Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

即興曲集」「楽興の時」を初め、後期『非ソナタ』の原型となった ロンド ロ短調作品70,D895(No.2340)

2013-09-26 23:53:25 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

連弾ソナタ ホ短調 D823 作品63 & 作品84 にて、作品をバラ売りされた シューベルト


  それまでにも、「出版社」とはいろいろなトラブルを抱えていたシューベルトだが、『ソナタ』を『行進曲風』として売られたのは、初めてだった。この出版時(1826.06.17)直後に、『最後の弦楽四重奏曲 = ト長調D887』を作曲している。(1826.06.20 - 30)

  出版社は ヴァイグル。特に深い付き合いの出版社では無かった。だが、第2楽章以降の「原稿料」も約束されており、実際に翌年に「変奏曲 と 華麗なロンド」として出版された。
  そして、1826年10月に作曲された ピアノソナタ第18番ト長調「幻想ソナタ」D894作品78 は、シューベルト自身が最も信頼していた出版社 = ハスリンガー に拠って、『幻想曲、アンダンテ、メヌエット、アレグレット』として出版された(泣

  この頃のシューベルトは、

  1. 世界初の「楽譜売り」だけで生活できる作曲家、を目指していた


  2. 「ソナタ」の世界に、疑問を持ち始める出版社と「胸突き八丁」の交渉を経過しながら、自身の発展を遂げた!



である。

後世の「シューベルト研究家」は『シューベルト = 大芸術家 の観点のみ』だが、「シューベルト自身」は『シューベルト = 流行の最先端を行く 流行作曲家 が最優先』


であった。
  ベートーヴェン や モーツァルト とは違い、ピアノ協奏曲で聴衆を唸らせることは皆無だった。また、オペラ作曲家としては、シューベルティアーデの友人たちの努力に拠り「ウィーンでオペラ2本、劇音楽1本 上演!」にまで漕ぎ着けたが、ロッシーニ や モーツァルト のようには聴衆の支持を取り付けられなかった。
  これまた、シューベルティアーデの友人たちのおかげで、1821年に「歌曲 + ピアノソロ + ピアノ連弾」が出版されるや、わずか4年で「ウィーン中の音楽出版社」と対等以上に交渉できる地位を築いた。
  作品50、作品67、作品77 の舞曲集に洒落た題名を付けたのは出版社だっただろうが、シューベルトは承認していたのである。作品50の「感傷的なワルツ」の題名が気に食わなければ、「ウィーンの貴婦人レントラー」や「高雅なワルツ」の名前で出版されるワケが無い!!!

 冒頭の連弾ソナタ ホ短調 D823 の場合も、「シューベルトは承認していた」ことは確実。作品55 の行進曲が人気を呼んだことが原因だろう。ウィーンは小さな町なので、出版社間の情報は早かった!


シューベルトが「単独曲」または「非ソナタの2曲以上の小品集」を作曲開始したのは、1826年10月の 「華麗なるロンド」作品70、D895 が最初


  若い頃の「アンダンテ」や「アダージオ」など、作曲の練習に書いたのか? 他人の曲の1部差し替えの為に書いたのか? はっきりしない曲はることはある。(D29, D178 etc.)
 だが、

出版するつもりで作曲した「単独曲」または「非ソナタの2曲以上の小品集」は、「華麗なるロンド」作品70、D895 が最初


である。非常に凝った構成であり、初演はとても好評であったことが伝えられている。
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「即興曲集」「楽興の時」を初め、後期『非ソナタ』の原型となった ロンド ロ短調作品70,D895(No.2339)

2013-09-24 23:46:30 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
『後期シューベルト』は大いに悩んだ。「純正ソナタ」と「亜流ソナタ」の間で。その結果、「即興曲集」2集、「楽興の時」(← 全7曲で無く、6曲で出版されることになってしまった(涙))などなどの名曲を生む原動力になったのだから。

多くのシューベルト学者が勘違いしていることの1つが「中期以降のシューベルトだけが、非ソナタ形式にて「独立曲」または「即興曲集」「楽興の時」は完成できた事実


である。
 この原因は、「連弾ロンド ニ長調D608」を過大評価したことにある。この曲は 1818年1月の日付を持つ『未完成の曲』なのだが、シューベルト死後に楽譜を入手した ディアベリ により、(適当に継ぎ接ぎされて)没後出版された。
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堺シティオペラ「グノー : ロメオとジュリエット」2013.09.07 & 08 公演総合批評(No.2338)

2013-09-20 23:41:44 | 批評

グノー「ロメオとジュリエット」を(演出面だけでなく)音楽面までも知り尽くしている プロデューサー=坂口茉莉 と 演出家=粟國淳


  印象批評で書いては申し訳無いオペラに出会った。堺シティオペラ「グノー : ロメオとジュリエット」である。初日を聴いた直後もとても感動していた。さらに、楽日公演を翌日に聴いた直後には、

