だらだら日記goo編

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大地になされる彫刻

2005-09-27 23:10:44 | アート・文化
先週の「週刊新潮」にイサム・ノグチの展覧会のことが出ている。
彼の最高傑作ともいわれる「エナジー・ヴォイド」がはじめて東京にやってくるが、重さ十七トンもの作品を設置できる箇所は現代美術館では高さ19メートルのアトリウムしかなかったという趣旨だ。
Juneさんから招待券をいただいているのでどんなものか観にいってみる。
しかしながら中心部が空で禅とのかかわりを指摘されるこの作品も、屋内の人工空間に置かれてもただ空疎に響いた。
札幌では美術館の池の水面上に置かれたというがまだそのほうが納得いく。
そもそもイサムの彫刻はその大地性と切り離しては論じられないと思う。
初期の彼はブラクシーンの元で、抽象彫刻をつくっていた。
真鍮を使ったその彫刻は金色に今でも光っていた。
しかし彼は抽象をやるには若すぎたと感じたという。
1945ごろは「彫刻のワークシート」を作った。一枚の紙からきりえのようにいろいろちぎっては立体化したという。
そして彼は日本庭園を見出す。石の根は大地に合一しており、これからの彫刻は大地になされるべきと考えたのだ。
しかし「一枚の紙」から作品を作るなどその大地性は早くから彼の根底にあったのだろう。
その集大成が札幌にこの間オープンしたモレエ沼公園だ。
しかしその萌芽はすでに1933「プレイマウンテンの模型」や1943「この責め苦しめられた地球」にあったという。
大地への彫刻という発想は彼の原点なのだろう。
そもそもこの展覧会は札幌のモレエ沼公園開館を記念した展覧会だ。
何でそれが東京で開催されるのかよくわからない、彼の作品は大地の上に置かれるべきでコンクリートの上に置かれるべきではなかろう。
というわけであまり歓心した展覧会とはいえない、Juneさんごめんなさい。
現代美術館館長は日本テレビの議長だ、テレビの力を利用して入場者を増やそうとするだろうがこれまた歓心したことではない。