Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

ヤマハの新機種グランドピアノの素晴らしさに驚く(No.1596)

2008-09-13 19:11:13 | ピアノ音楽全般
今日ほど(良い意味で)驚いた日はいつだったろう? おそらく(直前までは不安に満ちていた)「佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.1」の素晴らしい出来以来かな? もう4年以上前のことである。数年前に ヤマハが グランドピアノのラインナップに「LA」を出した時も衝撃があった。それで結局「C7LA XP」購入してしまったのだが(爆
その時よりも衝撃が大きい。

『差額支払うから LA → 無印XA に変えて欲しい』 が偽らざる感想。出来ませんか? > ヤマハ




 「ヤマハミュージック横浜」から「XA試弾会の案内」が数日前に来た。インターネットで発表になっていたので興味がもちろんあり、申し込んだところ「既に9/14&15は予約で試弾室は埋まっております」とのこと。スゲエ人気。マジですか?
 ・・・で『前日に上大岡の「ピアノフォルテ上大岡」ならば試弾可能です』の言葉に従い、本日試弾させてもらった。以下はそのレポートである。


 本日、「フォルテピアノ上大岡」で試弾したのは以下の機種。

  1. C6XA
  2. C3XA
  3. C6
  4. C3
  5. S4

 残念ながら「S6」と「C7」は置いていなかった。上大岡に行く前に「C7LA_XP」(← 1代前のアンサンブルピアノ)は弾いてから行ったので、それほどトンチンカンなことは書かないで済むと思われる。

これだけ「差」があって、「XAモデルは わずか+50万円かよ! LAモデルとの差額 = 20万円出すから取り替えて欲しい!」


 ヤマハも(カワイも)いろいろと意欲的な「チョット改良したモデル」を頻繁に出す。確かに「基本ラインナップに比べて良いモデル」であり、実際私高本も「ヤマハのLAモデル」を購入した。今回もそんな感触かな? と思い、川崎から上大岡まで期待(と若干の既存期待値)を胸に秘めて向かった。
 開店1番だったので他にお客様はいなくて極めて静かな環境で「C6XA」を半音進行で「ダンパーのある鍵盤全部を半音階進行」で叩いた。いつものことだ。「えっ?」っと感じた。我が家の「C7LA_XP」よりも良い点が多いからだ! ここで(大きな声では言えないが)言っておきたいことは

  • 同じグレードのピアノならば基本的には大きな寸法のピアノが圧倒的に優位

の事実。まして弾き慣れている C7 と C6 ならばはっきりわかる。う~ん、マジかよ???
 「C6XA」と「C6」を繰り返し弾く。はっきりとした差。
・・・って言うよりも、「C6XA > C7LA」である。マジ!?

 「ピアノの寸法を舐めるなよ!」は、私高本が常々感じて来ていたことである。同じメーカー内の同じシリーズで「寸法が小さい方が良い」がはっきり確認できるのはたった1つ「スタインウェイの B(211cm) > C(227cm)」 だけである。私高本では。


 私高本は「自分の耳」を疑って何回も弾いたが、「C6XA > C7LA」はほぼ間違い無い。「C6XA」の何がいいのか?

  1. ダイナミクスレンジが広く、pp~ff が容易に出せる

  2. ペダルに頼らず「pp」が出せ、割れることなく「ff」が出せる


の2点に尽きるだろう。書くのは簡単だが、信じられない思いである。上大岡に「S6」が無かったので断定できないが、「S6」と「C6XA」を比較して見たい。「価格比」でなく「C6XA」の方が良い可能性も高い。以前(上大岡と銀座で既にS6は弾いているが)これだけの感動は無かった。カネが高くて「手が出ない」と思ったのかも知れないが。

 C6 または C3 の「通常モデル」との相違は3点。

  1. 設計変更(駒の辺りらしい)

  2. 響板を「ヨーロッパスプルース」に

  3. ワイヤーを変更


が公式発表。「2」と「3」は「LAモデル」でも(さらに言えば「無印「Aモデル」でも)発表されていたのだが、内容が異なるのか? それとも 設計変更が大きいのか? 私高本個人の見解では「響板 + ワイヤー」の変更 が大きいと感じた。根拠は無い(爆

「C5」と「C7」は無視された今回の新機種発表。いろいろと思うことは皆様もあると思う。もし疑問があれば「メールアドレス+電話番号」を「コメント欄」に入れて「公開しないで下さい」と記入して何でも書いて下さい。
 ヤマハが「素晴らしい新機種」を出した事には双手を挙げて賞賛する。この方向で今後の(C3以上の)機種を設計して欲しい。

ヤマハXAモデル は 既存機種の改良では無い。革命だ!


