Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

2024年6月シューベルト演奏会の案内(No.2888)

2024-06-17 23:08:35 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルト演奏会に2024年6月は3回行きます



19日 佐藤卓史シューベルトツィクルス第20回

 
シューベルティアーデ電子版
  「カロリーネ・エステルハージ嬢の年齢詐称問題」が詳述されているので、是非是非ご覧頂きたい。

  1. ♪17のレントラー D366
  2. ♪4つのレントラー D814 *
  3. ♪創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 D813 作品35 *
  4. ♪4手のためのソナタ ハ長調 D812 作品140「グラン・デュオ」*

「1824年のエステルハージ家家庭教師=シューベルト」がテーマだろう。

20日 NHK交響楽団B定期


第2015回 定期公演Bプログラム | NHK交響楽団

第2015回 定期公演Bプログラム | NHK交響楽団

ウィーンという街にはふたつの貌(かお)がある。ひとつはモーツァルトやベートーヴェン、そしてブラームスが活躍したドイツ・オーストリア音楽の「中心」という側面。そし...

 

  動画もあるのだが、サントリーホールで全席完売で気合いの入ってない動画。写真見ると、ベルクのヴァイオリン協奏曲が主 に見えるのだが、口頭では シューベルトがメイン演奏会 と述べている。

29日 シティフィル定期


第371回定期演奏会|東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 公式サイト

第371回定期演奏会|東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 公式サイト

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団公式サイト。コンサートスケジュール、チケット、オーケストラの紹介や「第371回定期演奏会」のご案内

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団| TOKYO CITY PHILHARMONIC ORCHESTRA

 

  鈴木秀美指揮シティフィル。モーツァルト → ベートーヴェン → シューベルト と言う時代に沿った演奏会。シューベルト交響曲「グレート」がメイン。
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シューベルト 連弾 幻想曲D940 楽譜 詳述(No.2813)

2024-03-09 22:49:02 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
シューベルト連弾幻想曲D940 は、ブライトコプフ旧シューベルト全集 や ベーレンライター新シューベルト全集 が基礎とする楽譜が3種ある。

  1. 1828.01 スケッチ自筆譜
  2. 1828.04 出版用自筆譜
  3. 1829.03.16 初版出版譜

  これは、1888年開始の ブライトコプフ旧シューベルト全集から一貫している。だが、ブライトコプフ旧シューベルト全集 は「1829.03.16 初版出版譜」だけを元に編集した。その後の楽譜会社は、全て ブライトコプフ旧シューベルト全集 だけを元に出版した。「ペータース版」「ヘンレ版」「音楽之友社版」。

ヘンレ版は違うだろう?

いえいえ、ブライトコプフ旧シューベルト全集 を「ちょっと表現を変えただけ」です。

ブライトコプフ旧シューベルト全集 & ベーレンライター新シューベルト全集 の予算が無いと、新資料にアクセス出来る予算が出ない


様子である。

ヘンレ版現行版
・1958年刊行
・1986年改訂
・最大 ffz

ピアノ連弾曲だけでなく、ピアノソロ曲も、ピアノ含み室内楽曲も、ピアノ伴奏歌曲も、ベーレンライター新シューベルト全集しか「シューベルトの意図通りの楽譜」が無い曲が多数存在している



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最晩年1828年のシューベルト ピアノ曲(No.2812)

2024-03-07 23:58:01 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
シューベルト最晩年=1828年1月の作品=D940&D938&D939 である。3曲とも日付が入っていないので、ドイッチュは、幻想曲D940 を最後にしたのは

  1. スケッチ = 1828.01
  2. 出版用校訂楽譜 = 1828.04

だからだろう。
  1828.02 の楽譜は存在しない。1828.03 の楽譜は、D942, D943 の2曲。1828.04 の楽譜は、D945, D946/1, D946/2 の3曲。1828.05 の楽譜は、D947, D948, D949 の3曲。1828.06 の楽譜は、D950, D951, D952 の3曲。D952 だけ「6月3日」と記入されたので、最後になっているが、多分30日の月の3日だから、最も早いだろう、と私高本は推測する。1828.07 の楽譜は、D953 の1曲のみ。1828.08 の楽譜は、D954, D955 の2曲。

多作家=シューベルト としては、信じられないほど少ない 1828.01 - 1828.08


  では、シューベルトはこの時期何をしていたのだろうか???


