ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

村上誠一郎氏の思考 - 11 ( 政策主張 )

2022-11-26 14:24:46 | 徒然の記

 朝日新聞元編集委員の山田厚氏と左翼弁護士の升味佐江子氏に持ち上げられ、笑顔でお喋りする氏に、保守本流の姿は見られませんが、連続11回の当選と言いますから、地元の選挙民の方々には魅力のある人物なのだと思います。

 しかし氏が「保守本流」の政治家でないことを証明するのは、とても簡単です。ウィキペディアの情報を紹介すれば、済むからです。なぜこんなことをしたのか分かりませんが、ウィキペディアは過去から現在まで、氏が答えた新聞社等のアンケートに関する回答、インタビュー時の言葉、国会での発言などを、「政策主張」とタイトルをつけひとまとめにしています。

 スペースの許す限り紹介すれば、一目瞭然で事実が見えます。もしかするとウィキペディアも氏の「保守本流」に疑問を抱き、読者のために便宜を図っているのでしょうか。しばらくコメントなしで紹介しますので、各自で判断していただければと思います。

 〈 政策主張 〉

  ・憲法改正について平成29年のアンケートへの回答・・「どらかといえば賛成」 

  ・憲法改正について令和3年のアンケートへの回答・・「どらかといえば反対」  

  ・9条改憲について、令和3年の毎日新聞社のアンケートで「反対」と回答

  ・憲法を改正し緊急事態条項を設けることについて、令和3年の毎日新聞社のアンケートで「反対」と回答

  ・安全保障法について、平成29年のアンケートで「どちらかと言えば評価しない」と回答

  ・他国からの攻撃が予想される場合には敵基地攻撃もためらうべきではない」との問題提起に対し、令和3年のアンケートで「反対」と回答

  ・「北朝鮮に対しては対話よりも圧力を優先すべきだ」との問題提起に対し、平成29年、令和3年のアンケートで「どちらとも言えない」と回答

  ・普天間基地の辺野古移転について、令和3年のアンケートで「どちらとも言えない」と回答。

  ・平成25年11月、特定秘密保護法案の採決に際し、体調不良を訴え、議場から退席。「いろいろな問題が残っているのに、政治家として賛成する自信があるかと言ったら、あるわけない」「まだまだ議論の余地がある重要法案なのに、こう拙速に決めていいのか」と記者に対し述べた

  ・また「多数決は100人のうち99人が間違っていても、そっちが正義になっちゃうんだ。ファっシズムなんていつでも起きる危険性があるんだよ」と、議会で大多数を占める与党による衆議院国家安全保障に関する特別委員会での採決を、批判した。自民党で投票を棄権したのは村上ただ一人である。

  ・安倍内閣が推進している集団的自衛権行使のための憲法解釈変更に、批判的な言動を続けており、「行政府が法解釈して自分で勝手にやれば、立憲主義を否定することになる」「ナチスと同じ愚を繰り返す」と発言

  ・平成27年5月に開催された自民党の総務会では安全保障関連法案について「憲法が有名無実化する」「憲法改正なしで集団的自衛権を行使することには疑念がある」と反対したが、最終的に挙手採決に持ち込まれ、村上は途中退席し全会一致での了承となった。一方、平成24年の毎日新聞のアンケートでは、集団的自衛権行使のために憲法解釈を見直すべきだと回答しており、過去と現在の主張が異なっている

  ・女性宮家に反対していたが、平成29年の第48回衆議院選、令和3年の第49回衆議院選での毎日新聞のアンケートでは賛成に転じている

  ・菅内閣による日本学術会議会員の任命拒否問題については、言語道断として、「学問への畏敬の念、リスペクトがあまりになさ過ぎる、説明が必要」と述べた

 スペースがなくなりつつありますので、ここで止めてもいいのですが、せっかくまとめてくれたウィキペディアと、何も知らない息子たちのため、残りの一部分だけでも次回紹介します。村上氏の地元の選挙民が読んでくれたらと思いますが、そこまでは無理な話でしょう。

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村上誠一郎氏の思考 - 10 ( 三木氏の豹変 ? )

2022-11-26 06:55:21 | 徒然の記

 今回は、三木氏と村上氏が「保守本流」でない理由を説明しますが、二人同時にできませんので三木氏から始めます。

 三木氏を評する言葉として、「クリーン三木」があります。田中金脈問題、ロッキード事件で政治と金の問題に国民の嫌悪感が高まった時、三木氏は政界再生の第一人者となりました。「クリーンな政治」について氏の意見に異論はありませんが、国の政治はそれで十分なのでしょうか。

