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それでもチェコは戦う - 2 ( 侵略国家ソ連と中国 )

2019-06-11 19:41:34 | 徒然の記
 バールタ氏著『それでもチェコは戦う』の、2回目の書評です。
 
 ソ連と同様、二回も他国を侵略しているのに、なぜ中国は、国際社会から非難されないのか。もしかすると、白人社会が注目するものだけが、ニュースになり、欧米諸国の関心を引かない事件は、無視されるのではないか。
 
 バールタ氏が懸命に訴えているソ連の横暴さと、現在の中国がやっていることに共通の要素があるのに、なぜ世界のメディアは中国について報道しなかったのか。
 
 ここを考えず書評を続けることは、著者の訴えを軽視することにつながると、そんな風に思えてきました。共産党のすることは、ソ連も中国も同じです。ソ連は崩壊しましたが中国共産党は存在し、国民を弾圧するだけでなく、周辺国を脅し続けています。ソ連と中国が行なった他国侵略を、古い順に並べてみました。
 
  1.    第一次チベット侵略 昭和23年 ( 1948 )    東部・東北部侵略
  2.   第二次チベット侵略 昭和25年 ( 1950 )    中央部侵略 中国編入
 
  3.   第一次モンゴル侵略 昭和25年 ( 1950 )   中国人を人口の40%になるまで移民
  4.   第二次モンゴル侵略 昭和30年 ( 1955 )   新疆ウイグル自治区として、中国領編入
 
  5.   ハンガリー動乱   昭和31年 ( 1956 )
  7.   チェコ動乱     昭和43年 ( 1968 ) 
 
 「国際社会とは、白人社会のことを言うのだ。」「白人の国々が注目しないことは、世界のニュースにならない。」と言ったのは、こういう事実を指しています。日本のマスコミに限って言えば、白人という言葉を米国と置き換えれば良いと思います。
 
 米国が取り上げない中国を報道しないだけでなく、中国に不利益となる記事を、自ら率先してネグレクトした正直者の朝日新聞を見れば、戦後の日本がそのまま現れています。

 5年前に私は、大井功氏著『チベット問題を読み解く』を読みました。氏は昭和23年に長野県に生まれ、現在は松蔭大学の教授です。その時書いた書評の一部を紹介します。
 
 「まず驚かされたのは、チベット本来の領土が、中国の、4分の1を占める宏大さであったということだ。」「ダライラマ14世がインドへの亡命後に、自治区として中国が認めている地区だけでも、中国の領土の、8分の1の広さがあるという。」
 
 「四川省、雲南省、青海省など、私たちは、あたかも元々から中国領のように思い込んでいるが、これらの省は、昔はチベット人の土地だった。」
 
 「移住してくる漢民族が増えたため、いつの間にかこうなったのであり、」「今でも年々漢民族が増え、チベット文化が失われつつあると言うから、驚きでないか。」
 
 「中国が、オリンピックを開催するとき、欧州各国が、不参加を表明していた背景に、チベット問題への抗議があったことを、本を読むまで知らなかった。」「チベット争乱に強い非難を表明し、オリンピック不参加を表明したのは、ポーランド、ドイツ、イギリス、フランス、ベルギー、バチカン、EUである。」
 
 つまり朝日新聞は、欧州の国々と同じ姿勢では報道をしなかったのです。これが、5年前の書評の一部です。何も報道しなかったマスコミめと怒る私に、氏がその心得違いを説いていました。
 
 「政府や大手メディアを弱腰と責めるのは簡単だが、そんな政府やマスコミの姿勢を許して来たのは、紛れもなくわれわれ国民である。」
 
 「民主主義の国においては、政府もメディアも、その国の、国民のレベルにあったものしか存在しない。」「国民は賢明だが、政府やメディアだけが愚かという逆はありえない。」
 
 「戦後の日本人は何かにつけ、余りにも〈ことなかれ主義〉だった。私たちは、そのことをまず反省しなくてはならない。」
 
 読み返しますと、5年前の日本と現在が何も変わっていないことが分かりました。反日の朝日新聞しても、不買を広げ、倒産させるだけの気概もありません。大井氏の言葉に、その通りですとうなづくしかできませんでした。
 