幻想曲D940 1828.01-04、後期3大ピアノソナタ 1828.04-09



  この期間に、楽興の時D780+D946/3、弦楽5重奏曲D956、白鳥の歌D957、ピアノ3重奏曲D898 を作曲していたのである。う~ん、凄まじい。


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ベーレンライター新シューベルト全集 幻想曲D940の真実(No.2811)

2024-03-06 09:46:30 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
佐伯周子がシューベルト4手のための幻想曲D940 の第1パートを弾いている。近日ベルリンで現地在住ピアニストと共演するからである。聴いていて、驚いたことがある。

幻想曲D940 のダイナミクスレンジが ピアノソナタ第21番D960 より大きい


のである。(D960 も弾くので練習している)
練習している 

ベーレンライター新シューベルト全集は「548小節」「568小節」に fffz(フォルティッティッシモツァート)ありで、fff が最大の D960 よりダイナミクスレンジが大きい


好きな曲なので、CDでも頻度高く聴くが、ベーレンライター新シューベルト全集楽譜通りに弾いている演奏は聴いたことが皆無であった。

ブライトコプフ旧シューベルト全集では sff(スフォルティッシモ)になっており、後継楽譜も旧シューベルト全集を見習ってしまった


D960 fff > D940 sff
このダイナミクスレンジで、CD は作成されたモノがほとんど全てである。

ベーレンライター新シューベルト全集ピアノ連弾第3巻 BA5563 = 2013年刊行


ピアノソロが 2003年刊行なので、遅れること10年。普及が進まない訳である。

 幻想曲D940 は、原資料として「シューベルト死直後出版のディアベリ社楽譜」「出版用左ページがセカンド・右ページがファーストの自筆譜」

ディアベリ社初版楽譜SCHUBERT online

出版用左ページがセカンド・右ページがファーストの自筆譜SCHUBERT online

どちらも最終ページが対象小節である。「548小節」は、

出版用左ページがセカンド・右ページがファーストの自筆譜では、「セカンドはfffz ファーストはffz」になっており、ベーレンライター新シューベルト全集では「ファーストに 1つ f 追加」


である。校訂者=リッチャウア が追加したことがはっきり理解できるように、「1つの f だけ書体が 角ゴシック体」になっている。

シューベルト全ピアノ曲で fffz があるのは、D940 & D959 の2曲のみ。D940出版時=1829年には「fffz の曲は出版されていなかった」


がディアベリ社が「fffz 不採用」の一因であろう。D959 出版は9年後の1838年である。

出版用左ページがセカンド・右ページがファーストの自筆譜は ブライトコプフ旧シューベルト全集刊行時には、既に知られていたのだが、初版出版楽譜だけを元に作成されたのである



ブライトコプフ旧シューベルト全集は、同じ出版社刊行の「旧モーツァルト全集」「旧ハイドン全集」に比べて遥かに良い楽譜だが、D940 に関しては良くなかった。

「シューベルト ピアノ曲」は初版改竄が凄まじいことは有名。即興曲第3番作品90/3 D899/3 は 変ト長調 → ト長調 に改竄が最も有名。(舞曲を除く)大半の曲は ブライトコプフ旧シューベルト全集発刊時に訂正された曲が多い。即興曲D899/3 も自筆譜通り 変ト長調 で出版されている。

4手連弾曲で最人気曲=幻想曲D940 がベーレンライター新シューベルト全集で初めて「シューベルト自筆譜通りに出版」は、殆ど知られていない

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シューベルト:ソナタ楽曲舞踏楽章の魅力(No.2640)

