Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

佐伯周子 シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.3 (No.1493)

2007-07-26 22:50:10 | ピアニスト・佐伯周子
昨日の「佐伯周子 ピアノリサイタル チラシ 画像」は、どうも良くなかったようだ。理由として、

  1. 文字が小さ過ぎて見えない(← 読めない、でなく、見えない)

に尽きる。う~ん、これは、「打ち直す」以外に無いか?!
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佐伯周子 シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.3 (No.1492)

2007-07-25 11:10:49 | ピアニスト・佐伯周子
8月8日(水)佐伯周子ピアノリサイタルのチラシです。ご覧下さい。
画像をクリックすると大きくなります。

佐伯周子 2007.08.08
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シューベルト : 幻想曲について(11) (No.1491)

2007-07-16 22:16:28 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
昨日号に掲載した基準と照合して、

シューベルト「ピアノソロ幻想曲」と通称されている2曲を評価する


2曲どちらも「自筆譜あり」で作曲年も、ほぼ特定できている。まずは、旧シューベルト全集でも出版されていた 『通称:ハ長調幻想曲 D605』から。


ピアノソロ曲 ハ長調 D605 アナリーゼ


特徴は次の通り

  1. 自筆楽譜の紙質から 1821-1823年作曲とほぼ特定されている

  2. 146小節 までしか楽譜が遺っていない

  3. テンポ設定には変化がある

  4. 調性変化もある

  5. 全曲構成は「変奏曲」である!


この曲には「第1主題に対比できる第2主題」が全く存在しない。全曲が「第1主題の変奏曲」である。この形式は『変奏曲』である。
 「減7の和音」のオクターブ下降進行での開始は、ショパンの「バラード第1番 ト短調 作品23」を予感させるが、第3小節~第4小節で呈示される主題を延々と変奏する。
 第52小節で、「初めてテンポ指定表示され Allegro moderato」になるが、その前のフレーズから大きくテンポを動かす(例えば冒頭部を Adagio とか Molto allegro にすると、曲の流れが壊れる。
 第115小節の「Andantino」も全く同じで、「Moderato → Andantino」は最も差の少ないテンポ移動であり、「テンポが変わった」とは思えない。

●ハ長調 → ロ短調 → ロ長調

で曲は中断されているが、このまま「ハ長調に復帰」すれば『変奏曲』である。既にベートーヴェンが 『32の変奏曲 ハ短調』 で大きく転調する変奏曲は開発した後である。シューベルトが「ベートーヴェン:32の変奏曲」を深く研究していたことは、「ピアノソナタ第19番 ハ短調 D958」で立証されている。
 拠って、

D605 は 幻想曲 では無い、と断定できる


この曲は、変奏曲である。


次に「ピアノソロ曲 ハ短調 D2E」を。

ピアノソロ曲 ハ短調 D2E アナリーゼ


この曲は聴いて頂ければ、誰でもわかると思うが「モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K475」をそのまま下敷きに作曲された曲である。一時期「連弾曲」との情報が流出し、「ピアノソロ曲」と認識していない ピアニスト & 学者 が多い。現在販売している楽譜では、新シューベルト全集「ピアノ小品集I」しか楽譜が出ていないのも誤解を広げている1因かも。

 まず曲の特徴を。

  1. 作曲年は1811年と特定できている

  2. 91小節で完結した作品である

  3. 拍子指示は 一貫して 3/4 である

  4. テンポ指示は Largo → Andantino → Allegro → Largo で、巾が大きい

  5. 時間的には 第3楽章(Allegro)が短いが、「4楽章構成の幻想曲」と考えるのが妥当


である。
 手本にした「モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K475」と比較すると、【拍子が変わらないのが不満】であるが、

シューベルト 14才の作品なので、理解不足はやむを得ない


と考えるのが妥当。 モーツァルトの幻想曲 K475 を「多楽章曲」と感じるか、否か、は人それぞれだろうが、

シューベルトは「モーツァルト:ハ短調幻想曲 K475」を多楽章曲として習得した


ことは明らかである。

D2E は 幻想曲 である、と断定できる

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シューベルト : 幻想曲について(10) (No.1490)

2007-07-15 22:15:57 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
シューベルト自身が「幻想曲」と何かの形で残した6曲についてアナリーゼした。1813年~1828年と 15年にも亘る期間の作品である。ここに共通点を挙げたい。

