一年点検

2009-05-24 12:31:26 | 印西爽居

先日、千葉の住宅「印西爽居」に一年点検に行きました。木製の建具が多いこの住宅。木製の建具は、家ができあがってからしばらくは、温度や湿度の変化でどうしても歪みやすいという宿命をもっています。それを様子を見ながら、必要に応じて調整していくことが必要です。今回の点検ではそうした箇所を念入りにチェックしました。
僕は常々、住まいの「質感」を大切にしたいと思っています。風合いともいうのでしょうか。できた当初よりも、むしろ年月を帯びて味わいを増していく雰囲気は、日々の単純な暮らしそのものを美しいものにすると思います。木製建具には、そんな風合いが宿る魅力があります。無垢の木の床もそう。ペンキ塗りの窓枠が、人の手に触れて少しずつ黒ずんでいく様も。そして、緑も。時間を帯びて古びていくことを積極的にデザインに採り入れていくことは、想像が膨らんでとても楽しいものです。

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印西爽居のデッキコーナーはリビングからひとつづきになっています。デッキの床も雨風にうたれて灰色を増し、なじんできました。モミジも少し枝葉を伸ばしてきました。植えたばかりの頃は、どこか明るい天日にさらされていたようなこの空間も、陰りのある、秘めやかな雰囲気になってきました。
この住宅の外壁が黒く塗られているのも、そんな雰囲気に呼応させたかったからでした。その黒い壁が美しく保たれるように、自ら塗料を塗り直してくれた住まい手には、頭が下がる思いです。

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