2023-02-26 23:29:49 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
シューベルトのソナタ楽曲の魅力の1つが、「舞踏楽章の主部とトリオの対比」である。ベートーヴェン以前の舞踏楽章とは違う。ピアノソナタ ニ長調D850 以降の作品が顕著であるが、その「最初の作品 = ピアノソナタ第2番第2稿 = D277A」である。その後、ピアノソナタD459A/2 などで、再利用したが、多くの人には、ピアノソナタ ニ長調D850 以降の作品の特徴、と思っている。

その発端 = ピアノソナタ第2番第2稿舞踏楽章 = 277A である。初稿 = D279/3 とは違い、主部とトリオの対比が鮮やか。



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シューベルトピアノソナタ第2番D279第2稿第3楽章D277Aの魅力(No.2638)

2023-02-24 23:54:49 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
シューベルトピアノソナタ第17番D850 以降のソナタ楽曲 = ピアノソナタ第17番D850、交響曲第8番D944、弦楽四重奏曲第15番D887、ピアノソナタ第18番D894、ピアノ3重奏曲変ホ長調D929、ピアノ3重奏曲変ロ長調D897、弦楽5重奏曲D956、ピアノソナタ第19番D958、ピアノソナタ第20番D959、ピアノソナタ第21番D960 を熟知している人ならば

シューベルト後期ソナタ楽曲スケルツォ楽章のトリオは「テンポを落として、スケルツォ主部のリズム最優先と対比を際立たせる歌謡性」


が顕著。この特徴の発端 = D277A なのである。
ピアノソナタ第2番改訂稿 = D279/1 + D279/2 + D277A + D346 で最も魅力あるのは、第3楽章!
「シューベルト後期ソナタ楽曲のスケルツォ楽章の魅力」が聴こえて来る。この後、ピアノソナタ第17番D850 まで、この手法を再現しなかった。(メヌエット楽章 or スケルツォ楽章無し楽曲も多かった!)
ピアノソナタ第17番D850 で再度表現後は、全ての「ソナタ楽曲スケルツォ楽章」で再現した。おそらくピアノソナタ第2番D279第2稿 =最終稿メヌエットD277A を思い起こしていたことだろう、D850第3楽章作曲時。
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シューベルトD346佐伯周子補筆版(No.2637)

2023-02-22 23:56:05 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
1978年、パウル・バドゥラ=スコダ が、『シューベルト:ピアノソナタ第3巻』をヘンレ社から刊行した。ピアノソナタ第2番第4楽章D346 から、「ピアニストが楽譜を読めば演奏出来る」補筆完成版を呈示した。これが信じられ無い愚作なのだ。D571 や D613 や D615 や D625 や D840 と比べても冗長な補筆完成版であった。ティリモ版もバドゥラ=スコダ版を踏襲しており、極めて冗長。「ピアノソナタ第2番」が人気出ない原因の1つである。人気が出ない原因である><

佐伯周子の補筆完成版は短いぞ、スッキリしている!
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シューベルトピアノソナタ第2番の魅力(No.2636)

2023-02-21 21:51:11 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
毎日、壁越しにシューベルトピアノソナタ第2番&第14番&第20番が響いて来る。第14番&第20番が名曲なことは、シューベルトファンなら誰でも知っている。今日、取り上げるのはピアノソナタ第2番である。

「魔王」などに中断された直後に作曲し直された第3楽章 D277A が素晴らしい!