シューベルト「幻想曲」の共通点



  1. 多楽章構成である

  2. 隣り合う楽章は、基本的に転調する(例外は2曲)

  3. 隣り合う楽章は、基本的にテンポが異なる(例外は1曲)

  4. 隣り合う楽章は「フェルマータ」で繋げられることが多い

  5. 作曲後に「幻想曲」に加えられた D894 以外は、「循環ソナタ」を目指している(例外1曲)


以上の通りである。
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シューベルト : 幻想曲について(9) (No.1489)

2007-07-14 22:45:32 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 今日は「原資料に幻想曲と記載」がある曲の内で最後(1969年)に発見された曲 = ピアノソロ幻想曲 ハ長調 D605A のアナリーゼである。 「さすらい人幻想曲 D760」や「わが挨拶を送らん幻想曲 D934」に比べて、少々問題ある構造になっている。この「構造に難あり」がシューベルト自身が出版意欲を掻き立てられなかった原因だろう。

幻想曲 ハ長調 D605A アナリーゼ



  1. 第1楽章 Moderato con espressione ハ長調 2/2 54小節 全体の呈示部の第1主題 通作形式

  2. 第2楽章 Alla polacca 嬰ヘ長調(その後次々に転調) 3/4 160小節 全体の呈示部の第2主題+展開部開始 通作形式

  3. 第3楽章 Moderato con espressione ホ長調 4/4 31小節 全体の展開部の継続部 主題と3つの変奏曲

  4. 第4楽章 (テンポ指示変更無し) ト長調 12/8 39小節 全体の展開部の終結部 通作形式

  5. 第5楽章 Tempo I (Moderato con espressione) ハ長調 2/2 24小節 全体の再現部(但し第1主題のみ) 特に形式無し


となる。
 問題点として

  1. 4楽章に収まらなかった

  2. 主題呈示が「第2楽章」にはみ出してしまった


がある。「ロマンティックな古典派主義者 = シューベルト」としては、形式に満足行かなかった曲の可能性が高い。
 内容が充実している曲だけに、私高本個人としては「生前出版しても良かった曲」と感じている。
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20世紀後半のアンナ・マグダレーナ・バッハ = 祐子グルダ(No.1488)

2007-07-13 23:41:12 | 作曲家兼ピアニスト・グルダ(1930-2000)
本日、「祐子グルダ ピアノリサイタル」を埼玉会館で聴いた。演奏会批評と言うよりも、

作曲家としての フリードリヒ・グルダ と 祐子グルダ


について、感じたことが深かったので、記したい。

20世紀後半のアンナ・マグダレーナ・バッハ = 祐子グルダ


 F.グルダは、20世紀の最後の年 = 2000年1月27日 に亡くなった大作曲家であり、ピアニストである。
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シューベルト : 幻想曲について(8) (No.1487)

2007-07-12 23:39:09 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 本日は「連弾幻想曲 D48」を。1813年シューベルト16才の作品である。

連弾幻想曲 ハ短調 D48 アナリーゼ


 この曲のアナリーゼはまともなモノを見たことが皆無。特徴をまず初めに記載する。

  1. 循環ソナタを目指した「全曲構成」である。

  2. しかし、調性が『ソナタ形式として完全に狂っている(開始がハ短調、終曲が変ロ長調)』ので、成功していない


である。次の幻想曲 = 「さすらい人幻想曲」(1822,25才)が循環ソナタ形式を完成させたのだが、「三つ子の魂百まで」を感じさせる!

  1. 第1楽章 Adagio - Allegro molto moderato ハ短調 2/2 213小節 全曲の呈示部 再現部第2主題が省略されたソナタ形式

  2. 第2楽章 Andante amoroso 変ロ長調 3/4 75小節 全曲の展開部 展開部の無いソナタ形式

  3. 第3楽章 Allegro 変ロ長調 4/4 201小節 全曲の再現部 (調性も拍子も異なるので聴感上は違和感あり)

  4. 第4楽章 Adagio 変ロ短調 4/4 - Fuga (Allegro maestoso) 変ロ長調 4/4 95小節 全曲のコーダ 序奏とフーガ


 全曲構成は、(調性を別にすれば)「さすらい人幻想曲」とベートーヴェン「エロイカ変奏曲 変ホ長調 作品35」を「足して2で割った」感触。
 超絶技巧は要求されない曲であり、演奏機会が極めて多いのも特徴。

  大切なポイントとして

  1. 第1楽章 → 第2楽章以外の「全ての楽章間」と、序奏 → 主要  が、フェルマータ で結ばれている

  2. 全曲の統一は、信じられないほど緊密に『冒頭主題』で統一されている


の2点。「さすらい人幻想曲」の9年前の「幻想曲」である。「調性が変!」は、

  1. ソナタ楽曲(交響曲とか弦楽四重奏曲など)は、主調で終える必要あり

  2. ミサ曲などは、主調で終えてはいけない!

