置。出版社は見抜けなかったが、作曲家ロベルト・シューマンは「シューベルトの魔術」を見抜き、「隠されたソナタ」と評論した。
 第1曲と第4曲は「自由なソナタ楽曲」で共にヘ短調。第1曲は「展開部を繰り返し無しにして再現部の後に移調して演奏するソナタ形式」、第4曲は「第2主題の再現が無いソナタ形式」。シューマンはこれを見抜き、平行調=変イ長調の第2曲と併せて「隠されたソナタ」と評論した訳である。
 同じ1827年12月には、「ピアノとヴァイオリンのための幻想曲ハ長調D934」も作曲しており、幻想曲では第2楽章相当が「再現部の無いソナタ形式」、第3楽章相当が「変奏曲」、第5楽章相当が「変奏曲の第5変奏曲」になっており、第4楽章が第1楽章の再現である。全く違う感触だが、「自由なソナタ形式」を様々な方向から照らし出していたことが判る。
 D935 は、第1曲は短調ながら、伸びやかな楽想が滔々と流れる大規模な曲。第2曲はトリオを持ったメヌエット。第3曲は「劇音楽ロザムンデ(1823年12月20日初演)の間奏曲第3番D797/5」を主題とする5つの変奏曲。この主題はシューベルト自身がとても気に入っており、1824年2~3月作曲の 弦楽四重奏曲第13番イ短調作品29D804 の第2楽章のロンド主題にも用いられているが、その最終曲に当たる。第4曲はヘ短調の少しおどけた曲想の第1主題と、対照的なヴァイオリンを思わせる右手の単旋律音階の変イ長調第2主題によるソナタ形式。展開部は第2主題のみが無限かと感じられるほど変容して行く。再現部は第1主題が型通り戻って来た後、第2主題が再現されずに2音づつが飛び跳ねるコーダとなり、最後にテンポを上げて終曲する。
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シューベルトの「ベートーヴェンソナタ理解」と未完成ソナタの補筆について 4(No.2202)

2013-01-26 23:08:44 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

「転調の天才 = シューベルト」の謎を解き明かす 佐伯周子 の転調の妙技!


 20年以上、粘着に ハ長調ソナタD840 の補筆に関わった私高本は、2004年に「佐伯周子の名演で世界初演」してもらい、感動した。そして、続いて 嬰ハ短調ソナタ楽章D655 の新補筆完成版世界初演 にも手を染めた。「複縦線が間違っている」の警告も発しながら。2006年夏だった。それからは(シューベルトには未完成ピアノソナタは多数存在するのだが)この問題に直視して来なかった。だが、1817年以降のピアノソナタは「D959とD960以外全部弾いた & 連弾ソナタ ホ短調D823も弾いた」となると、そろそろ「補筆完成版が必要なソナタ」も弾く時期だろう。勿論、佐伯周子 の心意気としては「シューベルトオリジナル作曲と同水準に仕上げろよな!!!」だろう。
 ここで、舞台裏を晒す(涙

バドゥラ=スコダ補筆完成版 にも、「私高本の第1次提案補筆完成版」にも「首を縦に振らなかった 佐伯周子」が厳然と聳え立つ!


 バドゥラ=スコダ補筆完成版出版 = 「シューベルト没後250年 = 1978年」だったので、それから 35年 が経過した。2世代が進んだ年月だ。だが未だに、バドゥラ=スコダ 以降の「シューベルト研究者」がこぞって、補筆完成版を出版したり、録音したりしているが、「バドゥラ=スコダ補筆完成版を凌駕するモノは過去無し > D613」が実績である。
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シューベルト即興曲集第2集(No.2201)

2013-01-23 21:50:34 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 シューベルトの死のわずか11ヶ月前に成立した作品 = 即興曲集第2集D935 である。

第3楽章に「大規模な変奏曲」を据え、技巧的に第1集よりも難易度が上昇


が特徴。これが原因になったのか、生前出版には間に合わなかった。
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老田裕子が平成24年度第67回文化庁芸術祭新人賞表彰(No.2200)

2013-01-22 21:06:10 | その他
 本日が授賞式。

老田裕子 : マーラー「子供の不思議な角笛」1899年版の歌唱2012.11.04


が受賞対象公演でした。これからの活躍を期待!
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セゲルスタム指揮読響定期演奏会「マーラー:交響曲第5番2013.01.21批評(No.2199)

2013-01-21 23:39:49 | 批評

全体設計が確固たる上に、声部バランスが襞(ひだ)に至るまで精密な セゲルスタム + 読響のマーラー



  1. 1番トランペットの長谷川


  2. 1番ホルンのキム(スウェーデンのオーケストラで首席を務めている、とのこと)


