8/12(水)の 佐伯周子 の D845 の演奏については、
- バドゥラ=スコダ
- ブレンデル
- グルダ
などと「ほぼ同じ補筆」演奏なので、シューベルトファンの皆様ならば「それ聴いたことあるよ!」とおっしゃる可能性が高い。「演奏の質」でなく、「音符進行」についてである。
・・・で、プログラムの他の2曲についてであるが、
- D946/1 が「聴いたこと無い終曲!」
- D145 が「聴いたこと無い曲順!」
になっている。特に「演奏の質」が異なるのが D946/1&2 である! これは「誤記」でない。 D946/1 も異なるが、D946/2 も相当に異なる感触なのだ。
- 「ある楽章」を
- 「中間楽章」と認識して弾くか?
- 「最終楽章」と認識して弾くか?
- これで「演奏は全く異なる」
シューベルトの例であると「ピアノソナタ ホ短調 D566」の「第2楽章」が最も良い例であろう。
世界初のシューベルトピアノソナタ全曲録音ピアニスト = ケンプ は「終楽章」と認識 して演奏している。
続く クリーン も「終楽章」と認識 である。最近の録音では
バドゥラ=スコダ も ティリモ も「中間楽章」と認識 して演奏が実績。 「どちらかが必ず正しい」と思って聴かずに、『ピアニストの認識で演奏の質感が変わる』ことの方が大切だろう。
シューベルト全曲演奏を意図する全ピアニスト → D946/1&2 は演奏 → D946/3 と合わせた「3曲構成演奏」
が過去実績だ。シューベルトのピアノ曲は「曲数が多過ぎ」で完全全曲録音したピアニストは確実に世界で皆無。完全全曲演奏するピアニストの最初になるのが、おそらく
佐伯周子 であろう。「ピアノソナタ中心」であったり「後半作品中心」であっても『全曲演奏に限りなく近い人』を列挙すると以下の通りである。
- ケンプ
- クリーン
- ブレンデル(3回)
- バドゥラ=スコダ(2回)
- エンドレス
- ツァハリアス
- 内田光子
- シフ
- シュヒター
- ダルベルト
- プリュデルマシェール
- ティリモ
- ヤンドー
- ヴァイヒェルト
- クーパー
- ビルソン
漏れがあるかもしれないが、主なピアニストはこの辺りだろう。「ピアノソナタだけ」しか録音していないピアニストもいるので、D946 を全員が弾いているわけではないが、
D946 を弾いたピアニストは全員 D946/1-3 を続けて弾いている!
ことをここに明記しておこう。
D946/2 が「中間楽章か?」「最終楽章か?」の問題について、大きな差があるか? 大した差は無いか? について、疑問のある方は是非 8/12(水)の 佐伯周子リサイタル を聴いて頂きたい。 D566/2 で発生した問題が「後期シューベルト」で起こっているのだ!
後期シューベルトの「アレグレット系の終楽章 = D840,D850,D894,D959
である。 佐伯周子 は、D840,D850,D894 の3曲を既に「完全全曲演奏会」で弾いた。3曲ともに素晴らしい名演であった。(小曲には若干の不完全燃焼が残ることが多かったのだが・・・)
D959/4 こそ、私高本は「佐伯周子のシューベルト」で聴いたことが無いが、どうも
アレグレット系の終楽章演奏は「お手の物」!
にしているようだ。これは心強い!
「D946/2 の彫りの深い演奏」は、是非是非「シューベルトファンの皆様」に聴いてほしい。私高本1人が聴くだけではもったいない!!!!!
・・・で追記。「作品18 のワルツ」が「アシュケナージ録音」以上で聴ける日が来るとは、思ってもいなかった! アシュケナージの演奏は素晴らしいからね!!!
アシュケナージは「多芸の人」で、ピアニストとしてよりも指揮者として大成して行った。N響常任指揮者は凄い!!!
旧ソ連のピアニストとして、穏健に「妻の祖国 = アイスランド」に移住したのはいつだったっけ? 「作品18 = D145 のワルツ録音」とどちらが早かったんだっけ? ピアニスト = アシュケナージ を代表する素晴らしい録音で、『D784 + D664 + D817 + D145W』 がオリジナルの形だ。全4曲とも素晴らしい!!!
初めて「LP」を聴いた時の衝撃は大きかった > アシュケナージ録音。ブレンデル や アインシュタイン は、この曲を大して評価していなかったからだ。 素晴らしい曲である。「ピアニストが最高傑作と感じる舞曲集」は、もちろんピアニスト毎に感性が異なる。勿論、学者や評論家毎にも異なる。
個人別の最高傑作舞曲はおそらく以下の通り。
- アシュケナージ → D145のワルツ
- アインシュタイン → D790
- ブレンデル → D783
- バドゥラ=スコダ → D969
- 内田光子 → D790 と D820
- ウェーベルン → D820
このような状況。「唯一の確固たる名曲」は選べない(爆
D365『36のオリジナル舞曲集』も D734『ウィーンの貴婦人レントラー』集も D924『12のグラーツのワルツ集』も名作だが。
リストやプロコフィエフやラフマニノフやラヴェルは、またそれぞれ違う意見が出てくることだろう。
もしあなたが「シューベルトファン」ならば、『佐伯周子の D145演奏』は聴き逃さないでほしい、と願うばかりだ > D845 も D946/1&2 も素晴らしいが!