  3. この「差」が理解出来ていなかったから


と思われる。シューベルトは翌年1814年に作曲した ミサ曲第1番 D105 の完成以降は、「調性」について疑問のある曲は1曲も残していない。若き日の勉強過程の試行錯誤の日々の成果が、この幻想曲である。
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シューベルト : 幻想曲について(7) (No.1486)

2007-07-11 20:02:34 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 本日は、「最後の幻想曲 = 連弾へ短調幻想曲D940」を。

連弾幻想曲 ヘ短調 D940 アナリーゼ


 この曲の特徴をまず初めに記載する。

  1. 循環ソナタである。

  2. しかし、ソナタ形式の「展開」の概念が通常の展開と異なっている


である。「さすらい人幻想曲」が循環ソナタ形式に乗っ取って作曲され、「わが挨拶を送らん幻想曲」が『全曲の統一』はされているモノの循環ソナタ形式では作曲されなかった。この辺の「シューベルト内部の矛盾」が『最後の幻想曲』であるこの曲の創作意欲を掻き立てた可能性は高い。

  1. 第1楽章 Allegro molto moderato ヘ短調 4/4 120小節 ソナタ形式の呈示部(繰り返しあり)

  2. 第2楽章 Largo 嬰ヘ短調 4/4 43小節 展開部前半

  3. 第3楽章 Allgro vivace 嬰ヘ短調 3/4 275小節 展開部後半であると同時に「スケルツォとトリオ」

  4. 第4楽章 Tempo I(Allegro molto moderato) ヘ短調 4/4 133小節 全集の再現であり、第1楽章の再現であると同時に「第1楽章第2主題の変奏曲(主題と14の変奏曲)」


 この曲も、構成が「さすらい人幻想曲」と似ているが

  • 楽章内が「ソナタ形式」で閉じている楽章が存在しない
  • テンポ設定は同じ感触
  • 第2楽章 → 第3楽章 で転調しない!

が特徴。 超絶技巧は要求されない曲であり、演奏機会が極めて多いのも特徴。

  大切なポイントとして

  1. 第2楽章 → 第3楽章 と 第3楽章 → 第4楽章 が、フェルマータ で結ばれている

  2. 第1楽章と第4楽章 = ヘ短調、第2楽章と第3楽章 = 嬰ヘ短調 と『暗い色彩』に包まれている


の2点。「さすらい人幻想曲」直系の「幻想曲」であるが、「色彩感」が相当に違う。

 ヘンレ版で「単独曲出版されている 唯一のシューベルト連弾曲」であるためか、信じられない多い頻度で演奏される(!)が、曲の内容に踏み込んだ演奏はなかなか聴けない曲の1つ。
 岡原慎也 か 佐伯周子 の演奏で聴きたいモノである。2人の共演だったならば、まさに「夢の共演」である。
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シューベルト : 幻想曲について(6) (No.1485)

2007-07-09 22:22:04 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
今日は「わが挨拶を送らん幻想曲」D934。

「わが挨拶を送らん幻想曲」D934 アナリーゼ 


 この曲は、まともなアナリーゼを一切見たことが無い。

  1. 第1楽章 Andante molto ハ長調 6/8 36小節 通作形式

  2. 第2楽章 Allegretto イ短調 2/4 315小節 展開部の無いソナタ形式

  3. 第3楽章 Andantino 変イ長調 3/4 128小節 変奏曲(主題と4つの変奏曲)

  4. 第4楽章 Tempo I(Andante molto)6/8 - Allegro vivace2/2 - Allegretto3/4 - Presto2/2 221小節 (基本が)ハ長調 第1楽章と第3楽章の再現


