所用で一週間、留守をし、その合間に、三冊の本を読みました。昼間は忙しくても、夜は暇でしたから、カバンに入れて来た本を手にしました。
1. 高橋正衛氏著 『昭和の軍閥』 ( 昭和44年刊 中公新書 )
2. 尾鍋輝彦氏著 『クーデター』 ( 昭和39年刊 中公新書 )
3. 森松俊夫氏著 『大本営』 ( 昭和55年刊 教育社歴史新書 )
世界の国々がしているように、自分の国を、自分で守る日本にしたいと、「憲法改正」を望んでいる私は、戦前の軍隊について知りたいと思っています。
いくら反日・左翼の勢力が反対しても、あるいは、自民党の中の「獅子身中の虫」が逆らっても、あと7、80年もすれば、日本は、軍を持たずに済ませられなくなるはずです。
その時に備え、軍のあるべき姿を思い描くことは無駄でなく、むしろ重要な予備知識となります。・・ということで、戦前の日本軍を教える書を持参いたしました。
所用で家を離れた一週間は、活動する生きた日本を、この目で眺める貴重な日々でした。普段は机に向かい、本を読み、パソコンを開いて思いを綴ったり、庭の水やりなどをして、一日が終わります。
私の居住空間は自分の部屋と、階下の居間と、ねこ庭でこと足ります。週に何度か、自治会のつきあいで集まりに顔を出したり、近所のスーパーへ家内と買い物に出かけたりこれが私の生活領域です。
ところがこの一週間は、躍動する、目まぐるしい、感動の連続でした。本の中で考えているのとは違う、「生きた日本」です。
立ち並ぶ家々、移り変わる山や田畑、観光客や住民や学生や子供たち。全てが、私の心を奪いました。行きも帰りも格安航空で、あっという間に目的地に到着します。レストランも土産物屋も待合室も、快適で清潔です。思い思いの服装で、彩りも鮮やかな人々が、私の周りを賑やかに行き交います。
もう、戦後のあの貧しかった日本は、どこにもありません。
道路を走る車は、ノルウェーで見たような汚れた車体でなく、新車のように綺麗でした。区画整理された住宅地には、洒落た戸建ての家々が並び、木々の緑や花が飾られていました。
千葉県から福岡県まで、飛行機を利用する旅でしたから、離着陸時の窓から眺めますと、両県が一望できました。
ヨーロッパのような石造りの家や、教会の塔はありませんでしたが、箱庭のように美しい日本の眺めでした。現地での移動はJRとバスでしたが、窓の外を流れる風景も私の心を捉えました。
私の知らない人々の暮らしがあり、私に、終生無縁な人々の生活があります。当たり前のことですが、同じ日本の国と思えば、懐かしく暖かな印象がいたしました。一人一人と話をすれば、十人十色の人生があり、人々の喜怒哀楽の日々があるはずです。短い一週間でしたから、私はあまり込み入った話をせず、旅人として、すべての光景を心に刻みました。
それでも手にしている本のせいで、二人の人物と短い会話をしました。心に残る部分だけを、紹介いたします。
・日本には、軍隊はいりません。そんなものがあるから、戦争になるのです。この前の戦争で、日本は散々にやられ懲りたはずです。
黙っているつもりでも、こういう一方的な、しかも「東京裁判史観」そのままの意見を言われますと、つい口を挟んでしまいます。
・日本が戦争をしなくても、攻めてくる外国はいます。そんな時、貴方は、自分の親や子共が殺されても、何もしないのですか。
・難しいことはわかりませんが、なるようにしかならないのです。戦争だけは、絶対にいけません。貴方は自分の子供を、戦争にやりますか。
・親や子供や、国を守るためなら、やります。息子たちだけでなく、私だって行きます。
・貴方は、なんという恐ろしい人なのでしょう。
家族を見殺しにできる人間の方が、数倍も恐ろしい人間だと思いましたが、私はこういう善人とは、戦争や歴史の話をしないことにしています。
このような意見も、珍しいものではありません。私が読む、反日・左翼の学者たちの本には、こういう馬鹿な話がいくらでも書いてあります。わざわざ紹介しましたのは、生きた「お花畑」の人物が、間違いなく日本にいるという驚きのためです。
もう一件の会話を、紹介します。
・私はテレビや新聞も、信じていません。嘘ばかりで、国民を騙すからです。
と言いながら、この人物の意見はテレビと新聞の意見で、本は嫌いだと言います。なるほど、マスコミが報道しない出来事には無関心で、韓国による「慰安婦問題」も、「徴用工問題」も知りません。中国が沖縄の「尖閣の領海を侵犯」していることも、「沖縄を自国の領土だ」と主張していることも知りません。
・隣の国同士だから、喧嘩ばかりしないで、仲良くしなければいけません。愛の心は、必ず通じます。
こういう人物が、間違いなく福岡県にいるという事実に私は圧倒されました。この人はきっと自民党を嫌悪し、反日・左翼の政党を支援するのだと、会話を打ち切りたくなりました。
・どこの政党を、支持していますか。
質問に返って来た返事に、もう一度驚かされました。
・政治家は嘘つきばかりですから、政治に関心がありません。選挙には、いきません。
投票は国民の義務で、責任であると私は考えています。選挙の一票を入れない人間に、政治を批判する資格があるものかと、これはもう、偏見に近い信念ですから、この人の言葉に呆れ果てました。
世間は広いと思ってはいましたが、理解を超える人間が実在します。
・貴方は、反日・左翼を心配しますが、あんな政党が、日本で政権を取る心配はありません。
・それより問題なのは、だらしない自民党です。国民の支持を受けながら、期待に答える政治をしていません。
・野党がダメだから国民が自民党に入れるしかないのに、いい気になっているんです。こんなことばかりしていたら、そのうち国民に愛想をつかされます。
・私は、その方が心配です。
反論するどころか、私の気持ちそのままでした。政治に関心がないと言いながら、この正論です。
無事私の旅が終わりましたので、二件の会話の紹介で、わが息子たちと訪問される方々へのご報告代わりといたします。
明日からそろそろ普段の暮らしへ戻り、読書を始めたいと思います。