Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

東京オペラプロデュース「ジョルダーノ:戯れ言の饗宴」初日2014.10.25批評(No.2400)

2014-10-25 23:54:31 | 批評

圧倒的な説得力を持った馬場紀雄演出、実現した主要3役の ジネーブラ=福田玲子、ジャンネット=松村英行、ネーリ=羽山晃生


  東京オペラプロデュース代表に松尾史子が就任して以来、6年半の間に13本の「日本初演オペラ公演」だけを続けて来ている快進撃(怪進撃?)の日本唯一のオペラ団体 = 東京オペラプロデュース である。ジョルダーノのオペラについて言えば、同じく日本初演であった「マダム サン・ジェーヌ」も素晴らしく、期待に胸を膨らませて新国立劇場中劇場に足を向けた。


 開演前に舞台を観る。

  1. 前10列を撤去した「新国立劇場中劇場最高の音質」の舞台の再現!


  2. いつもよりも「さらに深い」感触のオケピット


  3. 最初から「種明かし」のような舞台



が(覗き込まなくても)誰の目にも明らか。さらに言えば、「反響板」が無いので、歌手の負担は相当に(少なくとも第1幕では)大きい、と予測された。


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NHK交響楽団第1791回定期公演初日2014.10.24批評(No.2399)

2014-10-24 23:39:28 | 批評

開放感だけで構築された ノリントン指揮シューベルト「未完成」&「グレート」


  終演後にはブラヴォーが飛んだ公演であり、「ノリントン節」全開だった。ノリントンの特徴は

  1. 弦楽器にノン・ビブラートを徹底する「ピュア・トーン」


  2. コントラバスを強調する配置(最後列の高い所に巾一杯1列で、しかもトロンボーンを挟み)広げる


  3. ヴァイオリンの「対抗配置」に拠るヴァイオリンの広がり


  4. ホルンを左、トランペット(&ティンパニ)



であり、ベートーヴェンもシューベルトも一緒。上記の内、シューベルトで効果があったのは、ホルンとトランペットの対抗配置だけで、緩徐楽章ではっきりと2曲とも効果を挙げていた。シューベルトは「第2ヴァイオリンには主旋律は任せない」作曲法なので、ヴァイオリン対抗配置は全くと言って良いほど、効果が無かったのはベートーヴェンでは効果があったので、作曲法の違いを改めて認識させてもらった。コントラバスの強調は、「未完成」冒頭からはっきり打ち出していたが、チェロとのユニゾンにてコントラバスだけ強調するのは、違和感大だった。

「ピュア・トーン」はノリントンが毎回来日時に強調していることだが

ノリントン「ピュア・トーン」は緊張感に全く欠け、全ての音が「外に向けて開放される」のが特徴


 これは「オリジナル楽器」オケや「オリジナル楽器奏法」オケに共通するのでなく、ノリントン特有。例えば、同じシューベルト「グレート」を演奏した ホグウッド指揮東フィルでは充分に緊張感を保っていたことを明記する。
 ノリントンは「グレート」では木管倍管&16型オケ編成、「未完成」では8-8-6-4-4で指示通りの管楽器。「グレート」では、ピアノのフレーズでは「未完成」と同じ8型オケで演奏するのと、倍管フル編成を(ある意味巧に)自在に切り替える。つまり、ピアノやピアニッシモのフレーズは「人数を落とし」音に緊張感を与えない。満足した聴衆も居て、ブラヴォーも掛かったのだから、説得力皆無なワケでは無いが、シューベルトの目指した音とは私高本は到底思えない。

ノリントンは「フレーズの終了」を統一しないので、楽器毎のクセがそのまま残って、「オケ全体」として統一感が全く無い のが欠点


である。「フレージング」が統一されていないのである。


 「ベートーヴェン交響曲全曲」の終了後に「未完成」&「グレート」が来るとは夢想だにしなかったが、初期に比べてN響弦楽器は柔軟になり対応していた。(オーボエ首席は、「未完成」で完全にコケたが、何か奏法に無理を言ったのだろうか?)
 だが、ノリントンの要求する「音」の表現の巾が極めて狭いので、スケールを要求する シューベルト音楽には全く合わなかった。さらに、「未完成」は音量が小さ過ぎて何も伝わって来なかった。後日、放映されるので、読者の皆様はご確認頂きたい。

