17世紀のローマに、フランチェスコ・ボッロミーニという建築家がいました。
ルネサンス時代の後に現れた、過剰な造形のバロックという様式時代。
ボッロミーニは建築一本の人でした。作品数は多くなく、その作品の造形密度から察するに、ひとつひとつの仕事にまさに全身全霊をかけたであろう人です。
同時代に、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニという建築家がいました。
同じ通りに数軒はさんで両者の作品は立ち並び、ローマ市中のとある広場でも作品が競合。ライバルとして、犬猿の仲として言い伝えられています。
ベルニーニは、建築家であるだけでなく、彫刻家であり画家でもあり、どの分野でも超一流と言われました。
器用な人だったのですね。バチカンの列柱回廊のデザインも彼の手によるものでした。
洗練された作風とともに、多くの仕事の引き合いがあったようです。
ルネサンス様式の街並みのなか、ボッロミーニのデザインした教会は迫りくるような造形で異彩を放っています。
端正であったり、上手であるという評価とは別の、独特の存在感。それをなんと表現したらよいのでしょうね。
写真はボッロミーニ作 サン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂。内部がまた、ものすごいんです。