これに尽きる。第3楽章初稿D277/3 は同じフレーズが繰り返され、第1番改訂版第3楽章 D157/3 の域に達していないが、D277A は初期ソナタメヌエット or スケルツォ楽章でも出来が良い。この組み合わせを聴くことが出来るのは佐伯周子だけ!
ベーレンライター新シューベルト全集第1巻で、D279/1 → D279/2 → D279/3 → D309A を正式発表したからなあ。第2稿に触れていないのは何故? 訳分らん><
ちなみにこの改定第2稿は、「メヌエット」と書かれていない。時間が足りなかったのだろう。
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ベーレンライター新シューベルト全集ピアノソナタ第2巻は何故使われないか?(No.2633)

2023-02-15 23:50:37 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
先ほど、佐伯周子から「ベーレンライター新シューベルト全集ピアノソナタ第2巻黄色い本どこ?」と訊ねられた。「出版されていないよ」と即答えた。ベーレンライター新シューベルト全集ピアノ曲全曲演奏完了した佐伯周子でさえ、全貌把握出来ていない><

ベーレンライター新シューベルト全集で「黄色い廉価版」が出版されたことがあるのは、以下の通り

  1. ピアノソナタ第3巻
  2. ピアノソナタ第1巻
  3. 小品集第2巻

全9巻中、わずか3巻だけである><
佐伯周子は「舞曲集第1巻&第2巻」と「小品集1巻」が廉価版出版無しは記憶していたが、「ソナタ第2巻」が出版無しは記憶から飛んでいた。同じベーレンライター社刊行の「新バッハ全集」「新モーツァルト全集」は共に「クラヴィーア曲集全部」廉価版出版とは全く違う。これは無いよな、、、


何故か?

ベーレンライター新シューベルト全集第2巻は、他の巻に比べて間違いが多過ぎる


これが全てでは無いだろうが、「ピアノソナタ第2巻」廉価版は発行されていない。高価版発行されて20年経過して、何も廉価版が(同寸法版 or 縮刷版で)発行されないのは異常事態である。ピアノソナタ第17番二長調D850や佐伯周子が今回弾くピアノソナタ第14番イ短調D784が廉価版無いと、広がらないよな、第16番イ短調D845や第15番ハ長調D840も出版されていないから。
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シューベルト ピアノソナタ第14番イ短調D784(No.2632)

2023-02-12 20:14:23 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
今日の佐伯周子は、D784 の練習の様子。
この曲を「シューベルト最高傑作」とする人は皆無だが、かなり上位に来る。「さすらい人」幻想曲D760 と同じピアノ技巧を有するピアニストが弾く想定なので、相当技巧が必要、1823年2月作曲、カッピ&ディアベリ社に一旦楽譜を渡したが、「シューベルティアーデ友人が出版費用全額負担」を知り、出版停止、その後、ザウアー&ライデスドルフ社を初めとして、楽譜出版社に売り込むが、1828年11月のシューベルトの死まで実現しなかった。3オクターブ以上の跳躍が6回もあるからなあ。当時のピアノは6オクターブだったから、半分以上><

切れが抜群の曲 =ピアノソナタ第14番イ短調D784


全3楽章切れが「さすらい人」幻想曲D760 に比べても抜群。3楽章しかないので、最高傑作とは称されないが、素晴らしい曲である。8分休符が第1楽章から大活躍だな!
第3楽章最後まで。
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シューベルト器楽曲と声楽曲の違い(No.2631)

2023-02-10 15:22:52 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
一昨日=2023.02.08 東京文化会館で「有富萌々子 ヴィオラリサイタル」を聴いた。メインが「シューベルト : アルペジオーネソナタ D821」だから聴きに行った、と思う。聴いていて「特に悪くは無い」のだが、何かピンと来ない。「シューベルト声楽曲」のように響くからである、ヴィオラもピアノも。

アルペジオーネソナタは、「弓で弾くギター」と呼ばれるアルペジオーネの為に作曲された。この1曲以外に遺った曲が無い楽器であるw
現在、アルペジオーネパートは「チェロ」「ヴィオラ」「チェロピッコロ」などで演奏され、ピアノパートは「モダンピアノ」「6オクターブ半フォルテピアノ」「6オクターブフォルテピアノ」「5オクターブフォルテピアノ」などで演奏される。アルペジオーネで演奏したCDもあるのだが、正直「良い音色」では無かった。

