goo blog サービス終了のお知らせ 
日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
このプラットフォーム上で思いついた企画を実行、仮説・検証を行う場。基本ロジック=整理・ソートすることで面白さが増大・拡大
 






Amazonについての本、つまりそれはジェフ・ベゾス本、ということ。
去年読んだ「ワンクリック―ジェフ・ベゾス率いるAmazonの隆盛」と同じような内容。
だが、こちらはほぼ500ページと、厚みが全然違う!


さて、その厚みの部分はどんな内容か。

一言にいって、それは ジェフ・ベゾスのダークサイド!
作者も書いているように、ベゾスの妻はこの本について「そこまで悪い人じゃないわよ」的な発言をしている。


他の本よりもより描き込まれているのは、べゾスの「顧客第一主義」への執念。
ネット上で「何をやるか」の選択を常に検討し、そのジャンルで同業他社をよせつけず、結果的にオンリーワンとなる。

先行しているライバルを蹴落とすために、何でも手段を選ばない感じ(汗)
買収を仕掛けるのはもちろん、それに応じなければその分野の目玉商品の破壊的価格設定で追い込む!
かなりえぐい。

アマゾンのグランドビジョンを達成するため、ベゾスは動きを早めようと社員を限界まで働かせようとする。
この結果、期待されて入社してきた優秀な人材の早々の離脱がかなり多いことも記述されている。


一方で、当ブログ的には思わずニヤリとするような記述も少々。
ベゾスはスタートレック(TNG)ファンで、当初の名前はサイト名の候補はアマゾンでなく、make it so.com(館長の定番セリフ)
とか、起業の準備に出発直前にアッパーウェストの家に友達を集め、7シーズンの最終話"All Good Things"鑑賞(これは名作!)

もしかしてベゾスのキンドルへの異常とも言える執念(写真)は、劇中で頻繁に登場するPersonal Access Displey Deviceから?

個人的にキンドルは全く興味がないし、最終的にはタブレットに集約されると読んでいる。
だが仮にそう展開しても、アマゾン・ドット・コムにとっては一事業の失敗に過ぎず、全く揺るがないだろうが(笑)


最後にまとめ。
この本を手に取るのに適している人は、以下のような人。
アマゾンの歴史を知りたいから少々長くてもかまわないし、成長企業なのだから多少のダークさは当たり前、と思える人

P.S. 今日の朝日新聞書評欄でも紹介されていますね


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







昨年末に発売されたこの本を手に取ったのは、東京2020をイメージする参考になると思ったから。
長野1998オリンピックを、地方政治の変化、交通網、競技施設、人々のネットワークの広がり、他からオリンピックというメガイベントの正と負の効果を分析・評価しようとする。

200ページ弱の中に、以下のように詰め込んである(敬称:略)
序章 オリンピックとスポーツ・メガイベントの社会学 石坂友司/松林秀樹
第1章 「遺産」をめぐる開催地の10年 石坂友司/松林秀樹
第2章 「風雪」と「虹と雪」の呪縛 はるかなる札幌オリンピックとその記憶 町村敬志
第3章 「記憶と評価」から見た「遺産」 松林秀樹/石坂友司
第4章 スポーツ・メガイベントと地域開発 長野オリンピック開催を支持したのは誰か? 上野淳子
第5章 「遺産」に対する「地元」の評価・意識 交通網整備を中心に 松林秀樹
第6章 スポーツ・メガイベントと地方政治 長野オリンピックの政治社会学 丸山真央
第7章 「遺産」としての「一校一国運動」 長野市立徳間小学校の取り組みを中心に 靍木 啓
第8章 「遺産」をめぐる葛藤と活用 白馬村の観光産業を中心に 高尾将幸
第9章 カーリングネットワークの創出と展開 カーリングの聖地・軽井沢/御代田の取り組み 石坂友司
終章  誰にとってのオリンピック・遺産なのか 松林秀樹/石坂友司

研究が9つも入っていて、しかも注釈もそれぞれ2から3ページずつつくので、論文ひとつあたりわずか10数ページ。
このため一冊全て読み終わっても、まだまだ食い足りない。
テーマ自体の難易度が高いのも、そうなってしまう理由か。



また読書の目的が東京2020だった、という意図も間違えたよう。
読み始めてすぐ悟ったのだが、夏のオリンピックと、冬のオリンピックでは、比較しようもないほど内容が違う。
その理由は大きく二つ。

1.夏のオリンピックと、冬のオリンピックでは、当然のこと競技内容に大きな違いがある。
この本で特にフォーカスされるのは、リュージュ会場などの競技場のその後だったり、カーリングネタ。


2.夏のオリンピックは、都市型(アトランタ1996、シドニー2000、アテネ2004、北京2008 etc...)
たいがいその国の首都あるいは衛星都市で実施される。
一方冬のオリンピックは地方(アルベールビル1992、リレハンメル1994、ソルトレイク2002、トリノ2006 etc...)
全く文脈が違うのだ。


