パンダ イン・マイ・ライフ

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新潮記

2020-02-23 | 山本周五郎
山本周五郎の「新潮記」を読んだ。昭和18年1943年の4月から10月にかけ新聞に連載された周五郎の4番目の新聞小説。時勢的には学徒出陣やイタリア降伏など、敗戦への道を歩んでいた日本。しかし、国民としてはどう渦中にあったのか。そんな世相の中で、「新潮」。あたらしい潮流を周五郎は説く。山本周五郎全集第1巻、第11回配本、昭和57年1982年7月。

舞台は幕末。佐幕、倒幕、開国、攘夷。武士の世を、徳川の世をどうとらえるのか。外国の迫りくる中で、日本をどう動かしていくのか。水戸と高松藩という本枝の藩を舞台に、江戸屋敷の重役の妾腹の子に生まれ、郷士として育てられた一人の若者、早見秀之進に投影するものは。

高松藩主頼胤(よりたね)は幕閣の一員として開国という幕府のかじ取りを担っていた。秀之進は、その兄、高松に隠遁している亀阜荘(頼該)から攘夷論者の水戸斉昭への書状を手に、高松から江戸、水戸へ行く途中、唯一の親友、大橋大助という商家の友人と富士登山をし、柿崎兄妹との出会う。兄兵馬は宇和島藩士、水戸藩士との出会いで尊王の志士として妹、藤尾を連れ水戸へ向かう途中であった。兵馬は亡くなり、藤尾が残される。大助は藤尾を連れて江戸へ向かう。

江戸、水戸、諏訪、高松と舞台は移る。

巻末で解説の木村久邇典は「「新潮記」ほど、山本さんの国家観、戦争観、革命観、死生観、世界観、国家と個人、戦乱と個人の問題を、真正面から触れた小説も珍しいといったよい」としている。

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