シューベルト歌曲は「流れるような滑らかさ」が特徴


ドイツリートの後継者=シューマン・ブラームス・マーラー・ヴォルフ・R.シュトラウス に比べても滑らか、と私高本は感じる。シューベルト3大歌曲集=「美しき水車屋の娘D795」「冬の旅D911」「白鳥の歌D957」どれもが滑らかである。

「さすらい人」幻想曲D760 以降のシューベルト器楽曲は、8分休符でフレーズをはっきりと分ける、が大きな特徴


「さすらい人」幻想曲D760 は歌曲「さすらい人」が第2楽章変奏曲主題を中心に、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」を手本にした循環ソナタである。

  1. 第1楽章第1主題
  2. 第1楽章第2主題
  3. 第2楽章変奏曲主題
  4. 第3楽章主要主題
  5. 第3楽章第1副主題
  6. 第4楽章第1主題=第1楽章第1主題

これ全部が歌曲「さすらい人」D531 から派生しており、滑らかである。64分音符で真っ黒な楽譜だが。

第423小節からの第3楽章第2副主題の第432小節3拍目左手が「8分音符 + 8分休符」になってはっきり分けている


16回演奏され、ここを右ペダルで誤魔化すピアニストは多い。聴くに値しない演奏である。「さすらい人」幻想曲以降、ピアノパートだけでなく、アルペジオーネパートなど他の楽器も「分ける」演奏が書かれている。
アルペジオーネソナタD821 第1楽章では展開部の第88小節に拍の裏の裏に 16分休符 で フレーズを分けている。これが流れているのだ。その前の呈示部でも第2主題の第53小節の16分音符4つが「スラー1つ + スタッカート2つ」が4回繰り返される、ハズだが滑らかであった。

今は、佐伯周子シューベルトピアノソナタ全曲演奏会第2回の準備で、ピアノソナタ第20番D959 & 第14番D784 を毎日隣部屋で聴いているので、違和感大であった。
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1812.06.23 と 2017.06.18 のシューベルト(205周年)(No.2536)

2017-06-13 23:23:52 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

1812.06.23 と 2017.06.18 のシューベルト


 今度の日曜 2017.06.18 に佐伯周子がシューベルト全曲第21回を弾く。これは、シューベルトが「サリエリに師事したことが明らかに判明している 1812.06.18 から『205周年』に当たる。D25 Kontrapunktubungen 1812.06.18 と言う『未出版』作品に日付が入れられている。シューベルトは「記念の日」には(月まででなく)日付を入れる習慣があるので、サリエリに初めて課題を与えられた日と創造できる。尚、この曲は本日現在未出版の上、主題さえ記載が無いのでどのような曲かは一切不明である。


「糸を紡ぐグレートヒェン」D118 以前のシューベルトの作曲の足どりはあまりわかっていない。今回、佐伯周子が弾く曲の内、D29,D24B,D13,D41/1-8,D128 が該当する。作曲順序も正直判明していない。D29以外は、日付どころか作曲年さえ記入されていないからである。
 D25 の日付の後に、大量の対位法作品が作曲され、そのいくつかは サリエリに提出された。新シューベルト全集編纂の学者はその中で D24B が最初に完成した曲と推定しているようで、D13,D24A よりも前に掲載されている。
 D29 は、風変りな曲で、1812.09.09 の日付が入っているがサリエリに提出されていないだけでなく、同一の曲が29小節まで弦楽四重奏曲D3 として存在しているのである。D29 は62小節。現在はピアノ曲D29 が先で、D3 は 弦楽四重奏曲変ロ長調D36(1812.11.19 - 1813.02.21)の第2楽章の初稿として作曲された、と考えられている。D29に日付を入れたのは「大弦楽四重奏曲ができる!」の思いがよぎったからだろうか?
 12のドイツ舞曲D128 は、舞曲の最初の曲、と考えられている。序奏が11小節あって、その後12のドイツ舞曲が続く。この曲集 "Wiener=Deutsch" と曲数は明記されずに、後に残した "Deutsch" と異なる曲名となっている唯一の曲集。「ウィーン風ドイツ舞曲」とわざわざ書き込んでいるのは、後に「ワルツ王」が手本にするほど爆発的に売れた「シューベルトのワルツ」の原型。次の曲集からは「ウィーン風」を「シューベルティアーデの友人たち」には改めて書き込む必要が無かったからであろう。
 30のメヌエットD41 は、シューベルトが1817年に五線紙が不足した折、余白にスケッチを書き込んだ曲。ピアノソナタ ホ長調D459A の第1楽章、D349,D348 が書き残されているが、9-10, 19, 24-30 は紛失してしまった。