3年前に 堺シティオペラ「ヴェルディ : 椿姫」(初日公演)を聴いた時と同じ、つまり『東京のオペラ団体とほぼ同じと思われる演出 & 指揮』水準の公演で、東京の『メインオペラ団体』を遥かに凌ぐ「椿姫」を聴いた! と同じ感動が、またしても全身を突き抜けた。


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遅蒔きですが「スタインウェイB」の納調(納品調律)が本日!(No.2367)

2013-09-19 23:45:00 | 実録! グランドピアノ購入実戦
 納品されたのが7月21日だったので、2ヶ月弱。忘れた頃に「納調」が本日行われた。う~ん、これはスゴい!!

 佐伯周子 は「ピアノの状態」には細かに注文を付けるタイプのピアニスト。これまでのピアノについて、いろいろな注文を付けて来た。

  1. 打鍵にムラが多過ぎる


  2. ピアニシモが出ない


  3. 「ハーフペダル」が利かない



などなど。それが今回は何も無かった。つい数日前に、「ちょっとピッチが低くなった」と言っていただけだった。

 本日、納調完了。特に何も無かった。これは、我が家では画期的なことであり、過去2回は結構大問題を抱えての出発となっていた。

 大体、2ヶ月弱の間、ユーザー側が「納調まだ?」と思わせない状態を維持できたこと自体が奇跡に近い、ように思える。う~ん、狐が空から降ってきて、お稲荷さんを振る舞ってくれて、宴会をした後のような感触だ(爆
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シューベルト後期ヴァイオリン+ピアノ デュオ作品の魅力 2(No.2336)

2013-09-15 23:40:52 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

ピアノ も ヴァイオリン も「超絶技巧」を要求される シューベルト後期ヴァイオリン+ピアノ デュオ作品


  同時期のピアノソロ作品(ピアノソナタ第18番ト長調作品78D894「幻想ソナタ」、即興曲集第1集作品90D899、即興曲集第2集D935、楽興の時全7曲作品94D780+D946/3)が技巧的には、シューベルトの(舞曲を除く)ピアノソロ作品中、最も技巧的な要求は少ないのとは相反して、超絶技巧を要求される。これはなぜか?
 この疑問について、深く掘り下げて行きたい。
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シューベルト後期ヴァイオリン+ピアノ デュオ作品の魅力 1(No.2335)

2013-09-12 23:06:42 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

「即興曲集」&「楽興の時(全7曲版の予定で作曲された)」と同時期の作品で、シューベルト自身は「最も親しみ易い作品」と感じて作曲された D895 & D934



シューベルトは、1825年初頭から「自分の思い通り」に作曲した作品を出版できるようになった「ロマン派作曲家」


である。この時期を「後期」と呼ぶ。その後期の中で、1826年末辺りから

「密度の濃さ」と 「演奏家」または「聴き手」との距離感を狭くした作品群


がある。その最初が D885 だったか? D887 だったか? D894 だったか? D895 だったか? は判らない。私高本が「猫頭ヒョーロンカ」だからだろう。この点について、本日から問い詰めて行きたい。
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堺シティオペラ「グノー : ロメオとジュリエット」2013.09.07初日公演批評(No.2334)

2013-09-07 23:21:39 | 批評

終幕(第5幕)の「ロメオとジュリエットの死」にピークをきちんと持っていった 圧倒的な説得力を持つ 粟國淳演出:堺シティオペラ「グノー:ロメオとジュリエット」


  私高本は「フランスオペラファン」であり、「イタリアオペラ」以上にフランスオペラは(オペレッタを含めて)大好きである。グノー「ロメオとジュリエット」も大好きな作品であり、過去に2公演をそれぞれ2キャストで聴いているので、この日が5回目の生での公演を聴くこととなった。過去4日共に素晴らしい公演であり、大いに期待して堺市民会館に向かったのだが、期待を越える素晴らしい名演を聴けた。


グノー : ロメオとジュリエット の上演の難しさの1つは、「話の筋」としては第5幕 がピークなのだが、アリアは第5幕では派手なモノが無い!


がある。グノー が指示したことなのか? 台本作家の バルビエ & カレ が自発的に行ったことかは不明だが、

グノー : ロメオとジュリエット では、『ロメオが死ぬ前』にジュリエットが息を吹き返し、2重唱を歌い上げるのがピーク! になると納得度が最も高い


であるのだが、

「狂乱の場」や「メリスマひけらかし」は、前の幕までで出し尽くしており、演出家が相当に「テコ入れ」しないと、ピークが第5幕には来ない(泣)


  これが「グノー : ロメオとジュリエット」上演の最大の難関である。


この「台本設定」と「音楽設定」のズレ


が、グノー「ロメオとジュリエット」の問題点。これを見事に解消していた 粟國淳演出 には、舌を巻くばかりである。


 明日の楽日公演も聴く。キャストに拠る変動なども、明日公演を聴くと判明する。この素晴らしい

堺シティオペラ「グノー : ロメオとジュリエット」を1人でも多くの人に聴いて欲しい!


