一昨日=2023.02.08 東京文化会館で「有富萌々子 ヴィオラリサイタル」を聴いた。メインが「シューベルト : アルペジオーネソナタ D821」だから聴きに行った、と思う。聴いていて「特に悪くは無い」のだが、何かピンと来ない。「シューベルト声楽曲」のように響くからである、ヴィオラもピアノも。
アルペジオーネソナタは、「弓で弾くギター」と呼ばれるアルペジオーネの為に作曲された。この1曲以外に遺った曲が無い楽器であるw
現在、アルペジオーネパートは「チェロ」「ヴィオラ」「チェロピッコロ」などで演奏され、ピアノパートは「モダンピアノ」「6オクターブ半フォルテピアノ」「6オクターブフォルテピアノ」「5オクターブフォルテピアノ」などで演奏される。アルペジオーネで演奏したCDもあるのだが、正直「良い音色」では無かった。
シューベルト歌曲は「流れるような滑らかさ」が特徴
ドイツリートの後継者=シューマン・ブラームス・マーラー・ヴォルフ・R.シュトラウス に比べても滑らか、と私高本は感じる。シューベルト3大歌曲集=「美しき水車屋の娘D795」「冬の旅D911」「白鳥の歌D957」どれもが滑らかである。
「さすらい人」幻想曲D760 以降のシューベルト器楽曲は、8分休符でフレーズをはっきりと分ける、が大きな特徴
「さすらい人」幻想曲D760 は歌曲「さすらい人」が第2楽章変奏曲主題を中心に、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」を手本にした循環ソナタである。
- 第1楽章第1主題
- 第1楽章第2主題
- 第2楽章変奏曲主題
- 第3楽章主要主題
- 第3楽章第1副主題
- 第4楽章第1主題=第1楽章第1主題
これ全部が歌曲「さすらい人」D531 から派生しており、滑らかである。64分音符で真っ黒な楽譜だが。
第423小節からの第3楽章第2副主題の第432小節3拍目左手が「8分音符 + 8分休符」になってはっきり分けている
16回演奏され、ここを右ペダルで誤魔化すピアニストは多い。聴くに値しない演奏である。「さすらい人」幻想曲以降、ピアノパートだけでなく、アルペジオーネパートなど他の楽器も「分ける」演奏が書かれている。
アルペジオーネソナタD821 第1楽章では展開部の第88小節に拍の裏の裏に 16分休符 で フレーズを分けている。これが流れているのだ。その前の呈示部でも第2主題の第53小節の16分音符4つが「スラー1つ + スタッカート2つ」が4回繰り返される、ハズだが滑らかであった。
今は、佐伯周子シューベルトピアノソナタ全曲演奏会第2回の準備で、ピアノソナタ第20番D959 & 第14番D784 を毎日隣部屋で聴いているので、違和感大であった。