 10の変奏曲へ長調D156,メヌエット イ短調D334,アダージオ ト長調D178 は、おそらくピアノソナタ第1番ホ長調D157 の異稿である。サリエリ は「モーツァルトを手本」に指導した様子で、対位法の基本を短期間に詰め込んだ後は、オペラや重唱曲を教えている。そんな中で、シューベルトは1815.02.11に ピアノソナタ第1番ホ長調D157の初稿D154を作曲する。これはスケッチであり、続く楽章があったハズである。4日後に 10の変奏曲D156 がサリエリへの献辞の言葉と共に清書譜が仕上がる。サリエリが絶賛して清書させた、と推測できる。この時の第3楽章が メヌエット イ短調D334 と推測される。日付が無いのが単独曲ではない証拠。そして1815.02.18 からソナタの第2稿D157 の第1~3楽章が清書譜となった。第4楽章は第2楽章清書の後に作曲されたのだろう、清書されていたと推測。後に「楽章不足問題」が発生した ピアノソナタ第6番ホ短調D566 の時に、転用された。
 アダージオD178 は 1815.04.08 の日付を持つ。単独曲の可能性もあるが、ピアノソナタ第1番D157 の第2楽章差し替え、が大いに考えられる曲である。完成した曲の1部を完全に差し替える、はシューベルトの1つの習性で、ミサ曲第1番D105初演後、翌年再演の際にも差し替え曲を作曲している。まさにこの年! シューベルトは、」ホ長調D157の第3稿 = D157/1 + D178 + D157/3 + D566/2 を想定していた可能性が極めて大である。


 アレグレット ハ短調D900 は1822-23年頃に作曲されたと推定されている。47小節で作曲が破棄されたのだが、第41小節までで完結しているので、そこまで演奏するピアニストは多い。佐伯周子も第41小節まで弾く。


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シューベルト研究がリスト「歌う超絶技巧ピアノ」を産んだ!(No.2517)

2017-01-30 21:50:43 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 リストは、モーツァルトやシューベルトと並ぶ「神童」である。1811年生まれだがシューベルト生前の1822年に(シューベルトも変奏曲を作曲した)「ディアベリ変奏曲」にわずか11才で参加して出版された!
 「作品1」は1824年頃なので13才。
1826年に「12の練習曲」作品6 をわずか15才で出版した。その出来栄えにリスト自身は満足せずに、1837年に「12の大練習曲」としてリニューアル出版した。この間に作曲されたことが確定しているのが、「幽霊(Apparitions)第3番 シューベルトのワルツの拠る幻想曲」(1834出版),「バラ」(1835?出版)の2曲である。
 「幽霊(Apparitions)第3番 シューベルトのワルツの拠る幻想曲」は、シューベルト器楽曲初出版の「36のオリジナル舞曲集」作品1 の第33番を延々と225小節まで引き延ばした超絶技巧をひけらかす曲である。(元は32小節)
 「バラ」は、まさにライデスドルフ社専属時代に(ギャラ払いが不満足だったらしく)ギャラ無しの文芸雑誌の付録として、初出版された。ディアベリ社が生前にシューベルトと話を付けて「作品73」で1827.05.16出版に漕ぎ付けている。
 この2作品を通して「歌う超絶技巧」を習得したリストはまず「12の練習曲」作品6 を大改訂する。だが、この改訂版は難し過ぎてリスト本人以外誰も演奏できない稿だったので、後に1851年に(現在轢かれている)第3稿に再度改訂されている><
 「12のシューベルト歌曲集」S558は、「12の大練習曲」直後に着手され翌年には完成&出版された、と考えられる。当時、広く知られてはいなかった「シューベルト歌曲」を世界に『リスト1人』で広めるために作曲された。他人ピアニストの技巧は考えていない。その為、楽譜が品切れになった時に合わせて「簡単にした再編曲」した曲もある。今回佐伯周子は、「水面に歌う」「アヴェ・マリア」「魔王」を弾く。
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佐伯周子のシューベルトを聴く(No.2516)

