『本日も 不法滞在 』- 4 ( 厄介な本 )

　「入管スタッフの対応には、日本人の傾向がよく表れている。」

　これは「日本人のここが嫌い ! 」というタイトルで書かれた章の、書き出しの文章です。日本の反日左翼の学者が、意識的にか無意識的にか、正しい話と間違った話を混ぜて意見を述べますが、氏の思考も似ています。理由の説明は後からするとして、先ずは、氏の意見を紹介します。

 　　・アジア人を見下して、欧米人を上に見ているのがはっきり分かってしまうのだ。

　　・日本人の心の中には、日本はアジアで一番という意識が潜んでいる。そんなことはないと、理屈では理解していても、無意識の内に言動に出てしまう。

　　・十条の入管には、欧米人はほとんど来ない。アメリカ人やヨーロッパ人は、観光で日本に来る時ビザが要らないため、不法滞在にはなり得ないからだ。

　そんな差別があるのかと調べてみますと、16年前と現在は違うらしく、韓国はアメリカと同様に90日以内なら、ビザなしで入国できるようになっています。しかし彼女の怒りは、そんなところにあるではありません。

　　・アジア人に対しては、大声で乱暴な扱いをするくせに、たまに来る英語しか話さない人に対しては、入管のスタッフも腰が低いように見える。

　　・英語コンプレックス、丸出しだ。

　　・おっとそれは、韓国でも同じじゃないかって ? 　

　　・日本人から見ると、韓国はアメリカの基地だらけ。すっかりアメリカに牛耳られているように、見えるかもしれない。

　　・しかし国家の損得勘定と、国民の勘定は別ものだ。

　　・国家として、表面上はアメリカに頭を下げざるを得ないのは、事実。

　　・けれども五千年の歴史を誇る韓国人が、移民たちが寄り集まった歴史の浅いアメリカに対して、コンプレックスを感じることはない。

　　・古くから貴族と平民という身分意識があり、連綿と連なる一族の家系を守り続けている韓国人から見れば、

　　・どこから来たのか自分の出自もはっきり分からない、アメリカ人など、全員平民の部類としか思えない。

　　・そういう意識があるからこそ、日本人の欧米人への媚び方が我慢ならない。

　韓国人の思考方式が、一番現れている説明です。私は日本人であることに誇りを持っていますが、「アジアで一番」と思ったことはありません。欧米人を上に見て、アジア人を見下すということは、子供時代にはあったでしょうが、ものごとを自分で考えるようになった時から消えています。

　「日本を不当に憎んだり、嫌悪したりする人間」であるかどうかが、「ねこ庭」の判断基準です。欧米人でもアジア人でも、日本に不当な敵意を持つ外国人は軽蔑します。

　何年も英語を勉強したのに、未だに会話ができませんから、英語コンプレックスはあります。国内にアメリカの基地が沢山ある日本にいますが、韓国の基地の実態を知りません。

　不愉快になるのは、五千年の歴史を持つ韓国とか、アメリカが歴史の浅い寄り集まりの移民国家だとか、こういう尊大な韓国人の思考です。北朝鮮に攻められ、占領されかけた韓国を、犠牲者を出してまで助けたのはアメリカです。

　一片の感謝もなくアメリカをこき下ろすのですから、日本を憎んだり恨んだする理由も推測できます。思い込みの激しい韓国人らしい、一方的な意見が続きます。

　　・何年も日本にいる私は、韓国人にしては、愛国心にとらわれない柔軟な考え方をしていると思う。

　　・そんな私でさえそう思うのだから、普通の韓国人はもっと強く、同じアジア人に対する日本人の優越意識を、苦々しく思っていることだろう。

　氏を柔軟な考え方の人間とは思いませんが、確かに日本人は、アジア人を欧米人より下に見る姿勢があります。文明開化の時代から、列強だった欧米へのコンプレックスが、今も尾を引いていると思いますので、氏の指摘は一つの事実です。

　次に「日本のここが好き ! 」という、氏の話が始まります。

　　・東京に限った話かもしれませんが、ラッシュの時でも、エスカレーターの片側は急ぐ人のために空けてある。

　　・自動販売機で切符を買う時も、割り込みする人などまずいない。こんな秩序はソウルでは考えられない。

　　・経済的余裕ができたから、コセコセしなくて良くなった、という考え方もできるかもしれない。

　　・でも私が思うに、いくら韓国人が豊かになっても、相変わらずエレベーターは我先に乗ろうとする人や、年長者だから先に通せと主張する人たちで、混乱したままのような気がする。　

