Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

新国立劇場「池辺晋一郎:鹿鳴館」再演初日批評:続編(No.2390)

2014-06-20 20:13:21 | 批評

尾高忠明新国立劇場オペラ部門芸術監督の「有終の美」を鮮明に聴かせた 池辺晋一郎オペラ「鹿鳴館」再演!


 私高本は、1997年10月10日のかの有名な『天覧ブーイング』で柿落としを行った 團伊玖磨「建(Takeru)」の初日から、この日の池辺晋一郎「鹿鳴館」再演まで、新国立劇場の日本語オペラを全演目聴いた。日本語公演は全てダブルキャストだが、「建」のように両キャスト聴いた公演もあるが、大概は「初日にAキャスト」だけ聴く。再演演目も(「鹿鳴館」と同じく)必ず聴く。

新国立劇場歴代芸術監督(代行を含む)で、「新国立劇場委嘱新作を2作品上演した芸術監督は 畑中良輔 と 尾高忠明 だけ」


をここに明記する。そして、(現代オペラ全体に、だと思う)日本語オペラに興味の薄かった 畑中良輔 とは全く異なり、尾高忠明 は「芸術監督任期完了を 新国立劇場委嘱新作の初めての再演で締め括る」選択を(他のスタッフの意向では無いと推測される)自ら選び、そして、世界初演メンバー は全て 若杉弘前芸術監督が選んだ通りのメンバー通り、とプログラムに記載されていた。
 今回メンバーは、尾高忠明 が選出。自薦他薦が数多あったことだろう。その中で、

  1. 世界初演時と同じメンバー : 演出=鵜山仁、影山伯爵=黒田博、影山伯爵夫人朝子=大倉由紀枝 のみ


  2. 世界初演時とメンバーチェンジ : 指揮、清原永之輔、清原久雄(体調不良による急遽の変更、当初は世界初演キャスト)、大徳寺侯爵夫人季子、その娘顕子、女中頭草乃、宮村陸軍大将夫人則子、坂崎男爵夫人定子



 上記の内、歌手は「ソロフレーズ」があるモノのみ記載である。私高本は猫頭ヒョーロンカなので、聴き落としがある鴨(泣


 読者の皆様が知りたいことを明記する。新国立劇場オープニング「建」の天覧ブーイングを詳細に記述して世に知らしめたのも私高本だったしな(藁

スタッフ&キャスティング変更で悪かったのは、大徳寺侯爵夫人の娘顕子役 = 高橋薫子 だけ、であり、他は全て世界初演時を上まっていた


 なぜ、世界初演時のAキャスト = 幸田浩子 をBキャスト に廻したのか? は、ヨーロッパ作曲家作品でも絶妙のキャスティングを徹底していた 尾高忠明 に尋ねて見たいところ。もう退任するから無理だろな(爆


音楽も演出も「世界初演時のママ」、反省の無い 演出=鵜山仁 & 作曲=池辺晋一郎


  最大の問題点は、演出家と作曲家である。ヴェルディ や ワーグナー ほどの「オペラ作曲家」であっても、初演時の反省に基いて、『改訂版』を世に問う。シューベルトオペラが「改訂版」が無いのは生前再演されなかったからである(爆涙

 最終幕=第4幕で清原永乃輔が息子久雄の襲撃に反撃して、反対に撃ち殺してしまう場面は感動的なのだが、その後にグズグズと下らないシーンが延々と続く。再演時にはカットされる、と信じていたのだが、初演時と同じか、同じ以上の時間で延々とダラダラと展開された。鵜山仁 と 池辺晋一郎 は、どう感じているのだろうか?


 ここで明記しておきたいことがある。

芸術監督は「公演中止」は命令出来ても、権限を委嘱した「作曲家」や「演出家」の細部には口出し出来ない><


  2014.06.19 池辺晋一郎:オペラ「鹿鳴館」再演 は、「新国立劇場委嘱新作オペラが再演されなくては、レパートリーにならない!」と言う 尾高忠明新国立劇場オペラ芸術監督 の強い意思で再演された。「代行」時代とは言え、「新国立劇場トップ」に上演した演目を「レパートリー化したい」意向がはっきり伝わって来る。これまでの「新国立劇場オペラ部門芸術監督」には全く無かったよなあ(泣


 私高本が今回公演で(世界初演時には全く感動しなかったシーンで)初めに感動したのが

第1幕冒頭の 宮村陸軍大将夫人則子 = 鵜木絵里 & 坂崎男爵夫人定子 = 池田香織 の歌唱


 作曲家=池辺晋一郎 のオーケストレーション は「歌手の音域を邪魔しない」ことが確認できるのだが、この脇役陣の歌唱がその後の主要人物を暗示していることか!

 鵜木絵里 と 池田香織 に感謝!


 一言付け加えれば、「鵜木絵里 と 高橋薫子」は配役が逆! と感じた。4分音符と思われる(8分音符かも知れない><)音にまで、(上では無く)下にビブラートが付く 高橋薫子 を なぜAキャスト準主役に登用したのか? 尾高忠明芸術監督のご意見を聞いて見たい。


高橋薫子 以外は、世界初演時を全員上回った 再演!


は明記しておく。
 これまでも数々の軋轢をきたして来た 当「Piano Music Japan」だが、ここに宣言する。特に、初演時再起用の 大倉由紀枝 と黒田博 は圧巻。鵜木絵里 と 池田香織 も「こんなに良い曲なんだ!」と認識させてくれたことに感謝。

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新国立劇場「池辺晋一郎:鹿鳴館」再演初日批評(No.2389)

2014-06-19 23:58:08 | 批評

指揮者=飯森範親 & 作曲家=池辺晋一郎 だけに ブラヴォー が掛かった オペラ「鹿鳴館」再演初日


  終演後のカーテンコールにて、上記の通り 飯森範親 と 池辺晋一郎 にだけ ブラヴォー が掛かった「鹿鳴館」再演初日となった。聴衆側も世界初演時の熱狂は冷め、「新国立劇場委嘱新作オペラに於ける初の再演演目」となったが、「鹿鳴館」初演当時「オペラ芸術監督代行」であった 尾高忠明 が、「鹿鳴館」「夕鶴」「沈黙(新演出)」「夜叉ケ池(委嘱新作世界初演)」の経験を踏んで、上演しただけあって、初演時よりも出来映えの素晴らしい公演になった。特に素晴らしかったのが、指揮者 = 飯森範親。初演時の 沼尻竜典 の演奏も良く研究し、さらにデュナーミクの拡大を目指し、成功した演奏に初日から仕上がっていたのは見事! キャスティング も今回の方が (同じ人が演じた役もいくつかあるが)大徳寺顕子役=高橋薫子 を除き、全て今回の方が上だった。尾高忠明 の手腕に舌を巻いた次第である。

池辺晋一郎「鹿鳴館」世界初演初日批評 はこちら


(明日、続編)
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