 この曲は、構成が「さすらい人幻想曲」と似ているが

  • 出現順序が違う
  • テンポ設定が異なる感触

が相違点。 また、ピアノだけでなく、ヴァイオリンも超絶技巧を要求されるため、演奏機会が極めて少ない。

  大切なポイントとして

  1. 隣り合う楽章の 拍子,調性,テンポ が異なる

  2. 隣り合う楽章が、フェルマータ で結ばれている


の2点。この点では「さすらい人幻想曲」直系の「幻想曲」である。
 尚、ほとんど、誰もが語らないが

ベートーヴェン チェロソナタ第4番 ハ長調 作品102/2 の構造を「そっくりそのまま借用した」形式


である。

  • シューベルト学者は、ベートーヴェン研究が不足
  • ベートーヴェン学者は、シューベルト研究が不足

の結果なのだが、

同時代の同一都市で作曲活動していた 一流作曲家くらいは丁寧に調べてほしい


と思う。同一調性(ハ長調)の曲であり、『聴けば誰でもわかるレベル』なので、音楽学者の奮起を期待したい次第である。

 「わが挨拶を送らん 幻想曲」D934 は、シューベルト自作の ドイツリート を主題にした変奏曲が核になっている幻想曲にも関わらず、不当に低い評価が続いている曲。佐伯周子 の演奏で聴きたいが、共演ヴァイオリニストはいつ現れるのだろうか?
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シューベルト : 幻想曲について(5) (No.1484)

2007-07-05 22:06:47 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
今日は「幻想ソナタ」D894 の続き。

「幻想ソナタ」D894 作品78 アナリーゼ 続


 この曲は、第4楽章のアナリーゼできちんとしたものは見たこと無い。

  1. 第1楽章 Molto moderato e cantabile ト長調 12/8 174小節 ソナタ形式

  2. 第2楽章 Andante ニ長調 3/8 180小節 5部形式

  3. 第3楽章 Menuetto (Allegro moderato) ロ短調 3/4 3部形式

  4. 第4楽章 Allegretto ト長調 2/2 ト長調 A-B-A-B-C-B-A-Coda 最初の「A-B」が繰り返される対照形式


第4楽章は「ロンド」とほとんど全ての楽曲解説に記載されているが、シューベルト自身が「ロンド」と明記した曲とは、構成がはっきり違っている。

  大切なポイントとして

  1. 全ての楽章が「中庸のテンポ」で貫かれている

  2. 各楽章の開始と終結が、第3楽章開始のみ「f」であり、他の7ヶ所は「ppp~p」である

  3. 隣り合う楽章の 拍子,調性,テンポ が異なる

  4. 隣り合う楽章の内、第1楽章 → 第2楽章 は、フェルマータ があり、結ばれている可能性がある


 元々は「ソナタ IV」として作曲された曲であり、「さすらい人」ほどは緊密な主題の統一は無いが、

全曲が ピアニッシモ で統一された感触


が強い。
 R.シューマンが シューベルトの全てのピアノ曲中、最高に褒めちぎった曲として有名。ちなみに、シューマンのピアノ作品中、シューマン自身が最高と考えていた

  • 幻想曲 または クライスレリアーナ 作品16(ショパンに献呈)
  • 幻想曲 ハ長調 作品17(リストに献呈)

は、シューベルト「幻想ソナタ」を下敷きにして構成されている。献呈した相手がショパンとリストである!
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シューベルト : 幻想曲について(4) (No.1483)

2007-07-04 23:13:29 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
本日は、「幻想ソナタ」D894を。

「幻想ソナタ」D894 作品78 アナリーゼ


 この曲が「幻想ソナタ」と呼ばれるようになった経緯は以下の通りである。

  1. 「第4ソナタ」として、1826年10月作曲される

  2. 出版社=ハスリンガー が「ソナタ」名での出版を嫌がった(売れ行きが悪いからと推測)

  3. シューベルト が 「ソナタ または 幻想曲」のどちらの名でも了解

  4. ハスリンガー が 「幻想曲、アンダンテ、メヌエット、アレグレット」として 1827年4月に出版


 出版時「幻想曲」の名前だけ圧倒的に大きかったので、「大筋でシューベルトが了解していた」と推測するのが、現在の主流の学説であり、ベーレンライター新シューベルト全集もこの学説を採っている。
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シューベルト : 幻想曲について(3) (No.1482)

2007-07-03 21:30:38 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
まず初めに「さすらい人幻想曲」D760から。

