結構期待していたのである。
だから成城のクリニックの診察が終わったらすぐバスに飛び乗った。
向かった先は世田谷美術館「パラオーふたつの人生」の展覧会だ。
だがこれは期待はずれもいいところだ、今年のワーストに上げたい。
中島敦と日本のゴーギャンといわれる土方久功、この二人が出会ったのは1941のパラオだった。土方はゴーギャンの「ノアノア」を愛読してて1929からパラオに暮らしていたがそこに中島がやってきて二人の不思議な交流が始まったという。
でその交流や両者の影響を知りたいのだが、それらは全く無視!
中島は風土病にかかって1942に土方と一緒に帰国するが、展示されているもので両者の交流を示したものは二人の日記で土方が「敦ちゃん」と呼んでいて確かに親密そうだがそれ以上のものは示されない、展示品はあくまで二人別個の世界だ。
今県立神奈川近代文学館が中島敦のデジタル画像DVDを作っているそうで、その一部が大画面で公開されるのは良い。
世田谷パブリックシアターでの「敦、山月記、名人伝」という芝居も上映されているからまあ時間つぶしにはなる。
たいして土方は、彫刻がいろいろ展示されるが詩集も作ったようでそれも大画面で展示される。
「私は島を見たのだ、生き物の島を
私が見たのは
それはベックリンの見た「死の島」ではない」
などは南国の島を反映しているのだろう。
しかし後の展示、原稿用紙とか手紙とかは箸にも棒にもかからない。
字が小さすぎて読めないのだ!
こんなもの何のために展示しているのだろうか。
カタログも分厚いが買うほどのものではない、やはりこういう展覧会はDVDなどのカタログつきのほうが似合っている。
時間の無駄です、わざわざ足を運ぶには及びません。