古典絵画が苦手な僕でもこの展覧会は楽しめた。
たとえばヤーコブ・ヨルダーンス「道化師と猫」、猫は不誠実な女性、悪魔、邪悪なものの象徴という、日本の猫好きは頭にくるだろう。
カラヴァッジョに学んだテオドール・ロンバーツ「歯抜き屋、にせ医者」も面白い。
大きなベレー帽子をかぶって威厳に満ちて歯を抜こうとする、好奇心からか人々がそれを眺めているという絵だ。
鳥ばかり描いた画家はルーラント・サヴェレイだ、鳥は裕福な上流階級が収集したという。
神話画や宗教画より身近な主題に僕は惹かれる、ブンカムラ「プラハ美術館展ールーベンスとブリューゲルの時代」の展覧会だ。
会場は程よい構成で解説も一つ一つついているので音声ガイドを借りるまでもない。
それにしても17Cのフランドルでは芸術文化が円熟して輸出品となったという。
父ブリューゲルは油彩画を40点ほどしかものしなかったので複製画の需要はものすごく高かったらしい。
一方宮廷画家ルーベンスはカトリック復権に向けて大規模な工房を運営したという。
それにしてもルーベンス実筆の「聖アウグスティヌス」の何たる大迫力か!
ヤン・ブックホルストの「聖母と眠る幼子キリスト」で幼子キリストはキリストの死の予型だとか、「眠っていても、私の心は目覚めていました」/雅歌第五章二節。
「花のブリューゲル」とたたえられたブリューゲル、静物画もたくさんでてくる。
カタログも作品解説を図版のあとにまとめるものが多いが、この展示カタログは図版一点一点にきちんとついているのがよい。
古典絵画もまたいいと思える展覧会、毎日新聞とブンカムラに拍手したい。