パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

柳橋物語

2020-01-13 | 山本周五郎
幼なじみの3人をめぐる愛の形と、壮絶な災害悲話。「柳橋物語」は、山本周五郎が、戦後間もない昭和21年に発表した市井もの。昭和56年の周五郎全集第2巻所収。昭和30年代に評価を得た。周五郎の座右の銘に「心急ぐ旅ではない」があるという。晩年も「ぼくはポコ・ア・ポコでやって行く」と語っていた。

元禄の江戸下町を舞台に、研ぎ師の祖父、源六と暮らすおせん。彼女を慕う近所の大工杉田屋の幸太と庄吉。幸太が杉田屋の跡目を継ぐことになったことから、庄吉はおせんに必ず帰るから待っていてくれと云い、上方へ行ってしまう。幸太はおせんに好きだと伝えるが、おせんは首を縦にはふらない。
そんな中、寒風吹く江戸に大火が起こる。卒中に倒れた源六を連れ、幸太はおせんと逃げる。途中、源六は死に幸太は川で行方不明になる。混乱の中、放心状態のおせんは見知らぬ乳飲み子を助ける。壮絶な描写が続く。戦争を体験した周五郎の力だ。火事までを前編、火事後の混乱を中編、孤児の幸太郎の子育てとおせんの自立が後編。

江戸の火事を知り、庄吉が帰ってくる。幼なじみで商家の娘だったおもんは火事で店が潰れていた。

思うようにはならないのが人生。とはいえ、それでも生きるしかない。人間の強さと弱さと立ちはだかる無常。


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