    などの信じられない高い技巧が全てのパートに張り巡らさせており、オーケストラメンバー個々を褒め称えるだけでも、賞賛で埋め尽くすことができる演奏会だったが

    セゲルスタムの『マーラー把握力』と『読響との信頼感』が「音」となって飛翔した演奏会


    と評するのが最も適切だと思う。これまでも名演を続けて来たコンビだが、過去の名演を上回った!
     セゲルスタム は、「細かな指示を細かく細かく出すタイプでは無い」。

    「テンポの切り替え」が絶妙で、デュナーミクを厳格に指示し、「フレーズの表情を左手で表出していく」で通す指揮


     マーラー交響曲で難易度の高い「旋律線の受け渡し」指示は極めて少ない。「オケ団員同士で聴き合う」を徹底する。その際に「楽器別に鳴り易いテンポ」を熟知しており、ほんのわずかだが「テンポを微妙に変えて振る」のだ!!!

     圧巻に感じた場面の1つが第3楽章=スケルツォ。1番ホルンも「オケの通常位置のママ」で吹かせるが、音の通りの素晴らしかったこと! 旋律を受け持つ楽器の「最も良いテンポ」を熟知していると、こんなに面白い楽章!!!

     ってくらい表情が次々と変わって行き、まさに「スケルツォ = 冗談」を音画として出現させてくれた。弦楽四重奏ピチカートの「ふざけた感触」など、これまでに聴いた同曲の演奏は何だったんだろう? と思えるほど、前後との対比が鮮やかだった。

    「濃密なマーラー」であり、指揮法こそ「マーラーのカリカチュア」とは全く異なるのだが、「表出される音楽」の表情が極めて濃い!


    が魅力。それが「ほとんどキズの無い演奏」で聴けたのだ!
     この日の演奏は「日本テレビ」が録画していたので(マーラーはおそらく間違いなく)放映されることだろう。私高本の発言が正しいか、間違っているか、は読者の皆様が夜間に録画して、昼間に「通常音量で再生」してご確認頂きたい。


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新国立劇場来シーズンの「公演数減」を糾弾する!(No.2198)

2013-01-20 21:56:06 | 演奏会案内
 本日、新国立劇場から「来期の案内」が到着した。全部目を通すと悲惨><

演目毎の公演数が激減!


だからである。芸術監督 とか、営業部 とかは「仕事してるんか、ヴォケ!」って感じ。もし、反論あるならば、記名の上、コメントに書いて下さい!!!
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シューベルトピアノソナタ ハ長調D613補筆完成版詳細 4(No.2197)

2013-01-20 20:36:26 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルト ソナタD613 の「全体構造」は3楽章? 4楽章?

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シューベルトピアノソナタ ハ長調D613補筆完成版詳細 3(No.2196)

2013-01-19 00:02:45 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 シューベルトは、同時代の大作曲家=ベートーヴェンを越える! 意欲に燃え、1825年には「ウィーンでベートーヴェン以上の人気を獲得した作曲家」となった。(第1位人気は残念ながらロッシーニ)
 シューベルトの理解では

  1. オーケストラのためのソナタ = 交響曲 → 4楽章構成


  2. 弦楽四重奏団のためのソナタ = 弦楽四重奏曲 → 4楽章構成


  3. ピアノのためのソナタ = ピアノソナタ →4楽章構成が基本



であった。

ピアノソナタ大量生産の年=1817年(8曲作曲した!)の内6曲、1823年のイ短調ソナタD784 を除外すると「明らかに3楽章構成を狙ったピアノソナタ」は、完成ソナタにも未完成ソナタにも見当たらない


 楽章構成がよくわからないピアノソナタが多いのだが、「大量生産時代 = 1817年」を除外すると、イ短調ソナタD784しか「3楽章構成ソナタ」と判明しているソナタは無い。しかもハ長調ソナタD613 は「ハ長調交響曲D589」の直後の作品であり、

ハ長調交響曲D589 の余熱で作曲されたピアノソナタ = 同じハ長調ソナタD613


である。交響曲D589第3楽章スケルツォのトリオ = ホ長調、ピアノソナタD613第2楽章アダージオ = ホ長調、見事なまでに「姉妹作」である。

シューベルト交響曲の余韻ピアノソナタ一覧



  1. 交響曲第3番ニ長調D200 → ピアノソナタ ハ長調D279


  2. 交響曲第6番ハ長調D589 → ピアノソナタ ハ長調D613


  3. 交響曲第7番ロ短調D759 → 「さすらい人」幻想曲ハ長調D760


  4. 交響曲第8番ハ長調D944 → ピアノソナタ ハ長調D840,イ短調D845,ニ長調D850



 交響曲の調性に関わらず「ピアノソナタ側はハ長調」で呼応している点に注目!!! 尚、上記曲以外に「ハ長調のピアノソナタ」にシューベルトが着手していないこともここに附記しておきたい。