東京2020をイメージする、という点では、前回大会のロンドンが最も参考になるように考える。
ロンドンの貧民街だったエリアを一気に公園にし、活性化を図った事が招致のアピールポイントだった点で開催を勝ち取った。
開催後、会場は公園になっているはずだが、1年以上がたって、当初の目的は達成されたのか?
いつか何か理屈をつけて、自分の目で現地に観に行くとしよう!(笑)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







冒頭のエピソードからして、すこぶる面白い。
リーマンショック後2010年 5月 6日に発生した「フラッシュ・クラッシュ」事件。
何の理由もなく、世界の株式市場がほんの数分の間に一気に下落、新記録をたたき出し、数分後には急上昇。
どこかのシステムのアルゴリズムが狂ったのだろうとされているが、そういう状況は正に本のタイトルに重なる=アルゴリズムが世界を支配する

そして第1章に入ると、ある苦労人ハッカーが1970年代に仮説から始めた証券業界での「初」アルゴリズム導入の苦闘。
この第1章だけで元を取った気分になるくらい面白い!
めずらしくこの章だけで読後評ならぬ読中評(前)をかこうと思ったくらい。


その後、アルゴリズムの歴史を数世紀前から俯瞰したあと、様々な世界に広がったアルゴリズムを次々と紹介していく。

ヒット曲を掘り当てるアルゴリズム、同様に映画ヒットの予測アルゴリズム、など
ビートルズ「ハードデイズナイト」の印取り1発ジャーン!のコードを探るボールとジョンの作曲特徴を分析するアルゴリズム(笑)
あるいは、ギャンブル予測、チェス勝利プログラム、NASAに採用された宇宙飛行チーム編成最適化プログラム、が登場する。


ただし話の中心はやはり証券業界。
第1章に続き第4章では、単なるアルリズムを組むのではなく、市場間の差の情報を利用しようという試み。
わすか1000分の3秒早く掴みアルゴリズムをまわすために、シカゴーNY間に光ケーブルを直線距離で埋設し、成功する企業が登場。

そして本のラストももやはり証券業界。
だが、ここは最後にやや救いがある終わり方となって、ちょっとホッとする。
アルゴリズム中心主義に陥った証券業界は、採用リクルートで他業界を圧倒する高給で根こそぎアルゴリズムを組める学生をもぎ取っていた。
さすがに転機が訪れる。
それはもちろんリーマンショック、そして続いてフェイスブックなどのSNSの登場で決定打となる。
ここで学生たちの流れが一気に変わるのだ = お金ありきではなく、世の中を変えような風潮
とはいえ、アルゴリズムが良くも悪くも我々の生活周辺にも忍び寄ってきたわけだが...


作者のクリストファー・スタイナー氏は元々プログラマで起業もし、その後技術ライターに転じた方だそう。
なので、技術に強いことで湛然なインタビューからこの本を紡ぎ出しており、好感が持てた。
新年早々、刺激的な読書に!

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







映画ベスト10に続き、今度は「本」でベスト5、いってみます。
アップに至った本は25冊程度だが、それ以外にも数的には倍以上は読んでいるので、その10分の1レベルで、5つに。

今年、最もこれからの日本をポジティブにイメージさせた「2020東京オリンピック招致成功」が大きく影響している(笑)
1行目はタイトルとアップ時のサブタイトル、2行目は今回のコメントとなります。



第1位
「スポーツ・インテリジェンス」 オリンピックの勝敗は情報戦で決まる 素晴らしくタイムリーなネタ!
 2020年へ必要な努力の道筋を(おぼろげながら)示す点で、貴重な一冊。

第2位
「祖国へ、熱き心を 東京にオリンピックを呼んだ男」 日本水泳陣 大活躍が起点で、東京1964に至る。
 NHK 1964東京五輪 俺たちの“夢”がかなった → 最新本「東京にオリンピックを呼んだ男」(写真)→ この本に到達。

第3位
「マッキンゼー The Firm」  「実行」そして「責任」を伴わない、合理的思考の「限界」と「危険」
 成立の背景から、21世紀に入ってからの複数の大事件に、いかに深くかかわっていたかまで丹念に描き切る!

第4位
「アメリカ・メディア・ウォーズ」  磨くべしジャーナリズム・インテリジェンス、と感じさせる良著
 今、マスコミに関わる人が、どう自分の力を鍛え輝かせるべきかをアメリカを通して語る。

第5位
「ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える」 ビッグデータ本の決定版と認定!
 ビッグデータの「3つの大変化」 、それを裏付ける面白い事例、そして的確な翻訳、と3拍子揃ってる。



5つに入り切らない分を、昨年同様に補欠で3冊。

補欠1
「なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか Global Economic History」 知的スリリングさを味わえる1冊
 グローバル社会を強烈に実感させた。

補欠2
「ワイドレンズ イノベーションを成功に導くエコシステム戦略」 ブルーオーシャンに潜む罠。
 
補欠3
「カレーの歴史」 たった「カレー」ひとつでグローバル世界史を語れるというその「深さ」に驚き!

