黄文雄氏著 『韓国は日本人が作った』( 平成17 年刊 ワック株式会社 )を読了。
氏は日本を攻撃する中国と韓国に、厳しく反論する台湾人である。
と、ここで氏の経歴を調べたら、「台湾出身の日本人評論家」と書かれていた。正しくは、日本に帰化した台湾人ということになる。
著作に書かれている、氏の意見を紹介する。
・戦後の韓国政府は、日帝36年の略奪、搾取、虐殺などを強調し、義兵運動や、三・一運動などの反日運動を、あたかも、英雄的な抗戦のように宣伝している。
・「しかし韓国人の反植民地運動など、いかなる国のそれと比べても、話にならないほど小規模で、勢いがない。それは、台湾の民族・民衆運動と比べても明らかだ。
・かって中国解放軍は鴨緑江を渡り、朝鮮半島の北から南までを、くまなく蹂躙した。この時の韓人の犠牲者は、日帝36年の比ではない。それなのに現在の韓人はこれを不問にし、ただ日帝時代を問うている。
・朝鮮戦争の推定死傷者は、500万人にも達したと言われている。イデオロギーを問う自民族同士の戦争で、この死傷者数だ。日帝時代の反日運動の犠牲者は、多く見積もっても一万人以下である。しかも半島の人口は、日帝36年の間に大きく増加さえしている。
・韓国建国後、李承晩政権時代以来の国内戦争や謎の事件によって、多くの韓国人が虐殺されていった。李承晩時代だけでも、日帝時代とは比べものにならないほどの、虐殺が行われている。民衆は、自国政府の官憲に殺されたのだ。
・日帝時代を非難するのもいいが、自民族同士の殺し合いについては、少しも反省しないのだろうか。
・韓国人は、先ずは、自国の問題を直視すべきではないのだろうか。
韓国人が読めば、狂気のようになるのでないかと思える記述が、どこまでも続く。氏は、韓国人が叫ぶ日帝による土地収奪の捏造や、創氏改名の強制、収穫された米の横取りなどを、当時の資料を基に反証する。
『大韓民国』を書いた李滎薫 ( イ・ヨンフン )氏が、似た意見を述べていたが、黄氏の意見はニュアンスが違う。李氏は韓国への愛国心から、自国の間違いを指摘していたが、黄氏の意見は帰化台湾人がする酷評だ。
・日帝への批判や史実捏造については、時代背景が全く考慮されていない場合が多い。
・忘れてならないのは、氏欧米植民地化にあったアジア諸国にとって、日本の存在は、忌み嫌うどころか憧れの的だったのである。当時朝鮮において、80%以上が「創氏改名」をしたというのは、その表れでもあった。
・口では反日、抗日、反帝をスローガンに掲げている小国や弱小民族でも、日本のような強い国を目指していたのだ。
・もちろん当時の日本人たちも、日本が強国であることに絶対的な自信を持っており、今の自虐的な日本人には理解できないほど、強烈な自負があった。
・日露戦争後の日本では、その意識にさらに拍車がかかり、一等国民としての、強い誇りを抱くようになったのである
奢れる者は久しからず、ただ春の夜の夢の如しと、『平家物語』という立派な手本を持ちながら、慢心した日本人が沢山いたのだ。保守言論人と言われる人物の著作を読んでも、黄氏のような記述は出てこない。氏の著作には、隠し味のように日本への苦言が含まれている。褒めるだけの帰化人でないから、私は氏を「親日派」でなく「知日派」と考えている。
・日露戦争後の日本は、今のアメリカを取り巻く状況に似ている。
・どんなに反米や反帝叫んでいても、世界の多くの人々が、夢や希望を求めてアメリカの国籍を求める。誇り高き中国人や韓国人でさえも、例外でない。
・特に中国人はあれほど反米教育をされ、マインドコントロールされていても、毎年10万人単位の人民が、祖国を捨て、アメリカを目指している。
・韓国知識人の反日理論は、きわめて飛躍的である。彼らの脳裏には日本しかなく、日本以外の歴史は空白か、さもなくば停止しているのであろう。
・彼らの主張を逆手にとれば、韓国のすべての歴史は日本に左右され、韓民族にはまったく主体性がないということも言える。
380ページの著作は、終始この調子で語られていく。この本がどれほど売れたのか知らないが、私は氏の強い日本批判 ( 苦言 ) として受け止めた。氏は直接語っていないが、「こんな不合理な韓国を作ったのは、日本人だ。」と述べているに等しい。
・1997 ( 平成9 ) 年末に、韓国は外債2000億ドルを抱え、金融崩壊に陥った。借金を返すことができず、IMFの管理下に置かれた。
・その総括責任者だった金泳三 ( きむ よんさん ) 大統領は、韓国が経済危機に陥ったのは、日本による資金回収が最大の原因だと、日本のせいにした。
・1995 ( 平成7 ) 年に、江沢民中国主席が訪韓した折も、金泳三大統領は、日本人の悪い癖を正してやると放言し、この傲慢ぶりは、かなりの日本人の顰蹙を買ったものだった。
・さらに韓国人は、南北分断をソ連、アメリカ、中国のせいでなく、日本のせいにしたがる。
・朝鮮半島を分断し、それぞれに進駐し支援したのはソ連とアメリカであり、戦争中に義勇軍を派遣したのは中国である。南北分断に責任があるとすれば、この三国だ。なぜここで、日本が出てくるのだろう。
・日韓関係だけでなく、日本とまったく関係のないのことでも、必ず日本のせいにする。私が解せないというか、納得がいかないのはその点である。どうやら、調子に乗りすぎているのではなかろうか。
・日本は、韓国に迷惑をかけすぎる。韓国に対する借りはあまりにも多いのに、これまでひとつも返したことがない。日本だけが他国と違う。日本は韓国に、なんでも譲歩すべきだ。
・韓国の話は、いったい何のことか分からないし、韓国人を中心に地球が回っている訳ではないのだ。恩義論でいくなら、20世紀の韓国は日本なしではあり得なかった。恩に報いるべきは日本人でなく、むしろ韓国人の方だろう。
・妄言ばかり吐いてないで、もっと歴史を見つめて冷静に考えるべきだ。
韓国の妄言を放任し許容しているのは戦後の日本人だと、覚醒を促されているように聞こえてならない。氏の韓国批判を単純に喜んでいるようでは、日本の政治家も国民も惰眠をむさぼっていることになる。
韓国の妄言に率先して賛成しているのが、国内に生息している「獅子身中の虫」だ。反日左翼野党にはもちろんだが、保守と呼ばれる自民党内にもいる「祖国崩壊の害虫」だ。
さて、ここからが書きにくくなる。
悲しいことにこの虫は、美智子様のうちにも潜み、「捏造の慰安婦」に同情され、戦前の日本を全て否定されている。韓国に謝らなければならないという、美智子様の思考は「東京裁判史観 ( 自虐史観 ) 」から導き出されている。
と、こういう私は不敬なのだろうか。それとも国を愛する国民の矜持がさせるのか。やはり私の中には、先日の陛下の「お言葉」への拭いされない疑念がある。
今日の記事を死ぬ前にもう一度読み返し、振り返ったみたら、その時は答えの幾分かでも出ていないだろうか。大切な心の記録として、ここに残す。
氏の著書は亡くなった叔父の蔵書だが、同じ黄氏の著作がまだある。『近代中国は日本が作った』だ。似通った書を同時に読むという癖は、叔父から受け継いでいるのかもしれない。