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夏野菜

2020-08-12 18:31:54 | 日々


妻の実家から夏野菜が送られてきました。
家の菜園で採れた無農薬の夏野菜は色とりどり。

あか~。
きいろ~。
みどり~。
小2になるぼくの息子はダウン症で、ゆっくりゆっくり育ってきました。
夏野菜を見ながら、たしかめるように色を読み上げます。
と言っても発音はまだまだうまくいかないのね~(笑)

一枚一枚、薄い紙を重ねていくように、ゆっくりできることを積み上げていく。
ぼく自身の仕事ぶりにも重ね合わせながら、そんな様子を見守る日常。
まあ、それもヒュッゲな時間です。

それでいいんだよ~。
息子に声がけしながら、それは自分自身にも言い聞かせているんだなあと思います。
器用じゃないぶん、時間をかけて積み上げたものは、偽りのないピュアなものになるといいな。
息子も、ぼくも。


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18年目の家

2020-02-14 22:04:58 | 日々


ぼくが村田靖夫さんの設計アトリエに勤めて、初めて担当した住宅に、メンテナンスで訪問しました。
もうできあがって18年目になります。
この住宅に来ると、住宅設計のイロハを叩き込まれた当時のことがいろいろと思い出され、ちょっと緊張感もはしります。



ゆったりとした敷地に広がるコートハウス。中庭のある住宅です。
村田さんが得意とした設計手法でした。
中庭は緑が茂り、それに向きあって大きなガラス窓があります。軒が深く出て、室内と中庭が一体的につながる空間です。
大きな窓があるから明るいのだけれど、緑陰を通した自然光は、紗がかかった光となって室内にじんわりと満ちていきます。
穏やかさと落ち着き。そして、すべての寸法体系がきちんとコントロールされた緊張感のある佇まい。
こんな風情が、村田さんの手腕だったのだと、今あらためて思います。



キッチンからの勝手口から外に出ると、キッチンガーデンがあります。
通風をとるための穴あきブロックの壁が立ち、それが目隠しにもなっているプライベートな庭です。当初はバラ園になっていました。
緑とともにある暮らしをこよなく愛した村田さんが、これはうまくいったと気に入っていた場所でした。

当時は、村田さんの先導に必死になって喰らいついていくだけだったけれど、こうして長い時間を経て見てみると、そのひとつひとつの厳しさが、暮らしを楽しむという目的に向けられていたんだな、とあらためて感じます。
村田さんはもう亡くなってしまったけれど、ここに来ると、やはり住宅設計の大切な原点を思いかえすことができます。
だからこれからも、メンテナンスなどを通してこの住宅を守っていきたいと思うのです。

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ヒュッゲ

2019-12-19 18:28:20 | 日々


年末もいよいよ押しせまってきました。忙しくはあるのだけれど、その合間にコーヒーを飲んでほっと一息つく時間は、この時期ならではの、じんわりとほっこりする気分に満たされます。

デンマーク語に「ヒュッゲ Hygge」という言葉があるそうです。日本語に直訳する言葉はないそうですが、「居心地がよい空間」「ほっこりする時間」というようなニュアンスになるようです。
近年、国内外問わずにちょっとしたブームになったそうですが、この感覚は、何もデンマークに限定したものではないですし、流行りすたりのものではなく、古今東西を問わずにずっとあり続ける感覚だと思います。

僕の設計する住宅は「窓辺を楽しく!」がモットーになっているけれども、その正体は「窓辺 ✖ ヒュッゲ」というキーワードで言い表されるのかなと思っています。
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秋は静かに・・・

2019-11-24 22:29:56 | 日々


「自由が丘の家」のダイニングの窓。細長い窓なのだけれど、ちいさな中庭に面していています。
パノラマに景色が広がる大きな窓もいいけれど、そっと小さな窓にも、特有の風情があります。

寒暖差を繰り返しながら徐々にジューンベリーの葉っぱが紅葉していく様を、ちょうど額縁で切り取るようにして眺められます。
あらためてしげしげと眺めるというより、食事をしながら、コーヒーで一息つきながら、ぼんやりと見る風景。
日々の暮らしのなかの、そんなちょっとした眺めに季節感が表れるのは、とてもほっこりとします。



ロールスクリーンには葉っぱの影が映り込みます。夏とはちがって、どこか優し気な雰囲気。もうすぐ葉っぱも散っていくでしょう。
住宅街のなかの小さな庭にも、静かに秋は訪れてきます。


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持ち歩くもの

2019-09-01 21:21:16 | 日々


打合せや現場への移動は電車を利用することが多いのですが、その日の打合せ内容のことをいろいろ考えながらの移動になるので、あまり小難しい本を読む気分にはなりません。
かといって、スマホを眺め続けるのも気が進まず、手元にあるちょっとした本を持ち歩くのが常になっています。
打合せ用の荷物が重いので、オマケの本はなるべく軽くコンパクトに。
そんな流れで、学校を卒業して会社通勤をし始めた頃に購入し、もうかれこれ20年ぐらい連れまわしている本がこれ。

日経ポケットギャラリーというシリーズで売られていたものですが、1ページに絵が一枚のシンプルな構成。
それこそスマホなどで観ればよい、ということも言えますが、ずっと持ち歩くことで、紙がだんだんヨレてくるのがよいところ。
ずいぶん長い時間を共にしたような気分になって、絵が自分の一部のように思えてくるのです。
そうなることで、ある絵を観ている瞬間に、ずっと前にこの絵を観ていた時の心情や出来事がふっと蘇ってくるようなことがあります。
マルセル・プルースト「失われた時を求めて」のマドレーヌ菓子のようなものでしょうか。

デジタル時代に、アナログの感情を引きずったままということなのでしょうが、時間をかけて何かが自分のなかに沁み込んでくる感覚というのは、なかなか捨てがたいなあ。

写真は、有元利夫と上村松篁の画集。新品で買ったけれど、今ではその画風同様に古色溢れる質感になりました。
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