と、熱望する。指揮者 = ヤニック・パジェ は、もっと「場面転換」で表情を大きく付けて欲しい、とか、細かな点は要望があるのだが、「付ける指揮」で素晴らしい。それから、今回初めて聴いたのだが『大阪音楽大学 ザ.カレッジ.オペラハウス管弦楽団』は「オペラ慣れ」している。これは素晴らしい。
  
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佐伯周子ベーレンライター新シューベルト全集に拠る完全全曲演奏会(No.2333)

2013-09-04 23:52:28 | ピアニスト・佐伯周子

新たに『未完成では無かったシューベルト初期ソナタたち』シリーズ を開始する佐伯周子


 2014.02.04 から開始する。つまり

従来、未完成とされて来たが、シューベルトの脳内では完成されていたシューベルティアーデのためのピアノソナタ


を集中して弾く。チラシは次の通り。
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カンブルラン指揮読響定期演奏会 2013.09.03現代音楽プロ「ブリテン&ストラヴィンスキー他」批評(No.2332)

2013-09-03 23:21:51 | 批評

全4曲に「ブラヴォーの嵐」が降り注いだ『極めて稀有な現代音楽プログラム』がここにあった!


  「ヒョーロンカが絶賛していたが、演奏会場はブーイングの嵐」なんて情景は、東京ではざらにある。最も有名なのが、1997年10月10日新国立劇場オープニング初日「團伊玖磨:建(Takeru)」公演。当ブログの前身 = Daily Classical Music Critique in Tokyo が実情を詳細に描き、それを(全部が全部)無許可で引用されて、火が点いて燃え上がった(爆

  ヴィヴァルディ「四季」とかベートーヴェン「運命」とかドヴォルザーク「新世界より」などのド名曲に比べれば、集客は悪い、合唱団員やエキストラが極めて多く「採算が悪い」(← この日も盛大に合唱団員とエキストラが演奏しており、「採算悪い」の典型!)、練習時間が多く必要、などの為、ほとんど演奏されない曲ばかりを集めたプログラムである。
 「メシアン:管弦楽曲全曲CD」にて、全世界に名を轟かせた カンブルラン。メシアン に限らず、ブリテン も ストラヴィンスキー も、それはそれは「切れ込みの深い演奏」を揃えて、聴かせてくれた。「小 → 大 → 小 → 大」編成の順序。大編成の2曲は「無闇に大編成」で、小編成の2曲は「訳分からんほど小編成」であり、その「鮮やかな対照」が印象的な演奏会であった。


ブリテン「ラクリメ」 は、8(Vn),8(Va),4(Vc),3(Cb) 編成オケ と ソロヴィオラ の為の協奏曲


  う~ん、曲自体は(録音で)既に知っていたのだが「ナマ演奏初体験」。左から「Vn,Va,Vc」でチェロの後方にコントラバス。

ソロを弾いた 鈴木康浩 の名技 の素晴らしさ


は、猫頭ヒョーロンカ = 私高本 でさえ、はっきり伝わって来た。特に終曲直前の「オケのヴィオラ首席奏者とのデュオ」の感銘の深さは、筆舌に尽くせない。


 大編成の2曲の素晴らしさは何と言えば良いだろうか? これまで、散々(CDでは)聴いて来た曲なのに、

カンブルラン指揮読響で聴くと、「全てを洗い落として、今ここに生まれた曲」に聴こえる! のが最大の魅力


  これがあるから「演奏会通いは止められない」んだよなあ(爆
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これから聴きに行くコンサート(No.2331)

2013-09-01 21:31:13 | 演奏会案内
 9月は、10/24「佐伯周子 小森谷巧さんをお迎えして」の準備に忙しい見込みで、厳選したコンサートのみを聴くことにした。

  1. カンブルラン指揮読響定期演奏会 2013.09.03 19:00 ブリテン、ストラヴィンスキー 他 サントリーホール


      カンブルラン期待の「現代音楽プログラム」。

  2. 佐伯周子 「ムソルグスキー : 展覧会の絵」 2013.09.05 12:00 モメント汐留


      5月に「展覧会の絵」で名演を聴かせてくれた 佐伯周子 が再演する。使用ピアノは スタインウェイフルコンサートグランドピアノ D。

  3. 堺シティオペラ「グノー : ロメオとジュリエット」 2013.09.07 & 08 15:00 堺市民会館


      毎年、名演を聴かせてくれる 堺シティオペラ が今年は「ロメオとジュリエット」を上演してくれる。
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