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )






サブタイトルはかなり長い。
日本語版:世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・ファームの秘密
原語:The story of McKinsey and its secret influence on American business



面白かった部分を以下、メモ。
まず、コンサルティング業という職業が成立した時代背景。

連邦政府自体が、知らず知らず現代のコンサルティング・ビジネスの創設に一役買っていた。
政府は19世紀後半から、1890年の反トラスト法や1914年の連邦構成取引委員法とクレイン法、
1933年のグラス・スティーガル法などで、定期的に大企業の力を抑える規制を行った。
これらの対策が意図は、企業が結託して価格を固定したり、市場を操作したりするのを防ぐことだ。
その意図せざる効果は、歴史学者のクリストファー・マッケナによれば、寡占企業の間で非公式では
あるが合法の情報共有をうながしたことだという。そしてそれができたのが、コンサルタントだった。

マッキンゼーのような存在にとって、規制はまた別の大きな利益を生んだ。
密室での取引を規制された企業は、実際に競争せざるをえず、そのため事業をより効率的に行わなければならなくなった。
それに対する打開策こそ、コンサルタントだったのだ。

しかしおそらく、コンサルタントという職業が誕生する最大の助けとなったのは、重要な企業が新たに実業界に参入してきたことだ。
カーネギーやデューク、フォード、ロックフェラーなどの大財閥が垂直に統合された巨大な企業体を築き上げていたが、
彼らには自分たちの組織のために管理組織を創ったり、実行したりする時間も才能も意思もなかった。


ここだけでも、コンサル業がいかにもアメリカ的な背景から登場してきたかが、よく理解できる。
日本語タイトルでは「世界」となっているが、実は原題は「アメリカ」な理由がここに(笑)


次に面白かった点。
コンサルタントである以上、直接の結果や長年の成果に責任を追わせようとするクライアント
があるだろうことは、容易に予想できる。
だがマッキンゼーは、その仕事の品質について開かれた議論をしたことなどない。
その明確な理由が本にあった!

1935年、創始者のジェームス・マッキンゼーは中西部最大の百貨店、マーシャル・フィールドのコンサルをした。
ここでのコンサル内容は、18の繊維工場を売却して小売のみに特化、という「大規模なリストラ」
経営陣から「同じ立場だったら実行できるのか?」と問われ、CEOとなり、自ら大ナタをふるう。
1200名の解雇を始め、過酷なリストラで企業は生き残ったようにみえたが、幻滅した従業員の士気は失われ、企業活力は壊滅。
結局、身売りすることになる。
この際、ジェームズは肉体的、精神的に追いつめられ、肺炎で1937年に死去。
マッキンゼーは初代の死後、顧客リストを明かすことを拒絶するようになる。


ここにコンサルタントの大半にみられる問題点がはっきりする。
「リストラクチュア」「ダウンサイズ」「合理化」などの言葉が言葉では成立しても、実際は従業員の「解雇」の意。
合理的な分析、の実態はこんなことだったのだ!

しかも苦境にある企業だけでなく、健全な企業にも使われるようになっていった。
1991年フリトレーはアドバイスに従い、本社職員の3分の1をリストラ。
1994年 P&G は1,066,000人のうちの13,000人をレイオフ。
(p.248)

あるイギリスのジャーナリストは、この種のしばしば苦痛をともなう企業活動を説明するために「マッキンゼーされる」という言葉を作った。
(p.116)


この他、読みどころは多い。
社内の猛烈な生存競争と、たとえ脱落してもマッキンゼー出身を誇る風土
自社否定的な内容にもかかわらず、大ヒットした「エクセレント・カンパニー」トム・ピーターズ
大前研一が有名なのは日本だけではなく、世界的エース × 3人に数えられていた(って知りませんでしたよね?)



そしてクライマックスは、21世紀冒頭に放たれた大花火、エンロン!

マッキンゼーとこの大事件との関わりは、あまりに「深い」
エンロン首謀者の1人、スキリングはマッキンゼーのディレクターに選出された年の内に、担当していたエンロンにスカウトされる。
いかにマッキンゼーがエンロンを愛していたか → 社内外に発信するレポート「マッキンゼー・クオータリー」のエンロン登場回数127回!
しかも、簿外での金融取引、証券化、細分化、などのヤバい方向性を革新的と賞賛している。

しかも、そのエンロンで賞賛していたことを、そのまま銀行に告げていた(p.336)
リーマンショック陰の立役者?!

当時のマッキンゼー代表 グプタは以下のように述べている。
「私たちはあらゆる仕事について傍観者の立場にいる。私たちにできるのはクライアントの苦労に共感するだけだ」
「クライアントに戦略を助言するだけだ。起こした行動の責任は彼らにある」

そしてこの件にはオチがつく。
2012年10月インサイダー取引違反の判決を受け、グプタはマッキンゼー社員で初の牢獄へ...



