だらだら日記goo編

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二面性の写真家

2007-12-17 22:08:00 | アート・文化

梅原龍三郎は明らかに怒っているのである。

俺様にいろいろ注文付けてポーズ取らせて何事かという心境だったのだろう。

写真家もさぞ恐縮しただろう。

一方、棟方志功を映しては「近視は棟方芸術解明のかぎなのである」と鋭く指摘した写真家だ。

写真家、土門拳、その回顧展がいま武蔵野市吉祥寺美術館でやっている、土門拳記念館からの借り物という、百円で入れるのでちょっと立ち寄る。

土門が写真の道を志したのは母の勧めからだったという。

土門の名を知らしめる「古寺巡礼」は美術史家水沢澄夫の案内で室生寺を訪れたことからはじまるという。

「ぼくは一日本人である、日本人が好きだ」という土門は晩年脳出血に倒れてからも車いすで寺を訪れたという、まさにライフワークだ。

一方、現実の矛盾にぶつかっていった人でもある。

その例が「筑豊の子どもたち」だ。

ボタ拾いをする子供、弁当を持ってこれない子どもは雑誌を一心に眺めている。

これらの子どもは大きくなってどうなっただろうか?

広島の惨劇を目の当たりにして「今日もなお「ヒロシマ」は生きていた」とも語る。

砂川闘争、焼き芋泥棒ー現実の矛盾を直視したリアリストだ。

現実がむごいからこそ、ライフワークとして理想の仏の世界を撮影したとも言えるのではないか。

勅使河原蒼風の作品を撮影した写真も展示される。

勅使河原と亀倉雄策と「三兄弟」と呼ばれたようだ。

土門拳記念館からのカタログも売られていていたって満足。

さて常設展示に移ると、荻原英雄さんが2007/11/4に94歳で死去したことを知り驚く。

ニュースではそんな大きく扱っていなかった感じがするがー。

展示は「三十六富士」から、もちろん北斎を意識したものだろう。

吉祥寺伊勢丹は七階とアクセスの良いところにある美術館だ、一度は訪れてほしい。