ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

憂国 - その4 ( 「開かれた皇室」? 「開かれすぎた皇室」 )

2016-08-27 13:22:31 | 徒然の記

 平成20年4月の文芸春秋に、「引き裂かれる平成皇室」と題し、六人の対談記事がある。ここにも、保坂正康氏と高橋宏氏が顔を出している。

 先ず高橋氏の意見を紹介する。

 「国民が、皇太子ご夫妻にただならぬことが起きているのをはっきり知らされたのは、平成16年5月の皇太子の記者会見で、雅子のキャリアや、雅子の人格を、否定するような動きがあった。と述べられた、いわゆる、人格否定宣言です。」

 「平成17年には、湯浅宮内庁長官が退任時の会見で、皇太子に対し、機会をお造りになり、両陛下との意思の疎通をさらにお諮りいただけるようにと、進言している。」

 「つまりこの問題は、ここ数年間、天皇ファミリーが内側に抱え続けてきたものだったのです。」

 「実際に、昨年の皇太子ご一家の参内は15回程度で、自発的な参内は年に二、三回。」

 「秋篠宮家が年44回と、ほぼ毎週皇居に足を運んでいるのと比べると、その差が目立ちますね。」と、東大教授の御厨氏が受け止め、皇室ジャーナリストの松崎氏が後を続けている。

 「そこに昨年暮れからの、雅子妃の私的外出の報道が重なります。」

 「12月に、宮中でお餅つきがあったのに、そちらには出席しなかった皇太子と雅子妃が、その晩ミシュラン三ツ星のフランス料理店で、夜中まで食事をしたとか、元日の祝賀行事を、ほとんど欠席した雅子妃が、小和田家と、東宮御所でおせち料理を囲んだといった記事が、週刊誌などで毎週のように報じられました。」

 そして高橋氏の意見だ。

 「公務もままならない参内も難しい中で、私的な外出だけが増えているのは、いかがなものかと憂慮する声が、国民の中からて出てくるのも当然でしょう。」

 続く御厨氏の批判だ。

 「やはり 、開かれた皇室を目指した戦後の天皇家のあり方が、行き止まりまで来てしまったという感がありますね。」

  もっとも厳しい意見を述べているのは、保坂氏だ。

 「皇太子の会見の言葉で、具体的なのは愛子さんの話、雅子妃の病状、それからご自身の話の、三つだけなんですよね。」

 「これだけ、娘と妻のことばかり話すのには違和感を覚えます。」

 療養中の雅子さまについては、精神科医の斎藤氏を除くと、全員が厳しい意見だ。ここでも保坂氏の意見を、紹介する。

 「雅子妃が祭祀を、単に非合理なものとしてしか捉えられないというのは、日本の歴史とは何か、なぜ天皇家は続いているのかと、自問自答をしていないのと同じことでないかと思います。」

 雑談でしかない話が続くだけなので、次の本に移る。平成21年9月に発行された、「文芸春秋」の対談記事だ。

 出席者の名前は、ノンフィクション作家保坂正康氏、ジャーナリスト櫻井よしこ氏、皇室研究家高橋紘氏、精神科医香山リカ氏だ。

 長い記事なので私の独断で、雅子妃関連の意見だけを抜き出して紹介する。雅子妃に対し、香山氏以外は全員が厳しい見方をしているが、連続性という面から、保坂正康氏の意見を最初に取り上げる。

 「雅子さまは、あまりにも、知的整合性という面から物を考える。」

 「たとえば、神武天皇って実際にいたんですか ?  なんで、こういう祭祀をやるんですか ? と、疑問に思った時に、その非合理性から距離を取らざるを得ないから、雅子さまの悩みは膨らんでいったのでしょう。」

 岩井氏の意見は、もっと赤裸だ。

 「人格を否定したのは誰なのかと、憶測が飛び交い、傷つく人を多く出すことになってしまった。」

 「天皇サイドから、説明文書を求められたことを聞いた雅子妃が、文書を出すのなら皇太子妃をやめますと、激しい口調で電話を切ったという話も聞こえてきました。」

 環境適応障害という雅子様のご病気は、治る見込みがあるのか。こうなる以前に、なぜお妃教育をきちんとしなかったのか。ご実家である小和田家の家風が、雅子さまを育てたとか、対談は続くが、本の紹介はここで終わる。