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シューベルトピアノソナタ ハ長調D613補筆完成版詳細 2(No.2195)

2013-01-18 21:11:14 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルトピアノソナタ ハ長調D613補筆完成版詳細


 本日号から、シューベルト誕生日コンサート = 1/31 に 佐伯周子 が演奏する『ソナタ ハ長調D613』を題材に「補筆完成版」の裏舞台を詳述する。


基本事項:ハ長調ソナタD613 は、1818年4月の作曲で、第1楽章ソナタ形式展開部終了(or 間際)と 終楽章ソナタ形式展開部終了まで作曲されているが、再現部とコーダが放棄されている。緩徐楽章は アダージオ ホ長調D612



  1. 第1楽章ハ長調 :呈示部「第1主題:第1-40小節 ハ長調」「第2主題:第41-86小節 変ホ長調で開始され第78小節でト長調確立」、展開部「第87-121小節 ホ長調の属七和音で終わっている」


  2. 終楽章ハ長調 :呈示部「第1主題:第1-31小節3拍目まで ハ長調」「第2主題:第31-46小節 ハ短調で開始され変イ短調へ」「第3主題:第47-92小節 ホ長調で開始され第73小節でト長調確立」、展開部「第93-125小節 ハ長調行き」


  3. 作曲順は、第1楽章 → 終楽章 → 緩徐楽章



 以上が基本事項である。これまで存在した、バドゥラ=スコダ、ティリモ、バール の3名の補筆完成版の中で、抜群に出来の良い バドゥラ=スコダ補筆完成版を詳細に分析しよう。

シューベルトピアノソナタ ハ長調D613 バドゥラ=スコダ補筆完成版分析



  1. 「3楽章ソナタ」と判断した。


  2. 第1楽章:「展開部末尾6小節」「第1主題ハ長調で入り、呈示部第38小節で転調の為変化させる」「第2主題変イ長調で入り、呈示部と同じく3度上のハ長調に解決、第86小節までそのまま使用」「コーダ2小節」


  3. 終楽章:「第1主題ハ長調でそのまま使用」「第2主題ハ短調で呈示部と同じに入り、変ニ短調へ」「第3主題イ長調で開始され第73小節相当でハ長調確立」「第1主題が26小節分そのままハ長調で回帰」「コーダ13小節」



 「骨格作り」については「終楽章で第1主題が最後に回帰する必要性が希薄」「終楽章コーダが長い」と感じる以外は「全てシューベルト設計通り」と感じる。つまり『シューベルト通りの方向性』なのだ。だが、実際に演奏しているCDを聴くと「ラッツ補筆完成版のD625」の出来に至っていない。なぜか? 解き明かして行く。
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シューベルトピアノソナタ ハ長調D613補筆完成版詳細 1(No.2194)

2013-01-17 21:56:09 | 歌曲作曲家・マーラー(1860-1911

「シューベルトのソナタ楽章」は緊密な調性関係を保持している建造物である!


 多くの「研究書」とか「学術書」と呼ばれる書物に「シューベルトのソナタ楽章は、ベートーヴェンほどの緊密な調性関係が保たれていない」と書かれているが、あれは「書いた本人がアホ」なために「過去のベートーヴェン研究者」と同じ高みまで到達出来なかったことの残滓である(爆

 シューベルトは「同時代人 = ベートーヴェン」を綿密に研究し、分析し、体得し、自作に反映させた。その分析方法が著名な「ベートーヴェン学者」とは違っただけである。主として「調性関係」と「第2主題(第3主題の存在など)」
 シューベルトは「ベートーヴェン中期までの作品」を主として、勉強して「作曲力」を信じられないスピードで、信じられない高みに持ち上げた。

「糸を紡ぐグレートヒェン」や「魔王」のような「超大人気歌曲」を作曲できる『メロディーメイカー = シューベルト』の強み


が備わっていたので、ベートーヴェン と同等以上のソナタ群が産み出された。但し、31才で若死したので、弟子もおらず、「技術の伝承」を次世代に繋ぐことが出来なかっただけである。ベートーヴェンは「弟子ツェルニー(← シューベルトの「悲しみのワルツ」をパクって変奏曲を出版した作曲家)の大活躍」により名声を確立できたのと対照的である。


シューベルトが「再現部は呈示部と変化無し」と意図したならば、「再現部第1主題=主調で入り」「2主題ならば第2主題の終結部、3主題ならば第3主題の入りは、呈示の5度下の調性」「コーダは不要か、あってもごく短いモノ」


 大原則である。イ長調ソナタD959第4楽章コーダのような大掛かりなモノを想定していたら、スケッチが残っているのだ > D959のスケッチ残っているし。


シューベルト中後期のピアノソナタでの「遠隔調楽章」は、全て「ソナタ楽章」にて表出する調性


 これを明示した書物は、私高本は読んだことが無い。単行本になっている主要英語文献は全て目を通しているし、ドイツ語文献も「単語だけ追って」目を通している(爆

 いくつかの「有名遠隔調楽章」を取り上げてみよう。全て「完璧に仕上げられたソナタ」だ(爆

  1. 変ロ長調ソナタD960第2楽章「嬰ハ短調」 → 第1楽章展開部入りの調性!(調性記号を替えている!!)


