だらだら日記goo編

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日常という迷宮

2008-11-20 23:16:55 | インポート
駅のプラットフォームに佇む孤独な人々ーだれもが知っている相笠昌義の描く絵だ。
なぜこんな場面を描くのか?
画家はしかしこんなことをいう。
「日常とは百鬼夜行の空恐ろしいものーそれをアートにしたい」と。
または、「一番切実なもの」それが日常だと。
山に感動して山を描く画家はいるが、それなら山を見にいけばいいだけの話でなんら切実ではないと。
そんな画家の多摩美大の定年退官を記念した個展が多摩センターの多摩美術大学美術館で開かれている、まず無料と謂うのがよい。
中学から絵を描き、芸大では小磯良平教室に学んだという。
しかし美術公募展に落選を重ね、描けなくなったという。
そこで取り組んだのがコラージュ、文明嫌悪症だ。
それが評価されまた描く意欲が出てきたというが、当時を振り返って「妄想をつくっていた」と画家はいう。
1970に結婚して色彩を取り戻し、スペインに一年留学し、その成果が安井賞となってこの人の評価を決定づけたという。
日常を描くーその究極の存在として相笠がえがきだすのは由美子夫人だ。
そこにはデフォルメされた都会の駅の人間とはまったく違って愛にあふれている。
例えば展示されている「秋のけはい」など超一流の洋画といえる。
こうみてくるとこの画家には「都会生活は見ると待つだけでなりたつ」と語るが如く、人間への愛情と嫌悪のアンビバレンツが存在しているようだ。
会場にはオペラシティアートギャラリーや町田の版画美術館所属の作品のほか、原爆ドームを描いた作品は、信濃
デッサン館が所属し、窪島誠一郎さんの言葉もあった。
ビデオも上映されておりなかなか楽しい時をすごさせてもらった。