 ご高齢の陛下を中心として、皇室の問題はかなり深刻である。

 だが私には、解決策があると思えてならない。文化人と呼ぶのか、評論家というのか、良くわからないが、彼らの意見を読み返してみると、私のような庶民にしか、見えない事実があると思えてきた。

 高貴な方でも一般庶民でも、一番大切なものは愛だ。親子の愛、夫婦の愛、家族の愛、郷土への愛、生まれ育った国への愛・・

 いろいろあるが、一番根っこにあるのは、夫婦と親子の愛ではなかろうか。

 数冊の本を読み返し分かったことは、砕けた言葉で言えば、皇太子殿下にとって雅子さまは、惚れ抜いて添いあった恋女房だ。

 皇位継承者でなければ、一途な愛もなんの問題もなかったのに、世界に類のない、伝統のある家系であるため、周囲がすべてに干渉してくる。お二人とも、抜け道のない迷路に入られている。

 お二人は、自分たちの愛を大切にされ、生きられたら良いと思う。

 お手本は、元イギリス国王エドワード八世だ。「王冠をかけた恋」として、有名な伝説になっている。王は道ならぬ恋をされ、王位を捨てるか、恋を取るかで悩まれた末、王位を捨てる覚悟をされた。

 退位してウィンザー侯爵となられた王を見習われ、皇太子ご夫妻は、皇室を離れられることをお勧めしたい。

 思いつきの意見でなく、報道を知るたびずっと考えていた提案でもある。受け入れ難い意見だとしても、個人の幸せを満たす解決策は、これしかないのではなかろうか。

 陛下と美智子様は、お二人で力を合わせ、「開かれた皇室」を作ってこられた。皇室の私事に渡ることまでが、頻繁にマスコミに出るようになったのは、昭和天皇の御世には、なかったことだ。お二人が目指されたこととは言え、弊害も生じてきた。

 対談の中で、朝日新聞編集委員の岩井氏が、次のように語る不遜さも、その一つの弊害であろう。

 「皇后様の発信能力、リテラシー能力というのは、凄い。」

 「今の両陛下は言ってみれば共働きであり、皇后様は、皇室生まれの人の目に届かないものを補おうと、常に努力されているし、最強の副官のような存在だと思うんです。」

 ついでに、精神科医香山氏と岩井氏の問答も紹介しておこう。

 「両陛下のお気持ちを忖度する、行幸啓のプロデューサー的な方はいないのですか。」

 「プロデューサーは、両陛下ご自身でしょうね。昭和でしたら、侍従長の入江相政さんが、そういう立場だったでしょうけれど。」

 ここで岩井氏は、婉曲に、遠回しに、かかあ天下の皇室を匂わせている。

 新しい形の天皇像も、被災地へのご訪問も、戦地への巡礼の旅も、さらにもう一歩踏み込めば、今回の「お言葉」のリークも、皇太子ご夫妻への皇位の移譲も、女系天皇へのご希望も、美智子様の意向が感じ取られる。何しろ美智子様は、「最強の副官」なのだから。

 そしてここからが、私の提案だ。

 「自分たちが愛国者だというのなら、皇室が国民の税金で存続しているなどと、そのような卑しい主張を、捨てなくてならない。」

 「皇室の歴史と伝統は、ご先祖様以来の国の宝であり魂のふるさとでもあり、金銭では測れないものだ。」

 「反日・左翼でない限り、税金の話など持ち出してはならない。みっともなくて、仕方がない。」

  余計なことかもしれないが、もう一つだ。

 「皇太子ご夫妻を敬遠する国民も、個人の感情を抑え、退位後のお二人が、人生を全うできるだけの財を得られる処置を許容すべきである。」

 「これが国内の平穏と騒乱防止につながるのだから、ひっそりと生きられるお二人には、いくら尽くしても惜しいものではない。」

 「むしろ、感謝して受領いただくという考え方の方が正しいはずだ。」

  とうとう、このテーマで、四回もブログを書いた。あともう一回だけ、女系天皇について、自分の意見を取りまとめ、それで終わりとしたい。

 女性天皇と女系天皇の違いについて今まで分からなかったが、陛下のおかげで理解することができた。

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