作者のダフ・マクドナルド氏は上で見てもらえればおわかりいただけるように、湛然にコンサルの誕生経緯から限界までを描ききっている。
かつ「冷静に」という点で、これまでのコンサル批判本とは一線を画す内容だと考える。

当ブログ結論は サブタイトルの通り、「実行」そして「責任」を伴わない、合理的思考の「限界」と「危険」

年末に読むに、読み応えタップリの1冊。
お勧め!

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







読み始めた時に予想していた展開パターンは、

1 ネットが生み出す柔軟性

2 3Dプリンタ

そして、ほぼその通りに展開する(第4章、第5章)


ただし本のベースにあるのが、イノベーション研究を長年にかかわってきた人物がからんでいるゆえに研究結果が提示されるので、説得力がある。

例えば、まずのっけに登場する、ユーザーがイノベーターとなるケース。
紹介されるのは、セブンイレブン。
イノベーターは彼らの顧客ではなく、彼ら自身。
「商品仕分け」を検品するルールを、バーコードを活用することで簡易化するアイディアを思い付き、それを思い付きもしなかったNECとデンソーが仕様書をいただき(笑)、イノベーションが起こったという。

このケースでは、ユーザーとはいえプロ。


だが、当然のように、その後登場するのは、「イノベーションの民主化」
民主化による事例として、マウンテンバイク、マスキングテープ、Cookpad、カヤック、レゴ、無印良品など、枚挙にいとまない。


そこで、ある条件下ではロジック的に「多様性が能力に勝る」ことを明らかにしたのは、ミシガン大学 スコット・ペイジ。
そのテーマは「多様性 vs 能力」

ある母集団から「問題解決能力が最高の集団」と「多様性(無作為)の集団」=こちらは先より劣る
結果は何と 「多様性(無作為)の集団」になった。

その理由。
前人未到の高く険しい山を登る場合に、最高の能力を持つ集団は皆、同じ道を通って登頂しようとする。
それに対して多様な軍団はさまざまな方向、さまざまな方法を使って登頂に挑戦するから。
結果として多様な集団のほうが、山頂に到達できる可能性が高くなる。


もちろんそのためには条件がある。

多様性が能力に勝るための条件 × 4
1.問題が難しいこと
2.問題を解決する人たちの視点や問題解決に使う思考手段が多様であること
3.集団のメンバーは大きな集団の中から選ばれること
4.選ばれたメンバーの数が小さすぎないこと

という感覚で、感性とロジックを行き来する、なかなか楽しめる読書に。
この方向に興味ある向きには、お勧めいたしたい!

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )






2008年のリーマン・ショック以降、激変が起こり続けているアメリカの新聞業界。
最新では、2013年8月ワシントン・ポスト紙が、アマゾンのCEO、ジェフ・ベゾス氏に買収され、最大の衝撃が走った。
本書はこの現象だけでなく、アメリカの新聞社、ジャーナリズムの現在を丹念に掘り下げている。


綿密な取材を通し、取り上げているのは、以下のような現象。

ネット記事について、有料か無料かに惑うメジャー紙
中堅の新聞社の続く廃刊の実態はどうなっているか
老舗の新聞社が新聞発行→オンライン専門ニュースサイトへ転換?
配信社のあまりの理不尽に対応する、地方紙連合による記事共有化

そして後半、さらに面白くなる。
まず注目は、ワシントンポスト紙副社長 レナード・ダウニー氏(ウォータゲート事件の記者として有名)のインタビュー。
彼による、現状への的を突いた指摘が聞ける、というのは、彼は「米ジャーナリズムの再建」というテーマで提言書をまとめた人物。
このインタビューだけでも、読むに値する一冊だと確信した。

この文脈の中で、NPOメディア台頭や、ジャーナリズム講座を通じた、大学との連携の強化などのテーマに切れ込む。



さて、なぜ「磨くべし、ジャーナリズム・インテリジェンス」と感じたか。
例えば、ニューヨークタイムズ紙がまだ有料化で出遅れたころのエピソード取材から以下(多少簡略化)

賢い人のたくさんいる会社ですが、インターネットの可能性に十分気づいていませんでした。
ウェブサイトの管理者は、技術者としては優秀でも社説も読まないし記事の内容も良くわかっていない。
彼はジャーナリストでないからです。
そして編集局の幹部は逆に技術のことは良くわからないから、こう返すのです。
「それは良さそうだね。それで儲かるの?」
しかしそうはならない。技術とコンテンツが連動していないのです。
技術屋と編集局が、お互い適切な形でコミュニケーションが取れていないのです。 


最近やっとニューヨークタイムズ紙は、有料化できる価値を持ったコンテンツに絞り、成功を収めつつある。
レナード・ダウニーが指摘する「多様化」に対応できる柔軟な「ジャーナリズム・インテリジェンス」を今こそ磨くべき時なのだ!








コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







映画「スティーブ・ジョブズ」では、最も輝かしい10年間にほとんど触れられていない(時間的に仕方ない)
このため、逆にここにフォーカスしている本書に手が伸びた。


その輝かしい10年間とは?
当ブログ:ジョブズ2000年以降の偉業を振り返る、より引用。

2001年 1月 iTunes初版発表
2001年10月 iPod発表
2003年 4月 iTunes Music Store発表 価格は一律1曲99セント。開始後1週間足らずで100万曲を販売。
2003年 9月 iTunes Music Storeの販売1000万曲突破。
2003年10月 Windows版iTunes発表
2003年12月 iTunes Music Storeの販売2500万曲突破。
2004年 7月 iTunes Music Storeの販売1億曲を突破
2005年 6月 iTunes 4.9が発表され、ポッドキャストに対応
2005年 8月 iTunes Music Store in Japanが販売を開始 価格は1曲150円~200円。4日間で100万曲の販売を達成。
2005年10月 iTunes 6発表。ジャケット写真を選ぶ感覚で、閲覧できて即聴けるシステムが初搭載
2007年 1月 iPhone発表

ここでのポイントは、ハードに先駆け、必ずソフトで「ユーザー・インタフェイス」の次の手を打ってきていること。
例えば、

1.2001年  1月 iTunes初版発表 → 2001年 10月 iPod発表

2.2005年 10月 iTunes 6発表。ジャケット閲覧機能を初搭載 → 2007年 1月 iPhone、iPod Touch 発表


「音楽をいかに楽しく聴くか」から感性的に発想されたマルチタッチディスプレイ。
これが次の「ユーザー・インタフェイス」として発展し、現在に至っている。
またこれがiPod、iPhoneだけでなく、Mac側にもフィードバックされMagic MouseとかTouch Padとか、O.S. Lionになっているところもポイント。

こうして振り返ってみることで、ショブズの「2000年以降の偉業を振り返る」という大仰なテーマ設定にもご納得いただけただろうか。
説得力は十分にあったと思うが、いかが?

(当ブログ:ジョブズ2000年以降の偉業を振り返る、PART 1、2 2011年10月19日、23日より引用)



さてここから、やっと本について。
サブタイトルは「ケーススタディから競争戦略を読み解く」
上記の iPod、 iPhone、そして iPad の3商品にフォーカスしたつくり。
ヨーゼフ・シュンペーターのイノベーション理論をあてはめながら、この最も輝かしい10年間をまとめようとする。
途中まではふむふむと面白がって読んでいた。

ところが!
この本の致命的欠陥に気づいてしまったのだ(汗)


その致命的欠陥とは、さきに引用した文章がぴったりハマる。
「ハードに先駆け、必ずソフトで「ユーザー・インタフェイス」の次の手を打ってきていること」について、全くと言っていいくらい記述が、ない!

全て「ハード」ありきでしか語られていないのだ。
その後の iTunes Music Storeについてはふれられているのだが、あくまでもネット上購入ベース(曲、アプリ)

元々の音楽ファンの気持ちがどうして Walkman→ iPodそしてiPhone に移っていったか、これを作者は全く理解していない(と判断する)
このような根幹にかかわる「本命ポイント」を外してしまった事で、シュンペーターをいくら引用されても響かない読書に化してしまった。



せめて前半で良かったフレーズを以下、書き出してみる。

過去には、ソニーの創始者である盛田昭夫がこれに長けていたとクリステンセンは指摘している。
盛田は顧客が片付けなければならない用事を見抜き、その用事と解決策を結びつける名人であった。
そのため、ソニーは1950年代から1982年までの32年間で何と12の新市場型破壊的事業を気づくことに成功している。
ジョブズとのケースとの単純な比較は総計であるかもしれないが、ジョブズの1製品あたりの新市場型破壊製品の開発ペース
は3.3年で、盛田のケースの2.7年を若干 下回るが、それでも顧客の興味が多様化する現代において、ジョブズの新市場型
破壊的製品の開発ペースには驚くべきものがある。



最後に3度めの正直で、この言葉を言わせていただきたい。

スティーブン、あなたのおかげでよりエキサイティングな20世紀末~21世紀冒頭10年を過ごせたよ。
本当にありがとう。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







来月にインドへ行く予定があり、発売直後のこの本をさっそく読破(あ~単純 笑)
そんな安直さをぶっ飛ばす読書になるとは!



そもそもインドに「カレー」や「カレー粉」は存在しない。
わけだが、そうなっていった経緯をインド、イギリスの政治的背景を含め語っていく序章~ 第1章、第2章。

カレーの一大事件として、1807年 奴隷貿易 が違法に、1833年に奴隷制そのものが廃止。
それがカレーと何の関係が!?と思われるだろうが、こうして「世界史」と「カレー」が結びついていく様に、ゾクゾクさせられる。


もちろんカレーは、インド、イギリスの関係性だけでなく、まずはオランダ、ポルトガル、フランス、ドイツなどのヨーロッパに拡大。
そしてアメリカ、トリニダード・トバゴ、ガイアナ、ジャマイカ、モーリシャス、スリランカ、南アフリカ、タイ、インドネシア、マレーシア etc..
それぞれの国にどうカレーが伝播し発展したかを論じているが、トリを締めるのは、何と!日本。


