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レイモンド・チャンドラーの世界(4) The Lady in the Lake

2018-12-09 | レイモンド・チャンドラー
レイモンドチャンドラーの7作の長編小説の4作目、「水底の女(The Lady in the Lake)」を読んだ。本作は、チャンドラーが55歳の時の作品で、1943年、昭和18年というから日米開戦の直後に刊行された。
チャンドラーは、本格的な小説を40代半ばから始め、最初の長編小説が50歳の時というから本作は、それなりに脂の乗っていた時期ともいえよう。村上の訳では2007年から10年間の最期の作品となった。2017年12月発刊。訳者あとがきも「これが最後の一冊」だ。

これまでの作品は、読むたびにそれぞれの作品の緊張感や題材にほれぼれしてしまうのだが、今回も期待を裏切らなかった。最後の大どんでん返し、主人公のマーロウの痛めつけられ方、登場人物の男たちの追いやられ感、魅力的な女性陣など、いつもどおり引き込まれていく。

ロスアンジェルスで私立探偵をしているフィリップマーロウは、ロサンジェルスの化粧品会社を尋ねる。依頼者は、社長のドレイス・キングズリー。1ヶ月前からいなくなった妻のクリスタルを捜してほしいという。リトル・フォーン湖のキャビンから姿を消したという。クリスタルにはクリス・レイヴァリーという愛人がいるという。

レイヴァリーに会にいくマーロウ。家の真向かいはアルモア医師の住まいだった。
フォーン湖には社長から管理を任されているビル・チェスがいた。彼の妻もミュニエルも一か月前からいなくなっていた。ビルとマーロウは湖を訪れるが。2人は湖の中で女性の死体を見つける。ミュニエルだった。
翌日、再度、マーロウがレイヴァリーに会いに行くと、レイヴァリーが殺されていた。「1日1殺人」のマーロウの面目躍如だ。

失踪したクリスタルはアルモア医師の夫人と知り合いで、夫人は1年半前に自殺していた。その死体を発見したのはレイヴァリーだった。アルモア夫人の両親はその自殺に不信を抱いていた。両親はタリーという私立探偵を雇ったが、警察が逮捕し刑務所に送られていた。

ベイ・シティ警察の警部補デガルモにはめられ痛めつけられ、留置場に入れられるマーロー。そして、デガルモの上司のウェバー警部との友情。チェスの妻、ミュニエルは、ハヴィランドという過去の名前があり、アルモア医師の看護師をしていた。明るみに出るでデガルモ警部補の妻の過去。化粧会社の素敵な長身黒髪美人フロムセットもよい。個性ある人物が次々と登場する。

社長から妻のクリスタルからお金を持って来てほしいと電話があったと告げられ、社長はマーロウにお金を渡してほしいと頼む。そのアパートでの出来事。デガルモと向かうリトル・フォーン湖。大団円の緊張感と盛り上がり。

アルモアの事件とレイヴァリーの事件、そして、水底に沈められた女性の事件。

村上は、7作の中では肌合い色合いが異なるといい、そのため、最後の翻訳となったという。しかし、村上は、おもしろさは変わらないという。今作が最後の翻訳となり、これで作品との時間が持てないと事をとても淋しいとも。

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