 あまりの「差の大きさ」に「言葉を失った」が実感である。「C7の買い時期が早過ぎた」可能性が極めて高いでは無いか!!!
 私高本はやっぱ「早い男」なのか?(藁
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シューベルト「即興曲集」D899(No.1595)

2008-09-04 20:02:21 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
前号に書いた「楽興の時 作品94 D780」と「即興曲集 作品142 D935」は実のところどちらが先の作品かは確定できていない。「楽興の時」が自筆譜も無ければ筆写譜も遺っていないからだ。だがシューベルト自身が

  1. 楽興の時 作品94
  2. 即興曲集 作品101(← これは実現しなかった!)

で出版社と契約しているので、おそらく「楽興の時」の方が先に完成した作品だったのだろう。


「即興曲集 作品90 D899」はおそらく 楽譜商ハスリンガー の依頼作品である。「幻想曲集 作品78(← ト長調ソナタのこと)」で儲けたハスリンガーが持ちかけた曲集だろう。1827年4月11日が「幻想曲集 作品78」の出版日なので、依頼は夏くらいかな?

  1. 「ソナタ」のような多楽章構成でありながら

  2. 「ソナタ」でない「小品集」が

  3. ハスリンガーの依頼内容


だったと推測する。


D899/1 は、「草稿」を最後まで書き残した上に、新たに全曲書き直している。新シューベルト全集購入すると1冊約4万円なので、私高本に疑問を感じる人は「音楽之友社」から刊行されている「ウィーン原典版」を購入してね。バドゥラ=スコダ校訂の素晴らしい楽譜です。5千円札を出せば相当なおつりが来る安い値段で売っています > 日本語版

「ソナタでない」曲でシューベルトが最も得意にしていたのが「変奏曲」。これは「シューベルトが出版したい、と思ったピアノ変奏曲」全部を出版に漕ぎ着けている。列挙しましょうか?

  1. 変奏曲 ホ短調 作品10 D624(1822.4.19出版)連弾

  2. 「さすらい人幻想曲」作品15 D760(1823.2.24出版)

  3. ディアベリ変奏曲 D718(1824.6.9出版)

  4. 自作主題に拠る8つの変奏曲 作品35 D813(1825.2.9出版)

  5. ピアノソナタ第16番 作品42 D845 第2楽章(1826.3.1出版)

  6. 「アンダンティーノと変奏曲」 作品84の1(1827.7.6出版)連弾

  7. エラールのオペラ「マリー」に拠る8つの変奏曲 作品82(1827.9.3出版)連弾

  8. 「即興曲集」作品90の1(初出時は作品87,重複していたのでおそらくシューベルト自身によって作品90へ移行)D899/1(1827.12.10出版)


と次々と出版された。次の「即興曲集」にも変奏曲を入れており、シューベルトは(31才で死ぬとは思っていなかったので)生活の足しに確実になる変奏曲を頼りにしていたのである。
 作品番号と出版順序は一致していないことが多々あるので注意して読んで下さい。
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シューベルト「即興曲集」D899(No.1594)

2008-09-01 19:01:33 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
井上道義+読売日本交響楽団「ラプソディプログラム」を聴いて『伊福部昭モード』になってしまった私高本(藁
本日から、シューベルトについて記す予定です。


ロマン派の「性格的小品」を先駆した シューベルト「即興曲集」D899


 シューベルト自身が自筆譜に『IV. Sonate』と明記しているのに『幻想曲』として販売した 楽譜商ハスリンガーが(売れ行きの良さに味を占めて)シューベルトに委嘱したと推測される作品 = 即興曲集D899 である。
 初版時 = 作品87(← 誤記で無いぞ!)で出版されたが、歌曲と重複していたために、後に「作品90」に移された。おそらくシューベルト自身の労力で。ちなみにシューベルト生前に出版されたのは、前半2曲のみ。後半2曲は 1858年 まで出版されなかった。
 ・・・って事実だが、信じられますか?


 ピアノソナタを「幻想曲集」の形で販売されたシューベルト(作品78のことです、ハイ)。 おそらく作品42(イ短調ソナタD845)や、作品53(ニ長調ソナタD850)よりも圧倒的に売れたのだろう。皮肉なことである(爆

「即興曲集 作品90」は、全4曲とも人気曲な上に、技巧のある子供であれば小学生でも弾ける曲(← 高学年ならば弾ける)ので、多くのピアニストに愛奏されて来た。主旋律は覚え易く、「簡単に作曲された」と思われがちだが、事実は全く違う(苦笑



  1. 即興曲集 作品90 D899

  2. 楽興の時 作品94 D780

  3. 即興曲集 作品142(遺作) D935

  4. ピアノ曲(遺作) D946/1-2


と続けて「性格的小品集」がわずか1年足らずの年月で産み出されて行く。どれもが名曲だ。

足りなかったのは「シューベルトの余命」だけ


である。
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