チケットを下さったJuneさんには申し訳ないが企画展示のマルレーネ・デュマスにはまったく心が動かなかった。
何か不条理な絵を描いているのはわかるがこの人の狙いはわからない。
カタログも買わないのでそのうち忘却のかなたに消えてしまうだろう。
ここで書きたいのは常設展示に加わった岡本太郎の「明日の神話」だ。
何しろ幅30m,高さ5.5mという大作だ、展示できる箇所はここ東京都現代美術館くらいに限られてしまう!
今回初めて修復を終えた本物を観たが、やはりスケールが違うということだ。
周知のように岡本はメキシコのホテルの依頼でこの大作を作ったがホテルが倒産して行方不明になってしまう。
下絵は残されていた、岡本太郎記念館と富山県立近代美術館と名古屋市美術館と川崎市岡本太郎美術館に。
それらの構図を比べるとまったく変わっていないのだ、つまり岡本は試行錯誤しながら作ったのではなく、はっきりしたイメージを持って最初から臨んだのだ!
メキシコで見つかった作品は亀裂が大きく、亀裂に沿って五千以上のピースに分かたれて日本に持ち帰られ、修復には一年を要したという。
そしていま現代美術館におよそ一年におよび展示されるという。
展示構成もよろしい、常設展示室の中なのだが岡本太郎美術館から借りた岡本の陶器と、アンフォルメルの画家たちの作品を「明日の神話」の前に置き、「明日の神話」を鑑賞したら、エキスポタワーの部材を用いるヤノベケンジや会田誠といった若い作家の作品で締めくくる。
ビデオも二本上映されており、僕は企画展示より常設展示にいた時間が長いくらいだ。
企画展示の観覧料金は1300円だが岡本太郎がらみだけでこの値段でも決して高くはないと思う。