夢を見た。パニックものである。直ぐに目を覚ましたので、克明に覚えている。妙なあと味の悪さを残した。
それほど混んでいない列車の中である。なぜか都心部で地下へ潜るらしく、かなりの坂を深い奈落に向って下りて行くのである。ゆっくりしたスピードながら、機関車が引く推進力は衰えない。
乗っていると、トンネルに入っているのと変わらないのだが、自動的にブレーキが掛かっているのか、それが重々しい音を発て、客者の床を比較的大きなストロークで振動させるのである。丁度、乗客の頬を揺らすぐらいに体に響く、ブレーキドラムの摩擦は熱を帯びていく。振動音は、より低くなり、地を揺らすような響きとなって客車を包む。
尋常ならざる事態を予想させたが、通路を行き交う乗客は何一つ気にしていない。乗務員に危険を知らせようとする内に、車両の壁にある赤い非常停止装置のレバーの箇所から、煙が昇って来た。トンネル内の列車火災の危機を感じ、急いで前方車両へと避難誘導するが捗らない。
その内に何時の間にか地上へと昇る方向へと向きを変え、更に何時の間にか高架になった線路を走っている。前と同じように強くブレーキは効きっ放しで、一向に速度は出ないが、相変わらず機関車の推進力は、制御が効かないかのように、強く遅い規則正しいリズムを刻み続ける。決して停めることができないかのようである。すると急に体が浮き出し、列車は先頭車両から落下して行くのであった。
ここで、しまったと思い、夢の続きは再び地上に出たところへとテイクバックする。そして、今度は第三の視線をもって、落下する前のゆっくり進む客車のデッキから、並走する対向車線の線路上を目掛けて飛び降りるのである。そして、飛び降りた見慣れたその場所から、高架した場所を地上へと落ちて犠牲となる、車窓に映る乗客たちを哀悼の意を込めて見送るのである。
ベルイマン映画にもありそうな死の恐怖を伴う悪夢であるが、自身が誰かを引き連れて危機を逃れる姑息さが11月のレクイエム精神に満ちている。
前後するかのように見た同じ列車ものは、近隣の駅へと慣れぬ鉄道を使い、何人かの仲間と移動したり落ち合ったりする夢である。チグハグに行ったり来たりしながら思い掛けない発見をするその情景は、最近も慣れぬ列車に乗った体験などが体に残っているからだろう。
それほど混んでいない列車の中である。なぜか都心部で地下へ潜るらしく、かなりの坂を深い奈落に向って下りて行くのである。ゆっくりしたスピードながら、機関車が引く推進力は衰えない。
乗っていると、トンネルに入っているのと変わらないのだが、自動的にブレーキが掛かっているのか、それが重々しい音を発て、客者の床を比較的大きなストロークで振動させるのである。丁度、乗客の頬を揺らすぐらいに体に響く、ブレーキドラムの摩擦は熱を帯びていく。振動音は、より低くなり、地を揺らすような響きとなって客車を包む。
尋常ならざる事態を予想させたが、通路を行き交う乗客は何一つ気にしていない。乗務員に危険を知らせようとする内に、車両の壁にある赤い非常停止装置のレバーの箇所から、煙が昇って来た。トンネル内の列車火災の危機を感じ、急いで前方車両へと避難誘導するが捗らない。
その内に何時の間にか地上へと昇る方向へと向きを変え、更に何時の間にか高架になった線路を走っている。前と同じように強くブレーキは効きっ放しで、一向に速度は出ないが、相変わらず機関車の推進力は、制御が効かないかのように、強く遅い規則正しいリズムを刻み続ける。決して停めることができないかのようである。すると急に体が浮き出し、列車は先頭車両から落下して行くのであった。
ここで、しまったと思い、夢の続きは再び地上に出たところへとテイクバックする。そして、今度は第三の視線をもって、落下する前のゆっくり進む客車のデッキから、並走する対向車線の線路上を目掛けて飛び降りるのである。そして、飛び降りた見慣れたその場所から、高架した場所を地上へと落ちて犠牲となる、車窓に映る乗客たちを哀悼の意を込めて見送るのである。
ベルイマン映画にもありそうな死の恐怖を伴う悪夢であるが、自身が誰かを引き連れて危機を逃れる姑息さが11月のレクイエム精神に満ちている。
前後するかのように見た同じ列車ものは、近隣の駅へと慣れぬ鉄道を使い、何人かの仲間と移動したり落ち合ったりする夢である。チグハグに行ったり来たりしながら思い掛けない発見をするその情景は、最近も慣れぬ列車に乗った体験などが体に残っているからだろう。