 「N響のシューベルト」は次回は「普通の演奏」でお願いしたい。
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読響第170回東京芸術劇場マチネーシリーズ 2014.10/19 批評 (No.2398)

2014-10-19 22:38:18 | 批評

「オケとの会話」が素晴らしい ヴロンスキー指揮読響:マーラー交響曲第1番「巨人」


  圧倒的な出来だった。ブロンスキー は、オケ に細かな指示を強制しない。例えば、第3楽章のトリオに入る時と、出る時にのフレーズは、『ホルン1番奏者 = 松坂』に全てを任せ、指揮さえしない。信じ切っている! そして、松阪は応える!!


 前半の スーク「弦楽のためのセレナード」作品6 も素晴らしい演奏だった。弦5部が完全に合った和声で音楽を紡いで行く様は圧巻。前半から、ブラヴォーが掛かる出来だった。


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俣野修子ピアノリサイタル「シューベルト」2014.10.18 批評(No.2397)

2014-10-18 23:48:06 | 批評

シューベルトの「歌」心を極めて強調した 俣野修子


  D915, D780, D960 のプログラミング。このプログラムで ピアノソナタ変ロ長調D960 の第2楽章とアンコール シューベルト/リスト 「美しき水車小屋の娘」第19番「粉屋と小川」D795/19 に拠るトランスクリプションS565/2 に最も重きを置いたプログラムとは、想像だに付かなかった。
 俣野修子自筆のプログラムノートには『ピアノ曲でありながら室内楽的書法が随所に見られるシューベルトの内省的なピアノ作品に、この5年間で得られた室内楽的観点を添えてお届けしたい』と明記されているが、

俣野修子は『偉大なテノール歌手 + 忠実な伴奏ピアニスト の共演』スタイルを貫く


  主旋律はいつも朗々と歌われ、伴奏ピアノは決して出しゃばらない。冒頭のアレグレットD915 から最後の最後までこのスタイルは一貫していて、統一感は極めて強い。曲内、楽章内 のテンポは基本的に大きく揺れず、唐突感は全く無い。ソナタ形式の曲では第1主題と第2主題、3部形式の曲では主部と中間部は「対比」よりも「協調」が優先されるので、極めて繋がりが良い。反面、スケールの大きさは求めない。そして、D780/5 や D960/3 のような Allegro vivace の曲(楽章)までも主旋律が歌い上げることの出来るテンポまで落とす。そして D960/4 コーダの「Presto」もほんの少々テンポを上げただけだったので、「切り替え」はほとんど生じない。
 基本路線は「歌い尽くす」であり、趣味の良さがプログラム全体を覆うので、耳に心地良い。但し、シューベルトのもう1つの魅力 = リズム感が前面に出る = 特に 弦楽四重奏曲などで顕著 は内に篭って表面に出て来ないので、D960/1 の第1主題が確保される時に伴奏音型が3連符に刻まれて高揚して行くフレーズなどは隠して演奏され、第1楽章は「第2楽章の長い前奏曲」のように聴こえたことが印象的だった。

 尚、自筆プログラムノート には、楽興の時【作品780】と明記されているが、780 はドイチュ番号であり、作品番号は94。正確に記載してほしいモノである。
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新国立劇場「ドン・ジョヴァンニ」初日2014.10.16批評(No.2396)

2014-10-16 23:52:53 | 批評

女声3役 = カルメラ・レミージョ,アガ・ミコライ,鷲尾麻衣 主導で舞台をグイグイ引っ張った アサガロフ演出 + ヴァイケルト指揮 の初演時を遥かに凌ぐ再演演目名演!