「さすらい人幻想曲」D760 作品15 アナリーゼ


 腐るほどアナリーゼ(楽曲分析)されている曲なので、私高本が付け加えることはほとんど無いかも。時たま、若い「楽理派」が狂ったことを書く曲なので、フツーのアナリーゼを読めば良い。

  1. 第1楽章(m1-m188) 全曲の呈示部 Allegro con fuoco ma non troppo ハ長調 4/4 再現部の無いソナタ形式

  2. 第2楽章(m189-m244) 全曲の展開部前半 Adagio 嬰ハ短調 2/2 主題と10の変奏曲

  3. 第3楽章(m245-m597) 全曲の展開部後半 Presto 変イ長調 3/4 ロンド形式

  4. 第4楽章(m598-m720) 全曲の再現部 Allegro ハ長調 4/4 「第1楽章と第3楽章の再現(フガートを含め)」


 大切なポイントとして

  1. 隣り合う楽章の 拍子,調性,テンポ が異なる

  2. 隣り合う楽章同士は フェルマータ で結ばれている


の2点である。 たまに「狂った解説」もあるが、読み飛ばした方が良い。
 F.リスト が絶賛し、

  1. ピアノ独奏 + オーケストラ 編曲

  2. ピアノソロ の簡易版!!!


を作ってまで、普及しようとした名作であり、リスト自身は「シューベルト ピアノソロ曲の最高傑作」と確信していた名作である。

循環ソナタ形式の起点 = 「さすらい人幻想曲」


であり、リスト ロ短調ソナタ や フランク ヴァイオリンソナタ イ長調 のファンからは崇拝されているのだが、肝心要の「シューベルトファン」からは意外に高くない評価を得ているような氣がしてならない。
 明日以降の「幻想曲アナリーゼ」を読めば、お分かり頂けると思うが、シューベルトの幻想曲は「さすらい人幻想曲」を起点に爆発的に説得力を増したのである。
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シューベルト : 幻想曲について(2) (No.1481)

2007-07-02 20:36:34 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
 カタログ記載のシューベルト「幻想曲」全11曲中、シューベルト自身 または 筆写譜 または 手紙に 「幻想曲」と明記されているのは、約半数の 6曲である。

  1. 連弾幻想曲 D48 (1813.04 - 1813.06.10)
  2. ピアノソロ幻想曲 ハ長調 D605A (?1818)
  3. ピアノソロ幻想曲 ハ長調 D760(1822)
  4. ピアノソロ幻想曲(またはソナタ) ト長調 D894(1826.10)
  5. ヴァイオリン + ピアノ 幻想曲 ハ長調 D934(1827.12)
  6. 連弾幻想曲 ヘ短調 D940(1828.01-04)

である。この6曲は「幻想曲」とシューベルト自身が(強かったり弱かったりするだろうが)はっきり認識していた「幻想曲」である。
 他の曲、例えば D1 などは「幻想曲」として認識していたのか? 「ソナタ」として認識していたのか? は、シューベルト本人以外の誰にもわからない。

 明日以降、楽譜を深く追って行こう。
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シューベルト : 幻想曲について(1) (No.1480)

2007-07-01 16:26:29 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
8月8日(水)佐伯周子 ベーレンライター新シューベルト全集に拠るピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.3 は

シューベルト 幻想曲全曲


である。今日から数回続けて、【シューベルトの幻想曲の世界】を掘り下げて見たい。

「幻想曲」全体像


 「シューベルトのピアノソロ曲完全全曲演奏会」が 佐伯周子 の連続リサイタルのタイトルだが、「ピアノソロ」に限らずに「幻想曲」はどのように作曲されたのか? を分析し、聴きにいらっしゃる方に役立つ情報を掲載したい。
 ベーレンライターから発行されている

Franz Schubert Deutsch-Verzeichnis Barenreiter


日本語に訳すと

シューベルト ドイチュ番号カタログ 新版 ベーレンライター社


が最も適切な「内容」を表現していると思う。このカタログには、現在の全てのシューベルトの曲の「冒頭テーマ」が掲載されている。
 このカタログを丹念に読むと、『曲が楽譜として実在している曲』として、「幻想曲」は次のようになっている。

  1. 総数 11曲

  2. ピアノソロ 5曲、ピアノ連弾 5曲、ヴァイオリンとピアノ 1曲

  3. シューベルト自身が「幻想曲」と明確にしたのは明日号発表!

  4. 作曲年は 1810年(シューベルト最初の作品)~ 1828年(没した年)


となっている。
 
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