最後に。
この数行でまたさらに! カレーの虜にさせられた数行をば、以下引用。

~スパイスの素晴らしさ~
インド料理の最大の特徴として、スパイスと、ニンニク、タマネギ、トウガラシなど香りの強い香辛料を同時に使う点にある、と言う。
なぜこれほどのスパイスを使うのか。これについては諸説あるが、たいてい根拠はない。
辛いスパイスを食べたからといって体温が下がるほど焦りをかくわけではない。腐った肉の匂いをごまかせるわけでもない。
そもそもそんなものを食べたら死んでしまうかもしれないし、少なくともひどく腹を下すだろう。
科学的根拠に基づく最新の説によると、スパイスに対する嗜好が進化したのは、スパイスには強力な抗菌性の化学物質が含まれていて、
食品が傷む原因となる細菌やカビを殺したり、繁殖を抑えたりできるからなのだそうだ。
そして抗菌効果は、タマネギやニンニクと組み合わせるといっそう強まるらしい(p 32ー33)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







元NHK報道記者から、ネット上での論客として有名な池田 信夫氏。

今回のテーマは、「空気」
若者でも使うこの言葉に秘められた、「日本人」のエートスに迫ろうとするのが本書。



「空気」を読んで組織内の調和を保つ。
それは日本社会の強みでもあった時代もあったが、このグローバル時代には全く具合が良くない。
タコツボ組織の集合体の日本企業は、「空気」で論理的な主張や反論を抑えこんだ結果、成長の機会を破壊するケースが頻発、現在に至っている。

自分的にも、目の前で展開されている「恐怖」がこの本で具体的に指摘されており、読んでいてまるで「ホラー小説」(笑)
以下、メモ。

こうしてだれもがおかしいと思いながら既成事実が積み上げられ、「ここで撤退しよう」という指導者が(軍人、文民ともに)
「空気」に排除され、最後に残ったのは、とにかく前例を踏襲するだけの無能な軍人だけだった。
p.154

結果として演繹的・論理的に戦略が決まるのではなく、戦況から帰納した参謀本部の「空気」で作戦が立てられ、それが現場に
伝達されると師団や連隊の中の「空気」を守るようになし崩しに物事が決まっていく。
そのとき重視されるのは、客観情勢や見方の戦力から論理的に導かれる作戦ではなく、将軍の「顔をつぶさない」ように利害調整することだ。
作戦の結果より動機を重視することも、日本軍の特徴である。
ノモンハン事件で勝手に前線に行って指揮を取った辻 正信は、無謀な作戦の最大の責任者であるにもかかわらず不問に伏され、かえって陸軍統師部へ栄転した。
p.150

上記のような「狂気」が、第二次世界大戦だけではなく、現代2013年でも十二分に発揮されている、と作者は指摘している。
自分的には日本軍関連書籍には全く興味ないが、自然にその部分にクローズアップされてしまうのは、自分の環境が影響しているのだろうか?


この「空気」は先に指摘したように、日本企業はもちろん、大震災だった311以降、原発問題で迷走する「政府」もわかりやすい事例。
冒頭に書いた通り、「ネット上での論客」であることにより、この現代の「タブー」にはっきりともの申すことが出来ている。
この点でこの本は2013年に読む価値がある1冊になり得ている。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







著者の和久貴洋氏は、日本スポーツ振興センター所属、バリバリの現役。
そんな彼のこの本のテーマは、サブタイトル= オリンピックの勝敗は情報戦。

確かに最近のオリンピックでは、紙一重の僅差で金・銀・銅の勝負がつくギリギリの戦いが増加中。
アスリートも、「アマチュア」という言葉は、完全にブランデージ時代の過去の言葉となり、フルタイム・アスリートが主流の時代に。
そういう時代になると、各国のメダル戦略を形作る「情報」が俄然注目されるのは必然かもしれない。
そうして「スポーツ・インテリジェンス」が脚光を浴びつつあるのだろう。


本では(あえて)一言も触れていないが(9月10日 第一刷)あの瞬間から、全く違う次元の視点での読書に変わったことを痛感する。

あの瞬間とは当然、9月8日。
痺れまくった最初の投票→イスタンブールとマドリッドがタイ→決選投票の結果= マドリッドが除外→5時の発表までジリジリ→そして5時、遂に開催地発表!
2020東京オリンピック開催決定によって、地の利を最大限生かすメダル戦略がリアルで真剣な課題になったからだ!
本で紹介されている英のロンドン・オリンピックに向けてのインテリジェンス活動(ミッション2011)やカナダのバンクーバー、のようなポジションに日本も立っている、ワオ!


