打合せや現場への移動は電車を利用することが多いのですが、その日の打合せ内容のことをいろいろ考えながらの移動になるので、あまり小難しい本を読む気分にはなりません。
かといって、スマホを眺め続けるのも気が進まず、手元にあるちょっとした本を持ち歩くのが常になっています。
打合せ用の荷物が重いので、オマケの本はなるべく軽くコンパクトに。
そんな流れで、学校を卒業して会社通勤をし始めた頃に購入し、もうかれこれ20年ぐらい連れまわしている本がこれ。
日経ポケットギャラリーというシリーズで売られていたものですが、1ページに絵が一枚のシンプルな構成。
それこそスマホなどで観ればよい、ということも言えますが、ずっと持ち歩くことで、紙がだんだんヨレてくるのがよいところ。
ずいぶん長い時間を共にしたような気分になって、絵が自分の一部のように思えてくるのです。
そうなることで、ある絵を観ている瞬間に、ずっと前にこの絵を観ていた時の心情や出来事がふっと蘇ってくるようなことがあります。
マルセル・プルースト「失われた時を求めて」のマドレーヌ菓子のようなものでしょうか。
デジタル時代に、アナログの感情を引きずったままということなのでしょうが、時間をかけて何かが自分のなかに沁み込んでくる感覚というのは、なかなか捨てがたいなあ。
写真は、有元利夫と上村松篁の画集。新品で買ったけれど、今ではその画風同様に古色溢れる質感になりました。
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