Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルトピアノソナタの「楽章組合せ」問題(No.2410)

2015-01-24 22:06:33 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
  シューベルトは「ピアノソロ曲」に関して言えば、『自作の範囲内で転用しまくった』が実績。今回佐伯周子が弾く「行進曲 ロ短調 D.deest」(→ 1997年に出版された「ベーレンライター新シューベルト全集」には反映されていない作品>< )も含めて、問題作だらけ><

◎ホ長調ソナタD157 の第4楽章が見付からない><

からである。
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下野竜也指揮読響第13回メトロポリタンシリーズマーラー交響曲第5番批評(No.2409)

2015-01-23 23:52:13 | 批評

ドヴォルザークから切り拓いた「下野竜也の交響曲の世界」が、ブルックナー に続き マーラー をも踏破


  マーラー開始前の舞台を見ると、コントラバスの椅子が8脚最後尾に一直線に配置されていた。入場して来ると、弦楽器は左から 1st Vn, Vc, Va, 2nd Vn で、木管が中央後方でその後ろが左に Hr, 右に Tp でその後方に Cb。Tp の右に Tb と Tuba。その前にハープ2台。Vc の後方に ティンパニ を中心に打楽器であった。
 この配置は下野竜也指揮では、私高本の記憶の範囲では初めてである。効果があるのか? を念頭に置き聴いたが、第3楽章までは全くと言って良いほど、効果がわからなかった。(特に悪さも無かった。)

第4楽章の静寂が鳴った時に、「弦5部の奥行き」が圧倒的に深みを帯びた!


  これが狙いだったのか!!

 アタックで入る第5楽章は「愉悦感」が溢れ出る第4楽章をも上廻る名演となり、締めくくられた。

下野竜也 は「アーティキュレーションの統一」を強く求める。1番オーボエ → コントラバス8本 など、楽器特性が全く異なるときも求め、読響は応える!


 この日は100名を越える学生が学生券売場に並んでいたが、入ってみると空席多。土曜日公演も充分に空席ある。学生券は全員入れる見込み
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シューベルトピアノソナタの「楽章組合せ」問題(No.2408)

2015-01-22 23:07:02 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルトは、『ピアノソナタ楽章』は他の曲に頻繁に転用した!


  前号にて書いたように、ピアノソナタ第1番ホ長調は「D154」「D157」の2つのドイチュ番号を持っている。他にも第1楽章が2稿あるソナタは多々あるのだが(スケッチも含めれば、D566, D575, D845, D850, D894, D958, D959, D960)ドイチュ番号を2ケ振られたのは、このソナタだけである><

 理由ははっきりしている。

ソナタ第1番ホ長調の第1稿(1815.02.11)と 第2稿(1815.02.18)の間に、他の器楽曲=ピアノ変奏曲D156(1815.02.15)が存在しているから


  シューベルトは「異分野の曲は並行作曲するが、同分野の曲は並行作曲しない」と信じ込まれて来た。「ミサ曲D678とオペラ」や「交響曲D944とピアノソナタ」などは超有名。だが、ピアノソナタとピアノ変奏曲やピアノ小品は並行作曲しなかった、と考えられて来た。その為、ドイチュ番号が2つ振られたのである。
 1つの曲を、時間が経過してから大改訂することは、(ブルックナー ほどは有名では無いが)結構多い。「ヴィルヘルム・マイスター」より「竪琴弾きの歌」op.12 D478 や ピアノソナタD567&D568 などが有名。ピアノソナタ第1番ホ長調もこのパターンと思われたようだ。

 だが、ちょっと待って欲しい。「たった7日」だぞ!!!

 ピアノソナタ第1番は、シューベルティアーデの仲間たちに「ピアノで演奏される交響曲代わり」として作曲されたので、第1楽章再現部が書かれていない。だが、作曲当時、サリエリに師事していたシューベルトは、このピアノソナタを見せて褒められたのでは無いだろうか! 第4楽章まで(第1楽章再現部を除き)きちんと作曲されていたソナタの内、第2楽章を特に褒められた、と推測される。

師匠サリエリに褒められた第2楽章だけを「10の変奏曲 ヘ長調 D156」として独立して献呈の辞を付けた、と考えると D154 - D157 は「連続した7日」の内に書き直されたソナタ


となる。
 2月5日の「佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会第16回」では、最終改訂稿 = D157 で聴いて頂く。シューベルト自身が「サリエリから褒められたD156」を越えた出来、と信じていた第2楽章が秀逸な曲である。
 第3楽章がロ長調で終わっており、このままでは終曲にならない。第4楽章問題については次号にて。
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シューベルトピアノソナタの「楽章組合せ」問題(No.2407)

2015-01-20 23:34:47 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 シューベルト「通称未完成ピアノソナタ」には、楽章組合せ問題が終始付き纏う。付き纏わないのは ハ長調ソナタD840 ただ1曲だけである><

楽章組合せ問題が常に内在している シューベルトピアノソナタ第1楽章一覧



  1. ホ長調 D154(第1稿)


  2. ホ長調 D157(第2稿)


  3. ハ長調 D279


  4. ホ長調 D459


  5. 初めの構想は変イ長調、最終構想は変ホ長調 D557


  6. ホ短調 D566(第1楽章が2稿残っている>< )


  7. 変ニ長調 D567


  8. ホ長調 D459A


  9. 嬰ヘ短調 D571


  10. ハ長調 D613


  11. ヘ短調 D625



 極めて多い。D840 以外で、第2楽章以降が手を付けられている ピアノソナタ 全てに存在しているではないか!!! そして、さらに不思議なことは

シューベルト多楽章器楽作品中、楽章組合せ問題が内在しているのは、ピアノソナタだけ!


