Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

佐伯周子のリハーサルを聴いて(No.1572)

2008-07-31 23:59:09 | ピアニスト・佐伯周子
 今日、初めて「8/1 佐伯周子 ピアノリサイタル」のリハーサルを聴いた。以下は率直な感想である。

  1. プログラムの4曲の中では、リスト「ロ短調ソナタ」の表現力が 他を圧倒して素晴らしい

  2. アンコール予定曲(予定楽章)は、名曲中の名曲である上に名演であった!

  3. シューベルト「オリジナル舞曲」作品9 D365 第5番 は、ベーレンライター新シューベルト全集 と ヘンレ版で「音が全く違う」と佐伯周子が指摘


などである。「ド」と「ラ」が違うからね > 第5小節


 佐伯周子のシューベルト は踏み込みが良い、と思っていたらリストも「踏み込みが良い」ようだ。明日の演奏会が楽しみでならない!
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生前出版の舞曲でも「版」に拠って曲が違うのか?(No.1571)

2008-07-30 23:10:38 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
8/1(金)の 佐伯周子ピアノリサイタル の「プログラムノート」を全文書き終えた。文章が余りに多くなり過ぎて、A4が6頁で収まるのがやっとだった。泣く泣くカットした1文を本日はブログに記す。やっぱ、入れた方が良かったかなぁ?


『曲集としての自筆譜原稿が無い = 生前出版舞曲集』でも、差異が存在する シューベルトの各原典版楽譜


 「シューベルトの舞曲」で信頼に足る楽譜は、21世紀のこれまでに4種類しか無い。(これは以前ブログに書いたことがあるような気がする)。

  1. ブライトコプフ旧シューベルト全集(1889,1897)

  2. ヘンレ版(1956/1984)

  3. ウィーン原典版(1973)

  4. ベーレンライター新シューベルト全集(1989)


 ブライトコプフ旧シューベルト全集 は、そのままの形では現在手に入らないが

  1. ドーヴァー版(← そのままの形)

  2. ブライトコプフ楽譜2巻(← 強弱記号を校訂者が勝手に補足した版)


の2種類が簡単に手に入る。尚、旧シューベルト全集を買うならば、圧倒的にドーヴァー版をお薦めする。「安くて、余計なモノが入っていない」からだ。しかも英語表記で注が付いているのがとてもうれしい。


 この4種類の原典版楽譜で「シューベルト舞曲」に関して、生前出版曲では

  1. 最大に「差」が存在する = 作品18 D145

  2. 半分くらいの曲集では、差異が存在しないだろう


と考えていた。ピアノ舞曲の場合 「 > 」 が「アクセント」か「デクレッシェンド」か の問題も皆無に近いので、安心していた。

 ・・・のだが、
  • 佐伯周子 が弾く 作品9第33番 と
  • エンドレス が弾く 作品9第33番 が 違う!

ことに気付いた。具体的に言えば 前半16小節は全く同じだが、後半16小節を「佐伯周子は繰り返さない」「エンドレスは繰り返す」 である。エンドレスは「ヘンレ版そのまま」に弾いていることは既に確認していたがヘンレ版は「繰り返しあり」だ。佐伯周子は「ベーレンライター新シューベルト全集そのまま」に弾いているが、新シューベルト全集は「繰り返し無し」だ。
 4つの原典版楽譜がどのようになっているかを改めて確認して見た。

  1. ブライトコプフ旧シューベルト全集 → 後半繰り返し無し

  2. ヘンレ版 → 後半繰り返しあり

  3. ウィーン原典版 → 後半繰り返しあり

  4. ベーレンライター新シューベルト全集 → 後半繰り返し無し


である。う~ん、両全集 vs. 20世紀後半の「原典版の旗手」 対決か(藁


 この原因は「ベーレンライター新シューベルト全集」を熟読していたので、即わかった。

  • 新旧シューベルト全集は「生前出版舞曲」は、「初版楽譜」尊重
  • ヘンレ版は、「初版楽譜」と「自筆譜」を半々に編纂
  • ウィーン原典版は、「自筆譜」偏重

であり、この「作品9第33番」は出版楽譜の他に『2枚の自筆譜』が存在する。(全3稿は、全て調性が違う!)


