著作の最終章にある、氏の意見を紹介する。
・戦争の賠償に比べ日本のODA援助は微々たるものと、李鵬首相はケチをつけたが、それは歴史認識の上でかなり問題の多い発言だ。
前回で終わるつもりだったが、これを紹介せずにこのブログは終われない。
この部分を挿入したからといって、厚顔な中国政府に通じないと分かっている。白を黒と言って恥じない、中国に反論したいためでなく、事実を知らない日本人に紹介したいからだ。
・中国は国内の内戦のため、日本から賠償金が取れなかった悔しさがあるのだろう。「日中共同声明」で賠償請求は行わないと、一度宣言しながら、なおもそれを口にしている。
・周恩来の時代は千億ドルと主張していたが、最近は、要求すべき賠償金は6千億ドルとしているなど、明らかにプロパガンダのためにする金額である。
さすがに大中華の中国だ、国同士で約束したことを平気で破る。これなら事大主義、小中華の韓国が同じことをしてもうなづける。
「戦後賠償は終結した」
「全ては終わった」
と公式文書を交わしながら、未だに金を要求する韓国は、親である中国を真似ているに過ぎない。
今回紹介するのは、救いようのない中国共産党政府に関する氏の意見だ。
・20世紀に入ってからの中国は、毛沢東のいう「 一窮二白 」 の貧困にして愚昧な社会で、百万から千万人単位の餓死者を出していた。
・日本軍の中国での軍事行動は、「侵略 」とされているが、客観的に 「侵 」 の側面はあったとしても、「 略 」 といえるものは何もなかった。
・逆に、日本政府および軍は、中国民衆を飢餓から救済していたのである。
・当時「 略奪」をしていたのは、日本軍でなく、蒋、孔、宋、陳の4大家族をはじめとする、国民党高官、資本家、地主などのことだろう。
・これらのいわゆる 「黒五類 」とされる支配階級の、搾取、略奪については、社会主義中国の学者が指摘してやまないところだ。
・なぜ中国が救いようのない貧困状態に陥ったかという点について、中国人はあまり反省もしていなければ認識もしていない。日本軍の略奪が、中国に貧窮と落後をもたらしたという言説は、明らかに事実と反する。
・仮に中国が主張する賠償額6千億ドルが、妥当なものだとしても、彼らが接収した満州国の遺産は兆単位に上る。それを別にして、日本人が租界や各都市で営々と築き上げてきた資産だけでも、お釣りがくるほどだ。
当然だが、こうした事実を朝日新聞もNHKも、国民に伝えなかった。だから戦後の日本に「お花畑」広がり、そこに住む住民が増える。
・最近はいい加減に目が覚めつつあるとはいえ、日本の平和愛好家には、
「中国人は平和的民族だ、中国は外国に戦争を仕掛けたことがないと、」
と、そんな誤解がよく見られた。
・日本人が中国近代史を語る上で、徹底的に見つめなければならないのは戦争の本質である。
・少なくとも筆者が指摘したいのは、アヘン戦争以降60年間の清仏戦争、日清戦争、北清事変といった対外戦争は、西欧列強の侵略戦争というよりも、清帝国による対外懲罰戦争であり、それによる見当はずれの失敗だったということである。
・中国側の戦争観がどうであろうと、19世紀中庸から20世紀中庸にかけての、つまりアヘン戦争から日中戦争までの、100年にわたる対外戦争そのものが、軍事、政治、経済、社会、文化等々、あらゆる面において、中国を新生、再生、転生へと導いていった。
・列強諸国は、実際はむしろ、中国の解放戦争を行っていたのである。
この奇抜な意見を、私はなんと受け止めれば良いのだろう。私の考えつかない視点からの意見だ。
・それでありながら中国は、なおも賠償金代わりのつもりで、ODAを日本に要求してくるのである。日本は経済大国として、中国支援という国際貢献はすでに果たしている。
・日本はこれまでに、ODA三兆円以外に、アジア開発銀行、旧輸出入銀行ローン、その他の援助を合わせ、合計6兆円に上る経済援助をしている。
アヘン戦争に関する氏の意見はよく分からないが、日本の話になると理解できる。中国への戦後賠償とODA援助の不合理は、私が調べた事実と符合している。
・中国でのインフラ建設は軍事施設に直結しているので、日本の経済援助は間接的に軍事援助になっていた。それどころか中国は、日本のODAの45%に当たる額を、他の発展途上国の援助に回しているのだ。
・だが日本政府は、政治的判断から、中国のODA援助の悪用を問責せず、依然として援助を継続しているのである。
私がブログの予定外延長をしたのは、氏の意見が紹介したくなったからだ。
この杜撰な援助を続けたのは、歴代の自民党の政府と政治家だ。彼らはこのような事実を国民に知らせなかったし、マスコミも協力した。中国政府も国民に対して、もちろん何も教えていない。
だから中国国民は、
「日本は中国から奪っただけで、何も返さない。」
と本気で信じている。
自民党の歴代政府と政治家は、いったい何をしていたのか。挙げ句の果てには、世界第二の経済大国、軍事大国となった中国に「尖閣問題」で脅され、小笠原諸島でサンゴを乱獲され、沖縄にまで手を伸ばされている。
過去の自民党政権がやったことは、利敵行為であり、反日助長政策ではなかったのかと、考えたりする。
『韓国は日本人が作った』という前の著書と同様に、私は今回の著作『近代中国は、日本が作った』からも、日本人への鋭い皮肉を読み取る。
つまり「現在の横暴な中国を作ったのは、日本だ」という皮肉だ。
ブログの最後にあたり、私は同じ言葉を繰り返す。
氏の中国批判を単純に喜んでいるようでは、政治家も国民も惰眠を貪っていることになる。