 弦楽四重奏曲、交響曲、弦楽三重奏曲、ピアノ三重奏曲 は、未完成曲が存在するが、「楽章組合せ問題」は一切無い。その発端が、この ピアノソナタ第1番ホ長調D157 に全ての兆候が現れている! いろいろと問題あるんだよね><

 その全貌をご覧頂きたい。
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新国立劇場オペラ ワーグナー「さまよえるオランダ人」初日2015.01.18批評(No.2406)

2015-01-18 23:56:05 | 批評

新制作、2回目上演 を遥かに上廻る 飯守泰次郎指揮の「音楽捌き」 と ゼンダ役 = リカルダ・メルベート の圧倒的な歌唱 & 新国立劇場合唱団の突き抜ける音群の素晴らしさ!


  2007年新制作、2012年再演 の(悪評高い)シュテークマン演出の3回目の公演。何が悪評高いか! と問われれば迷わずに直言する。第3幕 の 「オランダ人船乗員の男声合唱」を録音を用いて、PAスピーカから音の潰れた大音量で垂れ流して「音楽を破壊したシュテークマン演出」に新制作時も再演時も聴衆が嫌気が指しているからである。 新制作初日は、当然のごとく、演出家 = シュテークマン に盛大な「ブーイング」が浴びせ掛けられた。

 ・・・ので、今回公演は ワーグナー楽劇ファンの佐伯周子 が聴きに行ってくれるモノと思っていた(「パルジファル」は当然のごとく佐伯周子が聴きに行った)のだが、何故か 私高本が「どうぞ聴いて下さい」とのこと。相当に、不安を持ちながら聴きに行った次第である。



  1. 飯守泰次郎の「指揮捌き」


  2. ヨーロッパから招聘した主要4役が全て素晴らしい歌唱で、特に ゼンダ役 = リカルダ・メルベート は圧倒的な声!


  3. つまり キャスティング = 芸術監督飯守泰次郎 の「目利き」の良さ



である。


 第3幕の『PA三昧シュテークマンバカ演出』は今回も継続されていた。但し、新制作時の「潰れるまで上げた音量」は「潰れない範囲」にしていたのが飯守泰次郎の良心、かと感じた。
  ・・・が、カーテンコール時に、(第2幕までは見違えるほど素晴らしかった)新国立劇場合唱団に 15秒くらい(生暖かい)拍手だけが続いていたのは残念。だが、あの「PA三昧」を聴かされたら、ブラヴォーは遅く、しかも2発のみ、も已む無し。演出が悪過ぎ。付言すれば、指揮者 = 飯守泰次郎 登場時に 4階左から1人だけだが盛大に「ブーイング」が出たのは、新制作 & 再演 を見ていない人が「3幕PA三昧音響 = 指揮者の指示」と勘違いしたからだろう。已む無し><


主要4役 は 過去公演よりはっきり上。さらに指揮者も今回がはっきり上。シュテークマン演出はやっぱダメ><


 「オランダ人」を音で楽しみたい人は、是非是非聴いて欲しい。幸いにも(演出がクソで)チケットは全5回ジャブジャブに余っている。 メルベートのゼンダ と 飯守泰次郎の指揮捌き は絶対に聴きモノ。


附論 : 飯守泰次郎 はオケ配置が『新国立劇場オペラパレス』公演中、最高!


  16型に正規配置の管楽器だった、と思う。(バンダの本数まではワカラン>< )

指揮者正面に木管2管編成、弦楽器は 左から 1stVn, Vc, Va , 2ndVn で Vc の奥にCb, 木管の右がHr, 右端がティンパニ でその左がTp、 右にTb & Tb


 ヴァイオリンの対面配置が主目的では無かった。

木管4部が説得力ある響きで伝わって来る!


 これが最大のメリットである。ワーグナー は ファゴット や オーボエ に 重要な旋律線を委ねることが多い。また、1番、3番、4番ホルンにソロを任せる。これが中央から伸び伸びと聴こえて来るのは(過去と異なり)極めて新鮮。東京交響楽団 の演奏も(3番ホルンが数回ソロでひっくり返ったのを除き)飯守泰次郎の意図通りだった、と感じる。再演演目なので、オケ合わせの時間も予算的に少なかっただろうが、新制作時を遥かに上廻る出来だった。「飯守泰次郎自身の指揮」の演目は相当に期待出来ると感じた次第である。
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