2017-01-28 23:51:32 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
1月31日のプログラムを聴いた。シューベルトの曲(リスト編曲のリートを含む)について感じたところを、演奏順に従い記す。

「ライデスドルフ専属時代」の出版企画ドイツ舞曲集は、Ms.45, Ms.47, Ms.51 の3集だが。どれも完成度が高い!


  Ms.47 = op.171 にブラームスが勝手に手を加えずに出版した唯一のピアノソロ曲集! だが、ブレンデル や 内田光子 が「シューベルト歌曲の最高傑作の1つ」と認識している。今回、佐伯周子が弾く Ms.45 & Ms.51 は、op.171 = Ms.47 と同程度の完成度か?


  Ms.45 は、op.33 & op.50 & op.127 で没後2年までに全部出版された。op.33 & op.50 は完成度が高い曲集なので、Ms.45 と比較してどちらが「良く聴こえるか?」は、聴いた人の感性に拠る、と感じる。

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Schubert : Brown Ms.(シューベルト:ブラウン手稿譜)詳細説明(No.2490)

2016-08-26 17:21:20 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

Schubert : Brown Ms.(シューベルト:ブラウン手稿譜)詳細説明


 8月3日佐伯周子:ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会にお越しくださいまして誠にありがとうございました。アンコールは、楽興の時第3番ヘ短調作品94/3 D780/3 でした。
 ご来場者様から頂いたご質問について詳細説明致します。

ご質問:演奏会プログラムに記載されていた「Brown Ms. ナンバー」とは何か? ドイチュ番号 D のほかにBrown Msナンバーを付する意味は何か?


「ブラウン手稿譜番号」は Maurice Brown が1958年に発表した論文で、「自筆譜と筆写譜のありのままにシューベルト作品を捉える研究が重要」と指摘した手稿譜毎に割り当てた番号


大作曲家には、後世の研究者たちが様々な体系番号を振っています。「バッハ:BWV」「ハイドン:Hob.」「モーツァルト:K.」などは、問題の少ない体系番号だったので、他の体系番号は使用されていないハズです。
 「シューベルト:D」も大筋では良いのですが、一部の作品群=特に舞曲 に問題が多いことを明らかにしたのが、ブラウンです。Brown著:Schubert: a Critical Biography Hardcover – Import, 1958 にて公開されたのですが


  1. シューベルトは、舞曲に於いて「出版用に自筆譜を作曲したのではない」。


  2. 「36のオリジナル舞曲集」作品9 を例に取れば、「Brown Ms.30」「Brown Ms.25」「Brown Ms.26」「Brown Ms.24」「Brown Ms.29」「Brown Ms.33」「Brown Ms.研究後に見つかったアンゼルム・ヒュッテンブレンナーの筆写譜」は、それぞれ独立している。



 それまでは、

  1. 1889 ブライトコプフ旧シューベルト全集舞曲巻:生前出版番号付き作品及び没後出版年最優先:他は落穂拾い


  2. 1951 ドイチュ:シューベルト作品番号カタログ:旧シューベルト全集踏襲:その後見つかった自筆譜筆写譜を追加しただけ


  3. 1956 ヘンレ版舞曲集全2巻:ドイチュ番号順に従って出版。但しD135 は出版せず



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