 ヘンレ版は「2対1」で「繰り返しあり優勢」だ。ウィーン原典版は「自筆譜が繰り返しあり」だから「繰り返しを付けた」ワケだ。そんな編集方針のいいのか?


 ちなみに、リストは この作品9第33番を「後半の繰り返し無しの曲」として体に染み込ませ、「シューベルトのワルツによる幻想曲」を「幽霊」第3番として作曲&出版した。つまり、リストの理解は次のようになる。

  • 作品9全36曲中「32小節」もの長さになる唯一の曲 = 第33番
  • 細やかな「表情の差」が最高であり、心動かされた

である。「リストのシューベルト理解」は、ややケバいところも感じるのだが、他の大作曲家のシューベルト理解(シューマン、ブラームス、マーラー、ラヴェル、ラフマニノフ、プロコフィエフ、プーランク 等々)に比べると、地に足が付いている感触がある。リストは「細かな箇所まで、シューベルトの神髄」を探ろうとしていたように感じる。わずかな期間だが「同時代を生きた人(17年)」だからだろうか?


 これを全文書き込むと、「老眼の私高本」では読めないほど細かな級数(=文字の大きさ)になることがわかり断念した。やっぱ掲載すればよかったか?(爆
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8/1(金) 佐伯周子 シューベルト全曲演奏会第4回(No.1570)

2008-07-29 22:22:31 | ピアニスト・佐伯周子
曲目を書く。

  1. シューベルト : 36の「オリジナル舞曲」D365 作品9

  2. リスト : 「幽霊」第3番「シューベルトのワルツに拠る幻想曲」S155/3

  3. リスト : 「ローレライ」改訂稿 S532

  4. リスト : ロ短調ソナタ S178


である。
 「聴きどころ」について尋ねられると、返答に難しい。全4曲全てが名曲だからである。しかし

  1. 「シューベルトファン」の視点で見ると

  2. シューベルト「オリジナル舞曲」D365 作品9 が最高で

  3. リスト「シューベルトのワルツに拠る幻想曲」D155/3 が次の聴きどころ


と感じる。勿論「ローレライ」も「ロ短調ソナタ」も名曲なのだが!


 『佐伯周子のシューベルトとの相性の良さ』は抜群だ。曲が大きいほど(大体)演奏の質が向上する。「オリジナル舞曲」は大曲だ!

 8月の到来が待ち遠しい!
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佐伯周子のシューベルトの魅力(No.1569)

2008-07-27 21:12:36 | ピアニスト・佐伯周子
 「佐伯周子のシューベルト」はデビュー時から驚かされた(爆

1.「楽興の時」の第3番と第6番がパッとしない演奏だったのに
2.ピアノソナタ第15番「レリーク」の補筆完成版は素晴らしかった!

だからだ。楽譜を見る限りでは、「レリーク」の方が10倍以上難しいように見えたのだった。


 第2回も

1.嬰ハ短調ソナタ断片 = D655 は簡単で
2.ピアノソナタ第14番イ短調 D784 は難しい

ように見えたが、演奏は全く逆で「D784 は ブレンデルを越える超名演」でありながら、D655 は全くフツーの演奏、だった。何なの?


 第3回もすごかった。

1.「幻想ソナタ」D894 がメチャメチャ良かったので、後半を大いに期待したら
2.「さすらい人幻想曲」D760 は音抜けが多かった

が実績。とても素晴らしいピアニストなのだが、「先が読めない」タイプ。今回もどの曲が良い演奏なのか?
 練習段階では全4曲が全て良い。これが「東京文化会館のベーゼンドルファーインペリアル」で万全に響くことを祈るばかりである。
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リスト ロ短調ソナタ(No.1568)

2008-07-26 20:12:58 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 今さら私高本が付け加えて話す内容は特に無い名曲である。シューベルト「さすらい人」幻想曲 作品15 D760 が直接の手本である。

  1. リズムが印象的な第1楽章第1主題 + 旋律的な第1楽章第2主題

  2. 旋律的な第2楽章

  3. 終楽章入りが「フゲッタ」であること!


