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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

『東條英機 歴史の証言』 ( 裏切り者・田中隆吉陸軍少将 )

2016-12-13 18:29:22 | 徒然の記

  著者の渡部氏が、田中少将 について次のように説明している。

  ・田中隆吉というのは、前にも話が出ましたが、非常にけしからん男で、東京裁判では検事側の証人となり、かっての上官に対し不利になる証言を次々にした人物です。

 氏は、田中少将の捏造証言を二つあげている。

  1.  軍国主義者の東条英機を総理にしたのは、佐藤賢了中将 ( 当時は中佐 ) が重臣たちを脅迫したからだ。

  2.  軍の『捕虜処理要項』は、捕虜に強制労働を命じる内容になっている。

 腹をたてた氏が面倒になったのか、詳しく説明していないため、読者には内容がよく分からない。やむなく私はネットで調べ、真偽のほどは確認できないが、当たらずとも遠からずと思った。

 ネットで調べた中将の情報を、紹介する。

  ・田中隆吉は、明治26年島根県に生まれ、最終階級は陸軍少将だった。

  ・田中は数々の謀略に関与しており、裁判に協力しなければ起訴されたことも有り得た。

  ・人間関係の不満から、陸軍の内部告発をしたとする批判もある

  ・かつての上官である東条英機、木村平太郎にとって不利となる証言を次々とした。そのため、田中に対し「裏切り者」「日本のユダ」という罵声を浴びせる者もいた。

  ・「東京裁判の席上、田中隆吉が東条を指差し、東条を激怒させた。

  ・特に武藤章は 、 軍中枢で権力を握り、対米開戦を強行したという田中の証言により、死刑が確定したとも言われている。実際には、武藤は対米開戦に慎重派であった。

   ・武藤は捕虜虐待の罪により、死刑判決を受けるが、「東京裁判」で死刑判決を受けた軍人の中で、中将の階級だったのは彼だけである。
 
   ・特に7月6日の公判において、橋本欣五郎・板垣征四郎・南次郎・土肥原賢二・梅津美治郎などを、名指しで証言した際には、
 
 ・鈴木貞一は、その日の日記に、「 田中隆吉証言。全ク売国的言動ナリ」「 精神状態ヲ疑ワザルヲ得ズ 」と記し、
 
 ・板垣征四郎も日記に二重丸をつけ、「  ◎人面、獣心ノ田中出テクル」「 売国的行動、憎ミテモ尚余リアリ 」と書き、
 
 ・重光葵はその時の心境を、
 
    証人が被告の席を指さし、 犯人は彼と云ふも浅まし    と歌に詠んだ。
 
  吉田少将の証言が東京裁判でどこまで採用されたのか、私は知らないが、「A級戦犯」の汚名を着せられ、処刑された7人の「昭和殉難者」の氏名を、謹んで記録する。
 
    1.   板垣征四郎氏  - 軍人  陸相、満洲国軍政部最高顧問、関東軍参謀長。
 
    中国侵略・米国に対する平和の罪
 
    2.   木村平太郎氏  - 軍人  ビルマ方面軍司令官、陸軍次官。
 
   英国に対する戦争開始の罪
 
    3.   土肥原賢二氏   - 軍人  奉天特務機関長、第12方面軍司令官
 
   中国侵略の罪
 
    4.   東条英機氏   - 軍人、  内閣総理大臣
 
   ハワイの軍港・真珠湾を不法攻撃。 米国軍隊と一般人を殺害した罪
 
    5.   武藤章氏  - 軍人     第14方面 ( フィリピン ) 軍参謀長。 
 
   一部捕虜虐待の罪
 
    6.   松井石根氏   - 軍人      南京攻略時 中支那方面軍司令官 
 
   捕虜・一般人に対する国際法違反(南京事件)
                                     
