Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

マジャールのグーラッシュとトカイ

2004-11-19 | 料理
2004 02/19 編集

オーストリー・ハンガリー二重帝国の歴史は、食卓の上に痕跡を残す。ハンガリーの煮込み料理グーラッシュは、同じ神聖帝国乍ら、ドイツではレストラン料理として馴染みが薄い(家庭では安い肉を煮込む)。ドイツではグーラッシュズッペなるスープは至る所にあるが、国土を西へ行くに従いミルク煮込みの、フランス風ラグーが主流になる。豚に比べ牛肉の消費が少ないことにもよるようだ。オーストリーでは、牛のグーラッシュは一般的だ。このハンガリーの平たいパプリカ(ピーマン)を使う料理は、ドライブインの定番なほどの民族料理である。パプリカの辛みは西欧では本来馴染みが無く、マジャール人がアジアからもたらしたようなエキソシズムが漂う。キリスト教化したマジャールは、トルコ人の欧州進撃の防御にもなった。数々の武勇伝があるようだ。印欧語にもスラブ語にも属さない中央アジア起源のマジャールは、姓の次に名を名乗る。もともと制圧されにくい放牧民族であったので独特の立場や文化を今も保つ。

ワイン街道にもマジャールの親父の店があった。共産圏時代には、ブタペストで国賓のキッチンの使い走りもしたコックである。同志中国人の女に附いて北京も観光した。南フランス人女と結婚後、二人の子も成長すると、今度は若いポーランド人を嫁にした。一人娘ナタリーに給仕をさせながら、若い嫁さんとキッチンを切り盛りした。夜中、3時ごろまでカジノ客を相手に食事を出した。ベークドポテトの出来上がりは最高だった。その味付けと食感は、芋嫌いにも受け入れられた。ここの自慢料理がグーラッシュであった。土地柄と値段を考慮して、豚仕立てだったが本物であった。ナタリーが注ぐピルツナー・ビールがすすんだ 。メニューに載っていなかったのが、ザウワークラウト入りのグーラッシュだ。ザウワークラウトを二日二晩煮ると、こなれた円やかな味になる。パプリカの辛さも酸味も全てが調和してしまう。伝統を感じさせるおふくろの味であった。看板娘ナタリーもいつしか独り立ちして行き、夫婦二人体制になり営業時間も昼夜に変えた。店を仕舞う前に、「ナタリーも27歳になってね。」とお別れに娘がハンガリーから持ち帰ったトカイを開けてくれた。いつかゆっくりと二頭立て馬車で大陸を走りたいというのが年来の夢であった。今ごろは、中央アジアへと繋がる大平原を東へ東へと2馬力の車を走らせているのだろうか。
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新雪情報

2004-11-19 | アウトドーア・環境


谷にも雪が降りそうだ。しかし氷河スキー場のインフォメーションによると未だ十分な新雪は無い。昨年11月15日の写真を振り返ると、今年は少し遅いようである。先週の寒気も新雪を十分に降らす事はなかったらしい。何れにせよ天気予報と雪情報を監視しながら、口実をつけてアルプスに行く機会を今か今かと待ち構えている。

出来る限り早い時期に一度滑りに行くと、そのシーズンは好機会に恵まれる可能性が高くなる。新雪の時期は、斜面に石などが出ている可能性があり決して快適ではない。しかし陽を拝むことも乏しく運動量も落ちる暗い11月の里暮らしから、霧を抜け雲を抜けて海抜3000メートルの高所へと至ると、往々にして雪化粧した山々を照らす初冬の日差を浴びることが出来る。綿菓子のように上からそっと置かれた白原に起って、彼方の谷向こうから大気の遥か彼方を仰ぎ見る時、宇宙の調和が垣間見える。強要される深呼吸に急に冷やされた肺を庇って一息つくと、必ずや新鮮な気持ちに満ち溢れる。こうして寒い冬を精力的に乗り切るのである。
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リンドウ - Der Enzian

2004-11-19 | その他アルコール
2004 03/05 編集

高山植物として有名なのは、エーデルヴァイス、アネモネとエンツィアンだ。それぞれ白色、黄色と青色と美しい。エンツィアンは、ラテン語ではジェンタンである。生薬として服用されるかどうかは分からないが、シュナップスとなる。エンツィアンを愛飲している女性を見た事はない。男性、特におじさん向きの味と香りである。植生地の多くは、冬はスキーの深雪斜面、夏は牧草地である。深雪フリークに踏めれ押し付けられ、雪が解けると牛に毟られ養分を降り掛けられる。強い日差しの下で大鎌で刈取られる。ドイツではアルゴイ地方が産地である。BSE牛がかつて見付かった。不安だった。


参照:
お花畑に響くカウベル [ 音 ] / 2005-06-23
湧き騰がる香りと血潮 [ その他アルコール ] / 2006-03-04
国境での酔態万華鏡 [ 生活 ] / 2006-03-25
白い花は黄色かった [ アウトドーア・環境 ] / 2006-08-04
コメント (3)
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