などなどが共通点。
  • 『シューベルト狂 = 私高本』から見ると
  • 「さすらい人」幻想曲 > ロ短調ソナタ に見えてしまうが
  • ほぼ同等の名作、客観的評価

だと思う。


 佐伯周子の演奏の聴きどころは

  1. 全体の展開部(= 通常第2楽章扱い)最後の第418小節のpp から 全体の再現部(= 通常終楽章扱い)の第501小節まで「p ~ ppp」のダイナミクスで通す緊張感!

  2. 第682小節 Prestissimo からの右手の音型を 第690小節から 左手で「そのままの形で受け渡す箇所」


の2ヶ所は、(他のピアニストでは滅多に聞けない)聴きどころだと思う。リスト ロ短調ソナタ は名曲なので、聴いたことは実演もCDも極めて多い。シューベルトの個々の曲よりも遙かに多いかも!?
 私高本の個人的感想だが、「さすらい人」幻想曲 をよくもここまでリストは「血肉」としたモノだ!
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リストが5回も作曲仕切り直しをした自信作 = ローレライ(No.1567)

2008-07-25 21:59:00 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 リストと言う作曲家は、「改訂稿」がやたら多い作曲家である。超絶技巧練習曲の「マゼッパ」は合計4回作曲されていることで有名である。おそらく、「マゼッパ」は第2回か第3回の作曲が最高で、最初と最後の作品は(最高の作品2つに比べれば)パッとしない。


  • 最も改作の多い作品 = 「ノンネンヴェルトの僧坊」 → 9稿ある!
  • ハイネ作詞「ローレライ」 → 5稿ある

なので、

  • 「ローレライ」は「最も稿が多い曲」ではないが
  • おそらく「稿が多い方から2番目の曲であり
  • 編成の多様性 = 「歌+ピアノ伴奏」 + 「ピアノ独奏」 + 「歌 + オケ伴奏」 はリスト作品中最高!

だろう。

「歌 + ピアノ伴奏」 + 「ピアノ独奏」 + 「歌 + オケ伴奏」の作曲&生前出版を実現した作品 は 「ローレライ」のみ


だと思う。(もし間違っていたらご指摘下さい。私高本の「リスト研究」は「シューベルト研究」ほどは深くないです。)


 「リスト作曲歌曲」は「シューベルト歌曲」ほどは人気が無い。おそらく人気あるリスト歌曲は5曲のみ。「人気ある稿」作曲順に

  1. ペトラルカのソネット第104番(1846)

  2. ペトラルカのソネット第47番(1846)

  3. ペトラルカのソネット第123番(1846)

  4. 「愛の夢」第3番「おお、限りなく愛せ」(1850)

  5. 「ローレライ」(1854)


となる。初稿の順番はまた違うのだが、変化が大きいのでこの辺りが「曲のクビが座った」と考えられるところだろう。「ペトラルカのソネット」にしても「愛の夢」にしても「ローレライ」にしても「異稿の歌 版」を聴くことは(実演に限らず)CDでもほとんど不可能に近い!
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リストによる『最初期のシューベルト理解 = 「幽霊」第3番』(No.1566)

2008-07-24 20:51:40 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 リスト「幽霊」S155 はリスト作品の中でも 極めてマイナーな曲 であり、全曲が3曲 であることさえ、ほとんど知られていない。ここ30年間で リスト「幽霊」S155全曲 のCDは、1種類しか日本では出ていないハズである。 ちなみに、「幽霊」第3番のCDも1種類しか日本では出ていないハズである。 レスリー・ハワードの「大リスト全集」が、その「たった1枚」である。


