ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『絶頂の一族』( 著者の紹介 )

2024-04-19 19:29:42 | 徒然の記

 松田賢弥 ( けんや ) 氏著『絶頂の一族』( 平成27年刊 講談社 ) を読みました。副題は「プリンス安倍晋三と六人のファミリー」です。

    第3次安倍内閣 : 2014年(平成26年)12月24日 - 2017(平成29年)11月1日

      第4次安倍内閣 : 2017年(平成29年)11月1日 - 2020年(令和2年)9月16日

      安倍元首相暗殺  2022年(令和4年)7月8日奈良市の大和西大寺駅北口

 ネットの情報で確認しますと、この本は安倍元首相が暗殺される7年前、第3次安倍内閣の時に書かれています。出版は安倍氏が東京五輪の開催を決め、伊勢志摩サミットを開催し、アベノミクスが第二段階に入り、「GDP600兆円」「1億総活躍社会」と前向きな政策を掲げていた年です。

 また同年は、オバマ大統領が現職の大統領として初めて広島を訪問し、ロシアのプーチン大統領とは北方領土問題で前向きな会談をしています。本書のタイトルに使われている「絶頂」と言う言葉は、安倍氏だけでなく、安倍氏の一族も指しているようです。

 本のカバーには安倍元首相を中心に5人の顔写真が並び、この人物たちが「6人のファミリー」です。参考までに、名前と相互の関係、肩書などを簡単に紹介します。

  1.  岸信介 ・・ 安倍晋三の祖父、安倍晋太郎の義父 安倍洋子の父

  2.  安倍洋子・・ 岸信介の長女 安倍晋三の母 安倍晋太郎の妻

  3.  安倍晋太郎・・元衆議院議員・安倍寛の長男 安倍洋子の夫 晋三の父

  4.  西村正雄 ・・安倍晋太郎の異父弟 日本興業銀行元頭取 みずほホールディングス元会長

  5.  安倍昭恵 ・・安倍晋三の妻 森永製菓元社長・松崎昭雄の長女

  6.  安倍晋三 

 図書館にこの本を予約して手に入れたのには、理由がありました。2年前の令和4年7月に安倍元首相が暗殺された以後、突如日本中を賑わせる話題になったのが、悪徳宗教法人「旧統一教会」でした。

 「岸信介、安倍晋太郎、晋三の三代にわたる闇、旧統一教会」

 センセーショナルな見出しで、テレビと新聞、ネットメディアがトップニュースで報じ、政界での「安部派叩き」と「安部派潰し」が始まりました。国難の世界情勢をそっちのけにし、現在は次の「安部派潰し」の「パーティー権問題」・「裏金問題」が世間を騒がせています。

 『絶頂の一族』のプロローグの見出しが「ゴッドマザー安倍洋子を軸にした三代」でしたので、三代という言葉にひかされ、旧統一教会に関する詳しい情報が得られるのかと期待しました。

 しかし著者の焦点は、安倍洋子氏が岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三3氏の閨閥作りの中心人物だったという処にあり、旧統一教会は出てきませんでした。日本の独立を達成するため、「憲法改正」と「皇室護持」が不可欠と考える「ねこ庭」にとって、氏の著書は役に立ったのか、有意義だったのか自問自答しますと、

 「役に立ったような、有意義だったような・・・」という答えが出てきます。週刊誌のゴシップ記事をつなぎ合わせた本という印象でしたが、著者の「あとがき」を読んで納得しました。

 ・本書は安倍晋三が2003年に自民党幹事長に就任して以降、『週刊現代』に執筆した記事を一部ベースとしつつ、全面的に書き下ろした。

 国民が面白がって見たり読んだりしてくれれば会社が儲かるというのが、テレビ・新聞・雑誌各社の目的の一つですから、否定する気持はありません。以前は怒ったり攻撃したりで忙しかったのですが、今は「多忙な怒り」を卒業しました。日本より世界のマスコミがもっと大きく、もっと大胆な嘘を報道し、自国民ばかりか世界の人間を惑わせています。昔からそうだったのか、最近特に酷くなったのか、信用できる報道や情報が何処にあるのか分からなくなりました。

 息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に、著者の略歴を紹介しておくのも必要でないかと思えてきました。表紙の裏扉に書かれていますので、そのまま転記します。

 ・昭和29 ( 1954 ) 年岩手北上市生まれ

 ・業界紙記者を経てジャーナリストとなり、『週刊現代』『週刊文春』『文藝春秋』などを中心に執筆活動を行う

 ・故小渕首相秘書官のNTTどこも株疑惑をはじめ、政界について多くのスクープ記事を執筆

 ・小沢一郎について20年以上取材を続け、その後の「陸山会事件」追求の先鞭をつけた

 ・妻・和子から小沢一郎への「離縁状」をスクープしたことで、編集者が選ぶ第19回「雑誌ジャーナリズム大賞」を受賞

 ウィキペディアには、次のように書かれています。

 ・出版業界紙『新文化』記者を経てジャーナリストとなり、『週刊現代』を中心に執筆活動を行う

 ・政界について多くの記事を執筆しており、とりわけ小沢一郎について多く取り上げ、「小沢一郎の天敵」と評された

 ・平成25 ( 2013 ) 年、『小沢一郎 淋しき家族の肖像』で第12回新潮ドキュメント大賞を受賞

 ・令和3 ( 2021 ) 年10月8日、肺炎による急性心不全の為死去  享年67

 小沢一郎氏の天敵と評されているとは知りませんでしたが、テレビドラマに出てくる「トップ屋」みたいな記者だったのでしょうか。安倍氏には天敵でなかったらしく、激しい批判をしていません。その代わり誉めてもいませんので強いていうなら、「反安倍」でなく「非安倍」という立ち位置です。

 氏が亡くなっているとなりますと、この本は「氏の遺書」になります。「温故知新」の一冊に加え、学徒として「役に立った」「有意義な」部分を紹介することに決めました。興味のある方は、次回の「ねこ庭」へ足をお運びください。

コメント (2)
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