 5年前の書評ですが、今後は諦めないと決めました。祖国のため、身の危険をおかして、ソ連の非道と社会主義の矛盾を訴えたバールタ氏の著書を前にしますと、勇気が出てきました。
 
 日本の政治家が、チベット問題を静観している理由として、大井氏が上げていた3つをもう一度紹介します。
 
  1.   政治家が、チベット問題に関する知識も情報も持っていないこと。
 
  2.  中国を有望市場として企業が進出しているため、中国の機嫌を損ねたら、財界や業界団体から猛反発されると言う危惧を持っていること。
 
  3.  チベットは中国の内政問題だから、内政干渉すべきでないと建前論を守っていること。
 
 大井氏の批判は、政治家や政府関係者に向けられていますが、私たち国民がやるべきことは、事なかれ主義の議員を、選挙の一票で落選させることです。反日左翼の野党議員だけではありません。自民党の中にいる「獅子身中の虫」も、しっかりと選別する目を持つことが大事です。
 
 自分の現在を踏まえた上で、過去の書に教えを乞う。・・これが「温故知新」の読書ではないかと思いますので、明日から本来の書評へ戻ります。
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2 コメント

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軍事力のない悲劇 (憂国の士)
2019-06-12 15:34:31
onecat01さん、
最後まで待とうと思いましたが、あのハンガリー動乱、チェコ動乱と拝見してまずひとコメント差し上げます。

当時、私の周囲の人間にハンガリー動乱を語る人は皆無でした、あなたと同年代の私は戦車の前で泣き叫ぶ
市民の写る活字を追っていました。

無慈悲なソ連の戦車に慄然としたものです、力なき正義は無力、正義なき力はただの暴力、共産主義の横暴を目に焼き付けました。

それ以来ですね、独裁、共産主義は、綺麗な嘘をつき国民や他国を踏みにじる人類の敵だと確信したのは。

あなたが指摘するように、チベット、ウイグル、モンゴルについては日本のマスコミの動静は記憶にありません。

ソ連と中国の違い、見るからに他国民を睨みつけた腕力一方のソ連人、それに比べて中国要人の腹を隠した笑顔振りまく愛想笑い。

それに世界は見事騙された、トランプ大統領の登場は、アメリカのみならず世界の平和のために、まさに救世主だったと思います。

崩壊するソ連邦(あの時)そして今、世界の厄災国家がアメリカとの貿易戦争で土壇場に来ています、本格的な戦争に向かうのか、そしてイランは ?
トランプ大統領について (onecat01)
2019-06-12 17:44:13
憂国の士殿。

 トランプ大統領については、登場の時から、激しい賛否両論があります。

 日本にとっては、ありがたい大統領のような気がいたします。どこまで本気なのか、中国共産党が崩壊するまで、やって欲しいですね。

 まずは共産党の独裁政権を倒し、国民を自由にすれば、別の政治が始まるはずです。イランも中国も、北朝鮮も、先のことは何も分かりませんが、日本が現憲法のままで、手足を縛った自衛隊では、国の守りができません。

 国際情勢がどう動いても、日本は日本の道を進むべしと思います。力なき正義が無力であることは、歴史が教える事実ですし、お花畑の人々も、念仏ばかり唱えずに、そろそろ現実を見て欲しいものです。

 ノルウエーにしても、チェコスロバキアにしても、独立したり、征服されたり、分裂したり、統合されたり、大国の思惑で翻弄された歴史を持つ国です。

 今は対米従属を余儀なくされていますが、今日までの日本は、強国から目に見える形で征服されたことがありません。
 
 島国のせいだという人間もいますが、それは間違いです。立派なご先祖たちが、命がけで守ったから、今の日本が残っています。また、天皇陛下がおられたから、国民がまとまって、外敵と戦ったのです。

 私のブログは、退屈で、面倒かもしれませんが、日本のご先祖様への感謝と、天皇陛下への感謝を、息子たちへ伝えようと、頑張っております。私が死んだ後で、きっと息子たちが読んでくれると信じ、ブログを綴っております。

 どうか、これからもよろしくご指導ください。コメントに感謝いたします。

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