 リストが 「作曲家になるんだ!」 と意識作られた作曲家は、パガニーニ である。生涯で大きな影響を受けた作曲家は4名居て、影響を受けた順に

  1. パガニーニ(1832)

  2. ベルリオーズ(1833)

  3. シューベルト(1834以前)

  4. ベートーヴェン(1837以前)


と言われている。
 シューベルトとベートーヴェンに関しては「いつ影響を受けたのか?」は断定できていない。ベルリオーズ以前かも知れないし、パガニーニ以前かも知れない。リストの場合、「作曲開始した瞬間」が時期特定の唯一の手段になることが多いからだ。シューベルトの方が、パガニーニよりも先に影響を受けていた可能性は誰も(今の段階の「リスト研究」では)否定できない。『影響が現れた順序 + 文献に残っている順序』では、上記の通りである。

 この4名、「リストが産まれた時に生きて作曲していた大作曲家」として以外は、ほとんど共通点が無いように見えるが、この4名の大先輩のエキスを吸って、「大作曲家 = リスト」は成長していくのだ!


 リストに拠る「シューベルトの曲の編曲」には大きく分けて2つある。

  1. 原曲に出来る限り忠実に編曲 → ベートーヴェンやベルリオーズの交響曲と同じ姿勢 = 大半の歌曲などの編曲

  2. オペラトランスクリプションと同じく、『自由な編曲』 → 「幽霊」S155 第3番 もこれ!


である。「リストのシューベルトの曲の編曲」では、圧倒的に「上記1」が多く、「上記2」は「ワルツ編曲の10曲」だけである。

  • 内9曲は『ウィーンの夜会』の名前で
  • 1852年に作曲 & 1852~1853年出版

されており、特に第6番が人気ある。


 「ウィーンの夜会」の全9曲は、リストが「公式演奏会引退後」の作品であり、はっきり言えば「引退以前の技巧の冴え」は全く無い。 誤解を恐れず言えば、「ウィーンの夜会 = リスト作品の中では簡単な作品の部類」である。


 ・・・なのだが、「幽霊」第3番 は

  1. パガニーニを聴いて2年

  2. ベルリオーズを聴いて1年

  3. シューベルトを聴いて何年なのだろうか? ベートーヴェンよりも3年も早い興味!


の時期に作曲(編曲?)された。



  1. あちらこちらに「パガニーニ並み」の技巧を要求される曲でありながら

  2. 効果が「原曲=パガニーニ」よりも薄い


が響いたようで、リスト生前も没後も人気なく推移している。今回の「佐伯周子の演奏会」がきっかけで、人気が出てほしいモノだ。


 「シューベルトのワルツによる幻想曲」には、姉妹作品が(「ウィーンの夜会」9曲の他に)もう1曲ある。

姉妹作品 = 「パガニーニの鐘の基づく華麗なる大幻想曲」(1834)


である。テーマが全く異なる曲であるが、細部が極めて似ていることには驚くばかりである。


 リスト「幽霊」第3番 = 「シューベルトのワルツによる幻想曲」 は、

  1. 技巧をひけらかしながら(= パガニーニ並み!)

  2. 「シューベルトの叙情性」を最大に生かした編曲


を目指し、大成功した。ただ1点 「リスト自身以外は弾けない可能性が極めて高い」 こと以外には。
 佐伯周子は、ハワードが拓いてくれた世界をさらに深く聴かせてくれるような予感がする。8/1 が楽しみでならない。
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「D番号創出者」も悩みに悩んだ「オリジナル舞曲」作品9(No.1565)

2008-07-18 23:50:39 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 20世紀後半最初の年 = 1951年 に出版された名著が、

シューベルト作品主題目録(第1版) = ドイチュ番号目録


である。(この項の続きは 8/1 佐伯周子ピアノリサイタルの「プログラムノート」に記載しました。)
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「36曲の形」では残っていない自筆譜(No.1564)

2008-07-17 22:21:42 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 う~ん、これを言わなくては「誰もシューベルトの舞曲の出版状況」は理解できないのだろうな、、、

