サブタイトルは、ウェブ・書籍・知識・記憶の変容。
各章のタイトルで、おおまかな内容がすぐ理解できるので以下。
序章 概論 グーグルの福音
第1章 シーザーのものはシーザーに グーグルはどのようにしてウェブを支配したのか
第2章 グーグルの方法と手段 聡明さとテクノロジーへの信頼
第3章 私たちのグーグル化 監視の偏在とインフラ帝国主義
第4章 世界のグーグル化 グローバルな公共圏の展望
第5章 知識のグーグル化 書物の未来
第6章 記憶のグーグル化 情報の濾過と知識の断片化;結び ヒト知識プロジェクト
第1、2章で、いかにあっという間にウェブの世界で頭角を現したかを、それ以降でそれがもたらした過大な力に言及していく。
個人的に、特に最も刺さった部分を3つばかり、以下メモ。
第1章:60p
グーグルは主に合衆国において、30年にも及ぶ「公共部門の機能不全」という伝統を巧みに利用した。
公共部門の機能不全は、マーケットの機能不全の鏡像である。
(中略)
近年における公共部門の機能不全の最もわかりやすい例は、2005年に合衆国の南海岸を襲ったハリケーン「カトリーナ」
これによる被害の救済活動を行った民間企業が示している。
このあと、ブッシュが大統領になったときに選挙に功があった素人を局長にしてしまったことで、「公共部門の機能不全」を起こしたことを解説している。
しかも! ブッシュはその後、彼の仕事を「絶賛」したというくだりが著しく面白い。
それは置いておいて、「公共部門の機能不全」がグーグルの成長を助けた、という考え方が新しいかと。
第2章:112p
グーグルに忠実なユーザーによる不十分な検索は、「知識のグーグル化」に伴う問題のほんの一部である。
グーグルが構築し判断している知識配信の方法は、間違った結論に飛びつき、それに基づいて行動することで危害を引き起こすという、私たちの性癖を助長する。
訳がこなれていない気もしなくもない(笑)
が、このあと2008年9月8日、無名ニュース配信会社の記者が検索した結果をチェックすることなしに拡散する事件が(実ははるか昔の記事だった)
結果、大事件を起こしたケースを紹介している。
正に上記のような状態が発生したのだ。
第5章:233p
グーグルブックスの法律的「冒険」は、二つの重要な』結果を引き起こした。
一つは、二十世紀に合衆国で出版されたほとんどの書籍を検索店配信する手段を、グーグルに占有させたということである。
この権力を用いて、事実上グーグルが著作権使用料を決定し、グーグルに変わる他のリーズナブルな値段が設定されていたサービスを駆逐した。
他のいかなる競争相手も、グーグルと同じ条件で著者と出版業者と交渉するためのレバレッジはあるまい。
だがおそらく最も重要なのは、グーグルが、古書だけでなく新刊書を探す主要手段としての地位を確立させたことである、
新聞や雑誌が薄くなり、紙面での書評や書籍に関する討議が現象あうるとともに、国家による財政的支援と寄付金の減少によって図書館の予算が減少し、
出版業者は、読書と書籍を結びつける新しい方法を模索するよう強いられている。
現時点で、グーグルがこの取り組みにおける唯一のパートナーであることは一目瞭然である。
したがってブッンかと情報のメディエーター、フィルター、編集者としてのグーグルの役割はますます強くなるだろう。
自分的には、グーグルとの付き合いは、学生時代の気分で言うとこんな感じ。
「アタマが切れるし、凄え使える奴! なんだけどいつ裏切られてもいいようにしとけ」
先日行われた「各グーグルサービスのプライバシーポリシー変更」といい、とても目が離せない。
このため、次に読む本は「グーグル ネット覇者の真実」と決めた(笑)
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