 先の大戦で敗北して以来、「間違った戦争をした悪い国」というレッテルを貼られ、中国、韓国・北朝鮮に批判攻撃されても反論できない日本について、氏は保守政治家として心の痛みを何か国民に語ったでしょうか。

 敗戦以後日本には130の米軍基地があり、そのうちの80の基地は米軍専用の治外法権地域です。自民党の政治家は「安い費用で、番犬を飼っている」と強がりを言い、アメリカは「日本が安保条約にただ乗りしている」と批判しています。反日のキッシンジャーは、中国を訪問した時「日本に基地を置いている目的は、日本が再び戦争をできないように監視するためだ。米軍は、日本が外へ飛び出さないようビンの蓋の役割をしている。」と語りました。

 自由主義諸国の中で、というより世界の国の中で、日本のように他国の軍隊が多数の基地を持っている国が果たして他にあるのか、これで日本が独立国と言えるだろうかと、氏は一度でも疑問を述べたことがあったでしょうか。

 氏が「保守本流」と自らを語るのなら、国の独立の大切さと東京裁判の実態を国民に語るのが筋です。敗戦当時は連合国軍の裁判を、何も知らされていない多くの国民が是認しましたが、その後日本の戦いが自衛戦争だったという資料がたくさん現れました。東京裁判が米国による「復讐裁判」だったという証言も、米軍の高官が明らかにしています。

 こうした根幹の問題に触れず、官僚政治の腐敗を指摘することで、氏は「保守本流」政治家の役目を果たしていると考えているのでしょうか。「クリーン三木」「クリーンな政治」というのは、政治の手段に過ぎません。政治の目的は、国民を豊かにするための経済の安定と、つぎの4つが不可欠です。

  1. 日本の独立

  2. そのための軍の再建

  3. そのための「憲法改正」(自主憲法の制定)

  4. これによって、日本の過去の歴史、伝統、文化を取り戻すこと。

 氏は、激しい派閥闘争を乗り越えた老練な政治家ですが、この4点について何も語っていません。政治が政争だけであるとするなら、氏は一角の政治家ですが、政治が国のための政 (まつりごと) と信じる国民の一人である私には、日本人の魂を失った政治家の一人にしか見えません。

 弁舌の天才、言葉の天才と、ウィキペディアが誉めていますので、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々のため、氏に関してほとんど語られてない事実を紹介します。

 〈 祭政一致 〉と〈 国体明徴 〉という言葉は戦後消えてしまい、政治家は誰も口にしません。意味を知っている国民も、今ではいないのではないでしょうか。

 〈 祭政一致 〉とは

  祭祀と政治の一元化のことで、政治指導者が宗教的指導者でもあるという政治を言います。つまり、天皇親政のことです。

 〈 国体明徴〉とは

  昭和10年、美濃部達吉氏が述べた「天皇機関説」を排撃するために出された、政府声明で使われた言葉です。つまり、天皇が統治権の主体であり、日本が天皇の統治する国家であるとした宣言です。

 昭和12年に三木氏が最初の国政選挙に立候補した時、氏は15項目の政策を選挙公報に挙げています。この時氏は公約として「国体明徴」「祭政一致」「日本道徳の鼓吹と共産主義の絶滅」を、15項目の冒頭に掲げていました。次の情報もあります。

 「三木は選挙戦終盤に徳島2区の有権者に送付した無料郵便で、自らが一人っ子であることを紹介しつつ、皇国に忠誠の使徒である上に、衆議院議員に当選して老父母に孝行の実を挙げ、忠孝両全の規範を立志の歴史に留めたいとの内容により、当時の倫理規範で最高の徳目とされた忠孝を兼ね備えた人物であることを示すとともに、泣き落としとも受け取れる訴えを行った。」

 昭和12年の世相を考えれば、青年三木氏が国政選挙に勝つためあらゆる方法を使った心情を理解しないわけではありません。しかし当選以後氏は、こうした言葉を使わなくなり、「クリーンな政治」一本槍になります。つまり「国体明徴」、「祭政一致」、「日本道徳の鼓吹と共産主義の絶滅」は、選挙のための便宜的な言葉だったということになります。

 息子たちが理解できるのかどうか分かりませんが、「保守本流」の言葉も氏にとっては便宜的なものでないかと、私が考える理由がここにあります。亡くなられた氏をいつまでも責めようと思いませんが、師と仰ぎ氏を真似て国民を惑わす村上氏の存在を思うと、一言言わずにおれなくなりました。今後は三木氏への言及をやめ、後継者を公言する村上氏について語ることとします。

 今回で終わる予定でしたが、村上氏が「保守本流」でないことの説明は次回となりました。

コメント (2)
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