シューベルトの生前出版のピアノソロ舞曲 = 全部が全部「自筆譜が(出版譜の形では)」存在しない


である。

 3曲生前出版された「ピアノソナタ」を例に取れば、1曲は自筆譜消失、2曲は自筆譜あり、が現状。「小品集」で言えば、2集の「即興曲集」は自筆譜あり、だが「楽興の時」は自筆譜全く無し、である。


 シューベルト自身が「ピアノソナタに比べれば、ピアノ舞曲集をやや軽く見ていた」ことは明白である。自筆譜回収率ゼロだもんね。

 しかし「どうでもいい曲」とは全く思っていなかった。
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初出版の器楽曲「36のオリジナル舞曲」作品9(No.1563)

2008-07-16 22:26:57 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 「歌曲王シューベルト」は、1821年時点でのシューベルト自身の自己認識 でもあった、と推察される。作品1~作品7までの作品を「全て歌曲で埋め尽くして出版」であったからだ。そんなシューベルトが(作品8の歌曲集を飛ばして)

作品7の翌々日に出版したのが「36のオリジナル舞曲」作品9


である。


 出版時点で既に

  1. 交響曲6曲 完成
  2. ミサ曲4曲 完成
  3. 弦楽四重奏曲11曲 完成
  4. ピアノソナタ(最小)3曲 完成

と新シューベルト全集で考察されているシューベルトが、「最初の器楽曲出版」に選んだのは「舞曲」であったのは興味深い。ハイドンもモーツァルトもベートーヴェンも「舞曲」「行進曲」で稼いでいたことは、21世紀の現代では明らかになっている。「ウィーン古典派の伝統を受け継いだシューベルト」の面目躍如であろう!


「シューベルトのワルツ」はJ.シュトラウス2世を先取りしている


 ハイドンやモーツァルトの舞曲が大好き、と言う人は皆無に近いだろう。ベートーヴェンの舞曲では「エコセーズ」が後世まで好かれており、F.グルダの名録音なども残っている。先輩3名の舞曲を駆け足で総括するとこのような記述になる。

 シューベルトは違う。「シューベルティアーデ」と呼ばれたシューベルトと仲間たちの音楽会では、毎回のようにシューベルトの舞曲がシューベルト自身のピアノで演奏され、友人たちが踊っていた。(ちなみにシューベルト自身は踊らなかったようだ。ピアニストがいないと音楽が無くなってしまうからだろう!)

 「ウィーンの舞曲」はシューベルトで大きな転換点を迎える。

  1. 毎年冬の「舞踏会シーズン」に「舞曲の連作」を出版で供給してくれる = シューベルトの功績
  2. 他の作曲家が盗用するほど、民衆に人気!

になったのは、シューベルトが世界初! 特に2番「悲しみのワルツ」は、作曲された1818年からすぐに大人気になったようだ。 筆写譜が出回ったのか? 誰か他のピアニストが酒場で弾きまくったのか? さすがにこの辺りの詳細までは詰めていない > 21世紀のシューベルト学者の皆様。

 但し、「ウィーン中がシューベルトの悲しみのワルツを(狂うように)愛した」痕跡ははっきり残っており、矮小作曲家2名がシューベルトの出版前に「悲しみのワルツ」を出版していることを立証してくれたことは、「現代のシューベルト学者の皆様」のおかげである。

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ビゼー「美しきパースの娘」日本初演2日目&初日 批評(No.1562)

2008-07-13 22:15:07 | 批評
 ビゼー「美しきパースの娘」の日本初演の翌日も聴いた。昨日とは打って変わっての「オケの充実」。 細かいことは以下述べるとして、「日本初演」の昨日とは、オケの充実度が全く違い(本日の方が圧倒的に上)、同一公演として述べることが可能かどうかが私高本自身にて判断できない。昨日公演だけを聴いたヒョーロンカ(結構多くいる、と見受けられる)の言質は、あまり信じない方が良いだろう。ちなみに、たった1日でこれだけ変わってしまう「オケの音色」についても、「聴く側の責任」は無いので、主催者側で次回以降、さらに良い方向で改善してほしい!
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ビゼー「美しきパースの娘」日本初演 批評(No.1561)