本から読み取れる、日本のスポーツ・インテリジェンスの歴史をまとめてみる。
2001年 国立スポーツ科学センター スポーツ情報研究部が出来、JOCと連動開始
2002年 ソルトレイク・オリンピックでの惨敗を受け、JOC内に分析チーム発足
2003年 タレント発掘、育成に着手
2004年 アテネ・オリンピック「東京Jプロジェクト」原地との最新情報共有、分析
2005年 JOCゴールドプランステージ2を策定し、重点強化方針を打ち出す
2008年 ナショナル・トレーニングセンターがオープン
北京オリンピック 選手村以外のサポート拠点構想始まる
2010年 広州アジア大会にて、マルチサポートハウスをテスト
2011年 スポーツ基本法の制定
2012年 ロンドンオリンピックで、マルチサポートハウスが本格稼働

上記だと結果、政策中心で面白い感じが伝わらない(笑)
が実は、とてもスリリングなのが、原地でのインテリジェンス活動。

他のサポートハウス視察、情報収集、分析、評価そして交換(give & take)
原地だけでなく、終了後の非公式会議で試合結果から導き出されるさらに深い情報交換。
プライオリティ・スポーツの選定、メダルポテンシャルアスリート分析etc...
こうした中で、マスメディアで行っている希望観測的な予想とはまるで違う、プロフェッショナルなメダル獲得数予想がなされていく。
う~ん痺れる(笑)


後書きで作者が語る、スポーツ・インテリジェンス活動に最も必要な資質とは=「感性」
そしてまだ日本はインテリジェンスの世界扉を開けた段階に過ぎず、これまで以上に研鑽を積まねばならない、と締めくくっている。
今後の日本でのこの動向に注目しなければ、とはっきり思わせる点で、非常にタイムリーに有効な一冊だと結論づけたい。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )






素晴らしい内容だった 8月21日放送 TV:NHK 1964東京オリンピック(2)  俺たちの“夢”がかなった ~五輪招致にかけた男たち~
(当ブログ:8月21日当日に記事アップ)
取り上げられた × 3人のうち「日系2世 フレッド・イサム・和田」にクローズアップした本が発売されたと聞きつけ、さっそく読破した。
本のタイトルは「東京にオリンピックを呼んだ男」
作者は、「金融腐蝕列島」など企業・経済小説に定評のある高杉 良。
サブタイトルは「強制収容所入りを拒絶した日系二世の物語」
2020東京招致活動の終盤という微妙なタイミングの中、500ページ以上を一気に。

ところが!
あとがきでわかったのが、この本はオリジナルではなく、1990年「祖国へ、熱き心を」が先。
(副題:東京にオリンピックを呼んだ男)
そちらでは冒頭部分がもっと厚く、2章にわたって記述と知り、さっそく手配して読破。


読んでみると驚くことに、カットされていた約100ページは、なんと日本水泳陣の大活躍の章。

戦後間もない昭和24年ロサンゼルスで行われた全米水上選手権。
選手は、フジヤマのトビウオ 古橋 広之進、村山 修一、橋爪 四郎、浜口 喜博、丸山 茂、田中 純夫。
彼らが、自由形6種目中、5種目で優勝、9つの世界記録を出し、団体対抗戦で圧倒的得点を上げてトロフィを獲得した。
(出場は「日本」ではなく、戦後の事情を考慮し「東京倶楽部」として出場)

この大会を持って、ジャップ呼ばわりが → ジャパニーズ と一気にアメリカでの日本人のステイタスが上がる。
この強烈な体験が、イサム・和田を変えたのは間違いないし、この冒頭の部分ラストに番組の1人、水泳界の指導者「田畑 政治」が登場。
これらの関係性が、将来の1964東京オリンピック招致への重要な布石となる。


このため、この部分をしっかり読みたい方には最新版ではなく、「祖国へ、熱き心を」の方をお勧めしたい。
続くユタ移住のエピソード、そしてこの本のメイン 1964東京オリンピック招致の記述は、ほぼそのままなので。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







「ビッグデータ」については興味もあったので、既に2冊以上読み、当ブログでアップもしている。

読後評:データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 Sexy Little Numbers これほど既視感漂う理由は?!
2013年05月14日
読後評:ビッグデータがビジネスを変える NHKスペ、KOMATSU社長コメントでタイトルの意味を実感。
2013年03月28日



で今回のビッグデータの正体。

冒頭に紹介される事例×2でまず引き込まれる。
その説明がひとつひとつ精緻で、無駄な記述がない。
これは著者(ビクター・マイヤー=ショーンベルガー、ケネス・クキエの頭脳が極めて精密 かつ、翻訳(斎藤栄一郎)が手練れだという証だろうか。

なので、まずは立ち読みで、この第一章をお読みいただくのがいいと思う。
そこまでで気に入ったら、購入いただくのが正しい手順なのでは?


