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ONE TEAM

2023-10-09 22:44:53 | 旅行記


フランスで開催されているラグビーのワールドカップ。
日本代表、惜しくも決勝リーグ進出とはなりませんでしたね。

中学や高校にもラグビー部がありましたが、その練習の激しさたるや、凄まじいものがありました。
練習の厳しさという点において、やはりすべての部活動の頂点に立つものだっただろうと思います。
代表チームのレベルになると、世界中からそんな過酷な経験を積んできた選手が集い、そしてぶつかり合うわけですから、まさにオールアウト、すべてを出し尽くすことになるのだろうと思います。
そんな厳しい練習環境のなかから、おのずとONE TEAMという共同体の精神が培われていくのでしょう。
滅私、すべてはチームのため、仲間のため。

パリ市内も、パブリックビューイングやカフェなどでの放映で盛り上がっているでしょうか。
パリの中心にあるノートルダム寺院。有名な正面からの外観ではなく、側面から見ると複雑なカタチをしています。
ノートルダムはある一人の建築家の設計ではなく、何人もの建築家が時代を経ながら関わり、何世紀にもわたって造られていきました。
自分が生きている間には完成した姿を見ることはないだろう。
そんなことをわかりながら、自分に与えられた役割を吟味し、最善を尽くして次の世代に託していく。

こちらも、静かなるONE TEAMだなあなんて思います。
そんなことを思うとき、この側面の外観が愛おしく思えてくるのです。
大火災の惨事から立上り、着実に改修が進んでいくのを祈るばかりです。
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ヒュッゲな家

2023-10-03 22:19:03 | 透かし庭の家


昨年末にできあがった「透かし庭の家」を訪問しました。
「透かし庭」という言葉があるかはわからないのですが、周囲を家々に囲まれた立地のなかで、部屋の両方向に庭が透けてつながるようにつくった家です。
言葉通りのシンプルなコンセプトとデザインでできあがった家は、秋めいた穏やかな自然光のなかで、静かに佇んでいました。

室内に置かれたハンス・ウェグナーのデザインによるデイベッドソファ。こうして室内を見通すアングルのシーンも素適ですが、この家の本領は、その居心地の良さにあります。
このまま窓辺に近づいていって、ウェグナーのソファにゆったりと座り、ぐるりと囲まれたカウンター下の本棚から本を取り出したり、音楽を聴いたり、テレビを観たり。
大きな窓には緑が溢れ、朝は木漏れ日が室内に入ってきます。

居心地がよくて、とても静かな時間。ふと、ずっと大切にしてきた「ヒュッゲ」という北欧のキーワードが思い起こされます。
ほっこりする、というような日本語に近い意味合いになるそうです。
北欧デザインの家具もしっくりとよく似合う空間になりました。
天井にはダウンライトが無く、スタンド照明などを主にした照明の計画で、夜も癒しの雰囲気に満たされることでしょう。

そんなヒュッゲな空間の雰囲気を、このブログや、いずれホームページでもご紹介していきたいと思います。

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自然にゆだねて。

2023-09-23 22:27:38 | 自由が丘の家


僕のアトリエの玄関ドア。できあがって10年ぐらい経ちます。木枠のドアに、堀商店の真鍮製のドアハンドルがついています。
真鍮の色は鈍くくすみ、ドアの木枠も細かなキズに覆われ、色も剥げ落ち、いい感じです。
色が剥げ落ちれば、本来は塗りなおすのが正しいのでしょうけれど、どうもそんな気持ちにならないような風合いがあります。

単なる木枠に、製品のハンドルを取り付けただけ。
そのほかに何の作為もありません。
でも自然の力にゆだねると、こんな美しい風化が得られるのですね。

玄関ドアを入るとすぐに打合せスペースになっていますが、お越しになった建て主さんはこのドアを必ず目にします。
そして皆さん、気に入ってくださいます。
そして、ウチの家にもコレと同じモノを・・・ということがこれまでも幾度とありました。

うーん、やっぱりまだしばらくは塗り直せないね、これは(笑)
そんなふうに悠長にしていられるのは、ドアの上には大きな庇がかかっていて、ドアとハンドルに雨が吹き込まないようにできているから。
そんな設計の配慮をしながら、積極的なエイジングを楽しみたいものですね。

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ホームページの更新

2023-08-27 16:40:43 | 進行中プロジェクト


ぼくの設計アトリエのホームページに、新たに4作品の作品紹介を加えました。
いずれの住宅も近年に完成したもので、ロケーションも家族構成もさまざまですが、根本のところで共通していることがあります。
それは、緑に寄り添うように暮らす家、ということ。
眼前に広がる山の緑であったり、隣地の借景であったり、ご両親やお身内が遺された思い出のある庭木であったり。
それらに寄り添うかたちをデザインすることが、いずれの住宅もテーマになりました。

できあがった家のデザイン表現はさまざまですが、どれもが楽しく、居心地よく、安心感のある空間になりました。
食事をして、コーヒーを飲み、ゆっくり本を読んだり、おしゃべりをしたり、そんなあたりまえの日常が、じんわりと趣をもって感じられるように。
そんなふうに願いながらつくった家です。
ぜひご覧いただければと思います。

オノ・デザイン建築設計事務所のホームページ
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サン・ダミアーノの庭で。

2023-08-19 22:42:27 | 旅行記


とても暑い夏に訪れたイタリアの街アッシジのことを、よく思い出します。
アッシジはイタリア中部にある小さな街で、聖フランチェスコの生きた街としてカトリックの聖地になっています。
エリオ・チオルの写真集や、作家・須賀敦子さんのエッセイに触れて以来、ずっと訪れたいと思っていました。
とりわけ、街の中心部から離れたところにある、サン・ダミアーノという小さな修道院に思いを強く抱いていました。

小鳥のさえずりを聞きながら、オリーブ畑の続く坂道をずぅっと下っていったところに、サン・ダミアーノがあります。
須賀敦子さんは、このなかにある小さな庭がとても好きだったそう。
「聖キアラの庭」とよばれているそうですが、庭というよりも小さなテラスのような雰囲気で、小さく開けられた視界からはトスカーナの風景につながります。
この小さな庭には、いつも草花が活けられているそうで、しばらくこの場所にいると、心がとても静かになっていきました。



修道院ですから、祈るための部屋があちらこちらにつくられています。どの部屋もシンプルでつつましやかな雰囲気で、小さな窓から入ってくる自然光が穏やかに室内を照らしています。
長く使い続けられていたであろう木製のベンチや書棚がすっかりいい味になって、自然光のなかで美しく浮かび上がっていました。
そうした部屋の隣に、この小さな庭があって、草花もあって、風景もあります。

室内も庭も小さいのだけれども、それがかえって親密で、愛らしく、安心感に満ちた雰囲気でした。
こういうのを、心の寄る辺になる場所、というんだろうなあ。


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