 男声陣も(マゼット役を除いて)充実していたのだが、アンサンブル時に高声部を担当する3名のソプラノが3名とも揃いも揃って充実しており、「ドン・ジョヴァンニ = アンサンブルオペラ」を実際に音にしてくれた。
 私高本は「ドン・ジョヴァンニ」好きで多く聴いているが、この日ほどアンサンブルが優れた公演は初めてである。新国立劇場の過去のアサガロフの同一演出(2008年、2011年)よりも圧倒的に充実している。アサガロフを再演に再招聘したこと、ヴァイケルト指揮、キャスティング の全ての歯車が合ったからである。飯守泰次郎芸術監督の「再演演目」船出は抜群の出来。読者の皆様には是非是非聴いて頂きたい。


 女声陣3名と男声陣4名はソロにアンサンブルに大活躍! その源泉は

ヴァイケルト指揮の「拍感が踊り出すかのような卓越したリズム感」で極めて歌い易く、拍の頭を強調した瞬間に力を抜きほとんどビブラートを掛けない「オリジナル楽器奏法」が極めて自然に東フィルから紡ぎ出された


が大きい。「いつものモーツァルトオペラ」と同じ10型編成で特にアシスタントも付けていないのだが、「音の伸び」が素晴らしい。合唱の声も30名編成とは思えないほど、伸びて来る。モーツァルトスコアに忠実であり、1幕フィナーレのステージ上のバンダは、音の広がりが(過去2回の同演出と同じ配置のハズだが)はっきりと「舞台上の広がり」を強調した音響となった。


鷲尾麻衣 のアンサンブル力の高さに舌を巻く!


 通訳「奥様、お手をどうぞ」の2重唱から、第2幕フィナーレ6重唱までアンサンブル名曲続出の役=ツェルリーナだが(予算の関係なのか)ドンナ・アンナ や ドンナ・エルヴィーラ と同等クラスの歌手が起用されることは私高本の過去の経験では皆無であり、今回も ツェルリーナ だけが日本人ソプラノ = 鷲尾麻衣 であった。「ドン・ジョヴァンニ」は第2幕フィナーレが「オペラ鑑賞の後味を決める名場面」なのだが、最後の6重唱で「ドンナ・アンナ + ドンナ・エルヴィーラ」がメロディーを2重唱で歌った後に「ツェルリーナ が1声部」で歌い継ぐ、と言う過酷なフレーズで始まる><
  過去全ての公演はここで声量が落ちて「ドボン」であったが、今回は極めてスムーズに繋がった。「ドンナ・アンナ + ドンナ・エルヴィーラ」もフルヴォイスで歌ったかのように聴こえたのだが、このバランス感覚が ヴァイケルト指揮 の本領であり、鷲尾麻衣 の力量だろう。
 細めの声だが、突き抜けるように進んで来る。「奥様、お手をどうぞ」も素晴らしかったし、マゼットを介護する時の情感溢れる上&演技は(ドンナ・アンナやドンナ・エルヴィーラさえも凌ぐ)迫真であった。

 1人でも多くの読者に聴いて欲しい新国立劇場「ドン・ジョヴァンニ」。チケットは大量に余っていいる様子(爆
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黒川侑X佐伯周子リサイタルのご案内(No.2395)

2014-10-14 16:23:19 | ピアニスト・佐伯周子

黒川侑X佐伯周子リサイタル 2014.12.16 目黒パーシモンホール



 佐伯周子 が 黒川侑 と初共演します。会場は 目黒パーシモンホール(東急東横線都立大学駅下車徒歩7分)です。文教都市の公園内にあるホールです。曲目は

  1. シューベルト : ヴァイオリンソナタ第4番イ長調D574「デュオ」


  2. イザイ : 無伴奏ヴァイオリンソナタ第4番


  3. ラヴェル : ハバネラ形式の小品


  4. フランク : ヴァイオリンソナタ イ長調



です。
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