そこで示される、ビッグデータの「3つの大変化」

1.「ビッグデータは限りなく全てのデータを扱う」(第2章)
  「N=全部」 標本、と言う言葉は死後になる(笑)

2.「量さえあれば精度は重要ではない」(第3章)
  これも驚き!だが読んでいるうちに説得されてしまう。

3.「因果関係ではなく相関関係が重要になる」(第4章)
  例:ハリケーンとポップターツの関係。早産児を感染症から救う意外な相関。
  データが答えを「出す」
  KOMATSUじゃないが、UPSは保有車両にセンサーを張り巡らせ事故防止に向け早期発見。


その後も面白い事例が次々と登場する。
NYのマンホール破裂を防ぐビッグデータ活用
スペルミス!がGoogleのスペルチェッカーを飛躍的に改善
上場にあたり、意図的に「無視」されるビッグデータ
カード会社のビッグデータが産む知見とは何か
自動車メーカーが発見した思わぬビッグデータ活用法
一見はゲーム会社だが、実はその皮をかぶった分析会社(汗)
2種のアルゴリズミスト、の誕生

という具合で、冒頭で舌を巻いた事例×2の繰り出し方の高いテンションががっつり維持される読書となった。
という点をもって、当ブログではこの本を「ビッグデータ本の決定版」(ver 2013.09.02)と認定(笑)

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







 サブタイトルは、水泳をめぐる歴史、現在、未来
 正にそんな内容で、水泳にかかわる生物の進化と水の関係、水泳の歴史、その科学、生理学、心理学などさまざまな方向から熱っぽく語られる。
そのような固い分やからの水泳だけでなく、作者が女性なので、水着、ファッションにもふれているし、スイミング・ムービー名場面のリストもあったりする。

以下、そんな中、自分に刺さった表現をメモ。


水泳は精神を集中させ、心を深い思考に導く。

最も想像力のある人は昼や夜に一人っきりで泳ぎ、プレッシャーをかける人間でいっぱいの異色土の世界を忘れることができる人です。

思い切り頑張ったあとで、最高に気分が良くなる。

熱心なスイマーは小脳の細胞密度と連結性が高く、それが加齢による歩行時の合併症や転倒につながるバランスの崩れを予防している可能性がある。
さらに彼らには、神経伝導速度(NCV)-脳が筋肉に何を命令すべきかの速度ーの衰えがほとんど観られない。

イスタンブールのフォーシーズンズホテルにあるプール
青いタイル製のオアシスのようなプールは、ボスフォラス海峡のすぐそばに寄り添うように設けられていた。
ので、その伝説的な水路をも泳いで渡っているような気持ちになった。

マンハッタンのイーストサイドにあるヘルスクラブでは巨大なスカイライトに下にプールがあるので、泳ぎながらビルの数を数える事ができる。

オープンウォーターで得られる自由の感覚や、自信のストロークと呼吸のリズムが創り出す平静さを愛しているの。
完全に水に浸かっているいるというフィーリングがただもう至福で、忙しい日常のストレスを解消するには完璧な仕掛けよ。


こう転記しているだけで、翻訳の硬さが目につく(笑)
が、こうしてまるごと、水泳大好き気分を吐露している本はそうない、という点で貴重。
当ブログが刺さったのは上記のような表現だが、それぞれの好みの個性で全く違いそう。
スイマーにはこの夏、必読の1冊と言えよう!

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )







この本の中身を紹介するのに、最終章の冒頭がふさわしいと思うので引用。

イノベーション・エコシステムの新しい世界では、自社に実行する能力があるからと言って成功するとは限らない。
これまで考えられてきた自社の競争力、顧客、競合会社に関する懸念の点は相変わらず重要だ。
しかし現在、戦略立案とその実行はパートナーとの相互依存関係を考慮しなければならない。
その減速をマスターすれば大きな利益を得、そうでなければ、非効率となり競争に遅れ、失敗すると言う
手痛いペナルティを受けることになる。


上記のように、この本ではブルーオーシャンを発見し自社の力を強力に投入したが、失敗に終わってしまった事例を紹介している。
ミシュランの画期的な新ソリューション、ノキアの3G電話、マイクロソフトのオフィス2007、映画館デジタル化 etc...
どのケースも当初は圧倒的な成功を予測していたにもかかわらず、失敗に終わっている。
こういう失敗事例そして、その根っこにある問題を解き明かしているという点で、おおいに読ませる。


冒頭にもふれられているように、今やイノベーションは単一では成立しずらい。
パートナーとの相互依存関係がからむ、エコシステム(生態系)という領域があるのだ。
その前提から作者が提示している、広い視野(ワイドレンズ)からの検討、は大きく2つの視点。

複数の組織間の組み合わせによって成り立つ「コー イノベーション」
そして、
複数の組織間の中に潜む「危険分子」ひとつで全てが成立しなくなる「アダプションチューン」


個々の相互依存関係による実行リスクを「図表」で示してくれるのでわかりやすい。
唯一の不満は、こうしたビジネス書にありがちなように、最後の事例が iPod、iPhone、つまりジョブズに至る事。
参入のタイミング、強みを構築する戦略など、もちろん最良の事例だということは否定しないのだけれど...
とはいえ、ブルーオーシャンといえば一見全て明るそうに見える中、そのゾーンの罠を緻密に分析している点で、今年度ベストの1冊は固い!


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 前ページ 次ページ »


 
編集 編集