     7.   広田弘毅氏  - 文民    第32代内閣総理大臣 
 
      近衛内閣外相として、南京事件での残虐行為を止めなかった不作為の責任

 ここで氏の著作を離れ、別の視点から「東京裁判」を眺める。この裁判の不公正さを示す実例として、私は次の二つの事実を上げる。

    1.  真珠湾攻撃に関するのアメリカの動き

    2. 「満洲第731部隊」に関するアメリカの動き    

 〈 1.  真珠湾攻撃に関するのアメリカの動き 〉

  ・真珠湾奇襲攻撃を理由として、「東京裁判」で米国が犯罪者と決めつけたのは、東条元首相一人だ。

  ・重大な過失を犯した外務省の、米国大使館員 ( 外交官 ) が、全員不問となっている。

  ・日本の奇襲をあれほど攻撃している米国が、原因を作った大使館員の不手際を追求しないのはどう見ても合点がいかない。

  ・ルーズベルト大統領が、事前に奇襲攻撃を察知していたので、大使館の外交官たちの失態は、米国にとってどうでも良いという話だったのか。

  ・それとも、大使館勤務の外交官たちに温情をかけ、戦後の情報提供者として活用したかったのか。あるいは米国は日本を断罪する材料として、「真珠湾奇襲」の事実だけが必要だったのか。

 〈 2. 「満洲第731部隊」に関するアメリカの動き 〉

  ・「731部隊」は正式名称を、「関東軍防疫給水部本部」と言い、秘匿名称を「満洲第731部隊」と称した。     

  ・満洲に拠点をおき、細菌戦に使用する生物兵器の研究・開発機関だった。

  ・各種の人体実験や、生物兵器の実践的実験を行っていたとされている。

  ・最高責任者だった、石井四郎中将の名前をとり、「 石井部隊 」 とも言われていた。

  ・敗戦後、731部隊の実験データの多くは、元隊員たちが密かに持ち帰り、最終的にはアメリカ軍へすべて渡され、米国での生物兵器開発に生かされた。

  ・人体実験に手を染めた軍医たちは連合国から戦犯として裁かれることなく、日本の大学の医学部や国立研究所や、各地の病院に職を得た。

  ・ある資料によれば、石井中将は尋問を受けた際次のように語っている。

    「 細菌戦エキスパートとして、アメリカに雇っていただきたい。」

    「ソ連との戦争準備のために、私の20年にわたる研究と実験の成果をアメリカに提供できるのです。 」

  ・戦犯にされまいとした石井氏ら731部隊幹部と、ソ連にいかなる情報も与えたくないアメリカ側の利害関係が一致した。

  ・石井氏らの罪が不問にされ、実験データはアメリカが秘密裏に処理した。

 石井部隊が行ったのは生体実験がメインで、その凄惨な多くの実験は、悪魔の所業といえるものだった。石井部隊の所業を「東京裁判」で持ち出していれば、アメリカは「南京事件」という、捏造の殺戮をこしらえなくとも良かったはずだ。

 米国は石井部隊の研究成果を自国のものとするという、米国の利益を優先させた。

 以上2件を紹介したが、これだけ偏っていた「東京裁判」について、日本人はそろそろ気づいて、歴史を再検討すべきでなかろうか。渡部氏は言及していないが、田中少将だけでなく、石井中将も、「恥ずべき軍人」の一人だ。

 現在の日本には、戦勝国アメリカに協力した日本人たちが、まだ沢山存命している。米国に弱みを握られ、情報の提供をさせられている人間がまだ生きている。これらの事実も敗戦の負の遺産として、私たちは知らなくてならない。

 つらい事実が多いとしても、私たちのために命を捧げたご先祖がおられる限り、歴史の見直しをする必要がある。

 だから私は、「A級戦犯」、「戦争犯罪人」と、ご先祖を簡単に言う日本人を嫌悪する。同時に私は「東京裁判」を鵜呑みにされ、昭和の殉難者を「A級戦犯」と呼ばれる美智子様を皇后陛下とお呼びしない。

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