ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『絶頂の一族』- 3 ( 様々な「閥」 )

2024-04-21 21:42:41 | 徒然の記

 2.  閨閥

  ・閨閥 (けいばつ)とは、外戚( 妻方の親類 )を中心に形成された血縁や婚姻に基づく親族関係、又はそれらが成す勢力、共同体、仲間などを指す   

    ・閨」の意味はもともとは中国語で、「夜、寝るための部屋のこと。

   ・婚姻は政略結婚も含み、政界、財界、官界、さらには王室、貴族に属する一族が、自身や血族の影響力の保持および増大を目的に、婚姻関係を用いて構築したネットワークを言う。門閥(もんばつ)と呼ぶこともある。

 この説明に洋子氏を当てはめますと、晋太郎氏からみた「妻方の親類」となります。洋子氏の親類は岸家と佐藤家で、それぞれがさらに本家と分家に分かれています。

 夫の安倍晋太郎氏から見て閨閥となるのは、安倍、岸、佐藤の3家になりますが、洋子氏が司令塔の役割を発揮しているのは、父信介氏のいる岸家でしかも、分家です。彼女は他家の血縁関係に関心を払わず、夫である晋太郎氏の安倍家との関係も重視していません。

 本書では、洋子氏と安倍家、岸・本家、佐藤家との冷めた関係が語られています。果たしてこれらが「婚姻に基づく共同体、仲間」と呼べるかについては、疑問が生じるところです。

 ・父である信介氏を尊敬してやまない洋子氏が、嫁ぎ先の安倍晋太郎氏の家で、大きな影響力を発揮していた。

 と、事実は狭い範囲の閨閥だったような気がします。松田氏と講談社が、売れる本を世に出そうと頑張った結果の、売り文句だったと思えば疑問が解けます。嘘や捏造が書かれているのでなく、氏が取材した沢山の事実が読者を驚かせます。そのかわり売り上げ重視のドュメント本の特徴である誇張と省略が避けられず、テーマに不要な事実は削られています。

 私の知りたかった旧統一教会問題が、重要なはずなのに語られていないのはそんな理由でしょう。旧統一教会に言及すると、問題が大き過ぎてテーマが絞れなくなるからだろうと思います。

 ここまで分かると、他の「閥」の紹介の必要を感じなくなりました。

 3.  財閥  4.  門閥  5.  学閥  6.  藩閥  7.  派閥  8.  軍閥

 藩閥はもう存在しませんが他の閥は今も残り、社会を動かしています。私たち庶民は、政治家や学者や経済界のリーダーが、自分たちだけの利益のため仲間を作る習性があると、おおまかに知っていれば十分な気がします。学問的に正確な知識が無くても、不埒な政治家は選挙の一票で落選させれば良いのです。

 と、これも実際には難しい話ですが、有り難いことに現代はネット社会です。戦前と違い、庶民が自由な意見を社会へ発信できます。一つの報道を信じることしかできなかった国民が、違った意見を沢山知り、自分で考えて選ぶ世になりました。

 「庶民が騙されるしかなかった社会」から、「庶民が自己選択して騙される社会」に変わったのですから、大きな変化です。間違った政治の責任は、政治家や学者やマスコミだけにあるのでなく、国民一人一人にもかかってきます。良いのか悪いのか分かりませんが、私たちはこんな時代に生きています。

 そして国民の多くが「憲法改正」を悲願とし、これさえ実現すれば素晴らしい日本が取り戻せると考えています。「ねこ庭」でも、「憲法改正」を日本の最優先課題として、掲げています。「憲法改正」は軍の再建ですから、他の閥を省略しても「軍閥」についてだけは、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に情報を紹介しておきたくなりました。

 「憲法改正」と同時に、戦前の「軍閥」が息を吹き返す可能性も知っておく必要があります。同じ姿で現れるのでなく、時代に合わせた形で生まれ、油断していると恐ろしい「組織」に変化する可能性があります。苦労して来られたご先祖が、私たちに残された言葉がこれではないでしょうか。

 「諸刃の刃 ( やいば ) 」

 誰でも知っている言葉ですが、「軍閥」に当てはめますと、国土と国民を守る軍隊も、ぼんやりしていると大変な仲間や勢力を産むということです。

 現在の国民は、省庁の中の省庁といわれる「財務省」に政治を握られ、為されるがままの状況にあります。洋子氏が司令塔をしている岸家の「閨閥」も、あるいは一部で財務省に似た権勢を持っていたのかも知れません。しかし「軍閥」の力は、そんな穏やかなものでありません。「問答無用」と言って反対者を軍刀で切り捨て、銃で斃した過去を持っています。

 「憲法改正」をするというのは、「諸刃の刃 ( やいば ) 」の復活でもあると肝に銘じておかねばなりません。過激な左翼勢力が何万人を動員して騒いでも、軍は一瞬にして彼らを蹴散らします。反日左翼勢力が、暴力装置と言って軍を忌み嫌う理由がここにあります。

 世界を見れば分かりますが、軍がクーデターを起こしたり、政治へ介入したりするのは後進国の話です。中国やロシアや北朝鮮のような独裁国は、いわば軍と政府が一体化した後進国なので参考になりませんが、民主主義の国で軍は軽々しく政治に介入しません。

 従って5・15事件や2・26事件を起こした戦前の日本は、残念ながら後進国だったことになります。事件に関する見直しと再発防止策が、確立されているとはまだ言えません。いったん緩急あれば、国民が一つになる素晴らしい日本ですが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という国民性があるのも事実です。

 戦前の軍部に異論を述べたのが、洋子氏の尊敬する岸信介氏と安倍晋太郎氏の父・安倍寛氏でした。『絶頂の一族』の中で、松田氏はここに焦点を当てていませんが、事実の一端を無意識のうちに言及しています。

 次回は、諸刃の刃である「軍閥」に関する情報を紹介しようと思います。

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