  2. ト長調ソナタD894第3楽章「ロ短調」 → 第2楽章第2主題呈示の調性!


  3. ハ長調ソナタD840第3楽章「変イ長調」 → 第1楽章コーダ入りの調性!


  4. イ短調ソナタD784第2楽章「ヘ長調」 → 第3楽章第2主題呈示の調性!



 見事なまでに「遠隔調」と思われる調性も他楽章と緊密な関係を結んでいる。中期以降ではっきり確立した手法を初期から使用していた、と考える方が普通だろう。


 ハ長調ソナタD613 も「同じような調性構造設計」と考える方が自然である。バドゥラ=スコダ補筆完成版であらわになった調性が「中間楽章」だった可能性が極めて高いのである!!!
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シューベルトの「ベートーヴェンソナタ理解」と未完成ソナタの補筆について 3(No.2192)

2013-01-15 22:40:02 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルト「未完成ソナタ」を「完成版」に仕上げる分野別作業分類



  1. 楽章組み合わせ(1)


  2. 欠落部分(ソナタ楽章の「展開部後半」「再現部第1主題の再現冒頭調性」「再現部後半主題(2 and 3)の調性設計」「その間のブリッジ」「コーダ」のどの部分を補うか?(2)


  3. 『シューベルトの転調』をいかに「自然に」再現するか?(3)


  4. 「自然に再現したいか?」 or 「シューベルトの素材を用いて、自己表現したいか?」(4)



 突き詰めるとこの4点だけに集約される。そして、これまでの「補筆完成版」演奏が、モーツァルト「レクイエム」「ハ短調ミサ」、プッチーニ「トゥーランドット」補筆完成版ほどは、大した話題にならない理由は、演奏出演人数の問題だけでなく、「補筆完成版の質の高さ」が不足していることにも起因している、と私高本は感じる。
 古い時代からの シューベルトピアノ楽譜校訂者、補筆完成版楽譜出版作曲家、補筆完成版演奏家 が上記のどこに興味があるかを呈示したい。

  1. Erwin RATZ(1953年ウニヴェルザール版校訂者) → 2,3,4=自然再現


  2. Paul BADURA-SKODA(1978年ヘンレ版第3巻補筆完成版 & 全集録音2回) → 2,4=自己表現


  3. Gregor WEICHERT(1984頃全集録音) → 4=自己表現


  4. Martino TIRIMO(1997以降ウィーン原典版全3巻出版 & 全集録音) → 2,4=自己表現


  5. Walburga LITSCHAUER(2000-2003 ベーレンライター新シューベルト全集第1 & 2巻校訂者) → 1


  6. Alwin BAER(2000 ブリリアント盤録音) → 4=自己表現


  7. 高本秀行(2004 - ピアノソロ曲完全全曲演奏会プロデューサー) → 1,2,4=自然再現



 以上の通りである。真っ先に言う必要があることは

4項目全部に目配せが行き届いている人物は(私高本を含め)皆無!


と言う事実! これは、上記声楽含み作品だけでなく、ブルックナー や マーラー の交響曲未完成曲の補筆完成版 と比較しても、質が低い、と感じる。

 他人のことをとやかく言う前に、私高本自身を振り返っておく。

  1. ラッツ補筆完成版のD625ヘ短調ソナタ第1楽章補筆完成版を読み、感動し、「他の未完成ソナタ」も同水準で補筆完成版を世界万人に聴いて欲しい! と思った ← 1978年大学1年生の時


  2. 同年、バドゥラ=スコダ補筆完成版の「ヘンレ版第3巻」を購入したが、弾いて見ると「小さな違和感」が残った


  3. 1978-2004 の25年強掛けて、D840 の第3 & 第4楽章だけ「補筆完成版」を作成、佐伯周子 に「完全全曲演奏会」を持ち掛け第1回実施



 これが全てである。D840 は4半世紀掛けたので、納得行く出来だったが、D613 を初めとする 他の作品 が同水準に仕上がるのか? どうか?? 相当に大きな「不安」が残る方が普通だろう(爆

 受けてくれた 佐伯周子 には、感謝するばかり。しかも「名演」を残してくれた > シューベルト D840 だけ > 同時演奏のショパンとスクリャービンは「?」って、感じ > 対シューベルト比
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