　　・豊かになったらなおさら、よけい偉そうに振る舞う人が増えるのではないかとさえ思える。

　　・経済的に成功したからと言って、そのへんの飲み屋のオヤジでさえ、背広に革靴履いて、社長気取りで威張っているが、

　　・韓国人のこういう虚栄心や見栄をなんとかしないと、韓国の発展は、永久にないように思う。

　　・それに比べて、日本人は正直で几帳面だ。

　氏は、自分が経験した二つの事例を挙げます。一つ目は、仕事である事務所を訪れた際、途中のどこかで五千円を忘れていた時の話です。心当たりの事務所に連絡したら、忘れ物として保管してあるという返事がありました。

　　・私は感激した。誰が置いていったか分からない現金など、てっきり戻ってこないと思っていたからだ。

　今一つは、お客のため、自動照明写真機を利用した時の話です。コインを２回入れても機械が作動せず、三回目にやっと撮影が成功します。氏が機械に表示してある、連絡先に電話を入れますと、調べて確認できたら返金しますという返事でした。

　　・一週間後きちんと電話連絡があり、振り込みしてくれた。その几帳面さが、韓国人の私にはなんとも嬉しかった。

　　・そんな当たり前のことに、いちいち感激している私の方が変だと、思う人もいるかもしれない。

　　・しかし日本人の几帳面さというのは、それほど韓国人には驚異なのである。

　「何度強制送還されても、偽造パスポートや密航船まで使い、懲りずにやってくる韓国人は、いったい何でそうするのか。」と、それは氏自身の疑問でもあったようです。

　お金のためかと考えても、それだけでないものがあると思い続け、やっと次の5つの理由を発見します。

　1.　韓国人の国民性　

　韓国人は、一つのところに腰を落ちつけることのできない性質を持っている者が多い。日本に限らず、世界各地に韓国人が進出している背後には、この独特のメンタリティーがある。

　2.　食べ物が持つ、不思議な「日本の味」

　日本にしばらく住んでいると、日本がすごく好きなわけでもなく、つらい思いも沢山するのに、韓国に帰れないような気持ちになる。この不思議な味が「日本の味」だ。

　3.　日本で味わえる開放感

　日本だって「出る杭は打たれる」の文化だというものの、韓国とはレべルが違う。親子関係、恋愛関係、友人・知人との関係など、韓国では伝統的な儒教の考えが幅を利かせている。韓国から来れば、日本は十分自由奔放な社会に感じる。

　4.　安定した日本社会では、オーバーステイした者でも住みやすい。

　さすが先進国らしく、人権も認められ、ビザなしでも見つからなければ、特に問題がない。実力さえあれば、人間としての価値を認めてくれる。韓国ではそうはいかない。足元を見て、安い給料で使われるのがオチだ。

　5.　やり直しの効く、日本

　会社を潰したり、社会的に失敗したりしたら、周囲の目が厳しい韓国では、再び何かしても信用されない。同じ場所に住んでいることさえ、いたたまれなくなる。そんな人間にとって、日本は新天地として適している。日本なら近くて逃げやすいし、男でも女でも、努力次第で一旗上げるチャンスだってある。韓国人に限った話ではないけれど、もちろんその中には犯罪者も含まれる。

　5つの理由を読んで、私は割り切れない気持ちになりました。特に5番目の「犯罪者も含まれる」という言葉には、拒絶反応が出ました。5つの理由は何度読んでも日本の長所でなく、韓国人にとって、日本がいかに利用価値のある「お得な」国であるかの説明です。

　有名になり金を稼いでも、日本に居続ける韓国人の存在が不思議でしたが、やっと理由が分かりました。テレビのコメンテーターや、大学教授や、いろいろな韓国人が、決まって反日の言動をします。左翼政党の政治家や学者たちと一緒になり、日本の悪口を言っていますが、もしかすると実態は、「心地よい日本に住み続けるため」、反日日本人たちに合わせているという、それだけの話かもしれません。

　今回で氏の書評をお終いにしますが、最後に氏の著書から得た「教訓」を述べます。

　「話し合えば、どんな人間とも心が通じます。」

　「世界の人々と仲良くして、平和な世界を作りましょう。」

　「軍国主義は、絶対にいけません。」

　こんなことばかり主張し、自分の国をけなしている「お花畑」の人間が沢山います。このお人好しの人々は、、韓国人たちからおだてられ、利用され、利用価値がなくなったら、終いには馬鹿にされ見向きもされなくなるのだと、賢くなる必要があります。

　知らないことを沢山教えてくれたチャン氏には、感謝します。同時に、説明のつかない不愉快さもあります。感謝の念と不愉快さが混じる、厄介な本でもありました。