2008-07-12 20:44:51 | 批評
本日、標題のオペラが日本初演された。記念すべき初日公演の批評を掲載する。

抜群に良かった ロマ女王マブ役 = 大隅智佳子


 東京オペラプロデュース 前代表 = 松尾洋 が亡くなり、竹中史子(前代表妻)が代表を引き継ぎ後の初のオペラ公演である。
 「カルメン」が世界中から愛されているオペラ作曲家 = ビゼー であるが、他のオペラは「真珠取り」がごく稀に上演されるだけである。(日本だけでなく、世界的な傾向!)オペラ作品が他に無いワケではなく、

  1. ミラクル博士

  2. ドン・プロコーピオ

  3. イワン4世(未完)

  4. 真珠取り

  5. 美しきパースの娘

  6. トゥーレの王の盃(未完)

  7. ドン・ロドリーグ(未完)

  8. ジャミレ

  9. カルメン


と多作。CDでは聴けるものが多いのだが、舞台に接することが可能になったことには、東京オペラプロデュースに感謝するばかりである。ちなみに「ミラクル博士」日本初演も東京オペラプロデュースである。



曲自体は美しい曲が多く、聴き易く、心に残る曲が多い


 超有名曲が2曲もある。

  1. 「小さな木の実」の歌詞で有名な歌曲 ← 第2幕 スミスのアリア

  2. 「アルルの女」組曲第3曲「メヌエット」 ← 第3幕 マブと公爵の2重唱


 他にも、第2幕終曲 ラルフ のアリア などを始めとして、ビゼーの長所が生き生きと表された曲が続く。少なからぬ曲が「カルメン」に直接を与えているので、「おお、カルメン!」と聴こえる瞬間も多い。

台本は支離滅裂に近い


 東京オペラプロデュースの方針である 出来る限り作曲者、台本作者の意図通りにオリジナルな型で分かり易く紹介し、作曲の真価を問う に従い、原台本(サン・ジョルジュ & アドゥニス)の意図を再現しようとしていたが、「イタリアオペラの中で台本の出来の悪いモノ」や「ワーグナーの中後期」に比較しても「容易には理解できない込み入った筋書き」であった。 この台本で「オペラの筋を理解できる聴衆」は数が限られているので、世界中で上演が少ないのもやむを得ないかも知れない。

八木清市演出 は好感持てるが、「歌手の歌い易さ」にもう一工夫ほしい


 極めて難しい台本を下に、八木の演出は「高度を巧妙に用いて分かり易い演出」を目指している。第4幕で男声合唱を右手袖、女声合唱を左手袖 に配して「エコー効果」を用いたり、台本の「矛盾点」をうまく補完する演出であった、と感じる。これで「歌手の歌い易さ」をもう少し気を配ってもらうと、聴衆に「声」がさらに満たされるように感じる次第である。2重唱を腹這いのママ、長々と歌うのは相当に体に負担があるだろう。

ベルリン帰りの 松岡究 指揮は「カルメン」指揮以前のアーティキュレーションが薄くなった?


 ビゼー「カルメン」を2年前に東京オペラプロデュース公演にて、同じ東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団を振って、名演を聴かせてくれた 松岡究 の指揮だったが、「カルメン」の時の冴えは感じられなかった。オケの音量が相当に控えめで、各楽器のソロの時に不安定な演奏もあったので、松岡の解釈なのか? オケの技量の問題なのか? は判断できない。声楽陣は良かったので、「カルメン」時の演奏が聴きたかった、が偽らざる気持ちである。
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佐伯周子 シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.4 (No.1560)

2008-07-08 20:07:34 | ピアニスト・佐伯周子
8月1日(金)佐伯周子ピアノリサイタルのチラシです。ご覧下さい。
画像をクリックすると大きくなります。

佐伯周子 2008.08.01
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