4. 「伊藤貫の真剣な雑談 第4回 」 ・・アメリカ人も呆れた、属国主義で核武装議論から逃げてきた日本の保守政治家達
今回は、吉田元首相の言葉を氏の著作から紹介します。
「1950 ( 昭和25 ) 年4月、池田大蔵大臣がアメリカに赴いたのをきっかけに、同年6月、講和条約記草と言う目的を持って、アチソン国務長官の顧問に任命されたダレス氏が日本を訪れた。」
「この時ダレス氏は、日本の安全保障問題について、日本が軍備を持たない状況を続けることは、当時の国際情勢からしてとうてい許されることでないから、講和独立の要件として、日本の再軍備を主張した。」
「しかし、この再軍備論に対して私は正面から反対した。なぜなら、日本はまだ経済的に復興していなかった。それどころか、すでに述べたように、当時の日本は経済自立のため、耐乏生活を国民に強いなければならない困難な時期にあった。」
「そのような時に、軍備という非生産的なものに巨額の金を使うことは、日本経済の復帰を極めて遅らせたであろう。それは例えて言えば、やせ馬に重い荷物を背負わせるようなものであったに違いない。」
米軍の無差別爆撃のため、主要都市が焼け野原となり、住むところを失った国民がその日の食べ物にも事欠いていた時でした。吉田首相は、米軍の属国になりたいから再軍備に反対したのでなく、国民生活の安定を優先して考えていたのです。氏がアメリカの属国を喜んでいる政治家だというのなら、アメリカ高官の意見に正面から反対するでしょうか。
伊藤氏は、無用な雑談で自らのバカを証明せず、むしろ吉田首相の気概に敬意を表すれば良かった気がします。
「現代の軍備はひどく金がかかるものである。だから、実際に役に立つような軍備を作れば、日本の経済がだめになるし、そうでなければ役に立たないものしか作れない。」
焦土となった敗戦国の首相として、吉田氏の意見は真っ当なのものではないでしょうか。吉田は目先の損得と金儲けしか考えていない、という彼の意見が出てくる余地はありません。彼はアメリカの学者の本は熱心に読みますが、吉田首相の著書は、自分に都合の良い部分だけを拾い読みしているようです。
「それに、再軍備の背景となるべき国民の心理的基盤も失われたままだった。戦争に駆り立てられた国民にとって、敗戦の傷跡はまだ残っていた。」
「さらに、日本が再軍備をすれば、アジアの近隣諸国を刺激するかもしれない。こうした理由から、私は再軍備に反対したが、それは今でも正しかったと思っている。」
1950 ( 昭和25 ) 年のダレス氏との会談は、ニクソン副大統領が訪日する3年前のことです。そうなると吉田首相は、自らの信念を曲げず、戦勝国アメリカに反対意見を通した硬骨漢ではないでしょうか。伊藤氏が偏見と捏造の罵倒をするから、何も知らない視聴者が騙されます。先日紹介したコメントを再転記すると、彼の罪深さが分かります。