ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

秋本議員の収賄事件 - 5 ( 常識の範囲 ? )

2023-09-05 11:36:35 | 徒然の記

   白川の清きに魚も住みかねて

    昔の田沼 今ぞ恋しき

 江戸時代の狂歌があります。利権政治家として悪名を残した、田沼意次を歌ったものと言われています。しかし彼は自己の利権を求めただけでなく、積極的な改革を進め、幕政の刷新に大きな力を発揮していました。

 田沼の跡を継いだ松平定信が、「クリーンな政治」を旗印に、無駄の廃止、奢侈禁止、風俗の乱れ禁止と次々に禁止令を出したため、諸大名ばかりでなく庶民の暮らしまで活気を失ってしまいました。「世の中は綺麗事ばかりでは、うまくいきませんぞ」という皮肉を込めて、狂歌が流行ったのだと聞いています。

 私は政治家の評価について、多少の利権や収賄には目くじらを立てません。政治家の日常では彼らの目の前で、毎日億単位のお金が動いていますから、庶民と同じ感覚で考えると判断を誤ります。だから私は、秋本氏が「憲法改正」と「皇室護持」を言わないからと言って、自分の考えを変えて氏を無闇に批判することはしません。

 事件を機として、氏が自由民主党を離党したことは喜ぶとしても、必要以上にマスコミが叩くのは感心しません。「盗人にも3分の理」と言ったのは、次の理由です。

 ・彼は、大会社である三菱のグループ企業だけを儲けさせるのでなく、他の企業も参加できるよう、窓口を広げる手伝いをしている。

 ・15兆円の市場なら、財閥系企業だけに独占させるのでなく、多くの企業に活動の場を与え、競争の原理を入れるのは悪いことではない。

 ・もし彼が国のため有意な人物であるとすれば、たかが二、三千万円の個人献金を受けたからと、政界から追放するのはやり過ぎである。

 息子たちだけでなく、「ねこ庭」を訪問される方々も、私の意見に眉を顰められるのかも知れませんが、政界と庶民の世界が別であるを知るのも大事なことではないのでしょうか。

 先日まで「ねこ庭」をかき回していた、伊藤貫君の雑談を思い出してくださると、私の言わんとすることが分かってもらえる気がしてきました。

 ・ヒラリーは、「クリントン・ファウンデーション ( 基金 ) 」を作り、三千数百億円を集めている。彼女は国務長官時代、外国政府、外国企業、外国金融業者から、毎年千数百億円受け取っている。

 ・これに比べると、バイデンも息子のハンター・バイデンも、外国から賄賂を受け取っているが、バイデン程度の賄賂は、アメリカの大統領には誰でもあることで、常識的範囲だ。

 日本とアメリカを同じレベルで語ろうとは思いませんが、バイデン大統領の賄賂は、アメリカの大統領には常識的範囲だ、と言っていました。

 中国から受け取ったのが20~30億円、ウクライナから3~5億円、ロシアから数億円というのが、ハンター・バイデン氏の得た賄賂ですが、伊藤君はこれを「常識の範囲内」と片付けています。

 ・例えば父・ブッシュ大統領が1989年から1992年の在任期間中に、彼の兄弟が中国政府から、コンサルタント料などとして数億円か、数十億円を儲けている。

 ・息子・ブッシュも、彼の在任時代弟二人と叔父がやはり中国政府から、コンサルタントとかアドバイザー料として数十億円儲けている。また中国は、必ず二、三年後に儲けるという投資物件を持ってきたりする。

 だからバイデン大統領の腐敗は、クリントン夫妻のような凄い腐敗ではないと問題視していません。アメリカかぶれの彼は更に言葉を続け、最後はやはり日本の悪口を言いました。

 ・アメリカの大統領の家族が、外国の政府や企業から賄賂を受け取るのは、良いことと言っているのではないが、普通のことだと説明している。

 ・自民党の政治家も悪いことをしているが、世界的レベルでは大したことはない。彼らのほとんどはあまり頭が良くなく、大した嘘も言わない、小汚い、つまらない連中だ。

 秋本氏をアメリカの大統領と比較する気はありませんが、政界の常識と一般庶民の常識が同じでないことを言うため、彼の「雑談」を引用しました。田中角栄氏がロッキード事件で告発された時、「ピーナッツ3個受領」と言うメモが大きく報道されました。3個が3億円の意味だったからです。

 角栄氏の政治生活の大半は、ピーナッツを受け取ったり送ったりの連続でしたから、最後は金権腐敗政治家の代表とされ不運な生涯を終えました。角栄氏に比べたら、秋本氏の二、三千万円はいわば政界の「常識の範囲」です。こんなはした金で、彼の政治生命を奪おうとするマスコミの不公平な報道に私は疑問符をつけます。

 角栄氏は巨額の賄賂を受け取りましたが、氏はその金のほとんどを派閥の政治家に配って彼らの政治活動を支援したり、官僚の贈り物に使ったりし、個人で懐に入れた額は大きくなかったと言われています。政治家に入る金の額は大きくても、彼らが使う金も大きいと言うことです。政治家と金の問題は、与野党を問わずついて回りますが、多くは「常識の範囲」なのでマスコミが黙っています。

 金の問題でつつかれる政治家がいるとしたら、それは別の要因がさせていると、私は考えています。例えば秋本氏の親分である河野太郎氏は、自民党の総裁を狙っていると公言し、反日のマスコミに支援され、岸田総理のライバルです。先の総裁選で秋本氏は河野太郎氏を支援していますから、岸田総理には面白くない人物です。そんな彼がマスコミに叩かれているからと言って、岸田総理が彼のために動くでしょうか。

 積極的に動かなくても、マスコミの報道に無関心であれば、政治の世界では暗黙の了解になります。たとえば、中国、北朝鮮や韓国が日本に難癖をつけても、アメリカが黙っていれば黙認ということになり、彼らは勢いづきます。国際政治と国内と舞台が変わっても、政治の動きには共通点があります。岸田総理の評判は、「反政府」を旗印にするマスコミではもちろんですが、党内の保守層にも芳しくありません。しかし私は、不評を気にかけず着実に事実を積み上げている氏を、感心しながら見ています。このままの曖昧路線で野党を煙にまき、「憲法改正」を実現してくれないものかと期待もしています。

 「ねこ庭」を訪問される方々には受け入れられないのかもしれませんが、もしかすると秋本事件は、自民党内の勢力争いの一部かもしれません。時を同じくして、河野氏がマイナンバーカード問題で連日矢面に立たされています。

 素人の政治談義に過ぎませんが、暑さ忘れの雑談として、次回はこの問題を取り上げてみたいと思います。

コメント
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