「山愚痴屋澱エンナーレ」とは何のことか。
こんな言葉を使うから現代美術がわけがわからなくなるのだ!
しかし、薄べったいカタログで作者自身が述べているように「トリエンナーレのもじり」で「憧憬と嫌悪のない交ぜになった、アンビバレントな心持を表している」そうだ。
作者は山口晃、この人と会田誠という若い作家の二人展が上野の森美術館で開かれている、題して「アートで候。」
入館料千円も取るのでがらがらだが僕はまた招待チケットで行ってみる。
作品を観てカタログを読んだ感じでは、この二人は伝統的な日本画に新たな生命を吹き込もうとしているかのようだ。
たとえば会田は作品解説できちんと理由があって、細江英公が土方を撮った鎌鼬の有名な写真から構図を拝借したと述べているし、別の作品では狩野永徳LOVE!という気持ちで作ったとのべている。
山口は三越で展覧会を開いたそうで三越周辺やら東京名所を俯瞰する作品を多くものしているが古地図を見て、おそらく江戸時代の鳥瞰図に似せて作ったのだろう。
日本橋三越の周辺を俯瞰する作品を眺めると、それこそ江戸時代の街並みが遠くに描かれていたり、三越の中には武士の格好をしたものまでいる!
現代美術と敬遠せずに素直に楽しめるいい展覧会だ。
まだ若い二人がこれからどういう方向に進むかにも関心がある。